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October 2008

Saturday, October 25, 2008

中央リニア5.1兆円JR東海が自己負担の意味

またしても週末に金融危機です。しかも今回の主役は日本です。

円急騰、欧州市場で一時90円台
2003-2004年の大規模為替介入の結果、日本の外貨準備資金として1兆ドルに及ぶ残高を抱えていることは、コイズミノミクスの反動としてのコイズミジレンマとして既に指摘しました。またそれが輸出企業への輸出補助金として企業を助ける一方、国民生活を窮乏化させるものであること、さらに国の外貨準備の肥大化が、低金利の円を借りて高金利国債券で運用するいわゆる円キャリートレードに暗黙の保証を与えた結果、家計貯蓄をリスクにさらしたことも昨年の記事で指摘しました。また長く続いた日銀の低金利政策が世界規模のクレジットバブルの戦犯であり、巻き戻しの危険性があることも以前に指摘しました。今回はアクション自体は欧州発ですが、それだけ欧州各国で円キャリートレードが盛んだったということで、その巻き戻しが起きてしまったんですね。もはや対岸の火事ではありません。

簡単に言いますと、低金利の円資金を調達して、為替市場で投資先国の通貨に交換してそれぞれの債券等の金融商品に投資するという流れで、特に通貨フォリントが対ユーロで最高値から25%も下落したハンガリーでは、個人の住宅ローンにまで円資金で調達した資金が使われたほか、いわゆるサムライ債が多数の国て発行されていた状況で、金融危機で借り手が手仕舞って資金を返済する動きが出てきたものと考えられます。そのために返済資金の円を買う動きが世界的に広がったわけですから、為替介入で押し戻すことは不可能ですし、国際的にも非難を浴びます。

問題はそうやって買われた円が株式の購入などに回ってくれれば良いんですが、長く輸出企業優遇を続けた結果、円高は輸出企業の輸出減速で実体経済の先行き不安を連想させますから、円資金は単純に返済に回り、市場から消え失せるわけです。内需振興を図らなかったツケがまわったわけですね。

そもそもなぜ内需振興かといえば、高齢化が関係します。簡単に申し上げますと、工業化社会ではすべからく高齢化は進んでおります。ただ日本では高度成長の結果として高齢化のスピードが欧米より急なことが特徴です。逆に欧米の後追いですから、欧米の失敗を教訓にできる立場でもありますし、より重要なのは、韓国や中国を含め、アジア各国の経済成長が日本モデルの後追いとなっていることから、将来的に日本同様の高齢化に直面することは確実なわけで、この面でも日本が一定のお手本を示せるかどうかが問われております。

高齢化世代はいつまでも労働市場に留まらず、ある時点で退場するわけですが、それはとりもなおさず現役時代に蓄積した貯蓄を取り崩す生活への移行となります。厳密には公的年金制度の有無などで違ってくるのですが、議論が煩雑になりますので省きます。高齢化自体は公衆衛生の改善と医療の進化によるものですが、工業化の進捗による経済成長の結果として医療への支出が増やせるのもまた事実でして、結果的に救える命が増え、高齢化へと向かうのは必然です。その結果労働力の供給が不可能な高齢者が増えて、彼らは生産せずに消費だけを行う存在ですから、高齢者が増えるということは、国のマクロレベルでは貯蓄が減って消費が増えることを意味します。言葉を変えれば国内消費が国内生産を上回るということです。

これを人為的に回避しようとする試みは欧米で主に移民政策として実行されましたが、これがどういった結果となったかは、今回のサブプライムショックでわかるでしょう。アメリカは中南米のヒスパニック系移民の受け入れが契機となって住宅バブルを生じたわけですし、欧州でもイギリスやスペインは同様です。遡ってドイツでは主にトルコ系移民を受け入れた結果、非熟練労働市場が移民中心に切り離され、社会不安を起こしておりますし、またトルコ系移民の定住によって、彼らの高齢化の面倒を見る羽目に陥ります。重要なのは自国民も移民も等しく齢をとるのであって、移民政策は高齢化の解決策にはならないのです。

その結果貿易収支は赤字基調となるわけです。この部分が理解しにくいでしょうけど、国内消費が国内生産で賄えなければ必然的にそうなります。いわゆる国際競争力云々とは無関係です。ただ実際の貿易収支は為替変動で相殺されますから、その国が偏りのないマクロ経済政策を実行できていれば、貿易収支(実際はサービス収支を加えた経常収支)は、均衡水準を維持できるはずです。そのためには製造業では資本装備の充実による生産性向上が重要なんですが、実際には賃下げや非正規雇用の拡大による労働分配率の低下で対応し、むしろ設備投資も抑制的でした。結果的に日本企業はキャッシュフルになり、外資から買収を狙われることになったわけですね。

