« August 2006 | Main | October 2006 »

September 2006

Monday, September 25, 2006

南びわこ駅工事費栗東市の起債差し止め

南びわこ駅をめぐる続報です。

東海道新幹線の栗東新駅工事、市の起債差し止め・大津地裁
反対派住民による差し止め請求を全面的に認めた判断を司法が示しました。やはり仮線工事方式が民間企業であるJR東海の経費肩代わりとして問題視されたものです。

この辺は既に知事選関連裏技的な^_^;視点で既に解説しておりますので、詳細はそちらをご参照ください。新幹線新駅凍結を公約して当選した嘉田知事にとっては追い風となる事態です。

ま、手続上はいろいろあるのですが、栗東市で起債ができないということになれば、予算の執行も制約されることとなり、事業の見直しをせざるを得なくなります。事業にブレーキがかかることは間違いありません。既に嘉田知事も県の予算を差し止めることを明らかにしておりますし、工事凍結の可能性は高まったと見るべきでしょう。

上越新幹線本庄早稲田駅の事例でも、開業前の予想利用者数4,300人/日に対し、平日3,200人休日1,600人という惨憺たる結果であり、利用実態は都心に直結しない関越自動車道の代わりに新幹線に乗り換えるパークアンドライドが主流ということで、駅前は駐車場と農地が広がっております。新幹線駅を作れば地域が活性化するというのは、実態として否定されているといえます。実際滋賀県は数少ない人口増加県ですが、発展の原動力はJR西日本のアーバンネットワークの拡大で新快速が走り始めてからですから、知事選の結果もそうですが、地域住民はその辺を冷静に見ているようです。

それでも工事をごり押しするとすれば、それは単なる地権者と土建屋への所得移転でしかないわけで、ほとんどの地域住民にとっては損にしかならないわけです。グローバル競争が激化する中で、せっかく民間企業が生み出した付加価値を土地関連の利害関係者へ配分するという意味で、これも経済学でいう地代の一部と見なせますから、長期的には経済にブレーキをかけることになります。果ては夕張市というわけです。

| | Comments (5) | TrackBack (1)

Saturday, September 23, 2006

基準地価上昇で見えてきた土地神話

都道府県が7/1時点の地価を調査し発表する基準地価が発表されました。

基準地価、3大都市圏16年ぶり上昇・全国平均2.4%下落(2006年)
テクニカルな問題として、基準地価は調査地点の単純平均で算出されるため、全国平均ではなおマイナスなのですが、特に商業地のみならず住宅地も、多くの場所で反転が見られたことから、記事にもあるように、一応地価は反転し資産デフレは解消したという見方がされているようです。

大きな流れとしては、三大都市圏を中心としたオフィス需要が堅調で、空室率が低下していることが、地価を全体的に押し上げているようです。2001年ごろに言われていた2003年問題というのを覚えている方がいらっしゃると思いますが、参考までに記事を見て見ましょう。

「2003年問題」ビル需給に影
丁度ITバブル崩壊の影響もあって、オフィス需要の先行きが心配されたのですが、実際はその後も新規のオフィス供給が続いたにもかかわらず、需要が旺盛でむしろ空室率が下がり、一部では賃料の値上がり傾向すら見られるという状況です。心配は杞憂だったわけです。

理由はさまざま考えられますが、2001年時点と比較して、何よりもブロードバンドの普及が大きな変化です。その結果企業のオフィスに大規模な構造変化が起きており、現在進行中という点が、かかるオフィス需要の旺盛さを生んでいると考えられます。新しいオフィスは新しい通信インフラを備えて登場しますから、企業がオフィスワークを見直すときには、新しいオフィスへ移転して、ついでにインフラの変更に見合った組織の見直しまで含めて対応する傾向にあり、空きオフィスもリフォームされて新たな借り手を迎えるという形で、構造変化の渦中にあることが、オフィス需要を押し上げていると考えられます。

