中国高速鉄道に新幹線型車両
寒い年末を迎え、新しい年が波乱含みの予感で語られることが多いように感じますが、やや遡って、このニュースを取り上げないわけには参りますまい。
高速鉄道車両、中国が新幹線型採用・川重など技術供与北京―天津間に来年8月開業予定の高速鉄道新線用の車両ということで、全線高架の旅客専用線ですから、限りなく日本の新幹線に近い形態の路線です。
記事中にあるとおり、当初独シーメンス製の車両の投入が予定されていたのですが、車両の落成が遅れているために、上海地区で投入されて実績のある子弾頭^_^;タイプの車両を投入し、シーメンス製と半々の割合になるということですから、記事中にある福田首相訪中の見返りという見方は当たらないでしょう。何しろ中国にとっては"国産"なんですから。
とはいえ日本の技術供与による車両の採用は、日本にとっては重要です。付加価値の高い部品レベルの輸出となりますから、利益レベルは高く、前の記事でも明らかにしたように、日本にとってはおいしい話なんです。一応最高速300km/hで営業運転を行うということで、足回りや電装品は”子弾頭"より強化されており、いわゆる"はやて"型車両としては初の速度域となるわけですから、この面でも注目されます。本家の日本では、東北新幹線新青森開業を待って投入される次世代型車両で320km/hが予告されている状況ですから、それに先駆けての300km/h運転となるわけですね。
ま、それをいえば台湾高速鉄道でも、本家の日本で285km/h運転に留まっていた700系をベースに出力増強型の700T型を導入して300km/h運転を行っており、本家に先行したわけですが、このように技術的に可能であっても国内では試すことのできないことを海外で経験するというのは、実は大変重要なんですが、日本の鉄道関係者の中には、そういった点を評価できない人たちが存在するようで、台湾高鉄では、開業を控えて派遣していた技術者を引揚げるという醜態をさらしました。こんなことしていては、世界の成長センターたるアジアでのビジネスチャンスを失いかねません。
思えばサブプライム問題で揺れた2007年も終わり、震源地のアメリカでは、地価下落や金融不安で先行き不透明ながら、産油国などの国富マネーの流入で株価が持ち直しているのに対し、サブプライムの影響がないはずの日本では、株価が下げ止まりません。この問題も以前に為替レートとの関連で取り上げたことがありますが、円/ドルレートの下げが1割弱に対し、日経平均株価の下落は1割超で、為替の調整幅以上に株価が下がっている状況です。それだけ日本の株式市場に魅力が乏しいことの証左であるわけですが、世界の成長センターであるアジアとの連携で下手撃っている間に、世界は日本を見放しつつあるということですね。
自己資金でリニア建設をうたったJR東海の株価が下げたままなのも、世界の投資家がリニアを魅力ある投資案件と見ていないということです。また非上場をいいことに、並行在来線の赤字負担までして長崎新幹線建設に舵を切るJR九州には上場の目がなくなったわけですが、地場企業が国の補助金を当てにするのと、世界の投資資金をひきつけるのとでは、どちらが地域経済の浮揚に貢献できるか、小学生でもわかる理屈ですね。
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