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Sunday, September 10, 2006

続E233系の読み方

既に多くのブログで話題になっておりますが、京浜東北線の209系を来年からE233系で置き換えることが、JR東日本の公式サイトで発表されました。寿命半分、重さ半分、値段半分とうたわれたJR東日本の新系列車ですが、とりあえず第一世代の209系では寿命半分が実現することとなりました^_^;。このこと自体は想定の範囲内だったのでしょうが、まだまだ置き換えを待つ旧国鉄型車が多数存在する中での発表だけに、サプライズなものと受け止められました。ただし素材レベルでのリサイクルを前提とした設計で、ライフサイクルコストを最小にする意図をもって設計されておりますので、いわゆる安物買いの銭失いということではないので念のため。

生みの親である山之内秀一郎氏の著書で述べられておりますが、鉄道車両は長期間使用する前提で強度や耐久性を決めていたものの、実際には経年劣化で車齢が高くなればなるほど、補修に費用がかかることになりますし、社会情勢の変化の激しい昨今では、ハード面での寿命は残っていても、社会的寿命が尽きるいわゆる陳腐化が起こりやすいということにもなりますので、寿命の短い新車を多数生産し、どんどん置き換えることによって、在籍車両の平均車齢を低くすることが可能になり、結果的に優良なサービス水準が保たれるということになります。また強度や耐久性を下げることで軽量化すれば消費電力も節約されることとなるわけです。この辺は鉄道ファンでも誤解している人が多い部分です。

この辺をうまく理解するには、全く逆のコンセプトを採用する事例を見るとわかりやすいところです。JR東日本の車両コンセプトと対極に位置するのが、阪急電鉄のそれでしょう。新車は全てアルミボディとして、大型押出し型材を長手方向に溶接してトラス構造とする昨今のアルミボディは、丁度ダンボールのような長手方向の強度剛性に優れた鉄道車両向きの特性を有しており、経年劣化による車体の緩みも発生しにくい上に、比重が軽く軽量構造であることから、60年間使用する前提で設計されております。つまりハード面での長寿命と軽量化を両立させているわけですね。

問題は60年使用する車両が陳腐化せずに済む方法ですが、阪急は伝統的にややオーバースペック気味な高性能を与えて機器類の長寿命化に配慮すると共に、ある程度将来のスピードアップを先取りしたものとしています。ハイパワーを活かして最高速まで一気に加速するから、トータルな力行時間が短くなり、長寿命化につながるわけです。この辺は川島本では阪急は流して走っていると批判されてますが^_^;。内装もFRP成型品全盛の時代に、木目プリントのアルミデコラで経年劣化を目立たせない配慮がされてます。これは単なる伝統ということに留まらず、行き届いた丁寧な車両保守とセットで機能しているというべきでしょう。

JR東日本の新系列は全てその逆を行っているわけですが^_^;、どちらが正しいという性格の問題ではなく、それぞれが正解なんだと思います。いわゆる走ルンですシリーズですが、長期間の使用を前提としないから、極限までの軽量化が可能となり、搭載機器の性能も必要最小限にそぎ落とすことが可能となったわけです。209系の主電動機出力95kwという低出力のカラクリが、力行時の短時間の過負荷運転を前提としたものであることは知られておりますが、寿命半分だからこそ可能なことといえます。また表示出力を低くすることで納入価格を下げているわけですね。

ここまで書くと、JR西日本の223系に見られるハイスペック路線は、実は阪急をお手本としながら、余裕のないランカーブで疾走するということをやっているわけで、実はあまり褒められたやり方とはいえないことがわかりますね。だから旧国鉄型を無理な延命改造で長生きさせざるを得なくなるんです。さらにそこまで踏み込めず、そこそこの高性能と古典的な軽量ステンレスボディで思想性の乏しいJR東海313系はさらに評価を下げざるを得ないことがわかります。

