E233系営業運転開始で見える未来
12/26から営業運転を始めたE233系ですが、いよいよ201系の置き換えスタートということで、関心を集めております。当ブログで以前アップした記事が突然参照数を伸ばしたことからも、関心の高さがうかがい知れます。
で、とても実車に乗りに行くほど暇でもないし、当面は乗務員のハンドル訓練の途上でしょうから、限定運用にならざるを得ないですし、もう少し運用が増えてから、改めて乗車を考えております。ですから実車に接することなくアップした記事であることを最初にお断り申し上げます。
関心の高さは鉄道ファンに留まらず、メディアでも取り上げられていることからも推察されます。
銀に輝く中央線、27年ぶり新型車両デビュー(日経)
JR中央快速線、新車両デビュー 鉄道ファン詰めかける(朝日)いずれもシステムの二重化により故障に強い車両という紹介のされ方で、つまるところ最近電車がよく遅れることを反映したものということができそうです。
遅れの原因はさまざまで、車両の信頼性が高まれば遅延がなくなるわけではないんですが、メンテナンスに課題を抱える201系からの置き換えですから、信頼性は高まることは間違いありません。とにかく固定閉そく長が短い中央快速線では、加減速もそれだけ頻繁で機器類にも負荷のかかる状況ですから、故障に強い車両の必要性は高かったわけです。
外観では前面形状が常磐線E531系に似た丸みのある立体造形になり、銀のボディに赤(オレンジ)帯のいでたちは、高級金魚のランチュウを連想させます。というわけで、
命名、走ルンですキンギョ(笑)発表時点で話題になった近郊型仕様の乗務員室も、尼崎事故を受けての安全対策強化ということで、確かに線路際に高層マンションが建つ場所も少なからずあるだけに、車両側での対応が必要なのでしょう。でも東京の地価の高さの反映でもあるわけで、せせこましい路線立地を与件としなければならない鉄道事業者の悩みは尽きません。
で、おさらいですが、今回の車両置き換えは、武蔵小金井区と豊田区在籍の201系のうち、青梅線「四季彩」編成4両を除いた710両をE233系688両で置き換えるものですが、201系には大月事故の保留車として豊田区に留置されていたクハ2両を含みますので、実質708両が置き換え対象となり、実質20両の減車となります。これは豊田区で中央快速線と青梅五日市線の運用を分けているものを、共通化することにより予備車の削減が可能になることと対応していると考えられます。そのために6+4の分割編成は青梅五日市線車に合わせて東京寄りに6連を配する編成に変更されております。また10連貫通編成も分割編成とモハの位置を合わせ、中間クハをサハに置き換えた編成形態となっているのが新傾向です。
ということで、とりあえず2008年の置き換え終了まではこのままとして、その後の車両置き換えがどういう風に進むかが考えどころです。前の記事でも取り上げましたが、豊田区に残るスカ色115系42両の処遇問題が浮上します。おそらく車齢の高さや状態の悪さ、両数の少なさから考えられることは、E233系の追加投入により実質通電区間の大月までの延長ではないかと考えられます。つまり大月以東の115系運用を朝夕の立川折り返しに限定するなどして、松本区の115系1000番台でカバーするというあたりでしょうか。少なくとも211系の投入はないと見ております。
211系で考慮すべきことがらとして、MT比2:3で113系115系と同等の走行性能で使われている現状では、東海道線も東北・高崎線もE231系の性能を活かせないわけですし、特に整備が決まった東京駅連絡線(東京~上野間の列車線)で、神田駅を東北新幹線の上空を利用した二重高架とするために、35パーミル程度の勾配が出現することになりますので、使い続けるのが辛い状況となります。早晩置き換えが求められます。
というわけでE233系近郊型タイプの登場も噂されておりますが、転用先が決まらなければどうにもならない話です。おそらくは房総地区が候補となると思いますが、G車を組み込んだ編成の扱いが問題になります。G車はダブルデッカーは編成から外して使い回すことも考えられますが、なかなかすっきりした展望は開けません。あと国府津区の211系は暖地仕様で半自動ドアスイッチがなく、このまま新前橋車との混用は混乱を招くおそれがあります。
