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November 2007

Thursday, November 29, 2007

コンプライアンス不況がやって来る?

何かおかしな日本の政府とメディアですが、こんなニュースに接すると眩暈がします。

崎陽軒に立ち入り、原材料誤表示は10種類・農水省
一応JAS法では重量順の原材料表示が義務付けられていて、崎陽軒で御表示があったことは間違いありませんが、使用した原材料を故意に隠したわけでも、有害な原材料を用いたわけでもなく、商品の品質には何も問題はないのですが、何か唐突な印象を受けます。自社のブランド価値を毀損するかもしれませんが、一連の食品偽装事件とは性質が異なります。前日にこんなニュースが流れただけに、違和感を禁じ得ません。
マクドナルド、ヨーグルトなど賞味期限切れ使用・都内FC4店
こちらはマクドナルドの内規違反ではありますが、明らかな不正ですよね。

というわけで、かくのごとく法令遵守が叫ばれ、コンプライアンスが念仏の如く唱えられているのですが、問題はぞくぞく発覚し、今や地雷原を進むが如しです^_^;。しかし本当の問題点には切り込まないまま、表面的なお題目で問題が解決するなら苦労はないのですけどね。

一方であれだけ世間を騒がせた耐震偽装事件はといえば、あまり世論の関心を引かないようで、メディアへの露出度は低いのですが、案の定第2第3の姉歯が発覚しております。そもそも建築基準法が穴だらけだったんですから仕方ないですね。

しかしだからと闇雲に厳格化された新法が6月に施行されてみると、思わぬ弊害が出てきて、現在大混乱となっております。住宅着工件数に明らかなブレーキがかかり、現場は大混乱、ビルや工場などの設備投資まで減速しております。しかも弊害はジワジワと波及してまして、例えば大阪府堺市に建設予定のシャープの新液晶工場の建築確認を巡って、堺市の建築課が超法規的に確認業務を優先実施しているものの、薄氷を踏むがごとき進捗に関係者は苛立ちを隠せません。着工のタイミングがずれれば、それだけ商品の市場投入時期がずれることになり、シャープとしては莫大な損失を覚悟しなければなりません。

似たような問題は10月施行の金融商品取引法でも起きておりまして、10月に入ってから、郵便局や銀行の窓販が好調だった投資信託の販売に急ブレーキがかかっております。重要事項の説明が丁寧に行われて、購入する投資家が慎重になっただけならば問題はないのですが、実際は販売員の力量がついていけないだけのようです。そもそも金融リテラシーのない顧客相手に、複雑なリスクの説明ができるならば、金商法施行前にあんなに販売実績を重ねられるわけがないのです。つまるところ、売ってはいけない相手に押し込んでいただけだったということで、売れと命じられた販売員よりも、命じた方に問題があったのですがね。かくして公社時代に乱売していた郵便局は、民営化した途端に虎の子の収益源を失いそうです(失笑)。

食品の偽装に関しては、元々JAS法の規定が穴だらけで、業者間取引では原材料や産地等の表示義務がありませんので、いくらでも誤魔化せたわけですし、耐震偽装問題では、そもそも建築設計図書の形式審査に過ぎない建築確認業務に対して、工事中検査や完成検査など複数回の検査で実態を監視するのではなく、屋上屋を架すがごとき構造計算のニ重チェックで対応しようとしたのですが、元々構造計算の専門家自体が少なくて、制度の根本的な瑕疵は放置されたまま、検査体制が不備なまま見切り発車と相成ったわけです。金商法に関しましては、実は2008年4月以降の新年度からが問題でして、公開企業に義務付けられる内部統制制度で、企業活動の萎縮が起こる可能性があります。内部統制不況が始まるかも。