ひと昔前までは、かなりの大企業でも、日本の企業のオフィスは雑然としておりまして、部屋いっぱいにデスクが置かれ、壁面はキャビネットで埋め尽くされ、書類の山の中で、決して良好とは言いがたい環境にありました。特に未決書類はなかなか処理されず、紛失も珍しくないという状況でした。それでも何とか業務がこなせていたのは、昼間は主に外回りに出る営業社員のおかげで、内勤のOLが使えるデスクの広さが確保できていたことに由来します。ですから定例会議で営業社員が出かけない日などは、酸欠で生あくびや舟こぎが当たり前に見られたという状況でした^_^;。

今では考えられないことですが、ブロードバンドの普及で業務連絡はメールで社内決済は電子化となると、こういった伝統的なオフィスの風景は様変わりします。オフィス内にはさまざまな電子機器が置かれ、LANでつながれて電子的に保存されるわけですから、特に未決書類の類いはなくなりますし、また期限が迫って担当者が持ち回りで決済印を集めるといった非効率な仕事の進め方も、過去のものとなりつつあります。つまりはオフィスワークの生産性が上がり、より少ない人数でより多くの仕事ができるようになったわけですから、オフィス賃料の原資となるオフィスワークの付加価値が高まったということができます。この限りにおいては悪いことではありません。

このことの負の側面としては、事務部門のリストラが進み、中高年失業者が増えたということはいえます。またオフィスワークのビジネスプロセスの中に、PCで行う非熟練的なルーティンワークが出現し、派遣労働者で対応可能になると、新卒などの若年正社員の採用も手控えられ、いわゆる新卒無業者を生み出すことにもなります。ただしこれらをひっくるめて、企業の生産性が高まったこと自体は喜ぶべきことには違いありません。

それらを全て認めた上で、なお残る懸念が、現時進行中のオフィスのビジネスプロセスの構造変化が一巡したときのことです。その日は間違いなくやって来るのですが、資金の懐胎期間の長い不動産投資の特性上、その日が来れば余るオフィスが一定量存在するという点は忘れてはならないところです。オフィスの好調はいつの日か反転するわけです。ノンリコースローン(非遡及型融資)で前のめりに資金提供している大手銀行にとっては潜在的なリスクとなります。

また別の悩ましい問題もあります。東京都区内ではオフィスが不足気味で、一部で賃料値上げの気配も見られますが、オフィスの好調は数字上では横浜、立川、さいたま、千葉といった近郊業務地、いわゆるサテライトオフィス地区でも空室率が低下している状況ですが、元々都区内の半分から2/3の賃料水儒のこれらの地域が、都区内のオフィス不足の受け皿になりにくいという点があります。短期的に空室率が下がっても、元々賃料の安さを評価した借り手が多いこれらの地域で、賃料を値上げして空室率が上がらない保証はないんですね。ということは将来収益が不透明ということで、投資資金の流入も限定的となるわけですから、これらの地域でオフィス供給が劇的に増える展望はひらけないわけです。横浜市がみなとみらい地区のマンション建設を制限したり、新横浜に無理やり鉄道新線を通したりしても、都区内の代わりは務まらないのです。

あと住宅地の地価上昇についてですが、近未来の人口減少が確定している状況で、持ち家の取得は必ずしも有利な選択ではないにもかかわらず、上昇していることが不思議です。35年ローンというのは、ほとんど人生を担保にするようなもので、年功序列で生涯賃金が保証され、社畜として働きづめでやっと手にするマイホームですが、今やそれすら保証の限りにあらずという、ありがたい世の中になりました。いや美しい国の実態たるや・・・・・。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

Wednesday, September 13, 2006

JRコンテナ韓国へ

久々に貨物の話題です。

JR貨物、韓国鉄道公社と提携・航空便の半額
というわけで、韓国鉄道公社と提携し、博多港と釜山港を韓国海運会社のコンテナ船で結び、海運より速く航空より安いところを狙っているもので、既に動き出しているCOSCOとの提携に続くJR貨物のアジア進出となります。

今回目新しいのは12ftのJRコンテナを用いる点でして、国内規格であるJRコンテナが海を渡ることになります。走り始めれば韓国鉄道公社のフラットカーにJRコンテナが積載されるわけで、なかなかシュールな光景となりそうです^_^;。

予想される輸送品目は日本から電子部品等、韓国から家電製品や衣料品などが見込まれるということで、両国の経済関係の深度化は今後も進むと考えられますので、国内では見い出しにくい成長分野として期待がかかります。

