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Saturday, February 23, 2008

川崎市、公共事業で外資から資金調達

連日サブプライム報道が続きますが、要するに米住宅バブルの崩壊で、一時的に信用収縮が起きているのであって、こういうときは、従来と異なった資金の流れを作り出すチャンスでもあります。そういう文脈で読むべきニュースです。

川崎市、外資系金融機関から初の直接資金調達
私自身は川崎市民ではありませんので、対象となっている事業の是非について論じる立場ではありませんが、記事によれば中原消防署に併設されるホテル施設ということで、いわゆる行政機関の資産の高度利用といったたぐいの事業ということで、単純なハコモノではないですね。場所がJR横須賀線駅設置が決まっている武蔵小杉駅の近くということで、マンション建設ラッシュに沸く地域ですし、昨年、首都圏で最も地価上昇が顕著だった地域ですから、行政機関といえども、バランス上土地の高度利用は考える必要があります。

一方で小泉政権時代の三位一体改革とやらで、国からの交付金や補助金が一方的に削られた地方自治体にとっては、ただでさえ地価上昇で資金手当が難しくなる地域での公共事業は、資金難で取り組みにくいという事情もあります。今、国会で審議されていて、当ブログでも度々取り上げた道路特定財源問題でも、地方はもうこれ以上補助金を削られたくない一心で反対しているのですが、そうやっていつまでも国に頼っているから、ますます国に足許を見られて自立できず、画に描いた餅の地方自治が続きます。そんな中で、自治体が民間資金を調達して事業を行うという発想がなぜ出てこないのかと思っていただけに、今回のニュースには注目したいと思います。

ついでですけど、道路特定財源の中でも、今、国民の関心は暫定税率の問題に集中しているかと思います。これも筋からいえば一旦は国民に返すべき税源であると思います。と同時に、国税の減税分というのは、地方で独自財源として比較的容易に課税できる税源でもあるわけです。本当に道路が必要ならば、具体的な整備計画を明示した上で、地方で課税することを考えるべきです。当然、地方によって税率はバラつくはずですから、足の投票という地方自治の大原則に照らして事業費の圧縮圧力が働くはずですので、国の減税分がそっくり地方で課税される事態にはならないはずで、このあたりに落としどころがありそうに思います。

思うに、日本の低金利政策が、本来は2003~2004年の大規模為替介入の援護射撃の意味合いがあったようで、当時の米財務次官のジョン・テーラー氏が回顧録で明らかにしてますが、米政府は日本の為替介入に市場重視の原則論から難色を示していたのですが、ドル買い介入資金の非不胎化(ドル買いに用いた円資金を中央銀行が事後的に吸収せずに市場に存置してマネーサプライを増やす政策)で量的緩和政策を後押しするという日本側の説明に渋々承諾したのですが、実際にこれで円/ドル相場は円安へ振れ、事実上の輸出企業への補助金としたことで、企業業績が回復して国民が貧乏になったことを指摘しておきます。この結果、小泉政権下で公共事業に頼らずに景気回復を実現できたわけです。コイズミノミクスの正体です。ちなみにテーラー氏の交渉相手だった当時の溝口財務官は、2007年の統一地方選挙で島根県知事に当選しております。ま、政権への協力の論功行賞なんでしょう。

しかしその結果、日本の外貨準備は100兆円にも及ぶ規模となり、さすがに追加的に為替介入するわけにもいかなくなりました。元々介入資金は政府保証短期債券を発行して集めた民間資金ですから、やりすぎると資金需要が逼迫して市場金利を押し上げる要因になりますので、円高傾向が見えてきても打つ手がない状況ということです。コイズミノミクスがコイズミジレンマを生んだわけです。しかもサブプライム問題で米国の実体経済が冷え込みそうな現状ですから、さすがに日銀は利上げに動けない上に、たった0.5%の金利水準では利下げも無意味、それどころか原油高でさすがに物価に上昇圧力がかかり始めて、デフレ退治を口実とした金融緩和にも動けないということで、こちらもジレンマです。逆に言えば日本の低金利政策は、国際的な裁定取引の結果、今までと逆に円高圧力となるわけで、このことが外資にとっては、低金利でも為替差益で埋め合わせできる環境が整ったということで、今回の川崎市の事例に結びついたのかもしれません。

