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April 2007

Saturday, April 28, 2007

名古屋リニヤだがや

当ブログで名古屋ネタといえば辛口です^_^;。今回も乞うご期待(笑)。まずはメディアチェックです。

リニア、2025年に開業・JR東海が目標
今回の発表はあくまでもJR東海が目標として宣言したものであって、中央リニアの整備計画がオーソライズされたわけではありません。その意味で実現に向けて前進したという話ではないんですが、建設区間を東京-名古屋間に絞り込んで、より具体的な検討に入ろうという意図のようです。

実際、東海道山陽新幹線の利用は、西へ行くほど少なくなるわけですから、東名間がボトルネックではあるわけで、だからこそ2003年の品川駅開業で、東京側のターミナル強化を打ち出したわけですが、同時に増発余力を得ながら、それを活用することなく、輸送シェアを落としている現実もあるわけで、既に人口減少局面に入った日本において、今以上の輸送力増強が必要なのかどうか、また現行の東海道新幹線でも、例えば一部区間のショートカットや軌道強化してダブルデッカーを投入するなど、打つ手がないわけではないことを考えると、リニアでなければならない理由はないですね。

そもそも東海道新幹線の競争力を冷静に見れば、1列車でジャンボ機3機分の座席数を有する新幹線の桁外れの輸送力こそが重要であることに気づきます。例えばのぞみだけの代替であっても、東京‐大阪間3分ヘッドでフライトしなければならないという物理的に不可能な領域の輸送を担っているわけでして、このことこそが東海道新幹線の競争力の源泉です。

かつて東海道線で東京‐大阪間6時間半の特急こだまが走り始めた頃、全車指定席で1週間前の売り出しと同時に満席の盛況ぶりで、東京から大阪まで1週間かかる(笑)といわれたものですが、この時点で在来線では増発余力がなく、航空輸送にシェアを侵食されることが明らかな状況で東海道新幹線の建設が意思決定されたのですが、どう見ても当時と今とでは状況が異なります。今は新幹線ならば曲がりなりにも、思い立って駅まで出向けば、とりあえず乗車して大阪へ向かうことは可能な状況ですから、東海道新幹線の輸送能力が限界に近づいている事実はありません。

おそらく前の記事で指摘しました「東名阪一体化論」の「阪」を切り捨てて実現性を高めようというのが意図するところかと思います。そしてJR東海がそう思いたくなる状況が現実に存在します。トヨタの好調に支えられて、中京圏の有効求人倍率高止まり現象が起きており、その結果若年人口の近畿圏から中京圏シフトが起きているわけです。この傾向が続くならば、地方で深刻な高齢化の進行が、大都市圏では近畿圏で先行することを意味します。ならば近畿圏に将来はないから、リニアも名古屋まででええだがやということですね^_^;。実際、トヨタ首脳の最近の発言がリニアに積極的で、「東京‐名古屋間40分で両都市圏が双方の通勤圏になる」ということを盛んに発言しているのですが、おそらく中部国際空港の建設で一肌脱いだものの、羽田便の飛ばない空港では便数を増やすことが難しく、航空客より見物客の多い空港になってしまったことを悔いているのではないかと思います。ならばリニアで東京と直結しようと考えたとしても不思議ではありません。

ま、発言の真意はともかくとして、JR東海にとっては追い風として活かせる話と見たのでしょう。財界活動にも積極的で、日本経団連の政治献金斡旋再開などで政治的な影響力行使にまで踏み込んでいる最近のトヨタを味方につけておけば、政府を動かして公的助成の突破口を開けるかもしれないし、それが無理でも、リニア建設を大義名分とした増資には応じてくれる可能性は高いという読みなんでしょう。ま、トヨタにしてみれば、お膝元の愛知で求人難では、人件費アップは避けられないところですから、近畿圏の若年人口を吸引した流れが首都圏へも拡大すれば天下を取れると目論んで協力してくれるかもしれませんね。かくしてみゃーが標準語になる日が来るか(笑)。

あとリニアつながりの小噺をひとつ。愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)の赤字が止まりません。無理もないのですが、元々愛知万博会場跡地の宅地開発を目論んで建設された同線ですが、海上の森の里山保全で反対運動にあい、環境万博に衣替えした経緯から、今さら宅地開発はできないわけで、ゆえに乗客は増えないわけです。沿線には複数の学校が立地してますが、学休期には空気を運ぶ車のない火の車と化しております。万博の内覧会輸送で荷重制限で止まったように、イベント輸送に不向きな上、沿線開発もままならず朽ち果てる先には、桃花台新交通(ピーチライナー)の二の舞を心配する声が地元で囁かれます。営業用磁気浮上リニア初の廃線となるか、上海のトランスラピートと競うことになりそうです^_^;。

