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Thursday, November 29, 2007

コンプライアンス不況がやって来る?

何かおかしな日本の政府とメディアですが、こんなニュースに接すると眩暈がします。

崎陽軒に立ち入り、原材料誤表示は10種類・農水省
一応JAS法では重量順の原材料表示が義務付けられていて、崎陽軒で御表示があったことは間違いありませんが、使用した原材料を故意に隠したわけでも、有害な原材料を用いたわけでもなく、商品の品質には何も問題はないのですが、何か唐突な印象を受けます。自社のブランド価値を毀損するかもしれませんが、一連の食品偽装事件とは性質が異なります。前日にこんなニュースが流れただけに、違和感を禁じ得ません。
マクドナルド、ヨーグルトなど賞味期限切れ使用・都内FC4店
こちらはマクドナルドの内規違反ではありますが、明らかな不正ですよね。

というわけで、かくのごとく法令遵守が叫ばれ、コンプライアンスが念仏の如く唱えられているのですが、問題はぞくぞく発覚し、今や地雷原を進むが如しです^_^;。しかし本当の問題点には切り込まないまま、表面的なお題目で問題が解決するなら苦労はないのですけどね。

一方であれだけ世間を騒がせた耐震偽装事件はといえば、あまり世論の関心を引かないようで、メディアへの露出度は低いのですが、案の定第2第3の姉歯が発覚しております。そもそも建築基準法が穴だらけだったんですから仕方ないですね。

しかしだからと闇雲に厳格化された新法が6月に施行されてみると、思わぬ弊害が出てきて、現在大混乱となっております。住宅着工件数に明らかなブレーキがかかり、現場は大混乱、ビルや工場などの設備投資まで減速しております。しかも弊害はジワジワと波及してまして、例えば大阪府堺市に建設予定のシャープの新液晶工場の建築確認を巡って、堺市の建築課が超法規的に確認業務を優先実施しているものの、薄氷を踏むがごとき進捗に関係者は苛立ちを隠せません。着工のタイミングがずれれば、それだけ商品の市場投入時期がずれることになり、シャープとしては莫大な損失を覚悟しなければなりません。

似たような問題は10月施行の金融商品取引法でも起きておりまして、10月に入ってから、郵便局や銀行の窓販が好調だった投資信託の販売に急ブレーキがかかっております。重要事項の説明が丁寧に行われて、購入する投資家が慎重になっただけならば問題はないのですが、実際は販売員の力量がついていけないだけのようです。そもそも金融リテラシーのない顧客相手に、複雑なリスクの説明ができるならば、金商法施行前にあんなに販売実績を重ねられるわけがないのです。つまるところ、売ってはいけない相手に押し込んでいただけだったということで、売れと命じられた販売員よりも、命じた方に問題があったのですがね。かくして公社時代に乱売していた郵便局は、民営化した途端に虎の子の収益源を失いそうです(失笑)。

食品の偽装に関しては、元々JAS法の規定が穴だらけで、業者間取引では原材料や産地等の表示義務がありませんので、いくらでも誤魔化せたわけですし、耐震偽装問題では、そもそも建築設計図書の形式審査に過ぎない建築確認業務に対して、工事中検査や完成検査など複数回の検査で実態を監視するのではなく、屋上屋を架すがごとき構造計算のニ重チェックで対応しようとしたのですが、元々構造計算の専門家自体が少なくて、制度の根本的な瑕疵は放置されたまま、検査体制が不備なまま見切り発車と相成ったわけです。金商法に関しましては、実は2008年4月以降の新年度からが問題でして、公開企業に義務付けられる内部統制制度で、企業活動の萎縮が起こる可能性があります。内部統制不況が始まるかも。

なぜにこうなるかといえば、日本では司法が空洞化している点を指摘しておきます。例えばインクカートリッジのリサイクルを巡る最高裁の判決の不思議です。

再利用インクカートリッジ訴訟、キヤノンの勝訴確定
カートリッジ訴訟、エプソンの敗訴確定・最高裁
インクやトナーのカートリッジのリサイクルに関しましては、以前からメーカーとリサイクル業者の間で紛争が絶えなかったのですが、法曹界の常識的な見解として、特許権など知財関連の権利は、所有権に劣後するものとされておりました。つまり特許品のカートリッジがユーザーに売り渡された時点で特許権は消滅するということですが、これを覆す判断が出たわけです。しかも分かりにくいのは、翌日にやはり最高裁で一転メーカー敗訴の判断が下されたのです。つまりは特許という高度な専門性を要求される技術内容に対して、最高裁判事が恣意的に判断したということにほかなりません。こういった判断のぶれは、日本の司法では日常茶飯事でして、言ってみれば裁判官は法のご神託を告げる祭司のごとく振る舞い、国民は虎の尾を踏まないようにするしか術がないということです。

