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December 2007

Monday, December 31, 2007

中国高速鉄道に新幹線型車両

寒い年末を迎え、新しい年が波乱含みの予感で語られることが多いように感じますが、やや遡って、このニュースを取り上げないわけには参りますまい。

高速鉄道車両、中国が新幹線型採用・川重など技術供与
北京―天津間に来年8月開業予定の高速鉄道新線用の車両ということで、全線高架の旅客専用線ですから、限りなく日本の新幹線に近い形態の路線です。

記事中にあるとおり、当初独シーメンス製の車両の投入が予定されていたのですが、車両の落成が遅れているために、上海地区で投入されて実績のある子弾頭^_^;タイプの車両を投入し、シーメンス製と半々の割合になるということですから、記事中にある福田首相訪中の見返りという見方は当たらないでしょう。何しろ中国にとっては"国産"なんですから。

とはいえ日本の技術供与による車両の採用は、日本にとっては重要です。付加価値の高い部品レベルの輸出となりますから、利益レベルは高く、前の記事でも明らかにしたように、日本にとってはおいしい話なんです。一応最高速300km/hで営業運転を行うということで、足回りや電装品は”子弾頭"より強化されており、いわゆる"はやて"型車両としては初の速度域となるわけですから、この面でも注目されます。本家の日本では、東北新幹線新青森開業を待って投入される次世代型車両で320km/hが予告されている状況ですから、それに先駆けての300km/h運転となるわけですね。

ま、それをいえば台湾高速鉄道でも、本家の日本で285km/h運転に留まっていた700系をベースに出力増強型の700T型を導入して300km/h運転を行っており、本家に先行したわけですが、このように技術的に可能であっても国内では試すことのできないことを海外で経験するというのは、実は大変重要なんですが、日本の鉄道関係者の中には、そういった点を評価できない人たちが存在するようで、台湾高鉄では、開業を控えて派遣していた技術者を引揚げるという醜態をさらしました。こんなことしていては、世界の成長センターたるアジアでのビジネスチャンスを失いかねません。

思えばサブプライム問題で揺れた2007年も終わり、震源地のアメリカでは、地価下落や金融不安で先行き不透明ながら、産油国などの国富マネーの流入で株価が持ち直しているのに対し、サブプライムの影響がないはずの日本では、株価が下げ止まりません。この問題も以前に為替レートとの関連で取り上げたことがありますが、円/ドルレートの下げが1割弱に対し、日経平均株価の下落は1割超で、為替の調整幅以上に株価が下がっている状況です。それだけ日本の株式市場に魅力が乏しいことの証左であるわけですが、世界の成長センターであるアジアとの連携で下手撃っている間に、世界は日本を見放しつつあるということですね。

自己資金でリニア建設をうたったJR東海の株価が下げたままなのも、世界の投資家がリニアを魅力ある投資案件と見ていないということです。また非上場をいいことに、並行在来線の赤字負担までして長崎新幹線建設に舵を切るJR九州には上場の目がなくなったわけですが、地場企業が国の補助金を当てにするのと、世界の投資資金をひきつけるのとでは、どちらが地域経済の浮揚に貢献できるか、小学生でもわかる理屈ですね。

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Wednesday, December 26, 2007

リニアと長崎を結ぶ線

まずは余談ですが、昨日、東急新6000系が神武寺から長津田へ発送されました。走ルンですファミリー増殖中ですね^_^;。

で、本題ですが、本日のニュースはこれですね。

JR東海、リニア新幹線を自己負担で建設・総事業費5兆円
取締役会で決定したということですから、企業としての機関決定はされたわけですが、前途多難ではあります。ちなみに株式市場の評価は辛口です。終値ベースで前日比-1000,000円、8.85%の下げという結果です。元々4月に松本社長が記者会見で発表してますので、既定方針どおりですが、今回企業組織として正式に取り組むこととなったわけです。

