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June 2006

Saturday, June 24, 2006

LRT整備で起債を渋々認めた政府与党の国際感覚

土曜日の日経夕刊といえば、薄いことで定評がありますが^_^;、こんな記事がトップとは驚きです。

路面電車整備起債でGO(NET版は路面電車整備に財政支援、地方債発行容認へ・政府与党)
何か妙なノリです^_^;。記事を読めばわかりますが、制度変更ということではなく、全国で構想が練られているLRTの整備に地方債の起債を認めようということで、借金してよろしいというありがたいようなありがたくないような話です。

昨今の地方都市の中心市街地の空洞化ぶりはすさまじく、当ブログでもたびたび取り上げてまいりましたが、規制緩和の波に乗って再開発ブームが続く大都市圏に対して、地方都市ではコミュニテイの維持が困難なレベルまで荒廃が進んでいる状況があります。それに対する危惧から、まちづくり三法の改悪による大店法バリの出店規制復活までしたわけですが、それで中心市街地に賑わいが戻ると考える能天気な人はあまりいないようです。

既に問題点はいくつも指摘しておりますが、元々私的な交通機関であるマイカーが公的空間である道路を埋め尽くし、駐車スペースが確保しやすい郊外へ商業施設や病院などの集客施設が立地することは留めようがないわけで、実際今回は対象からはずされたものの、都道府県庁や市役所、町村役場その他国や都道府県の出先機関を含めて行政機関も郊外立地が進んだのは、コスト面からの選択だったはずです。そんなことをきれいに忘れて民間事業者には郊外立地を規制するというのは筋が通らない話ではあります。

もっと重要なのは公共空間のプロデュースなわけで、人が多数集う場所をいかに作るかということです。制約はあるけれど、個人の占有空間ではよほどの金持ちでなければ実現可能ではない心地よさがあればこそです。渋滞を我慢し排ガスや粉塵で空気が汚染される空間が心地よいはずはありません。そのような空間を作り出すには、マイカーの規制と公共交通の整備は避けて通れないところです。

というわけで遅ればせながらの後押しとなるわけですが、結局のところポスト小泉政権でも財政再建路線は変わりそうになく、公共事業のバラマキで選挙民を引きつけることが難しくなった結果、渋々の選択ということに相成ったようです。だからこれで岐阜の路面電車は復活するわけではありませんので、勘違いされないように。これでコンパクトシティなんて抜かしたら殴るぞゴルァ!

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Friday, June 23, 2006

事ー故ジャパン!

眠たい1日のお勤めご苦労様でした。しかし事故の多い日でした^_^;。渋滞?と思えばパトカーがいて実地検分中ということで、疲れました。やっぱこれもW杯効果? 眠気にはセブンイレブンのO2サプリミント缶がお勧めです。

サンシャイン近くの都電荒川線の踏切で足留めされ、通過した電車がなぜかガラガラ。そういえば先日追突事故があったことを思い出します。乗客が忌避しているのでしょうか。アホなメディアが「都電にはATSがない」なんて無知な報道するもんだから、こんなことになるんでしょうか。でもね、ATSなんぞ装備したら続行運転できなくなって、とげぬき地蔵の縁日でパニックになりまっせ。車内警報装置(旧国鉄B型相当のATSと同等)を装備した世田谷線が、暮れと新年のボロ市のときに容赦のない詰め込み輸送をするのも、続行運転できないため。あんたらの正義はいかにズレまくってるか自覚してほしい-_-;。

そういえば耐震強度偽装では姉歯建築士が以前から偽装をしていて、国会の証人喚問で「木村建設に圧力かけられた」という証言を翻しました。これには関係者が共謀して偽装を行ったという捜査当局のシナリオが崩れて、姉歯建築士の個人の犯罪となりそうな気配ですが、一罰百戒を狙って別件逮捕オンパレードできた捜査当局の責任問題にも波及するかも。そもそもは専門家が経験則に基づいて行ってきた強度計算ですが、国際化の進捗で海外とくに米企業の参入要求もあって、基準を明示することと規制緩和の要求が重なって、4つの異なった基準で強度計算を行うという木に竹を接ぐような制度になってしまったことに対する当局の反省は見られず、結局建て替えもままならないまま放置された被害者は置き去りです。困ったもんだ。