世界に目を転じれば、連日サブプライム問題で米国の景気減速が現実のものになろうとしておりますが、そんな折も折、国内事情で景気を減速させる日本国って、もはや周回遅れですらなく、スピンして逆走を始めたぐらいにズレまくっているとしか言いようがないですね^_^;。

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Comments

まーうちの親も弁護士やってますが色々あるんですよ

万能のように見えて日本の法制度は微妙におかしい所が少々あるものなんです。(まぁ人間が作ったものですからプログラムを組むみたいなもんですな)

でも米国の法律はさらに穴だらけでして。
しょっちゅう訴訟起こすワリには内容がアホすぎなんですね。(ネコを電子レンジに入れて死んだから訴訟起こすとか有り得ん)

関係ない話ですが、ロースクールのせいで法の資格を持つものの質が下がることを弁護士会では懸念しております。これもそのうち元に戻されるでしょう。
やはり世界一難しいと言われる日本の司法試験を通過してこそ…だと思いますね。

Posted by: ROOT | Thursday, November 29, 2007 at 11:58 PM

コメントありがとうございます。

アメリカの法律ですが、条文自体には基本原則しか盛り込まず、ディティールは判例を重ねることで対応するいわゆる英米法の体系ですが、日本は、ドイツに範を取ったといわれるいわゆる大陸法の法体系でして、ディティールも含めて条文で厳格な記述がされているはずなんです。

しかし戦後のアメリカの占領政策の影響で英米法的な要素が入り込んだために、現状はかなり混乱してます。そもそも憲法からして百家争鳴、さまざまな解釈が成り立つわけですし、一方の民法などは明治期に制定されたカタカナ条文のまま、抜本改正されずに解釈で変化に対応するという危うい運用がされてます。

その結果法律は専門家でないとよくわからない世界となってしまい、法律そのものが曖昧さを持ってしまったことが問題ですね。そもそも中学生レベルで理解できなければ、コンプライアンスもへったくれもないわけで、一般国民は地雷原を歩くがごとき状況に置かれるわけです。「とりあえず罰則を強化しておけば、不祥事が起きても現場の人間を処分すれば済む」という本音が透けて見える状況で、事なかれ主義が蔓延し経済が停滞することを防ぐ手立てはないですね。

Posted by: 走ルンです | Saturday, December 01, 2007 at 12:10 AM

お久しぶりにコメントします。特許判決です。

先ず、エプソンの敗訴。
これはエプソンの特許権を無効としています。
特許法123条第2項(特許無効審判)
エプソンが特許庁の無効審決に対して起こした訴訟です。
結局、エプソン特許は新規性(29条)を有しない、従って、侵害の議論そのものが成立しない。
侵害とされた場合、無効審判で対抗するのは常套手段ですが、今回最終判断が下された、ということです。
具体的事例はともかくとして、特許権裁判としては一般的なことです。

一方、キャノンの勝訴。
侵害の有無を争っています。即ち、キャノンの特許権の範囲内なのか、と言う問題です(70条 特許発明の技術的範囲)。今回の判決は一言で言えば、侵害製品は消尽されたキャノン製品ではなく、新製品と同じである。こんな理解で宜しいのではないでしょうか。従って、キャノン特許を使用しており侵害だ、という論理。
以上ですので、司法神格論はちとオーバーかな、と思いますが。

「Blog」 備忘録 http://d.hatena.ne.jp/goalhunter/
「HP」 川崎市政との対話 http://www.h7.dion.ne.jp/~as-uw/
「MM」 自治体論  http://blog.mag2.com/m/log/0000219072/
地域少年・大谷戸サッカークラブコーチ
http://sports.geocities.jp/ogayatosc/
川崎市議会の政策体系を検証する市民の会 運営委員
http://www.k4.dion.ne.jp/~kmk-head/

Posted by: 吉井俊夫 | Sunday, December 02, 2007 at 11:09 AM

コメントありがとうございます。

ま、確かに司法神格化論はオーバーかもしれませんが、キヤノンのケースの判断は、やはり従来の判断と比べると、突出した感が否めません。「再生品ではなく新品」と見なされたわけですが、再生課程で劣化した部品の交換などは、普通に行われるものですし、むしろ品質面からは望ましいはずです。今回の判断は、それを場合によっては再生ではなく新品と見なして特許権侵害とするという意味で、やはり従来の判断を大きく変えるものといえます。そもそも新規性の有無に関する明確な線引きもあいまいですし。

大陸法系列の日本の法体系の元では、司法による大きな判断の変更には問題があります。新しい事態には本来は立法府で議論して新たな法律を通すことが望ましいといえます。解釈だけで法律の運用が変えられるというのは、憲法に限らず問題ありです。

Posted by: 走ルンです | Sunday, December 02, 2007 at 04:32 PM

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