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Sunday, September 23, 2007

南北、大江戸、副都心

といえば最近建設されたor建設中の東京の地下鉄新線ですが、共通した特徴があります。私事で恐縮ですが、昨日北参道あたりに出掛けまして、丁度地下鉄副都心線の工事中だったのですが、低層の木造建築の多かった、どちらかといえば取り残された風情のあったこの地域で、10階建て程度のビルやマンションへの建て替えが進んでいることに感心いたしました。大江戸線現象は続いているということです。

3線に共通した特長として、いずれも都心地域の中の比較的低開発の地域を通過する路線というところに特徴が見られます。ただし事情はかなり変わってきているようで、南北線、大江戸線の建設期は地価下落局面で、人口の都心回帰のトレンドに乗ったものだったのに対し、副都心線は地価上昇局面での建設工事であることと、地理的には山手線の線路や神宮の森、雑司が谷墓苑など、開発の面的な広がりを阻害するバリアのあるエリアだけに、開発規模そのものは小規模なものにならざるを得ないようですが、逆に開発限界が見えていることが、住環境など希少性を演出することで、むしろ高く売れる要素と捉えることもできるので、地価上昇がブレーキにならない可能性は高そうです。

丁度今月19日に基準地価が発表されました。都道府県による調査であり、国交省調査の公示地価と調査地点を変えて補完性のある調査となっており、調査地点の多さきめ細かさから、傾向を見るのに好都合です。

基準地価、3大都市圏で2年連続上昇・商業地、16年ぶり上昇
傾向を見る意味で2つのグラフもご参照ください。
<図>基準地価の変動率(全用途)
<図>全国の地価
報道では、三大都市圏の地価上昇が強調された結果、あたかも地価が下げ止まったような印象を持たれた方が多いと思いますが、国全体では地価の下落傾向は変わらず、三大都市圏がやっとプラスに転じたというのが実際です。また三大都市圏の方が下落局面でも下落率が高く、それだけ不安定な値動きをしたとも見ることができます。また全国で見た商業地と住宅地の指数の推移で分かるとおり、商業地だけで見ると、77年当時の水準に達していないことがわかります。地方のシャッター通り現象が影響していると思われますが、巷間言われる二極化が、実態はかなり複雑ということです。

今後は人口減少によって住宅需要の低下は避けられないところで、実際、地価上昇を当て込んでわざと発売時期をずらして高値販売を目論んだマンション業者が多かったのですが、結果は対前年4割減という惨憺たる結果で、住宅に関しては既に天井をつけたと見るべきでしょう。

ただ面白いのは商業地の方でして、特に副都心線独自の現象として、沿線のデパートが一斉に改装その他の設備投資に走ったことで、しかもタカシマヤが100億円、伊勢丹160億円などをはじめ、MARUIの建て替え、小田急、京王の改装など、新宿地区を中心に百貨店のリニューアルが続き、池袋や渋谷にも飛び火しています。加えて渋谷の東急東横線渋谷駅地下化(旧東急文化会館跡地へ移転)後の跡地開発で東急百貨店も大増床が予定されているなど、商業ゾーンとしての存在感は高まる傾向が見えます。というわけで、副都心線は地価上昇トレンドに拘らず、再開発の起爆剤として機能しているといえます。

昨今の再開発ブームで、都心地域の東側で高層化が進み、残るは高輪のJR操車場跡地ぐらいという状況ですが、西地区は相対的に高層化が進んでおらず、未だ開発余地があるということがいえます。かくして東京都心が集積度を高めていけば、希少資源である都心の不動産価格は上昇するわけですが、東京都心の代替需要で押し上げられている郊外や名阪札福などの不動産ブームは、遠からず終焉するということは言えそうです。当然その他の地方の地価へ飛び火することはないと断言してよいでしょう。

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