あとエレベーターの事故なんて話題もありますが、これもいろいろな問題を含んでます。そもそも建築基準法で通り一遍の安全基準が示されているだけのエレベーターですが、高層建築が増えて、コンピュータ制御の高度なメカになってきていて、メンテナンスの専門性が高いのですが、メーカーは競争激化でハードを安く売ってメンテナンスで元を取ろうとするから、メンテナンスに必要な技術情報の開示に消極的だし、一方で独立系のメンテナンス会社が安値で参入する一方で自治体では入札制度の見直しで随意契約や指名入札から競争入札へ移行したら、安かろう悪かろうでトラブル続出とは困ったもんです。鉄道ならば運賃収入を安全投資の原資にできるものの、エレベーター自体は、ランドマークタワーの展望エレベーターのような例外を除けば、直接キャッシュフローを生む資産ではないので、制度設計に難しさがあります。どうする国交省。

6月といえば株主総会の季節ですが、5月施行の新会社法の影響で、株主総会も様変わり、今年のトレンドは買収防衛策だそうで、なんとも保守的な日本企業です。新会社法も国際化の進展で国内企業の海外での事業展開や外国企業の国内事業展開などなど、国によって異なる会社の定義を米国基準や欧州基準などの要素を取り入れてやり直し、かつ規制緩和というナイーブな要求を満たすなど、要請される事項が多くて、カタカナ旧文語体の旧商法よりも難解な現代語条文のオンパレードとなりました。何か耐震強度問題に似ていることか。

会社法を難しくしているのは、さまざまな機関設置や株主の議決権を定款で制限できる場合があったり、商法の株主平等原則が消え去り種類株が解禁されるなど、使い方によっては紛糾しそうなさまざまな要素が盛り込まれているのですが、阪阪統合のTOB価格930円が妥当だったかどうか、TOBに応募しなかった阪神株主から異議が出されたらどうなるかなど、ややこしい問題があります。いわゆる株主代表訴訟がやりにくくなった感は否めません。ま、阪阪統合の場合はTOB期間中の株価下落という想定外の事態がなければどうなっていたかわかりませんし、1,000円を超える株価水準自体が利益水準から見て倍誓い高値という指摘もありますし、微妙な問題テンコ盛りです。ま、株価下落自体が米FRBバーナンキ議長の不用意発言がきっかけということで、中央銀行総裁の言動がいかに責任重大か、福井さんわかってんでしょ。

ブラジル戦が終わって、中田ヒデがピッチにへたり込んで悔しさを露わにしたのが印象的です。結果を変に庇うこともけなすことも不要です。悔しさこそアスリートには明日の糧です。

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Tuesday, June 20, 2006

やっぱ福井さんは辞めるべき

んま、村上ファンド事件は意外な展開になっております。

日銀総裁、村上ファンドの運用残高2200万円超
ま、これは言い訳のしようがありません。まぁ正直に出してきたことは良いとして、問題は一国の中央銀行総裁としての職責を担うにあたって、問題はないかということですが、大有りですね。

中央銀行総裁として、留意すべきは政策の独立性の確保であることは言うまでもありません。元々通貨発行というのは、国による信用創造であり、中央銀行券の発行は、つまるところ有価物の購入の権利の付与を意味するわけです。

紙切れに過ぎない紙幣が交換のツールとして市場を流通することを通じて、経済活動を支えるインフラなんですが、実際には1万円札でも製造コストは数10円程度ですから、その差額分だけシニョレッジ(通貨発行益)が国に入るわけです。厳密には中央銀行のバランスシート上で通貨発行額は負債として計上され、市中銀行への貸出債権が資産となることで実体化されるわけです。

このように一見無から有が生じるがごとき仕組みであり、そのために為政者にとっては都合の良い仕組みとして利用する誘惑が存在します。経済活性化の早道は、とにかく輪転機を回して銀行券を多数発行し流通することであり、その結果得られるシニョレッジが政府財政を潤すと共に、過剰供給された通貨は価値が目減りするいわゆるインフレーションによって、流通過程で減価するわけですから、言ってみればこれが流動性への課税効果となって、国の財政を二重に潤します。それゆえに為政者にとっては常にインフレ政策への誘惑が働くわけです。

