川崎重工イーエフセット開発、日車とは違います
結構ビッグニュースです。
時速350キロの高速鉄道車両、川崎重工が開発着手
世界市場向け350km/h新型高速鉄道車両「efSET」の自社開発について川崎重工は鉄道車両メーカーとしては珍しく、自らリスクを取って市場開拓を行う姿勢が強いですが、ついに高速車両まで自社開発することとなりました。商社の助けを借りながらの海外展開も熱心で、ニューヨーク市地下鉄の車両更新をほぼ独占受注するなどの実績を重ねておりますが、それだけに海外市場の難しさを知りつつ、国内では為し得ない高収益も可能というのをわかっているのでしょう。
海外向け高速鉄道車両では、日立の英国向けClass395電車が既に納入され、2009年12月予定の高速新線CTRLで営業開始予定です。日立のそれはAtrain技術を応用した廉価版で、IC225の置換え用という位置づけですが、efSETは350km/hという世界最高峰の高速運転を前提としたものということで、基本設計を2010年3月までに終え、設計検証も行うということですから、多分試験車両が作られるものと思います。さて試運転はどこでやるんでしょうか。
世界的に鉄道の復権は進んでおりますが、ひとり日本だけがその波に乗り遅れていた感があります。それが川崎重工のチャレンジで変わるかどうか、楽しみです。世界に目を向ければ、仏アルストムのAGVや独シーメンスのICE3などに留まらず、スペインもAVE350と称するタルゴトレインの改良型を独の協力を得て実現してますし、伊フィアットのペンドリーノやETR500、スウエーデンABBのX2000など百花繚乱です。今後BRICsやその他の新興国、資源国などで鉄道投資が続くのは確実で、既に陣取り合戦は始まっているといえます。
その中で台湾新幹線を投げ出した某社は、リニアを夢見る引きこもり自閉症児がごとき対応ですが、川重の試験車両の試運転には協力しないだろうなあ。伝え聞くところでは、リニアをアメリカに輸出したいらしいという話はありますが、アメリカでは既に貨物鉄道の保有する線路を利用した旅客輸送を行っている地域があり、事故報道で話題のメトロリンクも、カリフォルニア州南部のロスアンジェルス近郊輸送を担う旅客鉄道事業者で、いわゆるモーダルシフト政策で公的支援を得ております。
アメリカは貨物鉄道がインフラを保有し、Amtrakやメトロリンクなどが線路使用料を支払って旅客列車を運行するという日本のネガフィルムのような鉄道事情ですが、貨物鉄道はランドブリッジと称される産業インフラでもあり、船舶やトラックに対して圧倒的な競争力を持っている存在でもあり、新たにインフラ投資する必要は低いでしょう。世界を見ればリニアの入り込む余地はあまりありません。
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Comments
efset350は中国向けで、ICE3の高速、中国向けへの対抗馬として、開発されるものでしょう。
具体的な導入候補国もないのに、試験車両を作るまでのことはないからです。
中国当局は、先にICE3の中国版で380㎞/h営業運転をすると息巻いていますから、
川崎重工としても、CRH2-3(E2-1000)では物足りないと考えてのこと。
中国国内で試験走行すれば、基本的には国内で走行する必要はないのかも知れません。
Posted by: Hybrid | Sunday, September 14, 2008 08:24 PM
コメントありがとうございます。
確かに当面のターゲットは中国でしょう。実際シーメンスをはじめ複数の欧州系メーカーが売り込んでますし。その意味では試験走行は中国なんでしょうね。国内だと騒音基準も厳しいし。
ただ、中国以外も視野に入っていると思います。重要なのは、今動かなければ、参入のチャンスそのものが遠のく可能性があるということでしょう。JRと組んでちゃぶ台ひっくり返されちゃ叶わないですし^_^;。
ま、それとJR東海が日車を傘下に納めたことで、他メーカーのシェアは確実に下がるでしょうから、その意味でも今なんでしょうね。そうすると功労者は東海?
Posted by: 走ルンです | Sunday, September 14, 2008 10:12 PM
もちろん中国以外も視野でしょうね。
しかし、そのためには中国で互角に欧州勢と勝負ができなければいけません。
Posted by: Hybrid | Sunday, September 14, 2008 11:14 PM
伏兵は某日本企業かも?
日本連合でODA使って応札するときにメーカーに分配するような護送船団式の政治介入がなければいいけど。鉄道はドメスティックな産業で輸出や技術協力には向いてないなんて言ってた某企業が転向してやる気になっちゃってるからなー。
Posted by: 蔵権 | Thursday, October 02, 2008 01:50 AM
コメントありがとうございます。何か情報をお持ちのようですね。ひょっとしたら10/1発足の新JICA(国際協力機構)絡みでしょうか。技術協力機関だった旧JICAに円借款(旧国際協力銀行所轄)と無償援助(外務省所轄)が加わってODAを一手に引き受ける機関に焼け太りましたからね。
鉄道はドメスティックゆえに国内市場では機会が限られる技術的ブレークスルーの機会を海外に求める必要があるんですが、護送船団でそれが実現するはずもないですけどね。
公開情報として差し支えなければコメント欄にリンク貼り付けてください。m(_ _)m
Posted by: 走ルンです | Thursday, October 02, 2008 08:21 PM
こんなニュースが出てきました。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090127/amr0901271840015-n1.htm
政治力を使って主導権を握りさえすれば、川重や日立のようにリスク背負わなくても継続して受注できるんだから良い商売ですな。
で、淘汰されるべき企業がゾンビのように生き残り、全体の競争力が低下していくとw
Posted by: 蔵権 | Tuesday, January 27, 2009 10:05 PM
情報ありがとうございます。
カリフォルニアの高速鉄道計画が動き始めたようですね。にしてもJR東海のやる気をどう評価しましょうか。
事業費から見て完全な新線と思われますが、フルターンキー(一括受注)でない限り、台湾の悪夢が再現するかもしれませんが、どうするつもりでしょうか。
Posted by: 走ルンです | Wednesday, January 28, 2009 09:19 PM