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Saturday, October 14, 2006

虎をめぐる冒険、阪神の行方

10/2阪急ホールディングス(以下"阪急HD")と阪神電気鉄道の経営統合がスタートし、阪急阪神ホールディングス(以下"阪急阪神HD")がそろりスタートいたしました。ま、いろいろありましたが、基幹事業である鉄道事業に関しては、阪急阪神それぞれの自主性を尊重するということで、今のところ大きな変化は見られません。例えば2009年開業予定の阪神西大阪延伸線用の新車1000系ですが、近畿車輛製のオールステンレス車で、近鉄線との直通に備えて随所に近鉄仕様が見られるものになっております。例えば伝統のバッファ組込式バンドン式密着連結器ではなく電連付回り子式密着連結器を採用、当然台ワク中梁にバッファを組み込んだ一般的な車体構造とするなどですが、本当は20m4扉車にしたかったのかもしれませんが、駅や電留線の有効長が阪神標準の18m車を前提にしているために、過大な投資を避けるために18m車で登場したようです。一説によれば尼崎の折返線は20m車10連対応になってはいるそうですが。

このあたりは、一時近鉄も阪神株取得に食指を動かしていたそうですから、いろいろと憶測の種はつきませんが^_^;、意味深ですね。あと阪神が最初に相談したとされる京阪ですが、阪神との連携は営業エリア拡大と建設が始まった中之島新線との連携の期待などが考えられますが、結局阪神株の高騰で単独での取得には慎重でした。

JR東日本E233系の記事でも触れましたが、阪急の車両政策はかなり特徴的でして、一方の阪神ですが、各停系のいわゆるジェットカーが高性能で贅沢なこともあって、こと急行系に関しましては、やや経済性重視の車両政策といえます。VVVF制御で改善されたのですが、中高速の再加速性能を重視して低ギヤ比としたために、発進加速がタルくて停車駅前方の進路を塞ぎ、後追いで発車する高加速のジェットカーの頭を押さえて意味無しにしてしまったりした過去もあります^_^;。阪神は伝統的な高密度運転を支えるインフラとして、線路の整備は優れていて、今津で線路がつながっていた時代に阪急車が暴走して阪神線へ入った事故で運転士が"阪神は揺れない"と証言しており、阪急とはお金のかけどころがかなり違います。

とまぁかくも異なる両者の統合だけに、未だその効果が見えないというのが偽らざるところです。これも過去にいろいろ取り上げておりますが、耐震偽装事件に巻き込まれた京王電鉄との対比阪神株TOBのゴタゴタなどは記憶に留めておきたいところです。

同時に一部で期待された業界再編ですが、とりあえず今回の一件でむしろ遠のいた気がします。その辺は決算関連で業界内の株式持合いがジワリ増えていることを指摘しましたが、ファンドに振り回されるよりは安定を求める業界の保守性が浮き彫りになります。これじゃ阪神の狼狽を笑えないところです。あるとすれば関空効果が空振りで浮上できない南海電気鉄道の支援など、どちらかといえば救済策としての再編の可能性ぐらいしか考えられず、前向きの話にはなりそうもないですね。

ま、それでも今まで各社ともに他社との連携などどこ吹く風、沿線顧客の囲い込みに精出してきた関西私鉄各社ですが、震災で揺さぶられJR躍進で揺さぶられ、村上ファンドで揺さぶられして、さすがに他社との協業に舵を切るようになりました。そういう環境変化の中で、将来資本関係を含めた提携へと進む可能性は皆無ではないでしょうから、その意味で今回の阪急阪神HDの統合の成否は注目されるところです。買収費用まで積み上げて巨額となった有利子負債に対して少なすぎる利益水準という現実を打開し、シナジー効果を実現して欲しいところです。

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Comments

いつも最高の文章ありがとうございます。

阪急と阪神。
車両と地上。
つまるところ、全体最適でないと意味はないということでしょうか。

これから寒くなりますのでおからだを大切にしてください。
では、失礼いたします。

Posted by: とまと | Saturday, October 14, 2006 at 10:02 AM

えーと、全体最適の問題というよりは、異質なもの同士の経営統合についての疑問なんですが。同時に古式騒然たる私鉄業界の保守的体質にも失望感を禁じ得ません。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 15, 2006 at 12:14 AM

阪急は阪神より先に新京阪を合併せねば(笑)
京都線という異質と折り合わせる風土は私鉄では
めずらしい大英帝国主義で東京ですと大英帝国という
より寄り合いのドイツ合衆国の東京メトロが似て
おりますが、阪急が「共存」に対してメトロは
「制限を及ぼせない」と管理では正反対のベクトルを
向いていると思います。
ここへ阪神が来たところで今で言う「事業部制」を
取るようなもので100年経ってもなんら変化がないよう
にも思います。
一方、東京だとどうなんでしょうね。JRの子会社になった
東京モノレール、早くも骨抜き状態。関東はやはりお上が
強い風土なんでしょうね。

Posted by: SATO | Sunday, October 15, 2006 at 05:49 PM

度重なる無礼を心からお詫び申し上げます。

本文の趣旨を読み違えました。

ご容赦くださいますようお願いします。

Posted by: とまと | Sunday, October 15, 2006 at 07:00 PM

>阪急は阪神より先に新京阪を合併せねば(笑)

禿同(笑)。なるほど、阪急は大英帝国に似てますね。とすると阪神経営陣はマハラジャみたいなもんか。

関東はお上が強いというよりは、地価が高くて民間が覇権を握れなかったという方が近い気がします(苦笑)。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 15, 2006 at 08:59 PM

上記SATO様のご教示のように異なるものを支配する能力はあるように思います。
参考にしました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%AA%E6%80%A5%E9%9B%BB%E9%89%84

関空の件では、関西伝統の自立心が失われていたように思います。

Posted by: とまと | Monday, October 16, 2006 at 09:30 AM

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