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Sunday, April 13, 2008

未来へ翔る新型スカイライナー

N'EXの車両更新を取り上げた以上、こちらも取り上げないとバランスが悪いですね。E259系がが2009年登場ですから、ある意味2010年の成田空港新アクセス完成によるニュースカイライナーを迎え撃つためということも言えます。両者は現状でも棲み分けられてはいるのですが、スカイライナーのてこ入れで、勢力図が変わる可能性は十分あります。

まずは現状ですが、JR東の253系は、3連及び6連合計111両で30分ヘッド、スカイライナーはAE100形8連7本でピーク時30分ヘッドですから、JRは新宿や横浜など広域に運行して集客しているのに対し、京成スカイライナーはひたすら上野、日暮里と成田空港を往復するだけですので、半分以下の車両数で対応できているわけです。編成定員も400名超でその意味で意外と生産性は高いかもしれません。ただしターミナル立地の劣勢は拭えず、JRやリムジンバスの後塵を拝する結果となっています。

一方で京成グループとしては、ちはら線を直営化した後、北総線が悩みの種でした。千葉ニュータウン計画自体、北総線のほか、千葉県営鉄道北千葉線(仮称)、成田新幹線を通し、それをテコに大規模開発を目論んでいたのですが、北千葉線については結局県営鉄道としては実現せず、北総と重複しない小室以東の区間が紆余曲折を経て京成の子会社である千葉ニュータウン鉄道を第三種事業者とする北総鉄道の第二種事業区間として現在に至ります。またオイルショックを契機とする政府の総需要抑制策によって、建設が内示されていた成田新幹線は凍結され、2度と復活することはありませんでした。

千葉ニュータウンについては、誇大と思われる開発計画から逆算されたのでしょうけど、北総鉄道は初期投資が過大となり、それが運賃へ跳ね返って首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃ゆえに、沿線開発は一向に進まず、累積赤字を垂れ流す結果となりました。昨今ようやく沿線に大規模商業施設がオープンするなど、開発が徐々に進み、単年度で黒字を出すには至ったものの、累損一掃には程遠い状況です。一方で成田新幹線ですが、構想線は土屋(信)~成田空港間が成田空港高速鉄道としてJR成田線と京成線が乗り入れる形で実現し、東京~西船橋間は京葉線都心ルートとして実現しているのですが、千葉ニュータウンを通過する区間は当然実現しておりません。ですが都心から遠い成田空港の鉄道アクセスに利用しようという構想は度々浮かんでは消えしました。中には京葉線都心ルートで実現した区間と、着工の目途が立たない有楽町分岐線(亀有ルート)とをつなぎ、押上から京成線、高砂から北総線を通り、印旛松虫(仮称、現印旛日本医大)から成田新幹線ルートを通って成田空港へ至るものなどもありました。当然、京葉線都心ルートと成田空港高速鉄道が実現して、構想は消えたわけですが。

その意味で成田新幹線ルートを用いた成田空港アクセス鉄道のアイデア自体には、それほど新しい要素はないのですが、今回の北総ルート活用では、山手線上のターミナル(日暮里)から30分台という具体的な目標を掲げて練られた計画であるという点に新しさがあります。併せて北総線のてこ入れ策でもあるという点も見逃せません。
詳しくは新型スカイライナーwebサイトをご参照ください。またニュースリリース(PDF)もご参照ください。

現状と比べ、15分の時間短縮とピーク時20分ヘッド運行がアナウンスされてます。つまりは時間短縮と折り返し間合いの見直しで、現行の最大運用数で対応できるわけで、ここがキモです。つまり成田新幹線の落とし児である北総ルートを活用することで、生産性を劇的に高められるわけです。スピードアップによる集客増とともに、おそらく現行と同等の運賃料金でサービスレベルを高められるわけですね。加えて同じ北総ルートで一般車両によるアクセス列車を20分ヘッドで設定でき、既存の京成線ルートからも20分ヘッドで併せて1時間最大9本の列車設定が可能になるわけです。あと裏技ですが、第1.第2ターミナルの中間に位置する東成田駅を活用すれば、さらに上乗せが可能なわけですから、盆暮れ春秋連休などの需要期への対応力も高まるわけで、京成としては力が入りますね。実際新型スカイライナーは8連8本を投入予定ということで、おそらく高速運転で走行距離を稼いでしまうことから、検査予備を余分に見込んでいるものと思われます。