E233系に関しては、6M4Tと電動車比率を見直し、多重系システムで冗長度を高めたわけで、高密度運転線区でのトラブル回避に狙いがあるわけですが、コンセプトはやや薄まった感があります。ただしここに到達するまでの試行錯誤があればこそといえるわけですね。

あと悩ましいのがMT比の関係で低性能に甘んじている211系と、新潟長野で多数残存する115系、組合関係が複雑な房総地区など、未だ方向性が見えていない部分があることですね。

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Comments

こんばんは。
いつも大変お世話になります。
走ルンですブラザーズは大きく見るとよいブラザーズですね。
あと本筋からずれますが阪急電鉄にのったとき驚いたことがあります。
駅のホームに労働組合の掲示板があったことには驚きました。
走ルンです様には、
企業その他経営の難しいところを教えて頂き心から感謝申し上げます。
くれぐれも無理しないでください。
では、失礼いたします。

Posted by: とまと | Sunday, September 10, 2006 at 10:03 PM

実際に走るんですが成功したかはコストのデータが開示されないので推測で語るしかないですよね。その辺りがはっきりすると説得力ば増すと思われます。

Posted by: とり | Monday, September 11, 2006 at 06:52 AM

JR西日本の場合、速達輸送体系による長距離需要の拡大という名目がったので、あれはあれで正しいと思います。
敦賀直流化前後に140km/H構想という実に強気な新快速向けの新車計画があったみたいですが、例の事故で思いっきり転けてしまったようですが…新快速だけに限定すると10年以内にドンドン新車を投入しているのです。
223系2000番台は走るんです工法を使った車体構造なので、個人的には高性能とは言い難いと思います。大出力も集中艤装による価格低減の一貫みたいです。

電気部品は製造10年以上経つと予備部品の入手が非常に困難となる厄介極まりない問題があります。インバーター化時代においては、致命的です。20年以上使うつもりなら、制御器の積み替えは避けられません。

走るんです最大の問題になったのは車体の歪みでして、209系広幅車体では板厚を増して対応したので、重量半分というメリットを捨てたのではと考えています。
E231では制御系の徹底したソフト化など相当完成度の高い車両になったことは間違えなく、結局、西と東で方向性は大して分からないというのが私の思いです。

Posted by: あんぱん | Monday, September 11, 2006 at 10:48 AM

東海に関しては「スペックの共通」という全く他社にない発想が基本ですから同列で語るのは無理だと思います。
東に金がなければ113でも程度の良いやつは直して211につながなければならなかったかもしれませんし、E231を入れるよりも先に205を効率良く配車するなどが必要でしょう。市場が違いすぎます。
先行投資もできないのかと言われそうですが、東海の先行投資は新幹線。それでも必死に313を入れているではないですか。私からすればこんなに廃車が早いなら窓改造なんかしなければいいのにと感じます。東の首都圏は確かに頑張っていますが、新潟や仙台は東海と五十歩百歩です。

Posted by: SATO | Monday, September 11, 2006 at 10:56 AM

多数のコメントありがとうございます。

>とまとさん
ご愛読ありがとうございます。あくまでも私見ですが、ひとつの見方としてご理解いただければ幸いです。

>とりさん
難しい問題ですが、例えば窓改造のように、使い続ける中で想定外の追加費用が発生する要素は、経年劣化が進むほどに増すわけですね。オーナードライバーが愛車を車検に出すか買い換えるかの決断と同じで、新車に乗る満足感などまで評価するとすれば、見方は分かれるかもしれません。

>あんぱんさん
223系2000番台については、おっしゃるとおりコストダウン優先の設計のようですが、寿命半分というような明確なメッセージがあるかどうかは疑わしいところです。かなりメーカーに泣いてもらったという噂も絶えませんし^_^;。