当ブログでは既にこの時点で取り上げておりまして、改めて付け加えることはないんですが、来年の株主総会が荒れそうですね^_^;。加えて新幹線については国の関与という面倒な問題もあります。というのも、70年代に施行された全国新幹線鉄道整備法によって、新幹線鉄道は国が基本計画を策定し、各種調査の後に整備計画を決定し、建設指示、工事実施計画作成の後に着工という風に手順が決まっております。これは新幹線の事業主体が国の機関である国鉄であることを暗黙の前提としていて、国(運輸省)が国鉄に指示する形で進めるもので、今さらな国鉄時代の遺物的制度です。

で、中央新幹線に関しては、現在基本計画線の段階で民営化を迎え、手続上は宙に浮いた形になっているのですが、JR東海がそれを引き継いで地形・地質調査の指示を受け、リニア新幹線として開業させようとしているわけです。今後需要予測、輸送計画、施設や車両の技術開発、建設費の試算などの指示を経て国(国土交通省)に諮り、整備計画として決定される必要があるのですが、この段階でおそらく国交省から、なぜリニアなのか、東京―名古屋間のみの事業なのかなど、かなり突っ込んだ検証がされるはずです。あるいはこの段階で例えば既存新幹線と直通可能な鉄軌道方式への変更などが指導される可能性もあります。今回JR東海が自己資金で行う事業ですが、国交省は法律手続は必要との立場を崩しておりません。

あと前述のとおり株主の同意はもちろん、資金調達も債券市場で起債により賄われると思いますので、果たして必要な資金が集まるのかどうかも不確定ですし、調達金利も高くなる可能性があります。そもそもルート選定からして不確定要素テンコ盛りで、特に東京側のターミナル計画でJR東日本との調整も全く手付かず状態で、現状ではJR東日本関係者からも「協力できない」という声が聞こえます。当然多数の旅客の乗降をさばく大規模施設となるわけですから、東京都との協議で都市計画に組み込んでもらう必要もありますし、そうなると東北縦貫線でも問題になっている都アセス条例に基づく手続も必要ですから、これらの課題をこなしながら事業を推進することはかなり困難です。

ま、JR東海もそんなことは百も承知でしょうけど、整備新幹線を巡る駆け引きの中で埋没することを嫌ったのではないかと思います。というのは、ここへ来て明らかに現在の整備新幹線建設スキームに綻びが見えてきたために、順番待ちしていては、いつまでたっても事業化できないと考えたのだと思います。それでJR東海単独事業として可能な計画を練ったということでしょう。

というのも、そもそも整備新幹線事業のうちの国の拠出分の原資となっている鉄道整備基金が、毎年度なし崩しで新規着工を重ねた結果、2007年度で枯渇することとなってしまったわけです。長野新幹線や東北新幹線盛岡―八戸間など、開業区間から発生するリース料で償還する前にこれですから、現状では財源がないことになります。もちろんリース料を裏づけに起債する手はありますが、基金の枯渇で資本がない状況での起債は、当然市場で足元を見られますから、不利な条件とならざるを得ず、国交省が言う「安定した財源」には程遠いものとなります。というわけで、道路財源の暫定税率も見直さずに、高速道路料金の夜間値下げのような無意味なバラマキが横行する中で、整備新幹線の新規着工は見送られました。その一方で長崎新幹線では強引な事業着手と相成りました。

前の記事でも触れましたが、長崎新幹線については2005年に既に予算計上されていたのですが、並行在来線沿線市町の反対で事業着手できず、予算執行が滞っていたわけですね。そこへ北海道新幹線札幌延伸と北陸新幹線敦賀延伸の新規着工の話が出てきて、執行できずに宙に浮いている予算を横取りされることを危惧した佐賀県やJR九州首脳の焦りが、今回の強引な赤字負担スキームへとつながったというのが真相のようです。つまりはバラマキ予算の取り合いの果ての話です。となればその延長線上に中央リニアの整備事業が現れるのはほとんど奇跡に近いわけで、このように読み解くと、JR東海にも焦りが見られるというわけで、長崎とリニアがつながりました^_^;。

ま、それでも上場企業であるJR東海に関しては、株価などで直接的に市場の評価が出てきますし、株主総会でブレーキがかかる可能性もあるわけですが、非上場のJR九州ではブレーキが効かない怖さがあります。また地方の格差問題にしても、新幹線、それも2,700億円かけて28分の時間短縮というコストパフォーマンス最悪のプロジェクトを推進することと、地元の有力企業を株式上場させることとどちらが経済的メリットが大きいか、冷静に考えてみましょう。ブレーキの利かない電車には乗りたくはないですよね。