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Wednesday, April 25, 2007

あれから2年の福知山線事故

今日は朝からテレビで尼崎のJR福知山線事故の慰霊式典のライブ中継がありまして、そういえば2年経ったことを実感しております。その間に航空鉄道事故調査委員会(以下[事故調」と記す)の中間報告が出され、事故原因の解明も進んではおります。問題は再発防止できるかどうかなんですが、どうもJR西日本ではその後もトラブルが多くて、被害者との補償交渉も滞っているなど、まだまだ課題山積のようです

。(2007/4/25)尼崎市で追悼慰霊式典、JR福知山線脱線事故から2年
事故時の状況に関しては、事故調によってかなり解明されており、事故直前に伊丹駅でのオーバーランをめぐって運転士と車掌が車内電話で交信し、運転士が「(オーバーランの距離を)まけてもらえないか」という会話をして、注意散漫なままブレーキのタイミングを逸したということのようです。というわけで高見運転士の業務上過失致死傷罪は成立しますが、問題は運転士以外の者の罪状です。特に企業としてのJR西日本と当時の経営トップの訴追が為されるかどうかが注目点です。

正直なところ会社や経営トップの訴追は、日本の法体系では難しいところがあります。実際横浜市瀬谷区で起きたトレーラーの脱輪事故で、メーカーの三菱自動車のリコール隠しが原因として当時の河添社長が訴追されましたが、一審で無罪となっております。因果関係はかなり濃厚であるにもかかわらず、企業や経営トップの関与に関しては、予見可能性や回避措置を怠った不作為が立証される必要があるのですが、素人である警察や検察といった捜査当局には困難な作業といえます。

しかし特にJR西日本のような巨大企業の起こした事故ですから、きちんと訴追され罰を受けることこそが、再発防止にとって重要な意味を持ちます。なぜならば、株式会社という組織形態が持つ有限責任原則がバリアとなって、会社が痛みを感じることなく、事故の風化、世論の沈静化とともに安全への誓いを忘れてしまうことが危惧されるからです。

少し解説しますが、法律によって法人格が付与される株式会社という存在は、自然人と同等の私的権利を認められ、契約や商取引の主体として行動できるわけですが、株式を交付することで投資家から資金を集めることで、投資家に出資分以上の債務履行を免除する仕組みに特徴があります。それによって個人ではリスクを負いきれない大規模投資が可能となり、結果のリターンを配当して投資家に報いるのが基本的なあり方です。これが大規模投資を要求される工業化社会を支える仕組みとして機能してきたことは言をまたないのですが、同時に悪用すれば投資家から資金を掠め取る仕組みにもなりえますし、事業の結果の事故や環境汚染や他者への権利侵害などの外部不経済に対してのコスト負担の回避によって社会正義を害する存在にもなりえます。

そして厄介なのが、そのような企業の反社会的行動に対して、自然人ではない法人たる企業を訴追しても、当然のことながら実刑は受けないわけです。また扱う資金量からいって、個人であれば負担を感じる金額の罰金や科料であっても、大企業ほど負担感がないという点に問題があります。つまり刑事罰を受けることによる反社会的行為の抑止効果が期待できないわけです。その意味では会社経営の執行に責任を有する経営トップへの実刑というのが意味を持つわけですが、残念ながら上記の予見可能性や不作為の立証が壁となって、推定無罪の壁を超えられない可能性が高いのです。このことは法の下の平等をうたう法治国家の原則に照らしても問題ですし、事故の再発防止をお題目に終わらせないためにも、経営トップに痛みを感じさせることが重要なのです。

JR西日本の山崎社長は再発防止を誓い、安全対策の進捗を訴えてはおりますが、実際にはトラブルが続いている状況ですし、安全優先を訴えても社員の意識がなかなか変わらないといって社員に責任転嫁してますが、現場で積み上げるべき安全対策が意見として幹部に届かず対策が遅れているのが実態で、意識を変えるべきは経営幹部の方であるといえる状況です。信楽高原鉄道事故でも訴追を免れたJR西日本ですが、同社の将来のためにも、厳しいようですが、きちんと罰を受けることが重要と考えます。なお、こちらも併せてご参照ください。