実際の日本の直近の貿易収支を見ると、8月に小赤字、9月に小黒字ということで、80-90年代に政治問題化したような状況とは様変わりしております。何が変わったかといえば、それだけ当時よりグローバル化が進んで、貿易収支や為替水準などが世界の人々の関心事ではなくなってきたということです。2003-2004年の日本の大規模介入も、だからこそできたのでしょう。また当時は世界的に経済は好調だったので、非難されることはなかったのでしょう。同じことを金融危機の今やろうとすれば、袋叩き間違いなしですが^_^;。

というわけで、貿易統計から見て奇妙な均衡状態にある今の日本ですが、ここ暫くの政策運営如何で、均衡状態を維持できるかどうかで変わってくると思われます。具体的には資本効率が低いと言われる日本企業の資本効率を高め、労働者1人当りの資本装備率を高め付加価値を拡大することが重要です。外需頼みで国民窮乏化政策を取るのか、高齢化を睨んだ消費主導型経済に舵を切るのかが問われております。その意味で今回の危機に立ち向かうには、バカ殿様宰相では無理でしょう。早く選挙やってくれ。

というわけでやっとリニアですが^_^;、JR東海はリニアの輸出に意欲を示しているということで、日本車輌を子会社化したわけで、理由としてリニア開発の技術情報の秘密保持を掲げております。どうも本気でリニアを売り込む算段のようですが、経済の客観情勢は上記の通り最悪です。そもそも今後の輸出は外貨稼ぎよりもグローバル化のプロセスとしての意味合いの方が重要です。高齢化が進む日本では、為替市場での円高維持こそが重要なんです。そうすれば資源が安く買えて国内消費市場が活性化されるわけです。

その意味でリニアに未来があるかどうかですが、まず欧米では圧倒的に鉄道ストックの厚みがある中で、部分的な改良や高速新線の建設は行われるものの、基本は既存ストックの活用がメインということで、日本流の新幹線ですら出番なしです。そういった意味で欧州方式の線路に日本製車両という組み合わせとなった台湾高鉄で、日本の新幹線技術を欧米流のデファクトスタンダードに摺り合わせるチャンスだったにも拘らず、途中で放り投げてしまいました。JR東海贔屓と見られる曽根悟教授でさえ、鉄道のグローバル化の意義を認め、相互に技術を理解して良いとこ取りすることを"国際化"と定義しているのです。リニアでいかに高度な技術を実現したとしても、システム全体がブラックボックス化された高価なソリューションになれば買い手は現れません。日本の家電や携帯で言われる"ガラパゴス化"になりかねません。

この辺は今までも散々指摘してきたところではありますが、鉄道ジャーナル12月号の佐藤信之氏の論文でヒントとなる部分がありまして、新たにこの記事を書き起こしました。つまり東京―名古屋間の中央リニアの整備費用と言われる5.1兆円の謎についてです。佐藤氏が指摘するのは、1992年10月にJR本州各社が新幹線保有機構から新幹線施設を買い取ったわけですが、その際にJR東海が支払った買取り代金が5.1兆円で妙な符合があるという点です。

このうち4.5兆円は25.5年、残り0.6兆円は60年の半年賦元利均等払いとなるわけで、4.5兆円分の支払が2017年3月で終了するということが重要です。その分のキャッシュフローが余剰となるわけですから、これをリニア実現に利用しようということのようです。ということで、ザックリ言って5.1兆円で実現可能なリニアから逆算された結果としての東名間最短ルート建設ということであれば、JR東海の意図が見えてきます。

つまり全額自己資金での費用負担の上限を示すことで、長野県から出ている伊那谷経由で駅も増やして欲しいという要望や将来出るであろう大阪延伸の要望などに対して、自己負担の限界を示すことで補助金を引き出そうとしている可能性があります。つまり敢えて政治圧力を利用しようということですね。それを証明するような動きもあります。

JR東海、リニア3ルート併記 経路綱引き本格化
リニア新幹線、直線ルート軸に協議 JR東海が国交省に報告
本来は新幹線整備は法令により国の事業とされるので、手続上は後者の国交省への報告が必要なんですが、それ以前に報告内容を明らかにし、自民党の部会へ説明したりしているのです。政治的意図ありありです。またこのような行動は企業としていささか不謹慎でもあります。というわけで、リニアと長崎の間の記事で指摘しなかった視点ですが、整備新幹線は政治新幹線だと確信する次第です。