あと中央快速線に続いて京浜東北線へのE233系の投入が発表され、走ルンです第一世代の209系が置き換えられることになっておりますが、一方でE217系と209系500番台の電装品の交換がアナウンスされ、両形式は使い続けられるようです。となるとE217系のE231系との併結が可能になるかどうかが興味です。仮に併結可能になると、国府津区で東京~熱海間限定15連固定で運用されている湘南カラーのE217系の運用の自由度が増すこととなり、場合によっては横総線を含めたシャッフルがあるかもしれません。つまりE217系がワイルドカードになるわけで、なかなか将来を読みきれないところです。
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Comments
いつも興味深い記事をありがとうございます。
いろいろなトラブルを避けるため東日本旅客鉄道株式会社は
日夜全体最適を目指していることは少しは理解できたと思いました。
信号通信に光ファイバーIP方式を利用したと思います。
とにかく輸送障害が減ることを願わずにはいられません。
Posted by: とまと | Saturday, December 30, 2006 07:30 PM
久しぶりに鉄ネタですね
E233系の東海道線verは少なくとも一編成増備は決まっているようです。走ルンですさんはご存知かもしれませんが国電総研というHPに
色々詳しく載っています(内部の人間のようですね)ついでにいうと
E231とE233系の併合も出来る仕様ですね。
またE233-2000番台(E231-800進化型)も常磐線(メトロ乗り入れ)
に投入する予定です。またE233の埼京線の噂も絶えませんね。
中央線のE233ですが、もちろん車両に強くというのも大事なのですが
ポイントレールの故障や信号の故障も最近多いですね。もちろんJR東はその辺ちゃんと理解していて首都圏輸送傷害対策として改善していくようです。また大規模地震が起こったときに備えての対策も単独で考案したようですし。あとホームドア設置は…無理でしょうねぇ。車両ごとにドアの位置が違う車両が入ったりする線もありますし、将来車両更新時にドアの数を増やしたりして位置がずれたりしたら再度やり直しということになってしまい非効率です。
まぁそれはともかくE233はもはや走ルンですとは言えない車両のような気がしてきました。とりあえず209系のコンセプトとはずれてきまして13年間はキッチリ使って後は機器更新して延命するか廃車にして置き換えるかの選択に出来るということですね。車両単価も1億弱ですから小田急3000系の実質2/3というところでしょうか。でもどうせ大量に
発注するし、メーカにとってはお得意様ですから更に単価が下げられるんでしょう。(現にE231の常磐線は一両6500万円です)
209系はある意味安くしたは良いが輸送障害で利益に影響するまでになってしまって…そして今の二重化系統のE233が誕生したってとこですかね。また今年に入ってキハE130やE200系も誕生しました。これから
首都圏以外の車両も順次新車に置き換えていくのでしょうか。。
それはユーザにとって大変喜ばしいのですが、ボックスシートを
首都圏外の車両に入れて欲しいかなぁ…と。
Posted by: ナオ | Saturday, December 30, 2006 09:15 PM
コメントありがとうございます。
E233系は確かに"走ルンです"のコンセプトが薄まっている感じがしますね。衝突安全を強化した前面形状ですから、素直に考えて近郊型バージョンの登場は考えられます。
そもそも209系500番台の登場が、当初小山区の115系の置き換えをE217系の半自動ドアスイッチ付寒冷地バージョンで予定していたところ、中央総武緩行線の103系が走る度にトラブルで止まるというぐらいに状態が悪化し、当時の運輸省から業務改善命令が出され、それを受けて急遽通勤型としてロールアウトしたという経緯がありました。