しかし国際化が進んだ昨今の状況では、インフレによる貨幣価値の減価は為替に影響し、貨幣の暴落による国民経済の崩壊すら起こり得る状況に至りました。90年代のアジア通貨危機やロシア危機はまさに不透明な通貨政策を取る国を直撃した事件でした。つまりインフレによる調整コストが高くつく時代となったわけです。為政者の近視眼で国民経済を犠牲にするわけにはまいりません。

その意味で中央銀行の政策の独立性は重要であり、80年代に悪名高き銀行窓口規制と低金利政策の継続によるバブル発生に加担したという反省から、日本銀行も政策の独立性を担保する制度改革が実現したわけですが、その新日銀法の意図するところに最も忠実に働いたのは、実は前任の速水総裁だったんですが、任期中はボロクソにたたかれました。何のことはない、政府の意識は日銀の独立性なんぞどこ吹く風、財政出動による景気浮揚策が国債残高の急拡大で国民の不信を買い、また銀行の不良債権処理が途上にあって手詰まりだったこともあって、日銀の金融緩和への政策のさや寄せ圧力は高まっていたわけです。

ですからその辺を踏まえますと、あと2年任期が残っている福井総裁がレームダック(死に体)化することは避けられないところであり、中央銀行総裁としての職責を担える状況にはないと考えざるを得ないのです。そのときの海外からの評価がどうなるか、考えるだに恐ろしいところです。ですから

日銀総裁「利益、チャリティーへの振り向けも選択肢」
日銀総裁、月給の30%を6カ月間自主返上
などなどで許しを請おうとしても、それで済む問題ではないところへ来てしまっているという現状認識を持つべきです。外国人が一斉に円資産売却に動いたとき、円に依存する日本の国民経済へ与える影響の大きさを考えたら、まともな神経では引き受けられるはずがありません。

というわけで安部官房長官も

官房長官「ゼロ金利継続望むが日銀と貸し借りはない」
と、必死で打ち消してはおりますが、それを言葉通り信じるナイーブな人はおりますまい。今までが今までですからQフッ-o-。

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Saturday, June 10, 2006

相鉄とJR東日本の相互直通大臣認定

というわけで、前回記事(東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙)の続きを新規にアップします。相鉄とJR東日本の相互直通に関して、9日、大臣認定を受けたことで、手続きが前へ進みます。とりあえず西谷-横浜羽沢間2.7kmについての認定ですから、JRとの直通を先行させる形での決着となりました。

http://www.sotetsu-group.co.jp/news_release/archives/PDF/060609_01.pdf
東急との相互直通に関しては、継続して協議中と考えられます。

同時に瀬谷駅の下り待避線設置による構内4線化を行い、横浜海老名間5分程度短縮となる特急運転構想も動き出すこととなります。この結果横浜駅のターミナル集客力を維持し、空洞化を防ぐ狙いがあるものと思われます。この辺も前回記事で触れたとおりの狙いがあると考えられます。とりあえず渋谷行きの電車が自社線を走り出す(東急との直通)前に、特急運転で横浜の地盤沈下を防ごうというわけです。

あと開業時期の問題も重要でして、当面JRとの直通が2015年ですから、保有車両の更新を当面はJR直通可能車(10000形又はその後継?)で進め、予定数がそろったところで東急直通対応の縮小限界、ATOホームドア対応車に切り替えるといった時間差対応が可能となります。“走ルンです”ブラザーズ、東急5000系の色違いで対応となれば、前回記事のSATOさんのご指摘のように、追加費用は許容範囲かもしれません。7000形の6M2T8連への組み直しなど、6000形末期を思わせる変化が見られる状況ですから、これらの置き換えと考えれば、確かに無理のない車両計画になりそうです。