ま、狙いとしては、政治圧力を利用するとともに、世論喚起して事業推進の後押しにと考えているのでしょうけど、間違ってもガラパゴス化を来すような企業の投資行動に公的支援なんかしちゃいけませんね。

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Sunday, October 19, 2008

資本主義の聖地を目指す京阪電車

金融危機に揺れる2008年秋ですが、大阪の中之島に鉄道が乗り入れます。厳密には4本もの地下鉄が通過する大阪中之島ですが、軟弱地盤に阻まれて駅の設置はできませんでした。意外な鉄道空白地帯ゆえに今回の京阪中之島線の開業は、大阪にとって大きなニュースといえます。

前の記事で中途半端に取り上げましたが、中之島といえば江戸時代の廻船問屋の集積地であり、主にコメの取引で財を成したのですが、江戸時代のコメは各藩が集めた年貢の一部を幕府に上納、幕府も藩も家臣にコメを禄として配分していたわけで、国家財政を司る貨幣の役割もありました。

武家は禄として受け取ったコメを廻船問屋に売却し、金子を得て家を維持していたわけですが、間抜けなのは、そうして収穫期にはまとまった売り物がでますから買い叩かれ、得た金子で日常食用のコメを買っていたわけで、わざわざ商人に儲けさせていたわけです。儲けの分だけ搾取されていたわけですから、武家は常に火の車、加えて幕府から普請(土木工事)の命令を受けて散財させられていたのですからたまりません。国の公共事業に付合わされて財政を悪化させる地方自治体の如しです^_^;。

言うまでもなく諸藩の謀反を恐れた幕府の統治政策ゆえですが、こうして藩に普請を押し付けていた徳川幕府はさぞかし裕福だったと思いきや、藩からの上納米は役人への報奨で消えて、財政難にあえいでおりました。それゆえ度々コメ相場で財を成した廻船問屋などの商人から借金をしていたわけですが、当然付加価値を生まない近世の統治システムでは返す当てがあろう筈はなく、かくして度々小判の改鋳(通貨切り下げに相当)が行われ、必然的に悪性インフレに悩まされておりました。その結果財政はむしろ悪化して、最後はデフォルト(債務不履行)で切り抜けるということが繰り返されました。いわゆる徳政令です。ま、不定期の法人税と捉えれば、それなりに制度インフラと見なすことも可能ですが。うーん、何か日本の統治機構って、当時とあんまし変わらんなぁ。

これを商人の側から見れば、ある種政治的なデフォルトリスクと見なせます。また当時の農業は基本的に封建的制度下での地縁的労働集約に依存して維持されていたわけですから、働き手の必要な農家は基本的に多産で、過剰人口を抱えていたのですが、当然年貢米を召し上げられている状況で、十分な食糧確保は難しかったわけです。また農業技術も未熟で、風水害などで当てにしていた収穫が不足することも度々あったわけで、そうなれば年貢米の取立てが圧迫され、藩や幕府から借金の申し出も増えるわけで、貸すのはいいけど貸出が増えれば当然デフォルトリスクも高まるわけで、かくして毎年の各地の作付け状況や生育状況、風水害の有無などの情報を頼りに、リスクヘッジの必要性が高いコメ取引の先物市場が形成されます。世界初のデリバティブ取引と言われます。

かように金融先進国だったはずの日本ですが、1940年ごろからのいわゆる戦時体制で伝統をかなぐり捨て、中央官僚による規制と計画経済の体制へ移行、戦後も続きます。特に銀行の護送船団方式方式は改正日銀法が施行される98年まで続いた窓口規制で、民間の商業銀行といえども、日銀の指導に従って融資先を選別すればよい仕組みでしたので、金融機関に求められるリスクテイク能力が失われ、バブル崩壊後の長期にわたる経済停滞を招きました。今回の金融危機でも、直接金融中心で債券での運用が主体の欧米銀で、疑心暗鬼で市場機能が毀損した現状に対する緊急避難策として時価会計の凍結措置がとられたのですが、融資が中心で債券よりも株式保有が多い邦銀の間から歓迎の声が漏れるのが情けないですね。融資や株式は凍結対象ではありませんし、そもそも邦銀の財務は健全ではないのかい。さすが現役閣僚が90年代の日本の不始末を自慢する国だけのことはあります(笑)。

というように工業化以前の近世にまで遡る日本の資本主義ですが、中之島はその中心だったわけです。現在も日銀大阪支店や造幣局を中心に銀行が多数店舗を構える金融街です。当然多数の通勤者がいるはずですが、従来は近隣駅からの徒歩通勤とならざるを得なかったわけです。そこへ直接乗り入れる新線ですから、注目度は高いわけですね。