このときも埼京線に6ドアクハを含む広幅通勤型の新形式の噂がありましたが、実現に至らなかったりしてますし、おそらく内部ではさまざまな検討がされながら、試行錯誤が続いているのでしょう。仮に小山にE217系が入っていれば、横総線のE217系との関係も興味深いものになっていたかもしれませんね。
JR発足から20年、新系列も試作車が耐用年数を迎え、第2世代第3世代が登場する状況は、もはや歴史過程と見ることもできます。そういう意味で、ある種ヨタな予想を含めて、時代の空気として記録し、新車の登場にサプライズするのもまた意味があると愚考いたします。
信号やポイントのトラブルですが、旧国鉄から継承した図面類の不備があるようで、中央線の連続立体化のような、大規模な線路の付け替えが発生すると、表へ出ちゃうようですね。国鉄時代は国の機関の権限を持っていて、運輸省の言うことも聴かなかったので、かえって管理面が弱かったのでしょう。民営化が内部統制を促した事例と見ることができますね。
ボックスシートですが、仙台地区に登場したE721系では久々に近郊型の原点のような3扉セミクロスで登場してますし、ひと頃のように何が何でもロングシートという部分は改まったようです。ただし私自身はロングシートの方が好みですが。ボックスは先客がいると座りにくいですしね。
Posted by: 走ルンです | Sunday, December 31, 2006 12:30 AM
僕もE231系の狭いボックスシートだったら、ロングの方が気楽です。仲間が一緒なら別ですが。
Primera
Posted by: Primera | Wednesday, January 03, 2007 10:31 PM
明けましておめでとうございます。
2日目にE233系乗車してきたのですが、いやあれは
今までの通勤電車とはワケが違いますね。座席シートも
E231より柔らかくなっていて揺れも少なく(むしろE231系とは比べ物
にならないです)車内もかなりかなり静かで
JR東日本のホンキを感じさせてくれます。
多くの鉄道ファンからも好評で京浜東北線、東海道線への投入へも
かなりの期待の新車であると言えるでしょう。
でもなんか車両新造が首都圏だけでぐるぐる回り続け、新潟や仙台などの車両更新が後手になってしまうような気がします。(まぁ721系造ってますが)217系も本音を言えば新造したかったのではないかと思います。せめて機器更新とMT比の見直しでとりあえず我慢といった所でしょう。209系に至っては試作の要素が強かったのと思いのほか車両へのダメージが大きかったことで急遽新造しなくてはならなくなったのではないでしょうか。
私なりに解釈したJR東の通勤車両のコンセプトは
1,寿命選択 2,電力・保守軽減
3,プライスダウン(大量発注で値下げ)
こんな感じですかね。
>信号やポイントのトラブル
あ~やっぱり国鉄ですなw
でもポイントもなんですかね?…まぁそのへんもJRはわかっているようで光ファイバーでのポイント操作(?)なんてのも考えているようで。
Posted by: ナオ | Thursday, January 04, 2007 12:51 AM
新年あけましておめでとうございます。
>Primeraさん
あと転換クロスの窓側拉致というのもありまして^_^;、下車駅で降りるときに苦労します。彼女と2人なら極楽ですが(笑)。
>ナオさん
早速乗車されたということで、うらやましいです。シートの改善は乗客アンケートの結果が反映されたのでしょうけど、楽しみです。伝統的にシートに凝る京急と比較してみたいですね。
首都圏に比べて地方線区の車両置き換えが進まないのは、どうしても車両製造のロットが少なくなるので仕方ないのでしょうけど、仙台地区のE721系や水郡線キハE130などのように、ある程度まとまった数の集中投入は今後もありそうですね。また両地区から比較的新しい701系やキハ110系が他線へ押し出されるわけですから、車両更新は確実に進みます。
信号やポイントも光ファイバー回線やGPS活用まで視野に入れているようです。狙いはメンテナンスフリーですが、同時に国鉄時代の設備の瑕疵が地雷のごとく出現することに対するリスクテイクの意味もあるものと思います。
Posted by: 走ルンです | Friday, January 05, 2007 12:21 AM