となると、あとの興味として一般車両によるアクセス列車がどういったものになるかですが、いわゆるエアポート快特が京成線内快速に格下げされ、佐倉止まりになるなど、成田―羽田連絡の実態を失っている状況ですが、北総ルートによる復活があるかどうか、興味は尽きません。ただし一般車両使用ですと、最高速160km/hというわけにはいかないでしょうから、成田―羽田間、直通1時間には程遠いといえます。それでもダイヤ上の制約は減ります。

いわゆるインフラ投資で、前の記事でも指摘しましたが、新線効果が長続きしない状況にあるわけですが、人口減少が始まっている以上、避けられない問題です。その一方で成田空港新アクセスのような事業では、既存ストックに付加価値をつけることができるわけで、今後のインフラ整備のあり方を示すものといえましょう。元々成田闘争という負の歴史を背負っている千葉県ですが、高度成長が去った今、改めて身近な資源を有効活用していく知恵が求められます。

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Comments

>高度成長が去った今、改めて身近な資源(既存ストック)を有効活用していく(付加価値をつける)知恵にが求められます。

北総線は累積赤字を垂れ流し続け、首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃が据え置かれたままですが、千葉都市モノレールのような上下分離(債務の株式化(DES)→市への固定資産の無償譲渡→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)や、名古屋ガイドウェイバスのような減損会計導入(軌道の評価額を「ほかの用途への転用ができない」ことを理由に7億3000万円から0円に100%評価減→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)等によって累積損失解消と固定資産減価償却の事実上の前倒しを行ったほうが、ポスト高度成長期の既存ストックを有効活用していく上で有利なのではないかと思います。

高度成長期までは工事費が安くインフレ率が高かったため、高度成長期までに整備された鉄道インフラの減価償却や債務返済は今ほど問題になりませんでした。しかしポスト高度成長期は工事費がやたら高く、しかもインフレ率・GDP成長率ともども低いためにポスト高度成長期の鉄道資産を抱える事業者はどこも巨額の減価償却や債務返済に苦しんでおります。公営企業には減資の概念がないので都交通局・市交通局は千葉MRや名古屋GWBのようなことがやれないようですが、北総鉄道は株式会社でしかも非上場ですから千葉MRや名古屋GWBのような手法がとれるのでは?と思ったりします。

北総鉄道は大株主が京成電鉄で、京成は東証一部上場企業ですから特別損失の発生を嫌がるかもしれませんね・・・しかし公的機関が大株主のTXや多摩都市モノレールではやれるなら実行したら高額運賃の解消につながりそうな気がします。持ち株の額面大幅減の分を取り戻すためには上場して時価が元の額面を上回る>高度成長が去った今、改めて身近な資源(既存ストック)を有効活用していく(付加価値をつける)知恵にが求められます。

北総線は累積赤字を垂れ流し続け、首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃が据え置かれたままですが、千葉都市モノレールのような上下分離(債務の株式化(DES)→市への固定資産の無償譲渡→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)や、名古屋ガイドウェイバスのような減損会計導入(軌道の評価額を「ほかの用途への転用ができない」ことを理由に7億3000万円から0円に100%評価減→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)等によって累積損失解消と固定資産減価償却の事実上の前倒しを行ったほうが、ポスト高度成長期の既存ストックを有効活用していく上で有利なのではないかと思います。

高度成長期までは工事費が安くインフレ率が高かったため、高度成長期までに整備された鉄道インフラの減価償却や債務返済は今ほど問題になりませんでした。しかしポスト高度成長期は工事費がやたら高く、しかもインフレ率・GDP成長率ともども低いためにポスト高度成長期の鉄道資産を抱える事業者はどこも巨額の減価償却や債務返済に苦しんでおります。公営企業には減資の概念がないので都交通局・市交通局は千葉MRや名古屋GWBのようなことがやれないようですが、北総鉄道は株式会社でしかも非上場ですから千葉MRや名古屋GWBのような手法がとれるのでは?と思ったりします。

