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Saturday, March 01, 2008

ゆりかもめのハブ損傷は設計ミス

2006年4月に起きました新交通ゆりかもめのハブ損傷事故で事故調の報告書が出ました。

新交通ゆりかもめ事故、金属疲労でハブが破断・事故調
報告書の要旨はこちらです。なお、48pに及ぶ調査報告書(PDF)に詳細が記されてますが、容量が大きいので直接リンクはいたしません。また、当ブログの記事は以下になります。
ゆりかもめ、手痛い週末全面運休
10年で経年劣化?ゆりかもめの苦悩
過去記事でも触れておりますが、10年で経年劣化というのは、そもそも公共交通システムとして問題ありですが、経年劣化による応力金属疲労を設計で考慮されていなかったということですから、設計ミスという評価になったわけですね。

ちょっと気になるのが、ゆりかもめのシステムは新潟鉄工の手になる点です。ご存じのとおり新潟鉄工は破綻し、輸送用機器事業を富士重工の鉄道車両製造事業と統合の上、新潟トランシスとして再生されたわけですが、これによって旧新潟鉄工と富士重工という、旧国鉄時代の気動車メーカー2社が合流した点に因果を感じます。

JR東日本顧問の山之内秀一郎氏の回顧録の中で、アルカディア号の火炎事故問題を取り上げておりまして、そもそもエンジンの設計が戦前の古いものだったことから、この事故をきっかけにエンジン換装が行われ、入札によってカミンズが採用されたのでした。寿命半分、値段半分、重さ半分の電車(いわゆる"走ルンです"シリーズ)の開発が、談合との決別を意図したものであったことを明らかにしてますが、気動車では前記2社の寡占状態だったことを考えると、破綻した新潟鉄工には、談合体質が染み付いていたといえるかもしれません。

新交通システムにしても、モノレール等のインフラ補助は、補助金事業として今話題の^_^;道路特定財源が充当されるという意味で、談合が日常化していると考えられますし、そういった中で、安全性が置き去りにされたのだとすると、何ともやりきれないものを感じます。今月30日には、同じシステムを採用した都営新交通日暮里舎人ライナーの開業が控えておりますが、ゆりかもめの事故を教訓として、安全運行を願ってやみません。

2/24には湘南モノレール西鎌倉駅のオーバーラン事故がありました。こちらは三菱電機製のシステムで、今まで大きなトラブルもなく運行しておりましたが、突然の不可解な事故で、間引き運転が続いております。こちらはブレーキトラブルということで、駅手前の下り急勾配が影響したのでしょうが、ゴムタイヤで粘着性能が高いことから急勾配を採用したことが仇になった可能性があります。

ま、湘南モノレールは純民間事業ですから直接関係はないんですが、湘南モノレールと同じシステムが千葉都市モノレールに採用されたことは知られております。純民間事業である湘南モノレールは収支好調ですが、千葉都市モノレールはいわゆる赤字三セクです。湘南モノレールはいわばショールームで、コストの一部を千葉につけ回すこともできてしまう状況というのもあるわけです。ま、この辺は憶測の域を出ませんが、補助金があるから自治体がモノレールや新交通システムの導入を考え、談合でシステムが決定するとすると、時間の長短はあるかもしれませんが、モノレールや新交通システムで不具合が発生する可能性は指摘しておきます。

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Comments

走ルンです様、いつもエントリーを楽しみにしております。

今回の記事で、「談合が日常化している」中で「安全性が置き去りにされる」という部分のつながりが、いまいちわかりませんでした。いくら談合で入札者が予め決まっていても、事故を起こしては指名停止になってしまうので、安全は軽視できないだろうと思います。

逆に JR西日本のように、私鉄との厳しい競合の中で安全性が置き去りにされるというケースは、より実感としてわかるのですが。

Posted by: Kay | Sunday, March 02, 2008 at 05:21 AM

コメントありがとうございます。

アルカディア事故をあえて取り上げたのは、国鉄型気動車のエンジンが戦前の設計を後生大事に温存した結果の影響と見ることができるという意味なんですが、わかりにくかったでしょうか。

談合が日常化すると、例えば三菱自動車のリコール隠しのように、ネガティブ情報の隠蔽に向かって、原因究明が甘くなる傾向がありますので、中長期では不具合の発生を抑えられなくなると愚考いたします。