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Sunday, December 23, 2007

E233系バリエーション

中央快速線の201系置換用として登場したE233系ですが、昨日京浜東北線用の1000番台が営業を開始、さらに近郊型仕様でG車組込の3000番台15連1本が国府津車両センターに登場するなど、いろいろ動きがあります。当ブログでも1年前の記事で扱いましたが、実車の登場、営業開始のタイミングで、改めて現状を見ていくことにします。

京浜東北線の1000番台ですが、6M4Tの10連×83本が登場予定で、現行の209系基本番台車を置き換えるとともに、広幅の209系500番台車を京葉線へ玉突き転属させる予定になっております。当初予告されていた6扉車は組み込まれませんでしたが、興味深いのは編成順序でして、中央快速線仕様の10連とは電動車位置が異なり、また6号車と9号車にサハを配置する編成は独特です。現行209系では6号車に6扉車を組み込んでおり、9号車とチェンジできる設計でしたから、それを踏襲していると考えると意味深です。おそらく6扉車組込をぎりぎりまで決めかねていたのではないかと推察されます。また状況によっては事後的な6扉車組込の可能性もあり得るわけで、投入予定の半数に達するまで判断を先送りした可能性はありますね。

1000番台は客用ドアの半自動スイッチが省略されてますが、投入線区に合わせたということですね。またE233系では加速度を2.3km/h/s,2.5km/h/s,3.0km/h/sに切り替える機能があり、0番台では3.0km/h/sに設定されておりますが、1000番台では2.5km/h/sに設定し、209系と揃えております。おそらくATCの設定を変えたくなかったのでしょう。また最近電装品のトラブルが多い209系の代替ですから、負荷の軽減を優先したと見ることもできます。それゆえ置換えにあたって中央線の場合とは違って減車がないわけですね。

毀誉褒貶激しい209系ですが、いわゆる走ルンですブラザースの1番手としてさまざまなチャレンジが盛り込まれておりました。車体の強度不足も指摘されてますが、これも極限まで軽量化を模索した結果といえます。209系狭幅車(りんかい線70-000系と川越線3000番台3100番台を含む)の車体の特徴として、ボギー中心間隔を国鉄新性能電車標準の13,800mmから500mm縮めて13,300mmとしている点に意味があります。ボルスタレス台車を採用する209系では、車体の荷重は台車の枕ばねで全て支持されるわけですが、ボギーセンターを500mm縮めることで、ドア開口部より内側に荷重の支点がくることで、車体の強度剛性上自由度が増します。

これを利用して外板厚を極限まで薄くしたわけで、"重さ半分"の技術的裏付けとなっているわけです。しかしその結果車体両端のオーバーハングが長くなり、曲線部での車体偏倚が大きくなるために、広幅車体の採用を見送ったのです。いわば軽量化のための狭幅車体採用だった点は意外と知られておりません。ですから派生車種として常磐線中電区間用に登場したE501系では、交直流車ということで搭載機器が多く、また高圧対策でアーク防止のための絶縁空間確保の必要もあり、ボギーセンターは13,800mmとされました。当然車体の剛性不足を補うために、外板厚は見直されております。同様に広幅車体のE217系や209系500番台も同様です。実はこの差が209系0番台の置換えに対し、E501系ではトイレ設置その他の改造で、E217系と209系500番台では電装品更新で延命という風に運命を分けたわけですね。

というわけでE217系の電装品更新改造のために予備車の確保が必要となり、既に協力メーカーである東急車輛でも製造ラインをE233系用に切り替えているために、予備車捻出のための増備車はE233系にならざるを得ないわけですね。かくして近郊型仕様の3000番台が登場することとなりました。そういった経緯での登場ですから、当面はE217系と共通運用で東海道線東京―熱海間15連固定の限定運用とされます。というわけで、当面211系の置換えには至らないわけです。ま、将来はわかりませんが、当面はE217系の更新に時間を費やすということですね。