なぜにこうなるかといえば、日本では司法が空洞化している点を指摘しておきます。例えばインクカートリッジのリサイクルを巡る最高裁の判決の不思議です。

再利用インクカートリッジ訴訟、キヤノンの勝訴確定
カートリッジ訴訟、エプソンの敗訴確定・最高裁
インクやトナーのカートリッジのリサイクルに関しましては、以前からメーカーとリサイクル業者の間で紛争が絶えなかったのですが、法曹界の常識的な見解として、特許権など知財関連の権利は、所有権に劣後するものとされておりました。つまり特許品のカートリッジがユーザーに売り渡された時点で特許権は消滅するということですが、これを覆す判断が出たわけです。しかも分かりにくいのは、翌日にやはり最高裁で一転メーカー敗訴の判断が下されたのです。つまりは特許という高度な専門性を要求される技術内容に対して、最高裁判事が恣意的に判断したということにほかなりません。こういった判断のぶれは、日本の司法では日常茶飯事でして、言ってみれば裁判官は法のご神託を告げる祭司のごとく振る舞い、国民は虎の尾を踏まないようにするしか術がないということです。

世界に目を転じれば、連日サブプライム問題で米国の景気減速が現実のものになろうとしておりますが、そんな折も折、国内事情で景気を減速させる日本国って、もはや周回遅れですらなく、スピンして逆走を始めたぐらいにズレまくっているとしか言いようがないですね^_^;。

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Friday, November 23, 2007

成田―羽田間、直通1時間

成田―羽田間、直通1時間で・国交省検討、鉄道網整備
11/22の日経夕刊のトップ記事です。日経平均下げの記事をトップにしたくなかったのか(笑)。

サブプライム問題を巡る報道には、どう見てもお門違いなものが多数あります。最たるものは、いわゆる格付け機関による格付けにイチャモンつける手のものですが、そもそも格付けの意味するところは、信用リスクの恣意的な序列に過ぎないのです。国債など信用度が明らかな債券に対して、何ランク上か下かみたいな話に過ぎないんで、1ランクを裏付ける客観数値はそもそも存在しないんです。それでも投資家の投資判断を助ける役割はあるわけで、その限りにおいて有効性はあるのですが、BIS新規制(バーゼル2)で日本代表が押し込んだ格付けに基づく資産リスク評価のルールはそもそも根拠がなかったのです。けれどリスクテイクこそ金融機関の利益の源泉ですから、欧米を中心に数多くの金融機関がサブプライム関連の証券化商品に投資したことそのものは、責められる筋合いのものではありません。悪いのは「国益」の名の下に悪しきルールを押し込んだ日本代表の役人です。しかも本人は責任を感じるどころか、交渉の「成功」を土産に出世してるか天下りしてるかですからたまりませんね(怒)。

話を本題に戻しますが、報道された範囲では、成田―羽田間現行1時間45分程度のところを1時間を目標に具体策を検討するということで、具体的にはこれから詰める話なんです。一応北総ルートでの成田空港新アクセス計画が進行中ですので、これと連動して主に都営地下鉄区間の待避線又はバイパス線整備で目標達成を考えているようです。実際のところ北総ルートでスカイライナーの20分程度の短縮は既にアナウンスされてますが、北総ルートでの160km/h運転を前提としており、現行で定員制列車でない羽田空港連絡列車でどこまで時間短縮が可能なのか、いまひとつはっきりしません。記事によれば1-2年かけて検討を重ねるということですから、現時点でとやかくいうのは時期尚早なのかもしれません。

ただしいくつかの疑問点がありまして、まず財源ですが、ネット版では省略されてますが、成田空港会社株式売却益の一部を充てることが考えられているようです。何かデジャビュな話なんですが、NTT株売却益の一部がJR東西線(建設線名片福連絡線)の整備財源として突然明らかになったり、旧国鉄債務の財投資金分の高金利問題で郵貯特別会計の剰余金を補填財源に用いられたりと、突然降って沸いたような財源が現れる話に通じます。つまるところ成田空港の民営化で発生する株式売却益の一部をへそくりしますという話なんですね。つまり本来は全額赤字国債償還に充てられるはずの資金の一部をこっそりプールして、予算請求しても通らない公共事業の財源に充てようという話です。絶対に許すべきではありません。