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Friday, April 13, 2007

PASMO品切れの深層

いやはや意外な展開です。

パスモの発行、12日から定期券に限定――人気で在庫不足
PASMOのシステムがソニーのFericaと呼ぶシステムソリューションに乗っかったアプリケーションであることは、先行したSuicaと同様ですが、予想を超える発行が続いてアプリを乗せるカード自体が不足するというのは嬉しい悲鳴といえるのかどうか微妙です。以下に論考していきます。

PASMO運営会社では、早速追加発注をしたようですが、メーカーがソニー1社ですから、その生産能力に依存するのは仕方ないところです。ま、ソニーとしてはICカードのインテルになれるチャンスなはずですが、ソニー自身が出資するビットワレット社のEdyと交通系のSuica/PASMO陣営とは、電子マネー分野でライバル関係でもありますし、系列のソニークレジットでポストペイドのerioというネット決済専用カードを発行しているわけで、Suica/PASMO陣営の膨張は痛し痒しの側面もあります。カードの増産自体は、結果的にコストダウンが進みFericaシステムの普及、浸透に追い風ですから、ソニーは対応してくれるでしょうけど、ソリューションを1社に頼るシステムの弱点に対する認識は、少なくともPASMOに関しては甘かったと言われても仕方ないところです。

ただそうはいっても、首都圏私鉄、地下鉄、バス各社が参加するPASMOの場合、参加各社の温度差があったことも否めないところで、合議制でリーダーシップ不在だったこともまたやむをえないところかもしれません。そもそもPASMOは出自からいってSuicaとは別物だったのですが、日本鉄道サイバネティックス協議会でICカード乗車券の仕様が定められ、それに準じてSuicaが先行していた状況で、PASMOがSuicaと仕様を合わせること自体は合理的な選択ではあります。特にPASMOの場合は、膨大な処理を必要とするサーバーを持たず、Suicaのサーバーを借りてシステムを構築したように、コスト面から踏み込んだビジネスモデルにできなかったのですから、その流れから、発行枚数の予想を読み誤ってカードの在庫を十分に持たなかったのも、やはりコストを意識した結果であったと思われます。逆に予想よりもカードが売れなかった場合、おそらく担当者は加盟各社から叩かれたであろうと考えられますから、慎重になるのも無理もないところです。

そしてこれだけ巨大なシステムの導入に、明確なリーダーシップが不在だったことのツケは結構あちこちに散見されます。そもそもICカード乗車券というのは、カード個々にIDナンバーが振られて個別管理されているわけですから、生のパーソントリップのデータを取得できるわけで、それが輸送計画や企画商品などの立案に役立つのみならず、電子マネー機能で消費の実態もデータ化されて取得可能なわけで、丁度コンビニエンスストアのPOSシステムと同様に、鉄道事業のビジネスモデルを激変させる可能性を秘めたものなんですが、旧い営業規則の縛りから抜け出せずに、特に連絡運輸関連の複雑怪奇な営業規則の骨格をそのままに、経路特定に関するルールを少しだけいじって実施した結果、既に指摘したような同一改札間で2種類の運賃というけったいなことが起きてしまいます。また特にJRと他社のノーラッチ接続駅の改札分離も進み、中にはICカード限定のチェック用タッチセンサーが登場したり、構内に自動改札のゲート閉鎖のチャイムが鳴り響く^_^;など、自動改札のメンテナンスフリーの効果を削ぐ事態すら起きています。また、磁気券では処理不能な3社線連絡定期券はSuica/PASMOでも不可ですから、現状でもやむなく2枚定期券で利用している人は少なからず存在しますし、また小田急町田とJR町田のように公式に連絡運輸が行われていないところもそのままで、当初予想ではSuicaとPASMOの重複利用は少ないと見られていたようですが、下記の囲い込み戦略も絡んで重複利用が多くなったようで、何ともばかげた話です。

一方で一部大手私鉄では、オートチャージを餌に自社系列のハウスカードを大量発行したり、独自ポイントで航空会社のマイレージのような囲い込み戦略に出たりと、エゴ丸出しの対応をした会社がありますが、逆に言えばそれだけICカード乗車券によるメンテナンスフリー効果で超過利潤を得られるからこそ可能なサービスなんですが、これを原資とした乗継割引の拡大やゾーン制などのわかりやすい運賃制度への移行へは進まなかったわけで、再開発ブームで勝ち組地域に位置する立地の優位にどっぷり浸かっていると言われても仕方がありません。今後人口減少が首都圏でも顕在化したとき、それは遠い未来の話ではないのですが、気がつけば沿線がまるごと空洞化していないという自信があるのでしょうか。何とも心許ない限りです。

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