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Tuesday, December 18, 2007

相鉄のバス路線売却で労使の泥仕合

暮れの押し迫ったこの時期に、スト含みの労使紛争ネタです-_-;。

相模鉄道、バス不採算路線撤退・売却を決定
ネット版の記事では省略されてますが、以前にも取り上げた相鉄のバス部門を巡る労使対立は根深く、24日からの96時間ストを機関決定しています。
労組が24日からスト計画、バスと鉄道で一日42万人影響/相模鉄道
ストの主眼はバス事業分社化を巡る労使対立であるわけで、暮れのこの時期に異例のスト突入の恐れが出てきました。

以前にも指摘したとおりですが、バス事業を巡る労働環境は激変しておりまして、かつては高給取りが多かったバス運転士ですが、事業者にとっては8割が人件費というコスト構造の中で、マイカーの普及によるバス離れと渋滞など走行環境の悪化に伴なう定時運行維持の困難さでさらにバス離れが助長される中、人件費の圧縮はやむをえない選択ではあります。実際、大手私鉄各社を見回しても、かつて小田急、西武、阪急、京阪の3社を除いて鉄道直営だったバス事業を分社化して給与体系を本体から切り離す分社化の流れは続いております。当然相鉄経営陣も、そういった他社の情勢を見て追随しているだけという認識なんでしょう。しかし他社でうまくいった手法が、なぜに相鉄では労組の理解を得られず頓挫しているのか、そこに何かありそうです。

首都圏では京王帝都電鉄(現京王電鉄)による京王バス(現京王バスイースト)の分社が嚆矢ですが、全国で見れば、福岡県の西鉄による地域子会社分社や、バス専業ですが奈良交通による子会社エヌシーバス分社などが先行します。いずれもバス事業の規模が大きく、会社単位では全業黒字ではあるものの、それゆえに認可運賃が低額に抑えられる一方、大所帯ゆえに労組の力が強く賃金レベルも高いため、特に末端の非採算路線の維持が年々困難になる中で、運賃や給与水準を本体から切り離すことで収支均衡を図る目的で始められました。

ただしいずれの場合も、単純な人件費の抑制策であれば、やはり労組の反対にあっていたはずですが、地域の実情に合った運賃水準と給与水準を実現することで、増発や新路線開設など攻めの対策が取れるようになるなど、事業そのものの見直しにつながるものだった点が特筆されます。西鉄ではマツダパークウエーやいすゞエルフ改の小型ワンステップバスの開発導入を行うなどしてますし、エヌシーバスでも日産シビリアンやいすゞDBR→MRなどのフロントエンジンワンマンバスで狭隘路のフィーダー路線を開拓するなど、かなり先進的な取組みが行われました。

京王電鉄のバス分社化にしても、当初はメーカーに依頼して開発した7m級リアエンジンワンステップバスの日産ディーゼルRNを用い、輸送単位を小さくして増便するなど、人件費抑制により可能な攻めの施策を打ち出して注目されました。その後バス事業は再々編されて事情は変わりましたが、新路線の開拓や、高採算部門である高速バスへの集中など、攻めの姿勢は今に至るも変わりません。また東急の場合でいえば、一旦東急バスへバス事業を分離した後、子会社(電鉄から見て孫会社)の東急トランセを立ち上げて、路線移管や新路線開拓などバス事業再編を進め、競争激化の貸切バス事業と小規模な高速バス事業からの撤退など、やはり得意分野に絞り込んでの事業再編を進めて今日に至ります。この辺が相鉄のケースでは希薄な印象があります。

実際のところ京王バスでは賃金を抑え込みすぎて社員の定着率が悪いなどの弊害も報告されているわけで、全面的に成功したと評することはできませんが、それでもバス事業に関して攻めの再編を仕掛けることはできたわけで、功罪に関して見方は分かれます。ただ、事業環境の変化が著しい中で、座して衰退のスパイラルに陥ることは、どのみち避けられないことではあります。