相鉄の本音は、東京都心直通は、とりあえずJRとの直通で達成可能なので、ここで可能な限りの投資リターンを回収し、東急との直通は収支トントンでいこうという意図があると思われます。構想の運転本数の少なさですが、いざとなれば横浜羽沢で5両増結の15連という裏技の可能性は指摘しておきます。東急との直通が始まるまでの短期間限定であれば、増結の5連を別建てで横浜羽沢まで走らせる手が使えます。ついでにグリーン車連結でもすれば、増収効果も高くなりますね。

というわけで、意外にしたたかな相鉄の姿勢ということが言えそうです。大手私鉄中最も小規模なグループに属する同社ですが、規模の点で類似の西の阪神が、例の一件ですっかり評価が地に落ちた一方で、他社との協業で未来を拓こうとする姿勢は見るべきものがあります。結局阪急との経営統合へ進む阪神との対比はこの点でも際立ちますね。

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業績好調でも意外と難しいつくばエクスプレスの次の一手

つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道が9日に3月期決算を発表しました。

つくばエクスプレス、営業収益140億円・当初予想上回る
記事にもあるとおり、想定を12%も上回る好調な客足に支えられて、とりあえず好スタートを切った形です。開業が昨年8月ですから、通期の実績は2007年3月期を待たなければなりませんが、償却前黒字ならば現金の流出はありませんから、全くの新規の鉄道としては、文句なしの実績です。営業損益で29億円の赤字ですから、旧国鉄流にいえば営業係数120程度ということで、巨額の減価償却費も年度が進めば減額されてきますから、間違いなく将来の黒字は約束されたことになります。それでも単年度黒字は20年後の見通しですが。

こうなると自治体主導三セクの弱いところで、沿線自治体から東京乗り入れやつくばから先への延伸などの要望が出される可能性がありますが、当面は現状のまま沿線開発を深度化することが重要です。仮に何らかの新規投資をするとしても、沿線開発に資するものに限定すべきです。

といったことを踏まえて公式サイトを覗いて見ますと、秋葉原で駅ビル事業を行うそうで、当面は秋葉原のターミナルとしての補強を考えているということで安心です。それにしてもTXは用地提供だけで、事業主体は阪急電鉄とは驚きです。

参考:

(仮称)TX秋葉原駅開発ビル
餅は餅屋ということでしょうか。

鉄道施設に関しては、新幹線並みの贅沢なインフラですから、当面はメンテナンスも楽でしょうし、これといって問題点は見当たりませんが、逆にそのことが東京駅乗り入れにしろつくばから先への延伸にしろ、難しくしている点は否めません。また黒字化が見込まれる20年後には、設備の老朽化への備えも必要となりますが、贅沢なインフラは更新も出費を覚悟する必要があります。

さらに茨城県内では、TX沿線への開発の集中が、逆にそれ以外の地域の衰退を伴っている点を忘れるべきではないでしょう。鹿島鉄道の廃止問題は、直接的には自衛隊百里基地のジェット燃料輸送のトラックへの切り替えによるものですが、TX開業でつくば線の高速バス減収などで影響を受けた関東鉄道が支援を打ち切る意向によるものである点は見逃せません。全線は無理でも乗客の多い常陸小川までの存続を県が支援するなどの対策は望ましいのですが。

関連記事:

“超優良企業”つくばエクスプレスの謎
つくばエクスプレスで地価下げ止まり?
開業初日にオーバーランのつくばエクスプレス

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Friday, June 09, 2006

株価下落で阪神株TOBは波高し

株価下落が止まりません。きっかけは5日の米FRBのバーナンキ議長のインフレ警戒発言で、利上げ打ち止め観測が揺らいだということのようです。何でこんなことになるかについての解説は簡単ではないんですが、さらりといえば、ゼロ金利から量的緩和へと超金融緩和を続けてきた日本の金融当局の姿勢が、日本国内ではなくアメリカの住宅その他の過剰消費の呼び水になっていた状況が変化し、対米及び最終消費地をアメリカとする中間財の中国輸出など輸出依存で景気回復してきたツケが回ってきたということになりますが、本論から離れますのでこのぐらいにしておきます。