今年開業の新線の中では、東京メトロ副都心線との対比が適切でしょうか。こちらも従来はJR山手線で結ばれていた東京西側の池袋、新宿、渋谷の3つのターミナルを結ぶ路線という意味で従来とは毛色の違う路線ですが、こちらはどちらかといえば再開発ブームに乗った大江戸線現象のコンテクストで見ることが可能ですが、軟弱地盤で既に金融街が形成され、一方東京の副都心ほど商業エリアとしての意味は薄い中之島は、見方によっては阪神福島などで進む再開発事業との関連性もあるのかもしれませんが、ややニュアンスが異なります。路線立地からいって、開業日の19日は本来の利用者が見込めない日曜日でもありますし、開業後何ヶ月かしてからの平日の状況で判断する必要があります。

同時に京阪にとっては、寝屋川信号所までの複々線が天満橋で途切れていて、複々線の輸送力を活用し切れていなかった状況の打開という意味があり、潜在的な需要は期待できるわけです。従来、京橋でJRへ流出していた利用者を梅田至近の新設4駅に運ぶと考えれば、ターミナル容量拡大による需要掘り起こしは期待できます。その意味で大阪市営地下鉄千日前線と競合する阪神なんば線よりも有望と考えられます。

元々京阪はインターアーバンを目指していたのですが、日本の大都市では市内交通の市営主義が強く、20世紀初頭にアメリカで爆発したインターアーバン(都市間電車)が、都市中心部へ直接乗り入れていたのに対し、京阪でいえば天満橋での市電との連絡で我慢せざるを得なかった歴史があります。戦前にも梅田進出を画策して果たせず、子会社の新京阪鉄道も、国鉄との競合を理由に鉄道省から京阪本体とターミナルの分離が求められて大阪天神橋(*)と京都大宮というやや中途半端なターミナル立地に甘んじていたのですが、これが阪急との戦時統合後、戦後分離時に路線がつながっていないことを理由に阪急に召し上げられてしまうという不幸な歴史を重ねた京阪です。

*= かつての天神橋駅は、駅ビルを要する2面2線のコンパクトなターミナルでしたが、駅ビル正面ファサード部は壁が抜ける構造になっていて、都心方向への延伸の意思が認められます。
というわけで、興味深い新線の開業ですが、今後に注目したいところです。

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Saturday, October 11, 2008

気がつけば半値、株安が止まらない

最近、母が保有する株を売却したんですが、そのときの話から始めます。母は自ら株を買うような人ではなく、保有株も父が生前に名義変更で母に持たせたものだったのです。高齢で要介護の母にとっては、株で持っていても意味がないわけで、年金暮らしで急な出費に備える意味から、現金化するということで、私の証券口座で売却したんですが、これが面倒な手続きオンパレードで、結局2ヶ月もかかってやっと終わったのです。

四半世紀前に購入した株ですから、まずは履歴を調べて、取得日の終値を取得価格と見なすことで特定口座へ入庫、名義変更も売却目的ということで、母の株主履歴を引き継ぐことで、贈与税を免除されます。このときの証券窓口でのやりとりで、見なし取得価格が使える一般口座を利用すれば、手続きも簡単だし、見なし取得価格が高めに設定されているので、納付税額も少なくて済むと言われたんですが、ホント証券窓口の尾根遺産^H^H^H^Hお姉さんはわかってないです^_^;。

確定申告して申告納税すれば、確かに国税は安くなりますが、確定申告自体の手間もありますし、確定申告すると、申告内容が地方にも共有されて事後的に住民税が課されたり、年金天引きの介護保険や高齢者医療保険が増額されるわけですから、その方が困るわけです。源泉分離課税を選択する方が合理的なんですが、目先の金額の大小しか見ていないんですね。

日本の金融関係者にはこの手の話は多数ありまして、フローとストックは別物という常識が通用しないことにめまいを覚えました。四半世紀前に取得した株式は、価格はおおむね4倍相当になっておりまして、確かに納付税額は決して小さい額ではないんですが、現行軽減税率で10%(本則20%)が売却益から天引きされて処理が終わる特定口座取引の方が、手続上もメリットがありますし、通常の貯蓄と比べても、配当を受け取りながら期間中の物価上昇率を超えるキャピタルゲインが得られているのですから、多少の現金の目減りは問題ではありませんし、むしろ生活の糧となっているフローとしての年金受給額の手取りが減少する方が痛手です。この辺の当たり前の感覚を投資家と共有できない金融マンが多すぎます。むしろ投資家のはやる気持ちを抑えつつ、喜ばれる結果を得ることの方が重要ではないでしょうか。、ま、現実は上から言われたノルマに追われているんでしょうけど。