いわゆるプレハブ工法と呼ばれる車体工法も、どちらかといえば将来の地方線区転出時の短編成化のための運転台取り付け改造を先取りしたものという印象を持ちます。寿命半分どころか使いまわしを前提に考えているふしがあります。その工作の自由度ゆえに小浜線電化で投入されたクモハ125のような明らかな失敗作を生み出したものと思います。単行ワンマンで混雑したから2連を定位として運用するようになりましたが、2連で運転台4箇所と身障者対応トイレ2箇所という過剰設備で結局車両単価を高くしてしまったのですから。

>SATOさん
例えば中央西線でも中津川を境に運用は分離されているように、そもそも中京圏近郊輸送と末端のローカル輸送でスペック共通にする意味はあまりないと思います。投入線区向けの最適性能を意識した車両政策がとられないと、需給のミスマッチで中長期には乗客の逸走を招くおそれがあります。

新幹線にしてもJR西日本が頑張らなかったら、未だに300系を作り続けた可能性があり、保守的なスタンスは変わりません。さりとて中央リニアマグレブは先行投資と言うには道楽的に過ぎます。既に船舶では実用化が模索され始めた超伝導モーターとか、住友電工などで商品化が進む超伝導送電線など、派生技術のフィードバックでもして開発費用に充当するなどの取り組みが見られるならば良いのですが。

Posted by: 走ルンです | Monday, September 11, 2006 at 05:21 PM

補足です
スペックの共通化というのは既存車の有効活用と述べました。おっしゃるように「線区別」にスペックを変えることを行うのは可能ですが、そうすると国鉄時代のように青梅線に103が入るなどという意味のない転用が将来待っています。東は置き換えれば済みますが、海は玉突きしか道がないのです。ただ例えば211をVVVFに改造して、ランカーブを上げるなどの方法はあっても良いかもしれませんが、海は名古屋近辺のみがハイスピードの需要があるくらいで、他はほとんどローカル。その名古屋だって100km越えを出せますから東よりは速さ重視と見ますが。
新幹線の300中心は言われてみればそうかもしれないし、自助努力が発生したかもしれないしで断言は早いと思います。事実N700は東海の発案でしたよね。700が完成形ならそれで終れば済むと思いますが、さらに上を目指したわけです。私個人は東のE5(だと思う、新型新幹線)の成功如何ではC1という新幹線を出してくるのでは(5年以内)とも考えます。
リニアは研究開発だけです。それを否定したら何もできません。

Posted by: SATO | Tuesday, September 12, 2006 at 09:06 AM

こんばんは。
いつもありがとうございます。
東海についてですが、
スペックの共通化は量産化が目的のように思いますがいかがでしょうか。
東日本や西日本と比較すると在来線車両両数が少ないので、
スペックの共通化による、量産化をめざしたと考えました。
では、失礼いたします。

Posted by: とまと | Wednesday, September 13, 2006 at 05:48 PM

こんにちは。
いつもありがとうございます。
ところで東日本は車両はいいけど地上設備関係で混乱が多発しているのが残念。

では、失礼いたします。

Posted by: とまと | Sunday, October 01, 2006 at 11:46 AM

京葉線のトラブルですが、出火原因が特定できていない段階ですから、何も申し上げようがありません。復旧が遅れたとはいえ、信号ケーブルの6割が焼損したような状況ですから、ケーブルを交換してつないで終わり、とはいきません。最初からセットアップをやり直す必要があるでしょうから、2日で完全復旧は上出来でしょう。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 01, 2006 at 10:07 PM

聖教新聞10月9日付け9面に
「無資格で安全管理」という記事がありました。
人の技能教育水準を維持するのは難しいですね。
結局同じことを長く続けること自体が
問題を発生させてしまうということでしょうか。
これからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。

Posted by: とまと | Monday, October 09, 2006 at 01:00 PM

この記事ですね。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061008it01.htm

URLを貼っていただければ、リンクが生きますので、どうせならばご活用ください。

線路工事や保線は、鉄道会社でも下請けや派遣に頼っている状況ですが、景気回復による求人難で経験者の確保が難しくなっているようです。

Posted by: 走ルンです | Monday, October 09, 2006 at 05:55 PM

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