バスでPASMO二重引き落とし
PASMO導入でイオカードどパスネットと共通バスカードが一つになってから1年半、元々鉄道系が乗車券に対してバスは回数券と違いがあったわけですが、これは盲点でした。
バス運賃、パスモで取り過ぎ1100万円これはPASMOやSuicaをカードリーダーにタッチするときに、中途半端だったり、複数カードの二重読み取りなどでエラーとなったときに、再度タッチして正常処理とすべきところ、運転士が取り消し処理をしてしまうと、運賃が引き落とされてしまうため、再タッチで二重取りとなってしまうわけです。
記事では運転士のミスとなってますが、共通バスカードではエラー処理で取り消し処理をして一旦カードを排出してから再度リーダーに通す仕様ですから、これをミスと言うのは酷でしょう。マン=マシンインターフェースの設計ミスです。バス各社はシステム改修を行うことにしています。
私事ですが、最近うっかりバスカードの残高不足で追加支払をSuicaでと申し出たところ、運転士がかなり焦ってタッチを制してテンキーを操作したことを思い出します。運賃箱のディスプレーでも、SuicaやPASMOでタッチしたときの画面は、現金やバスカードのときと全く異なるものになっていて、処理系が別であるようです。システムの仕様上やむをえないのかもしれませんが、ミスを誘発する可能性はありそうだと思い、PASMO対応のバスでもバスカードで利用するように気をつけておりましたが、案の定でした。
報道によれば7月に乗客からの照会で発覚したそうで、PASMO導入事業者全社で起きていたそうです。この辺はシステム設計の難しさなんでしょうけど、疑問なのは処理系が異なるならばあえて既存の運賃箱システムと切り離して対応できなかったのだろうかということです。日本のバスの運賃箱は元々ハイテクの塊りで、バラ銭を投入しても即座に運賃が表示されるなど乗務員支援の観点からは優れものには違いないのですが、そこへ鉄道から移植されたICカードシステムを後付けしたことで、基本思想の異なる処理系を並存させなければならなかったことが、今回の事態を招いているのではないでしょうか。何でも一緒にすればよいとは限らないわけですね。
これはバス会社の責任なのかどうかは微妙ですが、そもそも運転士が1人1人運賃収受することを前提としたパッセンジャーフローの仕組みは、運転士に過度のストレスを与えるものでもあるわけで、欧州を中心に乗客のセルフチェックを前提とした信用乗車システムが定着していれば、かくもハイテクな運賃箱は必要ないわけです。また運行管理上も停留所での客扱い時間を考慮した運行ダイヤにせざるを得ませんから、道路交通の流れを無視した低速運行が見られるなど、生産性を高められない状況にあります。その結果バス運賃は割高にならざるを得ず、運転士に負担に見合う賃金を支払うことも難しくなっているわけです。これは同時に乗客にとっても、本来はもっと低価格で高サービスが受けられる可能性をみすみす逃しているのかもしれません。
lこのあたりを考えると、そもそもPASMOで鉄道とカードの共通化をはかる意味は何だったのかを考えざるを得ません。カードは共通化されても、乗継割引があるわけではなく、それぞれの独自の閉じた運賃体系の中で、決済だけを共通化したに過ぎないんで、現状では乗客側のメリットがはっきりしません。
一応バスカードの割引部分相当のバスポイント(*1)やバスチケット(*2)という制度は導入されているものの、乗客に理解されているものかどうかわかりません。
*1 =毎月1~末日の間で、バス利用金額10円につき10ポイント付与される。
*2 =バスポイント1000ポイント毎に100~450円相当のバスチケットが付与される(10年間有効)。バスチケットはバス乗車時に優先的に引き落とされ、バスポイントは付与されない。別表参照。
バスポイント | バスチケット |
1000 | 100 |
2000 | 100 |
3000 | 100 |
4000 | 100 |
5000 | 450 |
6000 | 170 |
7000 | 170 |
8000 | 170 |
9000 | 170 |
10000 | 170 |