それと、これは一応安倍政権時代に打ち出されたアジアゲートウエー構想の一環なんだそうで、国際線中心の成田と国内線中心の羽田の棲み分けを前提に、両空港の連携を強化し、国際競争力を高めようという話です。先日米国とEUがオープンスカイ協定で合意し、米国が以前から主張していたIATAの国際航空協定運賃を価格カルテルと見なすという流れに一歩近づいたわけで、相変わらずIATA運賃堅持を前提に2国間協議で乗り切ろうとする日本の航空政策のまぁ何ともアナクロなことか@_@。世界の趨勢に乗るならば、空港発着枠に余裕のある地方空港へ積極的に国際線を誘致することこそが今求められているのに、相変わらず地方の利用者は国内線で羽田へ向かい、成田へ移動して国際線を使えということですから、地方は不便なままで良いということです。

こんなだから日本は取り残されるんです。株価下落もその流れの渦中にあると考えれば当然の帰結です。アホな政府はつくづく高くつきますねQ-o-タメイキ。

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Tuesday, November 20, 2007

新宿駅南口に高速バスターミナル

えー、巷では、夜行列車廃止報道が話題になっているようです。問題の記事はこちらです。

消えゆく東京駅発ブルトレ 「銀河」来春に引退
当ブログでは、過去にこの問題を夜行列車の生きる道“さくら”散る2005年の春で述べたとおりで、特段のサプライズはありません。付け加えれば、東北縦貫線(東京~上野間列車線)の完成を待って品川客躁や田町電車区などの車両基地跡地開発が予定され、尾久への集約が謳われてますが、神田の新幹線との2層高架部前後の勾配区間で回送とはいえ客車列車の運行は事実上難しいですから、既に命運は決していたといえます。

その一方で夜行高速バスは相変わらず盛況なようですが、実際は旅行会社の主催旅行形態で貸切バスで運行されるツアーバスとの競争にさらされていて、決して楽ではありません。免許上乗合路線バスとして公共交通の一翼を担う高速バスでは、安全運行のためのさまざまな規制があり、また極端に言えば予約ゼロでも運行しなければならない義務を負うのに対し、100%ネットでの事前予約制で、集客状況に応じて運行したりしなかったりの自由度があり、安全管理も請け負う貸切事業者に丸投げできるツアーバスは、そもそもコスト構造が違います。加えて車両も中古車で安く調達したりしてます。この辺はそもそも走行距離を稼ぎすぎる高速バス事業者から車齢の浅い中古車が放出されており、いわば敵に塩を送る状況は痛し痒しです。ま、それだけ安全運行には疑義があるわけで、事実大阪をはじめ、ツアーバスの事故は珍しくない状況になっており、さすがに国交省も監視を強めようとしています。

それでも4列シートで付加サービスを見直した青春ドリーム号や、つくば線から転用した15m級ダブルデッカーのメガライナーを使ったメガドリーム号などで、コストを抑えつつツアーバスに対抗したり、逆に+1,300円で3列独立シートの3.5倍のスペースとプライバシーが確保されるプレミアムシートなど、可能な限りのサービスの多様化も進めております。このあたりはバスならではでして、制約の多い鉄道では太刀打ちは難しいところです。

とまぁ前置きが長くなりましたが、特に東京など大都市圏では、高速バスの発展に対し、明らかにターミナルの容量不足が顕在化してきており、特に新宿駅周辺では、多客時の台数運行でターミナルに収まりきらず、広場に面した臨時バス停に乗客を誘導する光景もしばしば見かけます。そしてライバルのツアーバスの配車場所は、西口広場から西へ向かう街路上だったりしますので、両者の利用客が輻輳し喧騒状態といこともしばしば見られます。ツアーバスに関しては、バス停ではない公道上での客扱いですので、ターミナル負担がないこともまた、コスト低減につながります。

