東北新幹線段階的高速化を発表
本題に入る前に、前記事の後日談でメディアが埋め尽くされてますが、どうやら黒子が暗躍したようで、しかもY新聞のW主筆とか(イニシャルトークの意味ないですが^_^;)。報道機関に認められる報道の自由は、国民の知る権利を含んでるわけです。オピニオンとして政治信条を紙面等で露出することは問題ありませんが、あくまでも国民の知る権利を満たす事実報道が前提です。それをメディアが政局に手を突っ込んで、事実を捏造するとは許しがたい暴挙です。権力とメディアの癒着は独裁だぞ(怒)!
てなわけで本題です。JR東日本から6日、東北新幹線新青森開業で、段階的に高速化をはかっていくことが発表されました。
東北新幹線における高速化の実施について詳細はプレス発表をご覧いただくとして、車両の調達と地上設備の整備を段階的に実行し、2010年の新青森開業時点では最高速300km/hで3時間10分程度の運転時間を実現し、最終的に2013年には現行はやて・こまち全列車の最高速320km/h化と5分程度の時間短縮を行うことになります。
~ 新青森開業後における段階的な高速化 ~
今回注目すべきは、現行最高速240km/hの大宮~宇都宮間を275km/hにスピードアップすることです。となると列車密度の高い区間ですから、E4系+400系の仙台やまびこ・つばさの処遇が問題になります。既に400系はE3系への置き換えが発表されておりますが、仙台やまびこのE4系をどうするかが悩ましいところです。上越新幹線で使うとして12連に組み直してE1系と共通運用とするあたりでしょうか。
あと盛岡以北の整備新幹線区間が高速化の対象とならないのは、(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの賃貸であることと、法令により最高速260km/hとなっていること、整備費用圧縮のために規格外のカーブや勾配があることなどによるものです。というわけで、FASTEC360で目標とされた360km/h運転も、宇都宮~盛岡間が対象でしょうけど、時間短縮効果は読みにくいですね。
そして新青森に関しましては、青森市の都市計画で低層住居地域に指定されているところで、積雪地で除雪予算削減の意味から、青森駅周辺地域に都市機能を集中させて、いわゆるコンパクトシティをめざしており、用途地域の変更は考えられていないようです。つまりは新幹線駅はできても、駅前の整備はおろか、コンビニ1軒作れない場所ということです。ということで、新青森から油川付近を経て、津軽線に沿って青森駅へ至る「青森駅アクセス」なる計画が地元で囁かれております。元々八戸以北はミニ新幹線で整備される予定が、六ヶ所村の核再処理施設受け入れまでして、また北海道へ伸ばすときにミニ新幹線区間があると制約になるなどと理屈をこねくり回したあげくに、地元の都市計画との整合性すら取れないプロジェクトをゴリ押ししたんですから、頭悪さ大爆発です(笑)。そんなんだから衰退するんだよ。
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Comments
札幌延伸時にはさすがに360km/hで走らせるでしょうけれど、
新函館程度ならないかもしれませんね。
如何せんミニ新幹線車両が足かせとなり2013年度でようやく併合320km/hということから、おそらく360km/hのミニ新幹線版は随分先の話になりそうですね。
札幌開通時は単独運転で360km/hとなるのではないでしょうか。
そうなると北陸新幹線の全線開通もあっておそらく大宮~上野あたり大渋滞になるやもしれません。ホンネ言えば大宮~宇都宮間の速度を300km/hまで上げて欲しかったです。R4000Mですから
傾斜せずとも330km/hまで可能ですし…
それにしても青森の連中はなにやってんだか… 新幹線が来たから自動的に金が入ってくるわけじゃないのに。
Posted by: ROOT | Friday, November 09, 2007 06:12 PM
コメントありがとうございます。
いろいろ制約条件がある中で、車両の更新と地上設備の改良を段階的に行うのは、致し方ないところでしょう。それでもスピードアップの取組みを続けていることを評価したいですね。
青森問題ですが、ちょっと気の毒なのは、そもそも新青森に新幹線駅を作る計画は旧国鉄が作ったもので、地元の意向は完全に無視されました。それが尾を引いているわけですが、並行在来製問題と共に、結果的に地元に余分な負担を強いているものです。
正直なところ現行の整備新幹線のスキームでは、地方が疲弊するばかりだろうと思います。
Posted by: 走ルンです | Saturday, November 10, 2007 12:11 AM
いろいろあったんでしょうけど、どうして360km/hから320km/hに変更になったのか、よくわからない。
技術的な理由があったのなら、特に騒音問題など、あんなに大々的に広報活動する以前にわかっていたはず。
それとも、それを押し隠してでも、360Km/hと広報活動を行う何らかの意図があったのだろうか。
ネコ耳はどうしてだめなんだなんて、いまのマスコミに聞きだせるような人は居そうにないし、
本当に技術的な予測を超えた壁があったのだろうか?