さて、タイトルの件ですが、原因はともかく株安でTOB価格の割高感が高まり、想定外の展開になっております。村上ファンド保有分の阪神株のみを買い取りたい阪急HDの意図が崩れてきたものです。

(6/6)阪急HD社長「阪神との統合効果、総会後にまとめ」
(6/6)阪急HD株が年初来安値・TOBによる負担増懸念
(6/8)阪急株、連日の年初来安値
(6/9)阪急HD、TOB価格の算定根拠を追加開示
村上ファンドが阪神株を大量保有した結果、保有株式を市場で売却しようとすると株価が下がってしまうため、売るに売れない状況にあった村上ファンド保有株をターゲットとする前提で、当時の市場価格よりも低い930円をTOB価格としたわけですが、市場価格が下がってくると、一般株主のTOB応募が増えて阪急HDの現金支出が増えてしまうわけです。全くの計算違いとなってしまうわけです。

その結果阪急株が下落、阪神株はTOB価格の930円近辺で下げ止まっているので、村上ファンド以外の株主に対して実行予定だった阪急HD株との1:1.4の比率の株式交換を提案していたのですが、1.4倍の株式交換比率に対応する理論値664円を下回り、582円(8日終値)となってしまったわけです。さてさてどうなりますか。

ま、資金は三井住友銀行が用立ててくれるでしょうけど、仮に阪神株全株を買い取ることになれば、4,000億円以上の資金が必要となり、新たな有利子負債を積み増すことになってしまいます。その結果、統合後のシナジー効果とやらをより大きくする必要が出るわけですから、かなり激烈なリストラが予想されます。こうなると労組の協力が得られるかどうか。

また仮に村上ファンド以外の一般株主に自重を求めるとすれば、村上ファンドだけに追加利得を与えることになりますから、一般株主に説明がつかないし、村上氏が刑事訴追を受けている状況ですから、社会正義の視点からも疑問の声が上がる可能性があります。

とはいえTOBを決めた以上6月19日まではこの条件で買い取りに応じざるを得ず、打つ手がないというのが現実です。というわけで、何だか不透明な先行きとなってまいりました。ま、統合のシナジー効果をあれだけ喧伝していたんですから、これぐらいのことであきらめるわけには参りますまい。こうなったら阪急HDにはぜひとも今回の統合を成功させて、長期低落傾向にある関西大手私鉄の新たな未来を見せてほしいと思います。

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Sunday, June 04, 2006

阪急阪神経営統合で一件落着とならない今後

村上ファンドへの地検特捜部の捜査という意外な展開で、事態は大きく動きそうです。

(6/2)村上代表を聴取へ・東京地検、インサイダーの疑い
(6/3)村上ファンド立件へ、ライブドア情報を事前に入手か
プロの投資家であり、通産官僚時代にM&A法制の整備に関わった村上氏が違法行為というのは考えにくいんですが、ライブドア事件捜査の押収資料から何かが出てきたと考えられます。教訓、投資家は友人を選ぶべし^_^;。

というわけで、正式発表はまだですが、こんなニュースが流れております。

(6/4)阪急と阪神10月統合へ、TOB成立確実に
おそらく週明け早々に正式発表となるでしょうが、村上ファンドへ司直の手が伸びたことで、物言う株主としての活動は無理な状況となったとみることができます。結果的に以前の記事で指摘した展開に落ち着くことになりそうですが、いくばくか可能性のあった村上ファンドがTOBに応じないまま阪急阪神の経営統合が行われ、株式交換によって村上ファンドが統合新会社株式の10%超の大株主に残る可能性は消えたと考えられます。本当はそうなって物言う株主として睨みをきかせてほしかった気がします。というのも、盛んに言われる阪急と阪神の経営統合のシナジー効果とやらの正体が見えないからですが。