こんな状況ですから、手狭な上に事業者ごとに場所の異なる現行の高速バス乗り場を集約しようという機運は以前からありましたが、事業者の利害調整はなかなか難しいものがありました。しかしターミナルの整備は、公道上で客扱いを行うツアーバスに対するアドバンスにもなるわけで、特に乗客の多くが鉄道利用でターミナルに集まることを考えると、鉄道駅と一体化したバスターミナルというのは、集客上も魅力的です。というわけでこんな記事が出てきます。

新宿南口に「バスの駅」・線路上に人工地盤、16年春メド
記事にもあるとおり、そもそもは老朽化した甲州街道の陸橋の架け替えと耐震補強工事に付随して、JR新宿駅の改良工事が行われており、東口への地下道延伸や新駅ビル建設などと連動し、周辺の回遊性を高める狙いもあります。

地価の高い東京では、大規模なバスターミナルは難しいところですが、鉄道用地の上空を利用することで、スペースを生み出すわけですね。ま、夜行列車廃止は鉄ちゃんにはつらいニュースかもしれませんが、適材適所、そもそもニッチな需要である夜行需要はバスに任せて、ターミナルの集客力をビジネスに活かして鉄道の強みを追求することが理に適っているということは申し上げておきます。

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Saturday, November 17, 2007

不動産販売にブレーキ、私鉄大手中間決算

私鉄シテツ大手オオテ13シャ連結レンケツ業績ギョウセキ
2007ネン9ガツ中間チュウカン実績ジッセキ単位タンイ億円オクエン。カッコナイ前年ゼンネン同期比ドウキヒ増減ゾウゲンリツ%、阪急ハンキュウ阪神ハンシンHDは阪神ハンシン統合トウゴウマエ実績ジッセキ加味カミした実質ジッシツベース
  経常ケイジョウ利益リエキ 不動産フドウサンギョウ営業エイギョウ利益リエキ
東急トウキュウ 459( 25)  92(-24)
阪急ハンキュウ阪神ハンシンHD 399(-13) 137(-18)
近鉄キンテツ 236( 17)  77(3.3バイ)
京王ケイオウ 244(  1)  45(-15)
小田急オダキュウ 215( -0)  63(-18)
東武トウブ 182(-11)  40( 57)
名鉄メイテツ 149(  4) 149(  4)
京急ケイキュウ 130(  5)  26( 21)
京成ケイセイ 116(  4)  18(-11)
南海ナンカイ  97( 14)  44( -0)
京阪ケイハン  74( -5)  36( 22)
相鉄ソウテツ  73( -2)  58(  5)
西鉄ニシテツ  68(-23)  40( -8)

久々の決算ネタです。

私鉄大手13社9月中間、6社が経常減益
各社の状況はバラつきがありますが、6社が減益となり、不動産の販売減が業績に影響を与えていることは読み取れます。各社の数値のバラつきは、つまるところリストラの進捗度によるものといえます。

例えばリストラ進捗度の高いと目される東急、京王、京急などでは、新たな収益源を探る動きが見られる一方、リストラ渦中の近鉄では、むしろ不動産業営業利益の大幅増が見られ、明らかな周回遅れと思われます。また経営統合で注目される阪急阪神HDでは、今のところ明確な統合効果は見えません。主に不動産関連でのシナジー効果に期待があっただけに、不動産業の不振は今後の業績に陰を落とします。

一方で首都圏各社では、沿線人口の増加や大型商業施設の開業が寄与して、本業の鉄道事業が7社全て増加する一方、人口減少が始まっている関西各社は苦しい状況が続きます。

不動産関連でも、元々歴史が古く、取得時期の関連で簿価が極端に安い土地を大量に保有していた私鉄各社ですから、リストラの原資としてそれらの土地の含み益を利用することは可能だったわけですが、この点では首都圏各社の取組みが総じて早かった点は指摘しておきます。例えば東急ですが、2000年3月期決算を前に、田園都市線沿線の未開発地をまとめて売却し、肥大化したグループの再編を一気に行いました。その過程で東急建設を投資ファンドのフェニックスキャピタルへ売却したり、百貨店を子会社化し優良店の日本橋店を売却したり、未上場の優良子会社だったハンズ株(後に上場)を手放したりと、手傷を負いながら今日に至っているのです。