JR東日本の技術力に不信感を生じる。メーカ提案の鵜呑みというのもまんざらうそではないのではと考えてしまいます。
傾斜制御などもJR東海と同時期に取り組むなど開発競争がほんとうにあるなら考えにくいことではないでしょうか?
Posted by: Hybrid | Saturday, November 10, 2007 06:17 PM
>どうして360km/hから320km/h
え~まず一つ、そもそも新青森程度で3時間10分程度の
レベルで十分なわけです。fastech360は札幌延伸を睨んだもので新青森を取り込もうとするために生まれたわけではありません。ついでにいうと羽田拡張により撤退が表明されてますので、航空機自体が戦線離脱するわけです。
>ネコ耳はどうしてだめなんだなんて、いまのマスコミに聞きだせるような人は居そうにないし、
ネコミミが必要になるのは340km/h以上の速度でディスクブレーキの改良により320km/h程度では必要なくなったわけです。むしろスペース確保と軽量化のために取っ払ったわけです。そのへんは新幹線EXという本にちゃんと書いてありますよ。時速360km/hのフル規格の新幹線は360km/h時の振動、騒音等は既にE2-1000の275km/hと比較して格段に優れていると。
高速化への含みを持たせているのがさすが東といったところでしょう。
ただしここで新在直通の車両の問題があります。フルと在来線を一緒くたに走らせるのはかなり難を極めるものらしく、最適な解が見出しにくいそうなのです。札幌開通時には別々で運行するといったことになるかもしれませんね。
ちなみにマスコミ程度の情報収集なんかアテにはなりません。それと、そもそも360km/hで新青森は過剰すぎると思いませんでしたか?せいぜい320km/h程度が妥当ですよ。
ついでに走ルンですさんも書いてありますが、整備新幹線縛りがありますから盛岡以降260km/hに制限されるわけです。
(もし速度上げようものならそれに伴う集客ということでリース料上げてくるでしょうから)
Posted by: ROOT | Saturday, November 10, 2007 09:12 PM
コメントありがとうございます。
ま、結論はほぼROOTさんが述べられたとおりですが、ひと言でいえばニーズのない技術開発はあり得ないということです。お金取って乗客を乗せるんですから。その意味で当面の目標として320km/hというのは、技術開発に投入できる開発費用との見合いで、妥当なところだろうと思います。
空力ブレーキもあくまでも非常制動用ということで、常用制動では電空併用ブレーキと増粘着研磨子の組み合わせでクリアするわけですが、地震などの天然災害で送電が停止された場合を想定しなければならない非常制動では、電気ブレーキは使えないんです。となると摩擦ブレーキである空気ブレーキだけで停止できる速度を超える360km/h向けのものということで、今回は必要がないわけですね。
Posted by: 走ルンです | Sunday, November 11, 2007 12:10 AM
360km/hで必要で320km/hには必要のないものもやってみました。でも当面は必要がありませんので、量産車には採用しません。という理屈はわからないでもありません。
でも、必要になったときにはいつでも使えますというレベルに開発が完了したのかどうかの突っ込みが足りせん。
いつでも使える有用なものだったのか、安易にやってみたけれど、本当はだめで、だめだといえないからそう報道しているのか。
そもそも360Km/hがだめな理由は、騒音基準の問題であることは容易に想像されるわけで、民間企業として地上対策に巨額の費用が想定されることは、Fastecを造らなくてもわかっていたはず。作ってしまってやっぱりだめでしたとも言えないので、議論の先送りをしているだけのような気がします。
騒音基準でも変えないかぎり、北海道新幹線を作りたいと思ったところで、その速度では走れないということをわかっているのでしょうか。
Posted by: Hybrid | Sunday, November 11, 2007 01:17 PM
重ね重ねのコメントありがとうございます。
まず北海道新幹線ですが、現状では新函館までは着工されておりますが、札幌までの着工は決まっておりませんし、そもそも着工されるかどうかも、現時点では流動的です。
それでも実現可能性がゼロでないならば、それに対する対応を模索するのは、企業として当然の態度です。少なくとも九州新幹線我関せずを決め込む某社よりは前向きな態度かと思います。
仰るように騒音問題が解決困難なネックとなっているのは間違いないですが、シミュレーションだけでアタリをつけられるわけでもありませんので、現車試験を行ったこと自体は、やはり前向きな対応と考えてよいのではないでしょうか。むしろ直ぐに実用可能なのに採用しなかったのならば、その方が問題です。摩擦ブレーキに依存する非常ブレーキの負荷軽減に役立つ可能性はあるわけですから。現車試験でそこまでの確証が得られない、あるいは別の問題があって解決困難ということならば、採用しないことがひとつの見識という見方も可能です。
