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Wednesday, December 31, 2008

2008年さてはナンピン弾腐れ

東京証券取引所大納会の30日、波乱の1年が終わりました。

08年日経平均、戦後最大の42%下落 終値8859円
1年の締めくくりとしては残念なニュースですが、これが現実ですから致し方ありません。42%下落でほぼ全銘柄が値下がりしてますので、ご他聞に漏れず私も損こいてます^_^;。年初にこんな記事を書いてますが、結果的に株で損したことを白状いたします。

しかし損失の程度は4割ほどですから、丁度日経平均の下落率と同等ということで、あくまでも現時点での評価としてですが、銘柄選択は大きく間違えてはいなかったということはできます。決算のない個人投資家の強み、あくまでも10年後に笑おうというコンセプトです。

しかし実際には値下がりで押し目買い(ナンピン買いとも言います)して損失を膨らませた人も多数いるようです。また逆に早めに売り抜けて損切りを成功させた人もいるようです。いずれも投資家間の損得勘定はゼロサムゲームの範囲内ですから、それ自身は自己責任の範囲です。それよりも相場全体が下げたことによる、社会全体への影響の波及を考えると、この程度の損失、しかも売らない限り実現しない損失で済んでいるとも言えるわけです。

一方でこの状況でも多くの企業が配当は続けているし、よほどのことがない限り今後も続ける意向であると発表しております。その結果日銀の利下げや株安による質への逃避による国債金利低下で、結果的に株式の配当利回りが相対的に高まっているので、持ち続けていれば、配当は受け取れるわけです。もちろん今後はどうなるかわかりませんし、一方で派遣切りなど雇用にしわ寄せが及んでいる中で、批判もありますが、株安はむしろ投資家の離反を恐れて企業の配当性向を高めるものと考えられます。

というのも、株安で本当に打撃を蒙ったのは、投資家よりも企業自身であるということです。言うまでもなく株式持合いの影響です。株価半減で減損処理を迫られる新会計基準の下で、多数の企業が保有株式の値下がりに苦しんでおります。そしてその中心に銀行が居る構図は、90年代の金融危機当時と似ています。株安で大手銀行保有株の含み益は800億円程度と推計されてますが、もう一段下げれば含み損となり、国際決済銀行(BIS)規制の自己資本比率を維持できなくなる恐れが出てきました。2007年のサブプライムショック以来、「日本の金融機関は健全」と言われてきたのですが、それが怪しくなっているのです。

そして株価の今後の動向ですが、グローバルオウンゴールで指摘したとおり、昨今の経済成長が世界規模のバブルによるものだったわけですから、その巻き戻しが起きることは避けられず、少なくともバブル以前の2002年レベルまでは戻すと考えるべきでしょう。となると株価は7,000円台ということで、一段の下げがあるということです。

またこの間日本は実質10%ほどの経済成長が見られましたので、それが巻き戻すということは、仮に誰かが言うように「全治3年」としても、3%超のマイナス成長が3年続くということになります。もうちょっとマイルドな2%マイナス成長ならば5年かかるわけで、その間の実体経済の冷え込みを考えると、株価の底割れ懸念は消えません。

結局株安は銀行の健全性を損ない、いわゆる貸し渋りを引き起こしているのですが、2つ経路がありまして、1つは株安の連鎖によるCPなどの社債市場の機能低下で、社債発行で資金調達してきた大手企業が新規発行が難しくなって、銀行に融資を申し込むという構図です。この場合担保余力の高い大企業が大量の資金を需要しますから、その結果中小企業への貸し出しが圧迫されるわけです。もう一つが上記の通り銀行自身の自己資本の毀損による貸し出し資産の圧縮です。そもそも欧米では利益相反が起きるとして銀行の株式保有は原則禁止されていて、BISの自己資本規制での株式含み益の算入は、邦銀に有利なルールとして日本が押し込んだものですが、90年代に続いて同じ過ちを繰り返すならば、日本も欧米並みに銀行の株式保有を原則禁止とすべきでしょう。そうすれば企業間の株式持合いの必要性も薄れ、株式市場が本来の投資家のためのものという性格を強めるはずです。それこそが金融ビッグバンで目指したものではなかったでしょうか。

加えて政府ですが、この緊急事態に緊張感ゼロの対応にめまいがします。税収減による財政赤字は避けられませんし、経済浮揚のための財政出動も求められますが、それは定額給付金のようなバラマキや、億ション購入ぐらいでしかメリットのない住宅ローン減税や、道路予算増額や整備新幹線新規着工などの旧来型公共事業の積み増しでもありません。輸出依存ではない新産業の創出による雇用吸収こそが求められます。