というわけで、予断を許さない状況の中で、労使双方が歩み寄れるかどうかが問われているということかと思います。今回会社側が打ち出した7路線売却案ですが、不採算路線だから切るということですが、そんな路線が他社へ売却できるとすれば、それはやはり相鉄のバス部門の給与水準の高さに由来するとはいえるわけで、こうして結果的に規模の縮小を呑まざるを得ない労組側にも弱みはあるわけです。かくして不毛な労使対立の構図は、誰も喜ばないものということはできます。

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Monday, December 17, 2007

並行在来線JR線として存続の長崎新幹線

長崎新幹線で動きが出たようです。

新幹線西九州ルート 在来線分離区間JR運行、沿線2県と合意 地元同意不要と解釈
九州新幹線西九州ルート 着工に向け加速 調整案を報告
うーん、これはなかなか牽強付会です。おさらいしますと、九州新幹線西九州ルート(通称長崎新幹線、以下この表記とする)の武雄温泉―諫早間の新規着工問題で、並行在来線としてJRからの切り離しが打診されていた肥前山口―諫早間で、沿線自治体3市町が反対し、佐賀県も沿線自治体の反対を押し切ってまで着工に同意できないという立場だったことは既に取り上げておりますが、しからば並行在来線区間をJR九州から切り離さないスキームをということなんでしょう。結果的に佐賀県と長崎県がJR九州から並行在来線区間の線路を買い取り、JR九州が引き続き運行することで、実質的に県が赤字補填をするということになります。

かなり強引な話ですが、反対の立場にある鹿島市と江北町が反対する理由を取り除くという発想です。そこまでして新幹線が欲しいかという話ですね。しかも当面はスーパー特急方式で在来線とスルーする予定ですから、時間短縮効果は30分程度と投資効率の悪いプロジェクトに拘泥することは滑稽です。とりあえず20年間にわたって7,000億円程度を負担するということですが、そこまで両県の財政が持つのかどうか。またJR九州自身も年間1億円程度の赤字負担を予定しているのですが、これでJR九州の株式上場の目はなくなったと見るべきでしょう。国鉄改革20年目にして改革の趣旨は大きく捻じ曲げられたといえます。

上下分離自体は昨今の流行りですが、政府全株式保有の特殊会社であるJR九州の場合、自治体へ収める固定資産税減免の特例を受けているので、県の線路保有による税負担軽減の意味はなく、あくまでも線路使用料の割引による実質的な補助金となるわけです。全業黒字の民間企業への補助金と考えると、いささか違和感のある対応ですし、それでも1億円の赤字負担を強いられるJR九州は、赤字額そのものは経営を揺るがすレベルではありませんが、上場企業であれば株主利益を損なったということで訴訟を覚悟する必要があります。その意味でこれを認めるようであれば、国交省の対応は改革逆行のそしりを免れません。

長崎新幹線自体は、既に2005年以来10億円の予算が計上されていたものの、並行在来線問題で予算の執行が滞っていたものですから、これで並行在来線問題が解決したと見なされて政治決着されることは間違いないところです。この辺は北陸新幹線の福井県への延伸や北海道新幹線の札幌延伸など、鉄道整備基金の枯渇で財源問題が決着していない新規着工区間とは違う話なので念のため。

しかし国からの補助金を天から降ってくるものとしか考えていないのでしょうけど、その補助金を得るために負担を受け入れるというのは、何ともアホらしい話です。整備新幹線問題でややこしいのは、国の補助金というのが、鉄道整備基金からの融資であって、開業後にJRから線路リース料を取って償還するわけですから、厳密には財政資金から補助されるわけではなく、空港特会や道路特会などと同じ特定財源でして、結局受益者である新幹線利用者の負担で作られるわけです。補助の割合なども厳密にはややこしい計算式があるんですが、簡単に言えば特定財源による国の負担分と同額を地方(県と市町村)が負担し、残りをJRが自己負担するという仕組みです。ですからJRも負担はあるわけで、この辺は誤解されているふしがありますが、JRにしても総事業費を圧縮できれば投資利回りが良くなるわけですから、一定のメリットはあるわけです。加えて非採算部門であるローカル輸送を切り離せるおまけまでつくわけで、というよりもむしろ、この方がJRにとってはおいしい話であります。