元々個人の株式保有の理由は、貯蓄の代替であるわけで、いくら株式を持っていても、またいくら保有株式が値上がりしても、それで直接食べ物や衣料が買えるわけではありません。売って現金に換えて初めて使えるのであって、今回の株安でも、お金が消えたかの如く言う人がいますが誤りです。株、債券、不動産などの資産は、貨幣の価値の貯蔵の側面を代替するのが本来の姿です。

しかし上場大企業同士ならば相互の信用情報が既知であるという前提で、相対で保有する資産を直接交換することも可能ですし、実際に例えば株式市場に無用な圧力を与えない目的で市場外取引は結構頻繁に行われます。つまりは価値の交換手段としての貨幣の機能を一部代替しているわけですね。米国発金融危機というのは、ザックリ言ってこの企業間の信用に基づく相対取引が、相手の信用情報に不信が芽生え機能不全に陥ったということです。中央銀行がいくら資金供給しても追いつかないほど非正規の信用創造がされていたわけです。

そんな中で流れた株式全面安のニュースですが、今回はパニックになっているようですね。米金融危機の連鎖ではあるんですが、今回の日本では大和生命の破綻のニュースが不安心理をかきたてた結果と考えられます。前日には上場REIT(不動産投資信託)の投資法人破綻がありましたし、不安材料は確かにあるんですが、それぞれ個別問題であって、連鎖の可能性はほとんどありません。

というわけで、今回も株の仕込みのチャンスかもしれません。特に相対的に高値で掴んだ金融株の買い増しを狙っておりますが、これは同時に平均購入価格を下げる意味もありますので、相場の状況を見極めたいところです。

ただし日本株の注意事項は、持ち合い株問題があるということです。安定株主対策の美名のもと、事業会社同士が株式を持ち合うことで、市場に出回る株式数が制限されれば、受給がタイトになって株価が下支えされますし、昨今は買収防衛策としても持ち合いがされているのですが、そもそも買収を仕掛けられる企業は、キャッシュフルだったり資本効率が低くて利益率が低かったり、場合によっては保有資産額を下回る時価総額しかなかったりで、経営の不在にこそ理由があるんですが、お構いなしに持ち合いを増やしてきた現実があります。

今回の株安はその結果企業の株式含み損を拡大することとなり、株価半減ならば減損処理で損失を確定させなければなりませんから、当然決算予想の下方修正を迫られ、それがさらに株安を助長するという負のスパイラルに陥る可能性があります。今回の株安もそれで助長された側面があると考えられます。持ち合いに使うお金があったら、自社の将来に備えた投資をすべきなのに、そういう意識が希薄なのは困った問題です。

今月は京阪中之島線が19日に開業します。中之島といえば、江戸時代は廻船問屋の集積地だったところです。廻船問屋というのは、船会社と商社を合わせたような業態ですが、主にコメの売買で収益をあげておりました。このあたりはフラット化する日本の黄金律という記事で取り上げましたが、コメの流通を通じて実現した資本蓄積が、日本の近代に多大な貢献をしたものです。今、地盤沈下がいわれる大阪経済浮揚の起爆剤になるかどうかは定かではありませんが、大都市圏の交通ネットワーク強化という意味で、副都心線や来春の阪神なんば線などと共通点があります。

ただし従来鉄道駅のなかった中之島ですから、既存線との連絡は渡辺橋駅と地下鉄四つ橋線肥後橋駅との地下連絡通路接続のみですから、直接的なネットワーク強化にはなっていないのですが、JR東西線北新地も徒歩圏ですし、中野島駅もJRと阪神の福島駅と徒歩範囲という微妙な位置関係ですから、特に駅勢圏の競合するJR片町線との間で乗客の転移が起こる可能性はあります。開業後どのような変化があるか見ものです。

将来構想として西九条延伸さらに新桜島から北興テクノポート線構想に沿ってWTC延伸などが取り沙汰されておりますが、現時点ではもちろん何も決まっておりません。WTC(ワールドトレードセンター)といえば赤字三セク全国ワースト1の大阪市のお荷物ですが、先日橋下知事が県庁新築計画を凍結してWTCへ入居という注目すべき発言をしております。実現すれば、既存施設の活用で大阪府、大阪市双方の懸案が解決することになりますし、オリンピック招致がコケて開発が滞っているウォーターフロント開発が活性化する可能性もあります。

というわけで金融危機のさなかではありますが、将来の新たな予感を含む京阪中之島線は、楽しみな存在といえそうです。

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