ということで、国の補助金を当てにする地方にとっては、外資を利用できる可能性が高まったわけで、これをチャンスに国に頼らない財政運営に舵を切る自治体が出現することを願ってやみません。例えば整備新幹線の新規着工問題ですが、国の補助金を当てにするのではなく、外資を利用することで活路を開くことを考えて欲しいです。ドル安の影響を受けるアラブの王族に、リスクヘッジを説得すれば可能性は十分あると思うのですがいかがでしょうか。

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Comments

いつもありがとうございます。
m(__)m

行政財産の高度利用とホテルというと
ある地方自治体のことを思い浮かべました。
ある政党が反対してメチャクチャになった案件がありました。
二の舞にならないよう祈るばかりです。

これからもよろしくお願いします。
m(__)m

御健康御多幸をお祈りします。

では、失礼いたします。

とまと

Posted by: とまと | Monday, February 25, 2008 04:28 AM

行政財産としての庁舎等も、毎年度維持費が発生するわけですから、高度利用によって得られるテナント料でカバーできれば、財政負担の軽減を通じて納税者利益は拡大するわけですが、当然、事業の中身によって、効果はまちまちですし、環境破壊などの問題を引き起こす可能性もあるわけです。

ですから反対派が妨害行動に出ることもあるでしょうけど、それらを市場では政治リスクとして評価することになり、場合によっては資金が集まらない事態も考えられます。それを防ぐには、意思決定過程を透明化して、反対派への理性的説得を行う必要があります。

そういった観点から、地方議会さえ通してしまえば、予算執行権限を盾に反対派を蹴散らすような事業の進め方が可能な、現行の公共事業よりも、はるかにマシな進め方にはなり得るのではないでしょうか。

当然、出資者に適切な利益配当をする必要がありますので、調達コストも圧縮され、無駄な出費も抑えられますので、この点からも望ましい結果が期待できます。

Posted by: 走ルンです | Monday, February 25, 2008 08:11 PM

地方は産業が役所と土建屋ですからねぇ・・

宮崎はそのまんま知事がセールスマンとなり県内商品を
売りまくっていますが、あれも一回りしたら終わり
地鶏は確かに美味いのですが買えるとなると別です。

そうなると地産地消くらいしか道が無く、結果土木
てな流れでしょう。

しかし名酒や焼酎の佐藤とか、南魚沼コシヒカリのように
長く続くブームもあり、宣伝や工夫ではどうにかなりそうです。

でもそれは土地や商品があってのこと。餃子の街宇都宮は
カクテルの街としても売り出し中ですが、なんで宇都宮で
カクテルなんだよと突っ込みたくもなります。
こういう盲目的施策は感心しませんね。

Posted by: SATO | Wednesday, February 27, 2008 11:18 PM

ややテーマから外れますが、公共工事を積み上げて、地方の土建屋を生かすぐらいなら、なぜ農業や林業に助成して、土建屋の業態転換を促すことを考えないのでしょうかねぇ。

京都議定書で折角森林のCO2吸収効果を認めてもらったんですから、IPCCの認証を得られる水準の林業を国内で実現するぐらいのことを考えてほしいですね。

Posted by: 走ルンです | Thursday, February 28, 2008 12:11 AM

管理人様失礼をご容赦ください。

土木建築業界の林業への転換を昔長野県が田中康夫?知事の時代に
やろうとしたようですがそのあとどうなったのかわかりません。
このコメントをみたマスメディア関係をはじめ
皆様のご高配をよろしくお願いします。
m(__)m

とまと

Posted by: とまと | Saturday, March 01, 2008 01:11 PM

田中康夫前知事の取組み自体は、そういう意味で先進的だったんですが、いかんせん国の制度が、山を森の緑で飾るよりコンクリートで固める方が、補助金たくさんもらえますから、県民の理解を得るには至らなかったようです。

けどね、国の補助金は結局のところ私たちの懐から出たお金なんで、もらって得した気分になるのは大間違いです。それよりも未来の富を生み出すために使うのが正しいのではないでしょうか。

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 01, 2008 09:11 PM

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