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Tuesday, December 18, 2007

相鉄のバス路線売却で労使の泥仕合

暮れの押し迫ったこの時期に、スト含みの労使紛争ネタです-_-;。

相模鉄道、バス不採算路線撤退・売却を決定
ネット版の記事では省略されてますが、以前にも取り上げた相鉄のバス部門を巡る労使対立は根深く、24日からの96時間ストを機関決定しています。
労組が24日からスト計画、バスと鉄道で一日42万人影響/相模鉄道
ストの主眼はバス事業分社化を巡る労使対立であるわけで、暮れのこの時期に異例のスト突入の恐れが出てきました。

以前にも指摘したとおりですが、バス事業を巡る労働環境は激変しておりまして、かつては高給取りが多かったバス運転士ですが、事業者にとっては8割が人件費というコスト構造の中で、マイカーの普及によるバス離れと渋滞など走行環境の悪化に伴なう定時運行維持の困難さでさらにバス離れが助長される中、人件費の圧縮はやむをえない選択ではあります。実際、大手私鉄各社を見回しても、かつて小田急、西武、阪急、京阪の3社を除いて鉄道直営だったバス事業を分社化して給与体系を本体から切り離す分社化の流れは続いております。当然相鉄経営陣も、そういった他社の情勢を見て追随しているだけという認識なんでしょう。しかし他社でうまくいった手法が、なぜに相鉄では労組の理解を得られず頓挫しているのか、そこに何かありそうです。

首都圏では京王帝都電鉄(現京王電鉄)による京王バス(現京王バスイースト)の分社が嚆矢ですが、全国で見れば、福岡県の西鉄による地域子会社分社や、バス専業ですが奈良交通による子会社エヌシーバス分社などが先行します。いずれもバス事業の規模が大きく、会社単位では全業黒字ではあるものの、それゆえに認可運賃が低額に抑えられる一方、大所帯ゆえに労組の力が強く賃金レベルも高いため、特に末端の非採算路線の維持が年々困難になる中で、運賃や給与水準を本体から切り離すことで収支均衡を図る目的で始められました。

ただしいずれの場合も、単純な人件費の抑制策であれば、やはり労組の反対にあっていたはずですが、地域の実情に合った運賃水準と給与水準を実現することで、増発や新路線開設など攻めの対策が取れるようになるなど、事業そのものの見直しにつながるものだった点が特筆されます。西鉄ではマツダパークウエーやいすゞエルフ改の小型ワンステップバスの開発導入を行うなどしてますし、エヌシーバスでも日産シビリアンやいすゞDBR→MRなどのフロントエンジンワンマンバスで狭隘路のフィーダー路線を開拓するなど、かなり先進的な取組みが行われました。

京王電鉄のバス分社化にしても、当初はメーカーに依頼して開発した7m級リアエンジンワンステップバスの日産ディーゼルRNを用い、輸送単位を小さくして増便するなど、人件費抑制により可能な攻めの施策を打ち出して注目されました。その後バス事業は再々編されて事情は変わりましたが、新路線の開拓や、高採算部門である高速バスへの集中など、攻めの姿勢は今に至るも変わりません。また東急の場合でいえば、一旦東急バスへバス事業を分離した後、子会社(電鉄から見て孫会社)の東急トランセを立ち上げて、路線移管や新路線開拓などバス事業再編を進め、競争激化の貸切バス事業と小規模な高速バス事業からの撤退など、やはり得意分野に絞り込んでの事業再編を進めて今日に至ります。この辺が相鉄のケースでは希薄な印象があります。

実際のところ京王バスでは賃金を抑え込みすぎて社員の定着率が悪いなどの弊害も報告されているわけで、全面的に成功したと評することはできませんが、それでもバス事業に関して攻めの再編を仕掛けることはできたわけで、功罪に関して見方は分かれます。ただ、事業環境の変化が著しい中で、座して衰退のスパイラルに陥ることは、どのみち避けられないことではあります。

というわけで、予断を許さない状況の中で、労使双方が歩み寄れるかどうかが問われているということかと思います。今回会社側が打ち出した7路線売却案ですが、不採算路線だから切るということですが、そんな路線が他社へ売却できるとすれば、それはやはり相鉄のバス部門の給与水準の高さに由来するとはいえるわけで、こうして結果的に規模の縮小を呑まざるを得ない労組側にも弱みはあるわけです。かくして不毛な労使対立の構図は、誰も喜ばないものということはできます。

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