その一方で首都圏でも出遅れた東武と在阪5社では、課税特例措置として不動産の含み益を含み損の損益通算特例を利用して、バブル期に高値掴みした開発用不動産の含み損を償却したものの、逆にその後の再開発ブームで含み益最大化を実現し損なった恨みがあります。損切りは素早くやった方が良いということですね。

あと細かいことですが、損益通算特例の適用に関しても、そもそもは販売用不動産が対象なのですが、個別物件が特定できるわけではありませんので、転売の可能性がほぼゼロの鉄道用地を含めても普通はバレないのですが、例えば近鉄のように広域に路線網を持ち、ローカル線を保有するような事業者の場合、赤字を理由にローカル線に公的補助を得ようとするときに、鉄道資産の公的主体(自治体や線路保有3セク)への転売しようとするときに顕在化する可能性はあります。

えー、ここまで書くと察しの良い方でしたらピンと来ると思うんですが、近鉄が10/1に切り離して誕生した養老鉄道と伊賀鉄道のことなんです。赤字ローカル線を上下分離で存続させる手法というのは、例えば整備新幹線並行在来線の受け皿となった青い森鉄道(青森県)のように、線路を県の保有とすることで、固定資産税が免除されるのですが、この手のいわゆる公設民営型の上下分離とは逆に、養老鉄道、伊賀鉄道では、線路保有は近鉄のままで、新設の3セク鉄道が第二種事業者となる選択がされました。明らかに経済合理性の面で疑問となるのですが、資産売却を簿価で行う必要があるケースで、鉄道用地を損益通算に用いたことが発覚すれば、税務当局から課徴金を課される可能性もあるだけに、資産売却に踏み込めなかったというのは穿ちすぎでしょうか^_^;。

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Wednesday, November 07, 2007

東北新幹線段階的高速化を発表

本題に入る前に、前記事の後日談でメディアが埋め尽くされてますが、どうやら黒子が暗躍したようで、しかもY新聞のW主筆とか(イニシャルトークの意味ないですが^_^;)。報道機関に認められる報道の自由は、国民の知る権利を含んでるわけです。オピニオンとして政治信条を紙面等で露出することは問題ありませんが、あくまでも国民の知る権利を満たす事実報道が前提です。それをメディアが政局に手を突っ込んで、事実を捏造するとは許しがたい暴挙です。権力とメディアの癒着は独裁だぞ(怒)!

てなわけで本題です。JR東日本から6日、東北新幹線新青森開業で、段階的に高速化をはかっていくことが発表されました。

東北新幹線における高速化の実施について
~ 新青森開業後における段階的な高速化 ~
詳細はプレス発表をご覧いただくとして、車両の調達と地上設備の整備を段階的に実行し、2010年の新青森開業時点では最高速300km/hで3時間10分程度の運転時間を実現し、最終的に2013年には現行はやて・こまち全列車の最高速320km/h化と5分程度の時間短縮を行うことになります。

今回注目すべきは、現行最高速240km/hの大宮~宇都宮間を275km/hにスピードアップすることです。となると列車密度の高い区間ですから、E4系+400系の仙台やまびこ・つばさの処遇が問題になります。既に400系はE3系への置き換えが発表されておりますが、仙台やまびこのE4系をどうするかが悩ましいところです。上越新幹線で使うとして12連に組み直してE1系と共通運用とするあたりでしょうか。

あと盛岡以北の整備新幹線区間が高速化の対象とならないのは、(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの賃貸であることと、法令により最高速260km/hとなっていること、整備費用圧縮のために規格外のカーブや勾配があることなどによるものです。というわけで、FASTEC360で目標とされた360km/h運転も、宇都宮~盛岡間が対象でしょうけど、時間短縮効果は読みにくいですね。

