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Saturday, October 06, 2007

東京メトロ全株売却でどうなる?

久々の更新ですが、趣味的に重要なニュースが報じられました。

東京メトロ全株売却・政府が検討
総額1,000億円超規模の保有株式を一括売却することを検討しているもようで、JRが20年かかって本州会社の完全民営化を終えたものの、3島及び貨物会社に関しては上場すらめどが立たないのに比べ、スピーディな民営化とはいえます。東京の中心市街地に路線網を持つ強みということでしょう。

ただし売却されるのは、政府保有分の53%相当の株式ということで、東京都保有の47%相当分は含まれません。都営地下鉄を保有する東京都は、以前石原知事が旧営団時代に「民営化するなら都が買収して都営交通と併合する」とぶち上げたことがありますが、上場企業となれば、多額の累積債務を抱える都営交通との統合は遠のくであろうことは、記事にあるとおりです。

加えてオンライン版では省略されておりますが、紙面記事では東京の公共交通を特定の大株主が支配することを避けるために買収防衛策も検討するそうです。かつて東急が持分を保有していたこともありますが、運輸省の指導で返上させられ、国鉄と東京都を出資母体としてきた旧営団ですが、とりあえず4%買い増せば過半数を取れる東京都へのけん制の意味もありそうです。つまりは近未来において東京の地下鉄統合の可能性は遠のいたということです。

とはいえ東京都の47%という保有比率は、2/3超を必要とする株主総会の特別決議の拒否権を持つに等しいわけで、一般株主から見れば、都の経営への圧力を覚悟する必要があるわけで、株式購入にあたってのリスク要因となる可能性が高いという点に問題があります。というわけで、政府の売り急ぎが目立ちますが、実は問題山積の株式売却という点は指摘しておきます。

公的性格の強い大都市地下鉄では、公営交通が担い手となることを前提に制度設計されている面があり、地下鉄のトンネル躯体等へのインフラ補助金は補助率70%という高率になっているわけですが、旧営団及び民営化後の東京メトロのみは、特別法で例外扱いされてきたわけです。それでも半蔵門線などで民地下を通過する部分の用地買収(地上権設定、地下鉄が通過するので、基礎工事が支障するビル工事などの制限が発生する)で手間取るなど、地下鉄建設は簡単ではないのですが、南北、大江戸、副都心で指摘したように、沿線開発とリンクすることで、多額の公的補助も、税収増で回収可能ということもあって、大都市部での地下鉄建設熱は続く傾向があります。

さすがに地価が天井をつけたとみられる東京では、用地買収難がブレーキとなり、また物理的に開発余地が減ってきて、経済学で言う収益逓減法則が働きますから、追加的な建設は計画されておりませんし、メトロの民営化も、副都心線が最後の建設線となることを見越してスケジュール化されたとも言えるわけですが、一方で無理して地下鉄として整備した埼玉高速鉄道ゾンビのごとくしぶとい川崎市営地下鉄計画など、東京近郊では茨の道でもあります。その一方で名古屋の桜通線は緑の郊外へ伸びています。名古屋版つくばエクスプレスかも。しかし並行する名鉄本線の近距離客を激減させているように、やはり東京とは事情が違いますね。

また政府が売り急いでも、財政再建への貢献度は微々たるもので、単なる改革のポーズととられても仕方ありません。この春にPFI(民間資金活用事業)でICカード乗車券システムを含む設備更新を手がけたロンドン地下鉄が、劇的に近代化を進めたように、日本もそろそろ単純な民営化から卒業すべきなんですけどね。そういえば10/1から民営化された郵政事業関連でこんなニュースがあります。

日本郵政と日通、宅配便事業を統合・08年10月めど新会社
新聞やテレビでさまざまな解説がされてますが、要は宅配便事業の負け組である日通が、郵政に事業部門を身売りしたというのが本質です。赤字のゆうパック事業を黒字化するには規模の拡大しかないわけですが、企業物流に強み持つ日通が持て余していたペリカン便事業との統合は、ヤマトと佐川を追撃する意図ありありです。それでも民営化に伴なう経費削減のあおりで、過疎地の集配体制が弱体化している郵政の逆転の可能性は低いでしょう。果たして上場までたどり着けるか、おJALな失速へと向かうか^_^;。

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