というわけで、さまざまな見方が可能な問題ですから、あえて結論を急ぐこともないでしょう。
Posted by: 走ルンです | Sunday, November 11, 2007 04:20 PM
>でも、必要になったときにはいつでも使えますというレベルに開発が完了したのかどうかの突っ込みが足りせん。
fastech360は速度もさることながら他の面で世界最高水準のレベルを目指した「試験車両」です。そのまま営業車両に反映されるかどうかはまた別の問題です。
>いつでも使える有用なものだったのか、安易にやってみたけれど、本当はだめで、だめだといえないからそう報道しているのか。
ですから、あの空力ブレーキというのはある一定の速度以上で効果を発揮するもので320km/h程度の速度では意味がないのです。それより重量が増し、無駄にスペースを取らなくてはならないことのほうがよっぽど問題だということで外されたんですよ。有用かどうかはJr東が十分分かってることでしょう。
>360Km/hがだめな理由は、騒音基準の問題であることは容易に想像されるわけで、民間企業として地上対策に巨額
ダメというか、問題の趣旨を理解してないようですね。
新青森で360km/hを運行させるなんて一言も言ってませんよ、JR東自身。またfastech360が一番ネックになっているのは騒音の類ではなく新在直通の車両であることを
書いておきます。それと何度も書きますが新青森で360km/hという速度は必要ありませんので。
Posted by: ROOT | Sunday, November 11, 2007 08:57 PM
こんばんは、いつも貴ブログにて色々と勉強させて頂いております。今回の件に関しましても、コメント欄における活発な議論から、個人的に「なるほど」と腑に落ちるものを得ました。新在直通車で360km/h運転を行う上での技術的制約の存在です。
「つばさ」系統の世代交代を、直接の新車導入で行うという発表は、実は私にとっては意外でした。新青森開業が2010年に迫り、それまでに「はやて・こまち」系統の速度向上に対応した車両の投入は必至と見ておりました。従って、
(1)「はやて・こまち」系統に300km/h以上の速度を出せる新車を投入
(2)E2系1000番台の一部は交流60Hz対応化の上、北陸新幹線富山開業用途に転用
(3)秋田新幹線用E3系を小改造の上、山形新幹線向けに転用
(4)200系と400系が玉突きで各々全廃
車両需給を考えたとき、以上のようなシナリオを勝手に想定していましたので、E3系の山形新幹線への追加投入は意外だったのです。
当面、秋田新幹線用E3系と新青森延伸用新車で300km/h運転を何とか行い、「こまち」の世代交代が必要となる2013年頃までに、何とか新在直通車の技術ハードルをクリアさせる… こんな状態なのかもしれませんね。だとすれば、結構な見切り発車ということに(笑)
そして最高速度に制限のある2階建て車両は、競合相手も少なく速度向上の必要性が薄い上越新幹線に押し込めると(>_<) コストをかけてまで速度向上対策を行う需要が無いのは分かってますが、未だに210km/h制限の箇所もあるようですし、「もう少し速くなってくれないのかなぁ~」と無理を承知で思っています。
ROOTさんも仰せのように、Fastechは試験車両なんですよね。理論値やシュミレーション結果とも、営業用車両による営業運転とも、役割は異なりますので求めるものは変わって当然です。今回の試験データを元に、新函館・札幌延長まで見据えた技術開発が進むのでしょうね。
二十数年もして、現在の関係者が利害関係から外れれば「事実」は「歴史」になり、色々と分かってきますので、現段階で真相を知ろうと急ぐ必要は薄いかと思います。
Posted by: Super White Arrow | Monday, November 12, 2007 02:05 AM
コメントありがとうございます。少々間が空いちゃいましたが。
ROOTさんの情報では、新在直通車両がうまくいっていないようですが、これも実車試験を行ったからこそわかったことですよね。この速度域では円弧踏面では走行安定性に問題が出るのでしょうか。だとすれば解決は難しいかもしれません。
いずれにせよ運転速度の認可を得るには、実車試験に基づくデータの添付が必要ですから、どれだけ丁寧なシミュレーションを行っても、実車試験を省略はできないわけです。
というわけで、高速車両の開発はまだ続くわけですし、私たちも見守りたいところです。
Posted by: 走ルンです | Tuesday, November 13, 2007 05:55 PM