そして新青森に関しましては、青森市の都市計画で低層住居地域に指定されているところで、積雪地で除雪予算削減の意味から、青森駅周辺地域に都市機能を集中させて、いわゆるコンパクトシティをめざしており、用途地域の変更は考えられていないようです。つまりは新幹線駅はできても、駅前の整備はおろか、コンビニ1軒作れない場所ということです。ということで、新青森から油川付近を経て、津軽線に沿って青森駅へ至る「青森駅アクセス」なる計画が地元で囁かれております。元々八戸以北はミニ新幹線で整備される予定が、六ヶ所村の核再処理施設受け入れまでして、また北海道へ伸ばすときにミニ新幹線区間があると制約になるなどと理屈をこねくり回したあげくに、地元の都市計画との整合性すら取れないプロジェクトをゴリ押ししたんですから、頭悪さ大爆発です(笑)。そんなんだから衰退するんだよ。

関連記事:

N700系とFASTECH360(E954系)の間
JR東日本新型新幹線車両は時速320km

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Sunday, November 04, 2007

小沢党首一本釣り?

鉄ネタ連発を目論んでおりましたが、これだけは言及しておかねば寝覚めが悪いです。夕方のニュースがほぼこれ1色ですが、ホント日本の政治の世界には妖怪というか、魑魅魍魎がいるらしい。にしても小沢さん、こんな手に引っかかるとは、年取りましたな。

小沢代表が辞意表明、連立巡る混乱で引責・政局流動化も
ま、元はといえば2人だけの党首会談の席で、小沢さんが食いつきそうなエサ(自衛隊海外派遣の恒久法に国連決議を条件付けるという小沢氏の持論)を蒔いたら、見事に食いついてきたというところでしょう。それが証拠に非公開の党首会談を巡って、自民党サイドから未確認情報が次々とリークされたあたり、キナ臭いですね。いちいち論じませんが、傷口に塩を擦り込むがごとき幹事長発言など、民主党が割れてくれればめっけものぐらいの感覚なんでしょう。
「党内調整せず出てきた」・伊吹幹事長が小沢氏を批判
耐震偽装問題で揺れていたときも、永田議員の贋メール事件で勢いを殺がれた民主党ですが、当時若き党首の前原さんではうまく裁けなかったのは無理からぬところとして、百戦錬磨の小沢さんによもやというのが偽らざるところです。

はっきり申し上げますが、民主党が本気で政権を取りに行くつもりならば、衆参ねじれをとことん利用して、徹底したチキンレースを政権に仕掛けて、解散しなければ進退窮まる状況に追い込むことだったはずです。予算? んなもん越年したって年度を跨いだってどうにかなります。またイラクやアフガンに派兵していた多くの国で、内政上の理由で軍を引揚げたけど、なーんも問題になってません。むしろ民主国家ならばこそ、海外派兵は政権に国内政治リスクを課すものです。また国民の多くは、自衛隊の派兵問題よりも、年金をはじめとした社会保障問題に関心が集まっているところですし、実際今、社会保障のあり方をきちんと議論しておかないと、日本はあと100年は停滞から抜け出せないでしょう。

お断りしておきますが、私は特定政党を支持するつもりはありませんが、政権交代のない民主政治はあり得ないと考えておりますので、参院選でぐっと政権交代の可能性を引き寄せた民主党に注目しております。いわゆる小泉改革は、郵政民営化の現実を見れば、いかにインチキであったかは度々言及しておりますが、同時にサッチャー革命のような、保守派による改革は理解しているつもりです。本来の保守主義とは、社会の中の守るべき価値を守るために、障害を取り除くというスタンスとなるはずで、そのための規制改革や市場ルールの整備に力点が置かれるはずです。その意味では郵政は縮小又は解体こそが答えだったはずですが、小泉改革では、郵政民営化という名を取るために守旧派との妥協の産物に成り果てました。実は改革は1ミリも進んではいないのです。

にもかかわらず、小泉改革のイメージだけを引きずって、しかも国家主義にとり憑かれた安倍前首相ではうまくいかないことはある意味自明だったわけです。その失敗を引きずった福田政権は、いずれ放っといたって身動きできなくなるはずだったのに、小沢さん、いいトシして青さが出ちゃいました。ま、民主党にとっては思わぬ逆風ですが、政権が近づいているだけに、簡単には割れないでしょう。ま、あとは国民がチキンレースにつきあってくれるかどうかですが、この辺は私は案外楽観しております。ある意味やっと国民も、変化を求め始めていると思われるフシがあります。ま、あとはなるようになるでしょう。

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Saturday, November 03, 2007

JR北海道MAHV開発の狙いは?