その意味でドサクサ紛れに札幌~長万部間の整備新幹線新規着工なんて話が出てくるんですから驚きです。電力浪費して空気を運ぶつもりかい(怒)。政府のナンピン買いみたいなもんです。

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Comments

さすがに空気輸送はないでしょうね。人口希薄地帯の北東北ですら流動はすごく多いのですから。

http://blog.goo.ne.jp/crofts/e/5862f7a84724c0e21cf9d53c4fc2f0c1

また、八戸へは意外に観光客誘致が成功しているようで。

http://blog.goo.ne.jp/crofts/e/3a22ebaa14594288823e6fed713946f3

現状のスーパー特急計画は九州方式という「方便」でしかありませんが、札幌までのフル化が完成された暁には、広島までと同様の3時間台が可能となるはず。世界一の航空トラフィックである羽田-札幌線から3割前後のシェアを奪うことでしょう。環境にやさしい新幹線の早期の建設を望みます。

http://blog.goo.ne.jp/crofts/e/a8a47007cf4a6e32d9b7404c4fd01bc2

Posted by: crofts | Thursday, January 01, 2009 at 11:56 PM

申し訳ないですが、北東北の輸送実績は、議論には関係ありません。東京とつながらない札幌~長万部間の新規着工の問題を指摘しているんですから。

しかも投資の適否の話ですから、投下した資金が、何年で回収されて、どれだけのリターンを生むかが問題でしょ。結果の利用人数を集計して「利用されている」と言うのは、統計として意味がありません。せめて開業前との比較とか、時系列の変化を示すとかしてください。

札幌~長万部間の1.8兆円の投下資金が何年かけてどれだけ増えて戻ってくるかが問題なんです。少なくとも年率換算で4%を超えるパフォーマンスが見られないならば、金利分すら負担できない赤字事業になります。

実際には貴方も認めるように、東京までつながったときにしか意味をなさないわけでしょ。加えて東京~札幌間3時間は無理です。ぎりぎり3時間台はあり得ますが、東北新幹線のスピードアップは宇都宮~盛岡間限定ですから、全区間360km/hで走らなければ達成できない3時間のラインは超えられません。

Posted by: 走ルンです | Friday, January 02, 2009 at 09:35 AM

いつも深遠な記事の数々を楽しく拝見しています。
今年も流線型先頭車の如く鋭く時代を切り裂くような
随筆を楽しみにしております。

ところで、私は、走ルンです氏におかれましては
辛口コメントの(^^;)何かと多い東海地区に
働いておりますが、個人的には
折からの不況を一世一代のチャンスと睨んでいます。
(会社自体は輸出企業なので為替的ピンチではありますが)
F1の出来レースのように波乱のないレース展開では
スタートからチェッカーまでオーバーテイクなしに
チームのランキングがそのまま勝利に結びつきますが
不況という悪天候は下位で不利の者には
むしろチャンスを与えてくれます。

出来レースを消化しているきらいのあった
下位チームにとっては色々な意味で良い機会です。

不況を不況と感じる危機感も、
その危機感を潮目と考える気概も、
そもそも政府には望むべくもないのじゃないかと思います。

Posted by: ポポロ | Sunday, January 04, 2009 at 12:22 AM

コメントありがとうございます。

>辛口コメントの(^^;)何かと多い東海地区に
失礼致しました。別に名古屋に恨みがあるわけではないんですが、輸出関連製造業にどっぷり浸かった一本足打法の危うさの表現がちょっときつかったかもしれません^_^;。

しかし予想は的中してしまいました。自動車はおそらくかつての鉄鋼や造船のような構造不況業種になったと考えられますので、立ち直りには10年単位の時が必要と考えられます。

一方でオバマ効果か、アメリカではソーラーや電気自動車など、次代を担うと思われる新産業がベンチャーの手で立ち上がってきていてさすがです。ビッグ3破綻の影響は、むしろ日本の自動車産業の方がダメージを受ける可能性もあり、去年までトヨタ世界一に浮かれていたメディアの何と浅薄なことかと思います。

仰るようにピンチはチャンス、下克上の時代かもしれませんが、90年代「出でよベンチャー」と言われて出てきたのがホリエモンというあたりに、日本の限界を感じてしまいます。形骸化した政府の「骨太方針」よりも、私たち自身が目覚めなければならないのかもしれませんね。

本年もよろしくお願いいたします。

Posted by: 走ルンです | Sunday, January 04, 2009 at 09:44 PM

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