私鉄の新戦略は駅前保育
以前、京王電鉄の新たな沿線活性化策について取り上げましたが、その続報と考えてよいニュースです。
私鉄各社、駅前に保育所続々・沿線イメージ向上沿線人口の高齢化は、中長期には人口減少をもたらすものであることは、これまでもたびたび指摘してまいりました。それに歯止めをかけるには、沿線に若年世代を呼び込む必要があるわけですが、京王電鉄では沿線の住宅賃貸事業に続いて、駅前に保育施設を建設、運営するために、新たな子会社を設立し、第一弾として高幡不動駅前に、認証保育所と日野市の子育て施設併設で上層階賃貸マンションの複合施設を来年4月にオープンさせます。
同様の動きは京急が横浜市内で、また小田急が神奈川県内で、相鉄が横浜市内でといった形で、私鉄各社が競うように参入しています。認証保育所というのは、いわゆる待機児童対策として東京都が導入した制度で、一定の要件を備えた保育所を民間が開設した場合に、都が補助金を支給して、公営保育所並に割安な保育所を開設できるものです。
賃貸マンションとセットというところが、沿線開発の賃貸シフトを進める京王らしいところです。現実的に正社員比率の低いポスト団塊ジュニア世代が若年世帯の中心になりつつある現状では、実に現実的な行き方と感心させられます。同時におそらく現在の地価上昇局面が続くとは考えていないのでしょう。
先日公示地価が発表され、全国平均でも上昇となったということで、「土地デフレは終わった」の声もありますが、実際のところ、ここまで地価が上がると、土地の売り惜しみが始まるのが慣わしです。となると旺盛なオフィス需要を背景とする大都市圏の商業地の地価上昇に早晩頭打ち感が出てくることは間違いないところでして、実際に上昇率で見ると都心よりも外延部や郊外の延びが目立つ状況にあります。都心の上昇地点では、一部に経済合理性を逸脱した動きも見られるようです。
全国の住宅地、商業地で公示地価16年ぶりに上昇・大都市圏中心につまるところ外資ファンドの資金流入で説明されているようですが、やや怖い話として、現状の円安で外国勢から見れば上昇したとはいえ東京の地価水準は割安感がある上に、日本の景気回復で円高に振れれば為替差益も手に入るという読みがあるようです。また、もっと怖い話として、都心の土地を保有する企業の株価が、保有地の地価ほどには上昇していないので、M&Aが物色されているそうで、三角合併解禁のタイミングでもありますので、またぞろ騒ぎになりそうです^_^;。
というわけで、京王電鉄の沿線活性化策は、なかなか目のつけ処が良いと感心いたします。
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