久々の更新は鉄ネタでいきます。タイトルのとおりですが、JR北海道のプレス発表をご参照ください。メカの話に入る前に、試作車がキハ160-1の改造車であることに注目いたします。

キハ160は、いわゆる新潟鉄工製軽気動車(NDC)で、1997年に、日高本線で運用されていたやはりNDCのキハ130の事故廃車の代替車として1両投入されたのですが、キハ130の残りの車両は、12年の減価償却期間を終えたところで、国鉄型のキハ40に置き換えられたために、1形式1両となってしまいました。NDC自体は、南阿蘇鉄道を皮切りに全国の第三セクターローカル鉄道に導入され、ライバルの富士重工LEカー/-DCとともに、国鉄末期に始まった特定地方交通線転換鉄道各社に導入が進み、JRでも西日本のキハ120と北海道のキハ130で採用されましたが、キハ130は短命に終わりました。

元々NDCはバスや建機の汎用部品を多用して、従来の国鉄型よりも軽量高性能でローコストといいことづくめという触れ込みでしたが、鉄道車両としては耐久性に課題があったようです。特に初期車の老朽化は、経営が苦しい三セクローカル鉄道でも、車両更新が課題となっているようです。キハ160については、初期車の実績に基づいて仕様変更されているようですが、キハ130の代替車として本採用されなかったところをみると、やはり北海道で使うには問題があったのでしょう。そういうわけでキハ160-1は取り残されてしまったわけですね。

ここで少し視点を変えますが、鉄道の動力駆動システムは、交流電化、直流電化、ディーゼルの3方式が棲み分けている状況です。電化路線に対して非電化路線ではほぼ世界的にディーゼルが主流ですが、動力の駆動は発電機で電気に変換してモータを回す電気式が主流です。日本とドイツだけがトルクコンバータを用いた液体式駆動が使われていたのですが、ほぼローカル線向けレールバスが中心のドイツに対し、幹線用大型機関車にまで液体式を用いる日本のあり方は、世界的にはかなり突出した存在でした。それでも日本国鉄で用いていたディーゼルエンジンが、船舶用を出自とする低回転ローパワー型だったことで、変速機の直結段を1段で済ませるなど、簡素なシステム構成が可能だったということはいえます。

それが国鉄時代でも新系列といわれるDML30系列の高出力機関が開発されると、直結2段の変速機が開発され、それなりに使われてはおりましたが、やはりメンテナンス面から特定区所への投入に留まり、それに留まらずリミッターで出力を制限したり(キハ66系)、シリンダーを半減したり(キハ40系)していたのが、いわゆる国鉄型の歴史過程です。これには後日談もありまして、JR東日本で機関換装してカミンズなどの高出力機関を採用したものの、変速機の能力を勘案してリミッターで出力制限をかけておりました。

それに対して富士重や新潟鉄工の軽気動車は、汎用品の活用でハイパワーエンジンと複数段変則機の採用で、国鉄型を上回るパワーウエイトレシオを実現し、その意味では大きな技術革新を実現したのではありますが、同時期の電気車の技術革新は凄まじく、三相交流誘導モータとVVVF制御によって、軽量、高出力、高粘着をローコストで実現でき、電気接点を持たないので機器もコンパクトになりメンテナンスフリーを実現し、かつ電力回生ブレーキの活用で省エネまで実現してしまうという優れもので、実績として電力費半減まで実現してしまったのですから、燃費半分とはならないディーゼル車との技術革新の不均衡は明らかです。かつターボ、インタークーラー、コモンレールなどの新技術はメンテナンスはむしろ難しくなりますし、動力駆動装置としての変速機の負担も高くなります。