というわけで、着々と国際物流分野へ舵を切るJR貨物ですが、物流プラットフォームとしての存在感を高めていくことが、企業としてのJR貨物の未来を拓くことにもなるわけで、旅客会社の非協力や整備新幹線問題に派生する並行在来線貨物問題などの障害が今後も発生すると考えられる国内に留まる理由はありません。成長分野を海外に求める方向性は今後とも続くものと考えられます。

日の丸メガインテグレーターを夢見て民営化に舵を切った郵政公社でしたが、オランダの宅配会社TNTグループとの提携が不調に終わり、官僚の作文の馬脚を現しております。スモールビジネスの物流プラットフォームになりつつあるメガインテグレーターへの参入が役人のぬるい感性で実現できるとは思っておりませんでしたが、それに比べればJR貨物は民間会社らしい逞しさ、頼もしさが備わりつつあるように思います。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

Sunday, September 10, 2006

続E233系の読み方

既に多くのブログで話題になっておりますが、京浜東北線の209系を来年からE233系で置き換えることが、JR東日本の公式サイトで発表されました。寿命半分、重さ半分、値段半分とうたわれたJR東日本の新系列車ですが、とりあえず第一世代の209系では寿命半分が実現することとなりました^_^;。このこと自体は想定の範囲内だったのでしょうが、まだまだ置き換えを待つ旧国鉄型車が多数存在する中での発表だけに、サプライズなものと受け止められました。ただし素材レベルでのリサイクルを前提とした設計で、ライフサイクルコストを最小にする意図をもって設計されておりますので、いわゆる安物買いの銭失いということではないので念のため。

生みの親である山之内秀一郎氏の著書で述べられておりますが、鉄道車両は長期間使用する前提で強度や耐久性を決めていたものの、実際には経年劣化で車齢が高くなればなるほど、補修に費用がかかることになりますし、社会情勢の変化の激しい昨今では、ハード面での寿命は残っていても、社会的寿命が尽きるいわゆる陳腐化が起こりやすいということにもなりますので、寿命の短い新車を多数生産し、どんどん置き換えることによって、在籍車両の平均車齢を低くすることが可能になり、結果的に優良なサービス水準が保たれるということになります。また強度や耐久性を下げることで軽量化すれば消費電力も節約されることとなるわけです。この辺は鉄道ファンでも誤解している人が多い部分です。

この辺をうまく理解するには、全く逆のコンセプトを採用する事例を見るとわかりやすいところです。JR東日本の車両コンセプトと対極に位置するのが、阪急電鉄のそれでしょう。新車は全てアルミボディとして、大型押出し型材を長手方向に溶接してトラス構造とする昨今のアルミボディは、丁度ダンボールのような長手方向の強度剛性に優れた鉄道車両向きの特性を有しており、経年劣化による車体の緩みも発生しにくい上に、比重が軽く軽量構造であることから、60年間使用する前提で設計されております。つまりハード面での長寿命と軽量化を両立させているわけですね。

問題は60年使用する車両が陳腐化せずに済む方法ですが、阪急は伝統的にややオーバースペック気味な高性能を与えて機器類の長寿命化に配慮すると共に、ある程度将来のスピードアップを先取りしたものとしています。ハイパワーを活かして最高速まで一気に加速するから、トータルな力行時間が短くなり、長寿命化につながるわけです。この辺は川島本では阪急は流して走っていると批判されてますが^_^;。内装もFRP成型品全盛の時代に、木目プリントのアルミデコラで経年劣化を目立たせない配慮がされてます。これは単なる伝統ということに留まらず、行き届いた丁寧な車両保守とセットで機能しているというべきでしょう。

JR東日本の新系列は全てその逆を行っているわけですが^_^;、どちらが正しいという性格の問題ではなく、それぞれが正解なんだと思います。いわゆる走ルンですシリーズですが、長期間の使用を前提としないから、極限までの軽量化が可能となり、搭載機器の性能も必要最小限にそぎ落とすことが可能となったわけです。209系の主電動機出力95kwという低出力のカラクリが、力行時の短時間の過負荷運転を前提としたものであることは知られておりますが、寿命半分だからこそ可能なことといえます。また表示出力を低くすることで納入価格を下げているわけですね。