北総鉄道は大株主が京成電鉄で、京成は東証一部上場企業ですから特別損失の発生を嫌がるかもしれませんね・・・しかし公的機関が大株主のTXや多摩都市モノレールではやれるなら実行したら高額運賃の解消につながりそうな気がします。持ち株の額面大幅減の分を取り戻すためには上場して時価が元の額面を>高度成長が去った今、改めて身近な資源(既存ストック)を有効活用していく(付加価値をつける)知恵にが求められます。

北総線は累積赤字を垂れ流し続け、首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃が据え置かれたままですが、千葉都市モノレールのような上下分離(債務の株式化(DES)→市への固定資産の無償譲渡→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)や、名古屋ガイドウェイバスのような減損会計導入(軌道の評価額を「ほかの用途への転用ができない」ことを理由に7億3000万円から0円に100%評価減→特別損失+累積損失分の減資→累積損失解消)等によって累積損失解消と固定資産減価償却の事実上の前倒しを行ったほうが、ポスト高度成長期の既存ストックを有効活用していく上で有利なのではないかと思います。

高度成長期までは工事費が安くインフレ率が高かったため、高度成長期までに整備された鉄道インフラの減価償却や債務返済は今ほど問題になりませんでした。しかしポスト高度成長期は工事費がやたら高く、しかもインフレ率・GDP成長率ともども低いためにポスト高度成長期の鉄道資産を抱える事業者はどこも巨額の減価償却や債務返済に苦しんでおります。公営企業には減資の概念がないので都交通局・市交通局は千葉MRや名古屋GWBのようなことがやれないようですが、北総鉄道は株式会社でしかも非上場ですから千葉MRや名古屋GWBのような手法がとれるのでは?と思ったりします。

北総鉄道は大株主が京成電鉄で、京成は東証一部上場企業ですから特別損失の発生を嫌がるかもしれませんね・・・しかし公的機関が大株主のTXや多摩都市モノレールではやれるなら実行したら高額運賃の解消につながりそうな気がします。上場して時価が額面大幅減の分を取り戻してしまえば「勝ち」でしょうから。

Posted by: JM | Monday, April 14, 2008 at 07:02 AM

あれ?気持ち悪い文章になってしまいました・・・誠にすいません。下から数えて四段落目の途中 >高度成長が去った今、 から文末までが本文です。

Posted by: JM | Monday, April 14, 2008 at 07:09 AM

コメントありがとうございます。オン書きで長文はつらいですね。

減損会計ですが、バランスシートを縮小して、有利子負債を減らす効果はありますが、問題はその規模です。当期利益の範囲内の特別損失ならば1年こっきりですから問題を引き摺りませんが、当期利益より額が大きければ、資本(純資産)を毀損することになります。

そうすると場合によっては資本増強が必要になるわけですが、自治体と民間が出資する第三セクターの性として、出資者の足並みが揃いにくいということになります。特に新年度から地方財政健全化法が施行され、三セクでも一定の条件で連結対象となりますから、従来のようにホイホイと追加出資は難しくなります。北総の場合初期投資が大きいだけに額も大きくなると考えられるだけに、難しいのではないでしょうか。

また自治体がインフラ保有する形の上下分離ですが、千葉モノレールのように既存市街地に立地する場合と違い、郊外鉄道の北総鉄道では、元々の固定資産税評価額も高くないと考えられますので、あまり効果がないのではないかと思います。財務体質の強化法ですが、事業者ごとに実情に合わせて考えるしかないでしょう。

にしても印旛日本医大は運賃で成田空港より高くなりますので、新アクセス開業後は、中間駅の方が終点より運賃が高いという妙なことになりますが、北総鉄道自身が線路保有者として線路使用料を徴取できるわけですし、成田空港の後背地として沿線価値が上がって開発が進む可能性など、新アクセスは北総船のテコ入れ策でもあるわけですから、将来の増収分を見越した運賃の見直しや割引で対応する可能性はあると思います。ま、楽しみにしましょう。

