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Friday, November 23, 2007

成田―羽田間、直通1時間

成田―羽田間、直通1時間で・国交省検討、鉄道網整備
11/22の日経夕刊のトップ記事です。日経平均下げの記事をトップにしたくなかったのか(笑)。

サブプライム問題を巡る報道には、どう見てもお門違いなものが多数あります。最たるものは、いわゆる格付け機関による格付けにイチャモンつける手のものですが、そもそも格付けの意味するところは、信用リスクの恣意的な序列に過ぎないのです。国債など信用度が明らかな債券に対して、何ランク上か下かみたいな話に過ぎないんで、1ランクを裏付ける客観数値はそもそも存在しないんです。それでも投資家の投資判断を助ける役割はあるわけで、その限りにおいて有効性はあるのですが、BIS新規制(バーゼル2)で日本代表が押し込んだ格付けに基づく資産リスク評価のルールはそもそも根拠がなかったのです。けれどリスクテイクこそ金融機関の利益の源泉ですから、欧米を中心に数多くの金融機関がサブプライム関連の証券化商品に投資したことそのものは、責められる筋合いのものではありません。悪いのは「国益」の名の下に悪しきルールを押し込んだ日本代表の役人です。しかも本人は責任を感じるどころか、交渉の「成功」を土産に出世してるか天下りしてるかですからたまりませんね(怒)。

話を本題に戻しますが、報道された範囲では、成田―羽田間現行1時間45分程度のところを1時間を目標に具体策を検討するということで、具体的にはこれから詰める話なんです。一応北総ルートでの成田空港新アクセス計画が進行中ですので、これと連動して主に都営地下鉄区間の待避線又はバイパス線整備で目標達成を考えているようです。実際のところ北総ルートでスカイライナーの20分程度の短縮は既にアナウンスされてますが、北総ルートでの160km/h運転を前提としており、現行で定員制列車でない羽田空港連絡列車でどこまで時間短縮が可能なのか、いまひとつはっきりしません。記事によれば1-2年かけて検討を重ねるということですから、現時点でとやかくいうのは時期尚早なのかもしれません。

ただしいくつかの疑問点がありまして、まず財源ですが、ネット版では省略されてますが、成田空港会社株式売却益の一部を充てることが考えられているようです。何かデジャビュな話なんですが、NTT株売却益の一部がJR東西線(建設線名片福連絡線)の整備財源として突然明らかになったり、旧国鉄債務の財投資金分の高金利問題で郵貯特別会計の剰余金を補填財源に用いられたりと、突然降って沸いたような財源が現れる話に通じます。つまるところ成田空港の民営化で発生する株式売却益の一部をへそくりしますという話なんですね。つまり本来は全額赤字国債償還に充てられるはずの資金の一部をこっそりプールして、予算請求しても通らない公共事業の財源に充てようという話です。絶対に許すべきではありません。

それと、これは一応安倍政権時代に打ち出されたアジアゲートウエー構想の一環なんだそうで、国際線中心の成田と国内線中心の羽田の棲み分けを前提に、両空港の連携を強化し、国際競争力を高めようという話です。先日米国とEUがオープンスカイ協定で合意し、米国が以前から主張していたIATAの国際航空協定運賃を価格カルテルと見なすという流れに一歩近づいたわけで、相変わらずIATA運賃堅持を前提に2国間協議で乗り切ろうとする日本の航空政策のまぁ何ともアナクロなことか@_@。世界の趨勢に乗るならば、空港発着枠に余裕のある地方空港へ積極的に国際線を誘致することこそが今求められているのに、相変わらず地方の利用者は国内線で羽田へ向かい、成田へ移動して国際線を使えということですから、地方は不便なままで良いということです。

こんなだから日本は取り残されるんです。株価下落もその流れの渦中にあると考えれば当然の帰結です。アホな政府はつくづく高くつきますねQ-o-タメイキ。

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