日銀総裁人事の国民的意味とは?
今回は鉄ネタ抜きでまいります。まずはこのニュースです。
日銀人事で民主、政府案反対の構え――空白回避へ駆け引き今月19日に任期を終える福井総裁ですが、結局金利正常化道半ばでの退任となるわけですが、後任人事を巡る与野党のせめぎ合いが続きます。メディアの論調は、ほぼ「任期満了までに後任人事が決まらず空白になる、えらいこっちゃ」という感じですが、ちょっと待って欲しいです。国民の視点を忘れるなと言いたいです。
そもそも日銀総裁などの国会同意人事ですが、従来は政権与党の数の論理で粛々と決められていて、国民の関心を引くこともまずなかったことですが、与野党ねじれ国会ゆえに、国会の同意をめぐる攻防によって国民的関心が喚起され、国民注視のもとでの候補者選びや衆参両院での所信聴取などの手続きが決まり、民主化プロセスに乗っかってきたことこそが、国民的には意義のあることではないでしょうか。少なくともこのような決定プロセスを踏むことで、誰がなるにせよ、今までのように政府与党関係者の利上げけん制などの圧力発言はできにくくなるという意味で、やっと日本でも中央銀行の独立性が担保される可能性が出てきたわけです。
にも拘らず「決まらなかったら大変だ」という政権を代弁するような報道しか見られないのが残念ですね。仮に決まらずに空位になったとしても、半年1年ならともかく、1週間や10日程度なら実務への影響もないし、それならば国民レベルで納得できる人選をする方が優先されるべきではないでしょうか。その辺は経済専門紙であるはずの日経からして駄目です。確かに中銀総裁を決められないというのは、政権にとってはかなりみっともない話ではありますが、そんな政権のメンツと国民合意のどちらが大切なのかということですね。そういった意味から、この問題に関しては、民主党には簡単に妥協してほしくないですね。
ま、どちらにしても利上げにも利下げにも動けない日銀の現状は動かしがたく、コイズミジレンマで身動きが取れない政府共々、身動きが取れないのですから、ミニ掲示板のヨタじゃないですが、あの白い犬にでも代役をさせるか(笑)。就任会見で「ボーイズ・ビー・アンビシャス^・A・^」というか「ありえないっす^・A・^」というか。「メール受信タダじゃないぞ!」だったりして^_^;;;。
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Comments
日銀総裁人事は日本だけの問題ではありません。今まさに経済危機の真っ最中でFRB,ECBが必死になっている時に日銀の総裁が空席ということは許されないのです。
反対だから反対、でも自分達の意見はないから言わない。
馬鹿な国民は許すでしょうが国際社会は許してくれません。
仮に民主党が政権を取ったとして果たして国際社会が小沢一郎を立派な指導者として認めてくれるでしょうか?
いや認めてくれません。
やりたければやればいいでしょう。
でも後悔するのは今ではありません。
Posted by: サミットでガン無視 | Wednesday, March 12, 2008 04:09 AM
そのFRBやECBをはじめとする欧米中銀5機関による協調行動がとられたというニュースがありますが、日銀は不参加です。直ちに参加する状況にないからですね。
で、欧米共に資源価格上昇と実体経済の後退懸念がある中で、FRBは実体経済重視で利下げ、ECBはインフレ懸念で金利据え置きと判断が分かれております。
資源価格上昇の恩恵を受けている資源国でも、米との関係が深いカナダは利下げ、経済が過熱気味のオーストラリアは利上げという具合に、各国ばらばらの対応で、直ちに協調行動をとる環境にはありません。
そもそも日銀の金融政策は、80年代後半の低金利政策によるバブル生成から、90年のバブル崩壊後の懲罰的な金融引締めで混乱を招き、経済減速下で異常な低金利政策に舵を切れば、それを13年にわたって継続して、円キャリートレードなどで世界へ流動性を垂れ流しバブルを拡散するし、加えてBIS規制などの国際ルールの取り決めで見当違いなルールを押し込んで事態を混乱させるし
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2007/08/post_6c39.html
で、およそ20年余の間、世界に迷惑をかけどおしでして、今さら総裁人事に空白が生じるぐらい、些細な問題です(笑)。
ま、政府の指導力不足は露呈するわっけですから、その面で具合が悪いでしょうけど、国民の視点からは「そんなの関係ねえ、はいオッパッピー!」てなもんです。
Posted by: 走ルンです | Wednesday, March 12, 2008 06:35 PM
>ま、政府の指導力不足は露呈するわっけですから、その面 で具合が悪いでしょうけど、国民の視点からは「そんなの 関係ねえ、はいオッパッピー!」てなもんです。
正気か?とのけぞってしまいました・・・。
走ルンですさんのポジショントークならそれはそれであり、でしょうが・・・。
人様のブログのコメント欄で無粋な真似はしたくない主義ですが。
しかし、なんかやけっぱちな文章ですね。これは一読者の率直な感想です。
Posted by: fly to sky | Thursday, March 13, 2008 12:17 AM
JAPAiNというのをご存じでしょうか。英エコノミスト誌が、停滞する日本(JAPAN)の苦痛(pain)を現す造語を見出しとする特集を組んだんですが、昨年の参院選後の衆参ねじれから、大連立を経て現在に至る政治状況を踏まえて、日銀人事すら決められない政治の停滞を指摘しております。
問題は日銀人事の空白そのものではなく、政治なのだということを明確に指摘しているわけで、海の向こうの大陸のそのまた向こうの海の向こうの遠い外国のメディアが、ここまで正鵠を射た報道をしている一方で、上っ面をなぞる国内メディアの体たらくぶりは、大本営発表か社会主義国の国営放送かというぐらいのギャップがあります。
3/12付日本経済新聞朝刊に、同特集の抜粋(邦訳)がありますので、一読をお勧めします。はっきりいってヘコミます。多少おちゃらけないとやってらんないです。
Posted by: 走ルンです | Thursday, March 13, 2008 06:22 PM
結局私を含め有権者の質が低いの一言につきてしまうと思います。
どういう形にせよ自らつくるということを忘れないようにしたいです。
Posted by: とまと | Friday, March 21, 2008 07:35 AM
今の政治の停滞を、民主政治のコストとして割り切ることが、国民のとることができる態度でしょう。外野席で騒ぐのではなく、自らの当事者意識が問われますね。
Posted by: 走ルンです | Saturday, March 22, 2008 09:56 PM