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Sunday, February 15, 2009

鉄道投資を加速する世界停滞する日本

世界が鉄道投資へと舵を切っております。

鉄道投資、世界で加速 日本企業に商機 18兆円市場
細かい話はいろいろあるんですが、元々鉄道投資に積極的だった欧州では、例えば仏TGV計画の前倒しは、重電メーカー+車両メーカーとしてのアルストム支援の意味がありますし、日立が優先交渉権を得た英高速鉄道計画にしても、英国内への車両工場設置や車両リース会社立ち上げなど、国内の雇用対策の色彩が強く、内需主導で経済を立て直そうとしていることが読み取れます。中国も内需振興のための経済政策で、鉄道投資を重視する姿勢を見せております。
中国鉄道省、インフラ投資を倍増 09年
アメリカでもカリフォルニアの高速鉄道計画着手に必要な90億ドルの起債住民投票で認められました
カリフォルニア州、住民投票で高速鉄道建設にゴーサイン
いずれもキーワードは内需と環境ということで、米オバマ政権が打ち出したグリーンニューディール政策に沿った考え方が共通しております。

しかるに日本はという話になるわけですが、まずはこんなニュースからです。

新幹線建設の負担増を新潟県知事が拒否 他自治体に波及も
さらに並行在来線問題で禁じ手を用いた佐賀県でも同様の対応となりました。昨年の資源高騰による原材料費の上昇分を転嫁しようとして反発されたものですが、国の直轄事業として推進される整備新幹線事業の矛盾が露呈した形です。整備新幹線の問題点は再三指摘しておりますので繰り返しませんが、整備新幹線を含む国の直轄事業としての公共事業が、地方財政の逼迫でブレーキがかかったわけで、野放図な公共事業の積み増しの成れの果てです。

一方で2009年度予算では、またも整備新幹線の新規着工が盛り込まれようとしております。

整備新幹線の未着工区間、9億円を追加要求 国交省
特に問題なのは北海道新幹線の札幌―長万部間です。なぜならば、新青森―新函館間で着工された区間とつながらない区間の先行着工となるわけで、ただでさえ予算がないなかで、直ちに収益を生まない区間の事業着手を先行させたわけですから、正気の沙汰ではありませんね。

既に特別会計である鉄道整備基金の元金(新幹線の本州会社による買取り価格への上乗せにより捻出)が枯渇し、一方で開業に伴なうリース料収入で長期間にわたって償還されるわけですから、特会に資金が戻るのを待ってから事業着手すれば問題は少ないのですが、なし崩しで新規着工を積み増した結果、資金の償還が先へずれることになりますので、償還を待てなくなったわけですから、ある意味自業自得なんです。またリース料を担保に債券発行や銀行借り入れで資金調達する手はありますが、これはリース料を利払いで配当することになりますので、その分資金の償還が遅れ、トータルの利払いは増えるわけで、その負担は国民に付け回しされるだけです。もういい加減こんなことはやめるべきです。

ただでさえJR北海道の事業環境は厳しいわけで、整備新幹線のスキームでは、JRの受益の中身として、並行在来線の切り離しによる部分と、既開業区間の利用積み増しとなる培養効果の部分があるわけです。並行在来線問題では、東北でも噴出しましたが、旅客輸送だけでは赤字必至で、東北のいわて銀河鉄道と青い森鉄道では、JR貨物からの線路使用料収入で黒字化している状況です。しかもコスト負担力のないJR貨物へはJR東日本が支払う新幹線リース料に上乗せして得た財源で、JR貨物に負担増分を補填することで成り立っており、事実上JR東日本の財務余力を頼みとしているわけです。JR北海道に同じことを要求するのは困難です。加えて新青森が会社境界となる北海道新幹線の場合、いわゆる培養効果による根元受益はJR北海道には落ちないわけですから、結局並行在来線のうち、特に長万部―札幌間の山線区間のうち非電化の小樽までは、切捨てられること必至でしょう。この区間は仮に廃止されても、室蘭千歳回りで貨物ルートが形成されますから、結果的に倶知安やニセコなどの地域は見捨てられることになると考えられえます。それでいいのかどうかですね。

世界を見渡せば内需そして環境がキーワードとなって、各国が経済対策を積み上げているときに、日本だけが旧態依然のバラマキ政策しか取れないとすれば、世界で最後まで経済停滞に悩まされる国になるということです。定額給付金なんぞで政治が機能不全になっている場合か(怒)。