人口減少の影響で将来展望が見えにくい鉄道事業であり、統合による規模の経済を追求すること自体には、一見合理性があるように見えます。しかし現在言われているターミナル相互間の乗車券・定期券の相互利用は既に行われているわけですし、ストアードフェアカードのスルッとKANSAIやその発展系のPiTaPaで相互利用が可能ですし、資材の調達でもスルッとKANSAI協議会による共同調達など、資本関係を結ばなくてもできる協業化は既に始まっております。それをあえて資本関係を結ぶ意味というのは、あえて言えば大規模な資産リストラということになるでしょうか。資産のファンドへの売却とリースバックという、阪急HDが有利子負債圧縮に用いた手法を両社統合後にもっと大規模に行うということが考えられます。ということは、現実の両社の財務状況に当てはめると阪神の保有資産の含み益を阪急の有利子負債圧縮に使うということにほかなりませんから、どうにもバランスが悪いと言わざるを得ません。ま、その含みで阪急HDによる阪神電気鉄道のTOB価格930円/1株であり阪神株の株式交換比率1:1.4ということなのかもしれませんが。

大手私鉄にとって今がターニングポイントであることは間違いないようですが、決算の記事でも書きましたが、せっかく好景気で業績を回復している大手私鉄各社から、将来展望が聞こえず、むしろ買収防衛策に関心が集まっている風潮を危惧します。確かに現在投資ファンドの関心が大手私鉄に向かっている傾向はあります。元々安定株主対策として株主優遇策による個人株主の掘り起こしを熱心に行ってきた結果、高めの価格でTOBに応じるのではないかと見られているということですね。

それに対して経営陣は例えば含み益に依存したぬるい姿勢できてしまった感はぬぐえません。元々過去に取得したために簿価が格安なままの不動産を多数保有しているといわれる私鉄各社ですが、昨今の再開発ブームによる地価反転上昇の恩恵もあって、含み益を抱えた状態ですが、バブルの記憶も生々しい今、含み益を放置することで地価が再下落したときのリスクにさらされるという発想が欠如しているとしか思えません。買収防衛策に腐心する前にどうにかすべき問題です。

あと人口減少問題ですが、既に過疎化と高齢化が同時進行していて、あとは居住放棄するかどうかというところまで追い詰められた地方と違って、今でも部分的には人口増すら見られる大都市圏に立地する大手私鉄の危機感は薄い気がして仕方ありません。団塊世代のリタイアが始まる2007年以後、急速に高齢化が進むのはむしろ大都市圏であり、高齢化=国民の平均余命の短縮ですから、近未来の多死社会が含意されていることを考えていないとしか思えません。つまり今、地方で起きている現実がかなり急速度で大都市圏で実現するということです。そのときに営業エリアを移動できない鉄道事業者がどのように生き残るのか、需要面のみならず雇用面でも厳しい売り手市場に直面することを考えて、今のうちに省力化投資を計画的に進め、装置産業化していくことを考える必要があります。

ま、ただ大手私鉄にとって気の毒なのは、例えば先日JR東日本と東急との相互直通計画を発表した相鉄のように、実態はともかく地域独占体として地方行政府の干渉にさらされるリスクを抱えている鉄道事業者の弱点を認識する必要があります。金を失う道と書いてテツドウと読むとは、昔から言われておりますが、だからこそ関連事業でより多くの満足を生み出し、含み益に安住するような姿勢を払拭してほしいと切に願います。

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Thursday, June 01, 2006

出生率過去最低更新の1.25で年金官僚の高笑い

何か絶妙のタイミングで発表された昨年の出生率ですが、社会保険庁の不正免除問題でゆれるこのタイミングでの発表というのが匂います。

(6/1)出生率、05年「1.25」に・過去最低を更新
先に当ブログの立場を明らかにしておきますが、少子化対策は必要ないです。

そもそも先進工業国はすべからく少子化が進行しており、最近は韓国やASEAN諸国といった新興工業国でも同様の傾向が見られます。冷静に考えれば、経済が豊かになるということは、生産性が向上して労働の投入量が少なくなっても生存に影響しないということですから、豊かな社会ほど多産である必要性は低いわけです。加えて豊かな社会ほど医療の充実で少死社会となりますから、多産によるリスク回避の必要性も下がります。