このことの意味するところは、電化と非電化を分ける境界線が電化側へシフトしたことを意味しますが、一方で電化のためには地上側に多額の設備投資を要求されることに変わりはないわけで、車両レベルでのローコスト化が即電化進捗とはならないわけで、逆に現時点で非電化の鉄道は、存続がますます難しくなるということになるわけです。となれば、車両レベルで凄まじい発展を遂げている電気車の技術を移植し活用しようとするのは自然です。鉄道車両の場合、電気駆動そのものは、手馴れた技術ではあるわけですし。

もう一つの文脈として、電気車両の方の問題もあります。特に直流電気車の回生失効問題です。商用周波数交流をコンバータで直流変換してインバータで三相交流を生成する2段階の電力変換を行う交流電気車の場合、現時点では停止用回生ブレーキはほぼ完成したシステムといえる段階にありますが、架線電圧に制約される直流電気車では、実は回生失効問題は無視できない問題なのです。高速域では高圧電流が自車の機器を損傷するおそれがあるので、保護リレーが働いて回生が失効するし、一定以下の低速域では主回路電圧が架線電圧を下回ってやはり回生失効となるわけです。ですから電力回生ブレーキで省エネとはいっても、元々大電流の制御で苦労している大都市通勤線のピーク電力抑制には役立つにしても、温暖化防止への貢献度は言われるほどは高くない可能性があります。その意味でやはり蓄電という発想が出てくること自体は自然なことです。

というわけで、やっとハイブリッドの話となりますが、JR東日本のキハE200が電車ベースのハイブリッドシステムという特徴があるのに対し、JR北海道のMAハイブリッドシステムでは、変速機に誘導モータを組み込んでトルコンと摩擦クラッチを代替するという、ディーゼル車ベースのシステム構成となっているのが面白いところです。極寒地の北海道では、地上の電路設備のメンテナンスも困難が伴う上に、札幌一極集中で人口密度が低く鉄道に不向きな条件があるわけですから、今後も電化区間が延びる可能性は低く、むしろ車両に熱源があるディーゼル車の走破性の高さは評価されるべきです。その意味でJR東日本とは全く異なるハイブリッドシステムの開発と相成るわけです。

当然着地点も異なり、JR東日本がおそらく将来の燃料電池駆動を視野に入れ、地上側の電化非電化の別に拘束されない車両の出現が示唆されますが、JR北海道のシステムは、あくまでもディーゼル車の範疇での電気車両のいいとこ取りという感じで、ハイブリッドの本来の意味である混血、雑種、合いの子というニュアンスに近い感じです。蓄電への注目という意味では、鉄道総研が提案するバッテリートラムというのも同じ文脈で捉えると明らかですが、動力源として全面的にバッテリーに依存できるとは思えませんが、たとえば郊外の専用軌道区間で集電しながら蓄電し、市街地のトランジットモールでは架線レスでバッテリー走行とか、たとえば現状では技術的必然性の乏しいガイドウエーバスに応用して、ガイドウエー区間では集電しながら蓄電し、道路走行時にはバッテリー駆動とするなどが考えられ、技術的可能性が広がります。いずれにしても現状では電池性能が大きなボトルネックであり、実車レベルではバッテリー交換で省エネ効果もメンテナンスフリー効果も相殺されてしまう状況ですが、電池技術を進化させるには実車走行を行う以外に方法がないわけで、まだまだテスト段階ということです。

その意味でJR北海道がもてあましているキハ160-1を改造して試作車としたことは、懐事情もさることながら^_^;、まだまだ超えるべきハードルを認識しているということでもあります。また電気車とディーゼル車の技術革新の不均衡が生んだあだ花の軽気動車が任用されたという意味でも意味深な出来事ですね。

関連記事:

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