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Sunday, August 05, 2007

路線価上昇、地域間格差は拡大

8/1毎年恒例の路線価が発表されました

路線価平均8.6%上昇、07年分2年連続・地価回復広がる
全国平均8.6%の上昇という数字の大きさに驚かされますが、元々路線価は、商業地と住宅地の道路を基準にした値付けですから、市街地限定の調査という側面がありますので、調査地点に地価上昇地点を多く含んでいるということです。また3大都市圏を中心に再開発ブームが続いている状況で、将来の値上がり期待が大きいという側面もあります。地価は株価とともに、将来を織り込んだ価格形成をするものです。

そういった意味で、現在の価格水準を見る限り、バブルの再来という要素はあまりないのですが、やや期待先行という側面はあります。当然行き過ぎの可能性はありますので、時期が来れば調整局面もあり得るということは押さえておきましょう。日本の地価神話というのは、要するに高度経済成長時代に、5%程度のインフレ含みで経済成長してきた時代の話ですから、調整局面は地価上昇が緩やかになって、その間に物価上昇が追いつくことで調整されていたという側面があっただけの話です。当然現在の地価上昇の調整局面では、値下がりもあり得ることを意識する必要があります。

とはいえ3大都市圏の集積度が高まっている現状では、当面の上昇傾向そのものは変わらないと思います。特にREITなどの不動産投資信託によって、土地が金融商品の性格を帯びる現状ですから、例えば東京の地価は、ロンドンやニューヨークとの比較で割安感があるという見方をされるわけです。その結果外資が流入し、地価を押し上げている傾向はあります。ただしそれもぼちぼち地価が高値圏に達したというのとで、今度は含み益のある土地を保有する企業の株式が狙われます。スティールパートナーズによるブルドックソースへのTOBなどが典型的ですが、企業側も買収防衛策に走る前に、含み益のある土地の有効活用を考えるべきでしょう。

あと現在の値上がり傾向には、もう一つ供給にタイト感が出てきたということもあります。首都圏でいえば、六本木の防衛庁跡地の東京ミッドタウンが完成したことで、現在進行中の開発案件が相対的に小粒になってきていることが影響し、オフィス需要は相変わらず旺盛な中で、東京から郊外の業務地へ、名阪札福などの地方の大都市へと需要が浸み出して波及し、一部県庁所在地などの中規模都市へも波及しているというのが現状です。首都圏でいえば、港区のJR操車場跡地が最後の案件と言われておりますが、ご存じのとおり、東北縦貫線(東京~上野間列車線)の開通による車両基地の尾久への集約が大前提となりますので、環境アセスメント手続の遅れにより事業着手が遅れる見通しですので、今回の地価上昇局面を冷ますタイミングが遅れそうです。タイミングが悪いと調整局面での供給増ということもあり得るので、ブチバブル崩壊の可能性は無きにしも非ずです。

ま、それ以前に東京が外資を惹きつけ続けられる魅力ある都市であり続けられるかどうかの方が重要で、それはむしろ市場経済を支える制度インフラに依存する問題です。投資家に信認される分厚い金融市場が形成されれば、サッチャー時代にはシャッター通りと化していたロンドンのシティが活況を呈しているようになる可能性はあります。そのためにはウインブルドン現象と呼ばれる外国人プレイヤーに門戸を開くことが重要なんですが、日本企業の多くがスティールに睨まれたブルドック^_^;のごとき買収防衛策に奔走する現状では難しいかもしれません。

また東北縦貫線のような、都市機能を高める投資は良いのですが、十分に社会資本が集積する東京では、既にコストパフォーマンスに優れた投資案件は減少しているという点も指摘できます。どこぞの都知事が言うように、世界で戦うために、東京に公共投資を積み上げようというのは、アナクロニズム以外の何物でもありません。かといって機能分散のために新幹線やリニアを作れというのも違いますね。ストロー効果で東京の集積度が高まるだけです。現在必要なのは、東京以外の地域が、自律的にグローバル化へ向かうことです。

その意味で、東京以外の地方都市圏の交通インフラの弱さが気になります。例えば今は元気がいい名古屋都市圏ですが、特にJR東海が都市圏輸送への投資に後ろ向きなのが気になります。313系大増備で名古屋都市圏の快速網を整備したのは良いのですが、その結果ラッシュ輸送にタイト感が出てきて、朝ダイヤで豊橋方から名古屋へ向かう特別快速を大府通過として、武豊線からの直通区間快速で大府と共和をカバーするという苦肉の策を取っておりますが、それでも南方貨物線を整備しようと考えないですし、万博輸送でせっかく愛知環状鉄道との直通運転が始まったのに、万博終了とともに本数が激減となっております。元々建設線名が瀬戸線と同じ東海交通事業城北線を整備して広域ネットワークを強化するという発想があっても良さそうですが、JR東海は後ろ向きですね。経営の苦しい3島会社であっても、JR九州による筑豊本線、篠栗線電化による福北ゆたか線整備のように、都市圏輸送の重要性は認識されております。JR東海でも、名岐間17分の快速のおかげで岐阜がベッドタウンになったというのは認識しているはずです。ま、というわけで、名古屋の躍進はうたかたの夢に終わるでしょう。

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