注意が必要なのは、三菱自動車のケースでも、自動車業界の競争激化が背景にあって、相対的に弱い者が隠蔽に向かうということです。ですからJR西日本の問題とも通底します。

Posted by: 走ルンです | Sunday, March 02, 2008 at 10:24 AM

走ルンです様、いつも楽しく拝見しています。

第三セクターの新交通システムにはトラブルが多い、
という点には経験的に強く同意しますが、
「道路特定財源が使われている」ことをもって
「談合が日常化している」と断ずるのは随分乱暴の
ように思います。
メーカーの「談合体質」が事実であったとしても、
それで「安全性が置き去りにされた」とするのも
随分飛躍があります。

第三セクターの新交通システムにトラブルが多いのは、
システムが「一品物」で扱うノウハウに乏しい、
新会社として設立されるため熟練工に恵まれにくいなど
さまざまな要因があろうかと思います。
今回事故を起こした湘南モノレールの車両も、昨年
12月に営業運転を開始したばかりの新車とのこと
ですので、技術的にこなれていないシステムは
民間企業であってもトラブルに遭いやすい
という反例になっているようにも思います。

アルカディアの火災事故の後、確かにJR東日本は
同型の車両のエンジンを全て取り替えましたが、
その「戦前の設計」のエンジンはJR西日本、九州、
四国でいまだに現役ですから、エンジンそのものに
問題があったというよりは、整備のしやすさや出力の
向上など総合的な観点から取替えの決断をしたように
思います。
また、その事故の後JR東日本が取り替えたエンジンは、
カミンズではなくて当の新潟製かコマツ製なので、
「談合との決別」という点でもやや論拠として薄い
ように感じます。
(JR東海にはカミンズ製への換装例があります。
また同時期にJR東日本が新製したキハ100・110は
カミンズのエンジンを採用していますが....)

Posted by: mighkie | Tuesday, March 04, 2008 at 12:23 PM

さまざまなご指摘感謝いたします。

ご指摘のように、道路到底財源が使われているから談合体質と断ずることは確かにできませんが、消化すべき財源があるために、査定が甘くなる傾向は、公共工事に付き物であることもまた事実です。

ゼネコンがなかなか談合と決別できないのも、民間工事との価格差によるといわれ、一般論として民間工事は公共工事の3割減の相場水準といわれます。当然、民間工事では原価割れの安値受注もあるわけで、それを取り返そうとすると、談合しか出口がないのもまた事実です。そして道路特定財源は、既に毎年7,000億円規模の余剰が出ていて、一般財源化の議論も始まりはそこだったわけですから、個別事業の査定が甘くなるどころか、渋滞告知のLEDパネルを設置するなど、無駄遣いに余念がないこともまた確かです。

JR東日本のDCのエンジン換装についてですが、仰るようにコマツや新潟鉄工のエンジンも使われていますが、カミンズも使われてます。重要なのは、競争入札が行われたということであり、しかも国鉄時代に納入実績のなかったコマツやカミンズまで入札参加を呼びかけたものです。換装すべきエンジンの台数も多いですから、1社独占にはならなかったようです。

また換装はエンジンだけで、液体変速機は使いまわされたので、エンジンはリミッターで出力制限されてましたので、新潟鉄工の出番がなくなることはなかったのでしょう。むしろNDCと呼ばれる軽快気動車を三セク向けに売り込んでいた時期に、JR東日本への売り込みに失敗したという評価も可能です。

湘南モノレールの事故ですが、事故車が昨年12月に登場したばかりの5503Fですから、初期故障の可能性は皆無ではありませんが、同形車の5501Fが2004年に登場しており、細部の仕様変更はあるかもしれませんが、これまで大きなトラブルもなく運用されてきたわけですから不可解です。少なくともこれで千葉の車両更新の提案は出しにくくなったわけで、開発費の元を取る算段に狂いが生じた可能性はありますね。少なくとも言い値では買ってもらえないかも。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, March 04, 2008 at 06:08 PM