ここまで書くと、JR西日本の223系に見られるハイスペック路線は、実は阪急をお手本としながら、余裕のないランカーブで疾走するということをやっているわけで、実はあまり褒められたやり方とはいえないことがわかりますね。だから旧国鉄型を無理な延命改造で長生きさせざるを得なくなるんです。さらにそこまで踏み込めず、そこそこの高性能と古典的な軽量ステンレスボディで思想性の乏しいJR東海313系はさらに評価を下げざるを得ないことがわかります。

E233系に関しては、6M4Tと電動車比率を見直し、多重系システムで冗長度を高めたわけで、高密度運転線区でのトラブル回避に狙いがあるわけですが、コンセプトはやや薄まった感があります。ただしここに到達するまでの試行錯誤があればこそといえるわけですね。

あと悩ましいのがMT比の関係で低性能に甘んじている211系と、新潟長野で多数残存する115系、組合関係が複雑な房総地区など、未だ方向性が見えていない部分があることですね。

関連記事

JR東日本E233系の読み方

| | Comments (11) | TrackBack (2)

Tuesday, September 05, 2006

新幹線500系の功績

報道によれば、新幹線N700系の投入を期に、来夏にもJR西日本500系が東海道区間から引退するということですが、メディアの報道姿勢には疑問があります。

世界最速は居住性不評、500系「東海道」から引退へ
円形に近い断面形状に5列シートでシートピッチも狭いなど、一部の乗客に忌避されていたのは確かですが、別にそれが引退の理由ではないんですけどね。500系引退後もチープ&ノイジーな^_^;300系は継続使用されるわけですし、むしろ3両ユニットで短編成化が難しく、山陽区間へ転用できない300系を使い続けるからこそ、500系を自社線専用とする選択をしたというのが実際のところでしょう。

500系は設計段階からJR東海にクレームをつけられ、特に居住性に関わる5列シートやシートピッチ縮小は、300系の定員に合わせるための苦肉の策だったことは指摘しておきましょう。さらにオール電動車でハイパワーを頼みとした設計だったことから、オーバースペックを指摘され、実際に高価だったので増備も進まず、9編成の少数派に留まりました。また変電所要量を盾に東海道区間ではスペックダウンを余儀なくされていたのですが、その後、コストパフォーマンスを重視した700系、さらにデジタルATC対応と車体傾斜システムによる曲線の速度制限解消を狙ったN700系と共同開発へ進んだことを考えると、むしろJR西日本にとっては名誉ある撤退と言って差し支えないでしょう。

換言すればJR西日本は500系開発でリスクテイクすることで、それ以上の見返りを得たわけですから、経営判断としては正しかったわけです。特にN700系ではパワーアップされたことが意味深です。新幹線は車両と線路の全体をシステムとして捉えているので、このあたりは従来のJR東海の主張と矛盾するのですが、長距離をノンストップで走る新幹線車両では、特に高速域での力行性能が重要な意味を持ちます。平たく言えば、より早く最高速に達することで、全体の力行時間を短くできるわけですから、より経済的な運転が可能になるわけです。結果的にJR西日本の主張をJR東海に認めさせたことになります。

そうでもしなければ、JR東海は未だに300系を造り続けていた可能性もあるだけに(笑)、JR西日本のぎりぎりの選択は成功したといえるかと思います。付け加えてここ数年の対航空の輸送シェアで見ると、ひかりレールスターの投入などで乗客を取り返しているJR西日本に対し、神戸空港開港や羽田発着枠拡大の影響でシェアを落としたJR東海という構図となっております。ただ輸送の絶対量が多いがために、JR東海に危機感が希薄なのが気になりますね。

あと、500系のアクティブサスペンションとN700系の車体傾斜システムではハード的には近いもので、微細なレールの凹凸を打ち消す制御をするか、カーブで遠心力を打ち消す制御をするかの違いといった程度のものです。その気になれば500系でも車体傾斜システムの後付けは不可能ではないんで、やはり引退の決定的な理由というわけではなさそうです。

関連記事

N700系とFASTECH360(E954系)の間

| | Comments (7) | TrackBack (1)

« August 2006 | Main | October 2006 »