Posted by: 走ルンです | Monday, April 14, 2008 at 08:29 PM

遂にデザインが発表され、開業が近いことを実感させられます。8連8本とのアナウンスですが、10連対応で作られた京成上野に加えて高架化後の京成船橋も10連対応となり、かつ改良後の日暮里も10連対応となるようですから、遠くないうちの10連化も視野に入れているように感じます。もともと空港第二ビル・成田空港は10連以上を容易に入れられますしね。


本文中で御指摘の「北総線へのテコ入れ」、確かに通過旅客は大幅に増えますが、現状のシステムでは北総経由か京成本線(既存線)経由であるかを識別できないように思います。識別するとすれば、前述した空港第二ビル・成田空港の長いホーム長を活用した、ダブルラッチ方式が挙げられましょうか。北総線経由列車と京成本線経由列車で停車位置を分け、その境界にも改札機を設置して、北総線経由の場合は

北総線経由用ホーム→中間改札→京成線経由用ホーム→京成改札→ラッチ外

という形でルートを識別する方法が思い浮かびます。


実際のところ、印旛日本医大~土屋の新規建設と土屋~成田空港の線増、さらには北総線内の線形改良に結構な費用がかかっているはずです。160km/h運転ということは、信号設備もGG現示対応のものに更新せねばならないでしょうから、設備投資額は決して少なくはないはずです。なので、現状の上野・日暮里~空港が1000円という運賃水準では設備投資を回収するのに時間を要し、北総鉄道の累積債務解消は遥か遠くの出来事となってしまうように感じられます。

あくまで個人的な感触のレベルですが、以上のように感じます。既存ストックの活用で付加価値を高めるとはいえ、京成グループは民間企業ですから、付加価値向上での受益者に相応の負担を求めてくるのではと思います。

Posted by: Super White Arrow | Thursday, April 17, 2008 at 09:19 PM

コメントありがとうございます。ご指摘の点、確かに成田空港と空港第2ビル両駅の長いホームを利用した改札分離は可能でしょうし、まして自動解札ならば、人件費も抑えられますから、可能性は皆無ではないですね。

しかし上野にしろ日暮里にしろ、京成のターミナル立地の悪さは致命的で、これぐらいのスピードアップでやっとJRやリムジンバスと互角というところかと思います。値上げ前提では計画は成り立たないと見ます。

幸い北総鉄道自身は単年度黒字転換を果たしております。一応都市鉄道でゆっくりながら沿線開発も進んでいる状況ですから、一旦黒字転換すれば、よほどのヘマをしない限り、再度の赤字転落は心配しなくて良いのです。

加えてスカイライナーなどの通過で線路使用料が入るわけですから、とりあえず待避線増設などの追加費用分の手当は可能と見ます。加えて成田空港高速鉄道の線増部分などについては、自治体の追加出資で対応可能ですから、北総鉄道自体の追加負担にはなりません。

あと旧都市基盤整備公団線区間も京成の子会社の千葉ニュータウン鉄道が保有しておりますので、事実上この区間も北総鉄道への経営支援となっている上、京成自身も自社列車となる空港連絡列車の線路使用料支払が連結決算で相殺されるわけですから、京成、北総双方にメリットがあるわけです。その辺はかなりうまい仕組みが構築されてます。

加えてJR尼崎事故後の安全強化策として都営浅草線ファミリーのATS更新が予定されているわけですから、信号システムの見直しはどのみち必要なので、重複投資にはならないわけです。

あと大声じゃ言えませんが(笑)、仮に集客がうまくいかなかったとしても、現状並みに40分ヘッド平常ピーク時30分ヘッドの減量ダイヤとすれば、運用本数を減らせますから、この場合はコストダウンになるわけで、京成と北総のコラボレーションでリスクヘッジしている形になります。案外負担は少ないのです。

Posted by: 走ルンです | Thursday, April 17, 2008 at 10:25 PM

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