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Comments

投資を行わなくなってしまうと技術も停滞するんですね。
いったい、FastecのSだのZだの言っていたJREの技術陣はいまどうなってしまったんでしょうか?
E5系は姿が見えてきましたが、その次がありません。
在来線区間をうまく走れなかったZといううわさは本当だったのでしょうか

Posted by: Hybrid | Sunday, February 22, 2009 at 05:21 PM

日本国内の場合、厳しすぎる騒音振動基準が行く手を阻んでいるようです。国鉄時代の名古屋新幹線騒音訴訟で厳しすぎる司法判断が出た結果ですが、国鉄時代の臭いものに蓋体質が災いしたものです。

300km/h超の速度域の性能と在来線区間の走行性能の共存も難しい課題のようですが、現時点で諦めたという話も聞こえませんし、東京側の線路容量が限界いっぱいで、はやて・こまち併結運転を簡単に諦められるわけでもないですから、いずれ何らかの対策がされると思います。

それよりも整備新幹線のスキームが明らかに曲がり角なのに、代わる仕組みが見当たらないことが問題でしょう。世界では鉄道投資にフォローの風が吹いているのに、何も決められない日本という点が問題です。

Posted by: 走ルンです | Sunday, February 22, 2009 at 10:17 PM

ありがとうございます。

スイスに向かうTGVが在来線区間をそれこそスイスイ走っている姿をみるにつけ、在来線と新幹線を直通する難しさがほんとうにあるのか、むしろ技術力の差かなあなんて思っていました。

鉄道への投資ということに関しては、主要な幹線(新幹線も含め)を如何にスクラップアンドビルドすることではないかと感じています。

昔は本線と呼ばれた線区でも、需要が落ち込んでいるのであれば、複線を単線にしてでも、保守コストを削減することを考えては如何でしょうか。

線形もいじって高速化する。単線でも増発できる信号設備にするなど、投資の重点化が必要だと感じています。

Posted by: Hybrid | Sunday, February 22, 2009 at 10:44 PM

欧州では、在来線といえども強固な岩盤に乗っかった自然路盤で160~200km/h運転が可能ですから、軽便規格の日本の在来線とは事情が違います。

同様にアメリカでも列車重量5,000tなんて列車を走らせてますから、JR東海が妙に乗り気なカリフォルニア高速鉄道でも、サンフランシスコ~ロスアンジェルス間以外のサクラメントやアナハイムへの分岐線などは在来線直通となる可能性が高いだけに、台湾でこけたことがマイナス材料です。日本のモノサシで見ると見誤ります。

仰るとおり、今後の鉄道整備、特に幹線鉄道に関しては、既存ストックの有効活用が重要です。その際、仰るように投資の抑制のみならず、メンテナンスフリーに配慮したランニングコストの低いシステムが提案できることが大事ですね。

Posted by: 走ルンです | Monday, February 23, 2009 at 10:02 PM

いつもありがとうございます。

さて雑誌「JAFMate」2010年12月号45ページより要約引用。
(要約引用開始)
アメリカ合衆国における鉄道網の90パーセントを所有する
貨物鉄道会社が高速旅客鉄道に反対しているとのこと。
アメリカ合衆国の貨物鉄道は現時点において世界一の効率を誇る。
(要約引用終了)

アメリカ合衆国において高速旅客鉄道を増やさないことは
貨物鉄道会社を保護することにより地球温暖化防止に有効と愚考いたします。
皆様のお気付きなどをお聞かせいただけるとしあわせです。

Posted by: とまと | Sunday, December 19, 2010 at 03:22 PM

JAFMateの記事ですから、若干のバイアスはありそうですが、興味深いですね。

既に米国内でもJR東海の高速鉄道売り込みに否定的な意見が見られます。例えば週刊ダイヤモンド12/18号でTGVなど欧州勢との技術力の差はなくなり、中国や韓国など新興国勢が低価格で参入を窺う中、日本の新幹線の高コストが問題視されており、日本政府の後押しの失敗を心配される始末です。

貨物鉄道の反対理由はフロリダなど完全な新線のみのクローズドシステムよりも貨物鉄道がインフラ貸与を求められるケースかと思います。日本と逆に貨物鉄道が線路保有しAMTRACなど公的な旅客運輸会社が高速列車を走らせれば、それだけ貨物列車の運行が制限されるわけです。

世界一の効率というのは、単線で5,000t列車を走らせるような集約輸送の結果、ローコストで大量輸送ということですから、言い分を鵜呑みにするのも気をつけたほうが良いでしょう。

Posted by: 走ルンです | Sunday, December 19, 2010 at 11:30 PM

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