で、並行在来線は地元自治体が受け皿となって存続させるしかないわけですから、県も市町村も出資や赤字補填などの負担を強いられるわけで、新幹線の建設でも負担を求められ、開業後の並行在来線維持にも負担を求められるわけですから、結果的には負担は最後は全て地方に来る仕組みです。それでいて元々並行在来線の切り離しが求められるほどに大元の需要が弱い地域ですから、事業費に見合うリターンは期待薄です。経済学て言うところの収益逓減の法則に支配されるわけです。

というわけで、佐賀県と長崎県の皆さんにはバッドニュースというわけです。そうでなくても景況感が悪化しているときに、新たな負担を引き受けるというのは、とても正気の沙汰とは思えませんね。

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Sunday, December 02, 2007

海外輸送で国内も活性化するJR貨物

JR貨物がこのところ好調です。もちろんさまざまな補助を受けながらですが、いよいよ来年から京都議定書が実行段階となり、地球温暖化対策としてのC02削減義務が、メーカーの物流部門にも義務付けられる状況で、主に自動車、電機の両業界で鉄道輸送へのシフトが加速しており、2006年の実績で鉄道コンテナ利用が両業界で3年前の6割増という勢いです。それを象徴するニュースです。

JR貨物、トヨタ専用列車を増便・「愛知―岩手」1日2往復に
トヨタ ロングバス エクスプレスについては、過去にも取り上げておりますので、併せてご参照ください。列車の形態としては、コキに31ftコンテナ2個積みの20連という姿で、丁度スーパーレールカーゴの機関車牽引版のようなスタイルです。1列車でトラック40台分に相当しますから、2往復ということはトラック片道80台、往復で160台相当ということですから、CO2削減効果はかなりのものです。ただし元々は船便だったそうですから、効果を過大評価しないように注意が必要です。

一方で生産の海外シフトという悩ましい事態に対しては、レールのつながらない海外への継送が必要なことから、鉄道貨物の出る幕はなかったのですが、JR貨物は独自に上海ソウルへのルートを拓いております。上海は中国海運大手のPOSCOとの提携でコンテナ船を用い、ソウルへは博多港からのフェリーでJR規格の12ftコンテナを用いるもので、輸送のスタイルはかなり違いますが、電子部品や製品など、電機業界に重用されているようです。それぞれ12ftコンテナ換算で4,000個/年(上海)、600個/年(ソウル)まで成長し、国内貨物拠点駅だった福岡(タ)がコンテナ積み出しの拠点に変わったわけです。

で、非公式ながら、次の海外進出として、シベリア鉄道との提携も視野に入れているようです。というのも、12月にトヨタはサンクトペテルブルクで乗用車工場を稼動するのですが、船便で1月以上かかるところから、名古屋―盛岡間のトヨタ専用列車を日本海側へ延長して、船でウラジオストクへ運び、25日程度で結ぶルートを拓くということです。現時点ではJR貨物の小林社長の口頭での言及に留まり、トヨタが採用するには至っておりませんが、既に実証実験は終えております。さすがにJR規格の12ftコンテナにはならないでしょうが、いずれ名古屋発サンクトペテルブルク行きのコンテナが動き始めるかもしれません。

温暖化防止は待ったなしの状況ですし、原油価格の高騰で物流コストの上昇が避けられない中、鉄道貨物が価格競争力を持ちうる可能性はむしろ拡大したといえます。環境税の導入に慎重だった日本ですが、原油価格が上がって自動車の使用が手控えられる傾向が見え始めており、改めて環境税の効果が確認される状況です。既に省エネの進んだ日本では、努力目標だけでCO2削減が進むと考える方が無理があります。また、トヨタ専用列車でも明らかなように、鉄道貨物の輸送力の大きさにも注目すべきでしょう。結局一般財源化が後退する道路特定財源問題ですが、単線鉄道でも4車線道路に匹敵する輸送力を持たせることが可能なんで、温暖化防止と相まって、道路造るなら鉄道貨物に投資した方が良いことは自明ですね。とりあえず暫定税率の延長をやめて、改めで炭素税の形で課税することで、財源は生み出せますし。

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