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Friday, June 09, 2006

株価下落で阪神株TOBは波高し

株価下落が止まりません。きっかけは5日の米FRBのバーナンキ議長のインフレ警戒発言で、利上げ打ち止め観測が揺らいだということのようです。何でこんなことになるかについての解説は簡単ではないんですが、さらりといえば、ゼロ金利から量的緩和へと超金融緩和を続けてきた日本の金融当局の姿勢が、日本国内ではなくアメリカの住宅その他の過剰消費の呼び水になっていた状況が変化し、対米及び最終消費地をアメリカとする中間財の中国輸出など輸出依存で景気回復してきたツケが回ってきたということになりますが、本論から離れますのでこのぐらいにしておきます。

さて、タイトルの件ですが、原因はともかく株安でTOB価格の割高感が高まり、想定外の展開になっております。村上ファンド保有分の阪神株のみを買い取りたい阪急HDの意図が崩れてきたものです。

(6/6)阪急HD社長「阪神との統合効果、総会後にまとめ」
(6/6)阪急HD株が年初来安値・TOBによる負担増懸念
(6/8)阪急株、連日の年初来安値
(6/9)阪急HD、TOB価格の算定根拠を追加開示
村上ファンドが阪神株を大量保有した結果、保有株式を市場で売却しようとすると株価が下がってしまうため、売るに売れない状況にあった村上ファンド保有株をターゲットとする前提で、当時の市場価格よりも低い930円をTOB価格としたわけですが、市場価格が下がってくると、一般株主のTOB応募が増えて阪急HDの現金支出が増えてしまうわけです。全くの計算違いとなってしまうわけです。

その結果阪急株が下落、阪神株はTOB価格の930円近辺で下げ止まっているので、村上ファンド以外の株主に対して実行予定だった阪急HD株との1:1.4の比率の株式交換を提案していたのですが、1.4倍の株式交換比率に対応する理論値664円を下回り、582円(8日終値)となってしまったわけです。さてさてどうなりますか。

ま、資金は三井住友銀行が用立ててくれるでしょうけど、仮に阪神株全株を買い取ることになれば、4,000億円以上の資金が必要となり、新たな有利子負債を積み増すことになってしまいます。その結果、統合後のシナジー効果とやらをより大きくする必要が出るわけですから、かなり激烈なリストラが予想されます。こうなると労組の協力が得られるかどうか。

また仮に村上ファンド以外の一般株主に自重を求めるとすれば、村上ファンドだけに追加利得を与えることになりますから、一般株主に説明がつかないし、村上氏が刑事訴追を受けている状況ですから、社会正義の視点からも疑問の声が上がる可能性があります。

とはいえTOBを決めた以上6月19日まではこの条件で買い取りに応じざるを得ず、打つ手がないというのが現実です。というわけで、何だか不透明な先行きとなってまいりました。ま、統合のシナジー効果をあれだけ喧伝していたんですから、これぐらいのことであきらめるわけには参りますまい。こうなったら阪急HDにはぜひとも今回の統合を成功させて、長期低落傾向にある関西大手私鉄の新たな未来を見せてほしいと思います。

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