お返事ありがとうございます。

公共事業がこれまで談合の温床であったこと、またこれが改善されるべきものであることに異論はありません。
ただこれが変わりつつあることも事実で、ご指摘の第三セクターの各社の実際のところどうかは私にはわかりません。新交通システムという性質上、新技術の見本市の状態になって高コストになるのはある程度避けようが無いのかなとも思います。「公共事業だから談合だ」と叫んでみたところであまり改善効果があるとも思えず、こればかりは具体的に指摘していく他無いでしょう。

JRは談合を自身の努力によって排除したというご趣旨、了解です。また、キハ58のエンジンにはカミンズもあったのですね。勘違いでした。すみませんでした。

湘南モノレールの事故ははっきり言ってよくわかりません。ブレーキディスクに傷があったとの報道もありますが、だからといって3両全てのディスクでブレーキが一斉に効かなくなることも考えにくく、非常に不可解な事故だと思います。
千葉都市モノレールの車両の更新は既にアナウンスされていますね。下記リンクのイメージを見ると確かにお金の使い方を間違っているような印象は受けます(^^;
http://www.chiba-monorail.co.jp/uf-otype/urban-flyer.html

今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: mighkie | Wednesday, March 05, 2008 at 11:22 AM

千葉都市モノレールは既に車両更新を決めてましたか。どうりで湘南モノレールに突然新車が入ったわけだ。実物でプレゼンしてたわけですね。貴重な情報ありがとうございます。

にしても千葉のおかげで湘南モノレールは赤字転落の心配をしなくて済むのは、沿線住民としてはありがたいですが、やっぱ不公正な感じですね^_^;。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, March 05, 2008 at 09:42 PM

JR東日本の山之内氏が談合を根絶したかったというのは本当の話だと思いますが、その後、談合は根絶したのでしょうか?答えはNOです。道路公団民営化と同じで、談合の体質はより巧妙になっています。
外国部品を輸入するといっても部品レベルであり、TGVとかICEとかを買ってきて新幹線に走らせているということはないし、民鉄にシーメンス製の電車が走り始めたという話もありません。鉄道車両の車輪・車軸はすべて一社独占の国産です。
フランス・ドイツにはトヨタの車が走り、日本にはボルボやベンツが走っていて、イギリスには日立の電車が走っていても、
当面、日本にはアルストームやシーメンス製の電車は走ることはないでしょう。唯一の例外は、広島電鉄でしたが、官民でその後の増備を妨害したという鎖国状態を続けていることがその証です。

Posted by: Hybrid | Saturday, March 08, 2008 at 05:55 PM

コメントありがとうございます。

仰るような状況は確かにありますね。ただ、広島電鉄はユーザーである広電自身が国産化を希望したという事情もあって、コンビーノの輸入は打ち止めになりましたが、京急のチャルメラインバータ共々、どうもシーメンスのアフターサービスに対する不満があるようなんです。

ま、これも多分シーメンスの方が世界標準であって、国内市場を失いたくない日本のメーカーの方が、事業者のご機嫌伺いが習慣化して、過剰サービスに走っているきらいもあります。

いわゆる「お客様は神様」シンドロームとでも言いましょうか、結果的に神様ならぬモンスターを育ててしまっている状況がありますね。

よく「日本の輸出産業は生産性が高くて優秀だが、国内サービス産業が生産性が低くて非効率」みたいな言い方がされますが、サービスにお金を払う習慣がなく、客はおだてて財布のヒモを緩めさせるという日本独特の商慣習が災いしているものではないでしょうか。グローバル化が進む現在、日本の大きな弱点ですね。

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 08, 2008 at 07:50 PM

お返事ありがとうございました。
確かに「日本的商習慣」はありますね。
それが、商2個ならいいんですが、企2企だったり、
民2官になると、白人からは黄色人種共通の「袖の下」商習慣に見えるのではないでしょうか。
日本も東南アジアや中国と同様の3等国以下に見えるようですね。
企業のトップはハニーに弱い?なんてこともあるようですし、技術立国なんて言っていた時代が懐かしく思います。
鉄道も、イギリスやドイツから技術導入を行ってきたわけですが、なぜかフランスの技術は入っていないのではないでしょうか?フランスから交流電気機関車を輸入しようとしていて、官民で妨害したことをいまだに恨まれていると聞いたことがあります。

Posted by: Hybrit | Saturday, March 08, 2008 at 09:37 PM

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