また別の側面として、豊かな社会ほど労働の対価である賃金が上昇しますから、労働の継続に支障する出産・育児に対する逆インセンティブが働きます。人件費の上昇は労働者間の競争圧力を高めますから、出産・育児によるキャリアの中断は、競争上比較劣位となるわけです。また生まれてくる子供を労働者予備軍とみれば、親としてわが子に競争上比較優位を与えたいわけですから、教育課程に競争が入り込み、子供1人当たりの教育費は上昇圧力がかかることとなります。このことも出産をためらう重大な理由となります。つまりは少子化自体は豊かな社会では避けられない傾向ということになります。

一方の年金ですが、多額の積立金を積んでそれを管理するのが社会保険庁の役割のはずなんですが、年金が被保険者が自ら積み立てたお金を受給年齢になって取り崩すだけの仕組みであれば、少子化の影響は皆無であるはずです。つまり少子化が年金制度に影響を及ぼすと言うこと自体が、実は年金制度の不透明さをあらわしているということを指摘しておきます。何と言おうが現役世代が高齢者世代を支える世代間扶助の仕組みである賦課方式が公的年季制度の実態であることを年金官僚自身が認めているということです。

しからばなぜに積立金が存在するかが謎となります。実は積立金があるからそれを管理するセクション、すなわち社会保険庁が必要になるという、逆転した制度にこそ問題の本質があるという風に考えることができます。そもそも積立方式と賦課方式の違いを厳密に考えますと、年金制度を始めるときのことを考えると謎が解けます。

年金制度がスタートしたときに、積立方式であれば加入者は現役世代だけですから、積立金を積む一方で、受給する人はいないことになります。この場合その時点での高齢者は過去に積立をしていないことを理由に無視されるわけですが、年金制度が高齢化で働けなくなった労働者の高齢のリスクを回避する保険であるとするならば、年金制度がスタートしてしばらくは、制度が意味を持たないことになります。お金は積み立てられて増えているのに、現に困っている高齢者を救済できないという不自然な現実に直面するわけです。

一方賦課方式であれば、スタート時点で過去に積立をしていないその時点での高齢者は、受給だけのもらい得になりますが、これは第一世代だけのアドバンスであって、ほどなく積立をした世代のリタイアが始まりますので、以後は制度が続く限り、その時点での現役世代がその時点での高齢者世代を支える単純な繰り返しになります。もちろん世代別の人口変動の影響は受けますが、経済の高度化と技術革新が続く限り、将来の生産性は現在より高くなるわけですから、必要な経済的産出を維持すること自体は難しいことではありません。

日本の公的年金制度は、当初は積立方式を意図したと思われますが、原則をはっきりさせないままに、積み上がる積立金を取り崩し、また財政投融資や株価PKOなど不透明な運用を続けたこと、さらに金利変動を考慮せずに4%の割引率を前提に納付と給付のバランスを取る考え方を続けた結果、長期にわたる低金利時代に資産を劣化させてしまったことに問題があるのです。同じ時期に民間生保が予定利率の逆ザヤで苦しんだことに対して、公的年金は危機を叫んで納付を切上げ給付を抑制することに終始しました。その結果護られたのは、社会保険庁が管理する積立金だけです。つまりこれまでの一連の年金改革とやらは、社会保険庁の権益保護以外のいかなる意味もなかったわけです。

現実的には、現行の積立金は現行の給付水準を維持するために取り崩し、完全賦課方式へ移行することで、制度としての持続可能性がひらけてきます。しかしそれをすると社会保険庁が仕事を失うわけで、何かにつけて危機を煽って改悪を続けているわけです。そういった意味では今回の社会保険庁の不祥事はなかなか意味深です。

元々年金積立金の権益に群がっていただけの存在だった社会保険庁ですから、ビジネスマインドはいたってぬるく、とにかく働かない^_^;。年金相談窓口や取立ては臨時職員(アルバイト)に丸投げしているんですから、そんなところに民間出身のイケイケの生保マンをトップに迎えたんですから、働けと号令をかければインチキに走るのは必然です。そもそも政治家の未納問題にゆれたことで、世論のご機嫌取りに起用された民間出身トップだったわけですから、ホントに出来の悪いコントのような展開になってしまいました。かくして国会は空転し、事態を収拾するためには、少子化進行なんぞのショック療法が有効と悪巧みを巡らしたとかしないとか。

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