中国子弾頭とは物騒な^_^;
日本のメディアには中国新幹線として露出した話題です。
(1/28)中国で「新幹線」運行開始・「はやて」型、上海からま、見出しの「新幹線」がかぎかっこ付で、記事中に説明があるので、一応合格点かもしれませんが、その日経からして
主要メディアが「国産」「自主技術」を強調しているため、日本からの技術導入を知らない人もいた。という取り上げ方で、逆に日本国内向けにバイアスをかけているのはいただけません。
ま、日本の新幹線方式の導入については、中国の国内世論の葛藤があって、当局としては苦しい対応なんでしょう。一方で日本の新幹線方式の優位性を理解するグループも存在しております。また今回は上海中心の在来線の高速化事業であって、本命の北京~上海間高速鉄道とは一応別のプロジェクトですし、欧州勢との共同受注ということもあり、技術のいいとこ取りをされるのではと危惧する向きもありますが、それよりも日本の鉄道技術の優秀さの証左として見ておきましょう。
台湾高速鉄道の場合は、東海道山陽新幹線700系タイプの車両を日本で製造して輸出したほか、自主開発のATCを含む運行管理の技術指導などで日本の鉄道関係者が関わったのに対し、今回は東北新幹線E2系1000番台タイプで一部完成車両を輸出したほかは、技術指導に基づく現地生産による車両調達となっており、台湾の場合とは異なった展開です。
また台湾高鉄では、純民間資本による事業であり、欧州の鉄道コンサルの存在もあって、開業に至るまでの混乱が度々報じられ、開業を前に日本の技術者が引き揚げる事態もあって、混乱しましたが、今回の「子弾頭」は、大きな混乱もなく静かなスタートを切りました。ただし当面は在来列車並みの最高速160km/h運転ということで、予定される200~250km/h速度域での営業運転は4月までおあずけです。にしても在来線での新幹線車両の運用という低くはないハードルを難なくこなすのですから、欧州基準の軌道に日本基準の新幹線車両を走らせて、線路込みの一括受注じゃなかったからトラブったという言い訳が色褪せます^_^;。
と書くと、車両の現地生産とは製造業の空洞化ではないかという議論もあるのですが、これは全くの杞憂であると申し上げておきます。車両のシステム構成上の基幹デバイスはもちろん日本からの輸出ですし、設計図面や組立工程の技術指導など、エンジニアリングで日本の技術を頼んでいるわけですから、最も労働集約的で、かつ注文生産なので受動的にしか生産ラインを動かせない非効率な最終組立工程をアウトソーシングしたと考えれば、むしろ日本国内の付加価値率は高まっているわけです。かつここで得られる人的つながりは、中国の財政と乗客の運賃負担で国内では得られない経験のフィードバック回路を構成するわけですから、仮に多少の技術漏洩のリスクがあっても、得るものも大きいわけです。
加えて基幹デバイスの量産効果は、車両メーカーの国内向けの出荷分の最終組立マージンを増やすことで、間接的にですが国内出荷分の価格低下効果も得られるわけですね。つまりパソコンの水平分業モデルに近づくわけで、このような積み重ねが"値段半分"への途であることは、パソコンと同様です。というわけで、スピードアップ後のようすも興味深いところですね。
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