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Tuesday, February 10, 2009

東京娶ろう、地下鉄争奪戦

地下鉄争奪戦といえば、戦前の五島慶太と早川徳次の争いを連想させますが、今回は近未来の東京の話です。とはいえ首都東京の地下鉄というのは、2000年代の再開発バブルでも、結局地方や郊外への波及は限定的で、東京都心だけが需要される状況を作り出したように、人口減少下ではバブルの影響も偏り、東京の地下鉄は巨大利権であることもまた間違いありません。

東京メトロは2008年に副都心線が開業し、トラブルに見舞われながらも、順調に利用者を集めております。現状では運行頻度の関係で、利便性は今一つですし、バブル崩壊で沿線のデパートの改装計画が見直されるなど、必ずしも順風満帆ではないことは副都心線現象の記事でも指摘いたしました。しかしそれでも、同じく2008年に開業した京阪中之島線の苦戦に比べればマシです。

もちろん中之島線は路線立地が商業エリアではありませんし、単純比較は禁物ですが、同じ都心部の新線で、東京と大阪にこれほどの差が出ていることもまた事実です。ただ、先日撤退を発表したそごう心斎橋本店の店舗をJフロントリテーリング(大丸&松坂屋)が買取りを検討するなど、デパート戦争はむしろ盛んで、大阪駅北口のJR三越伊勢丹出店と阪急梅田店の改装で大丸が埋没を避けたいということなんでしょう。デパートにとっては、ブランド店が路面店を次々に出す東京は冬、商業地とビジネス街がはっきり分かれている大阪は夏とでも表現しておきましょう。

以前にも東京メトロ全株売却でどうなる?で取り上げたように、特殊会社である東京地下鉄株式会社(通称東京メトロ)の株式上場問題にキナ臭いにおいがします。持分47%の東京都の動向が気になるところですが、メトロに注目しているのは、東京都ばかりではなく、JR東日本と東海の争奪戦が水面下で行われているフシがあります。JR東日本にとっては、メトロを手中に収めれば、ネットワーク機能が強化されますし、現状でも東西線や千代田線との相互直通で一体感もあるだけに、興味があるはずです。実際東京モノレールを傘下に収め、羽田空港連絡輸送への参入を果たしており、本業でのシナジー効果は絶大でしょう。

JR東海にとっては、ドル箱の東海道新幹線の東京発着の乗車券で、山手線内と都区内の特定都市内発着特例を根拠とした負担金を嫌っていて、新幹線用ICカードのEXICで特定都市内発着特例を適用しないなどのことをしております。羽田空港連絡でも京浜急行との連携を探るなどもしておりますし、仮に東京メトロを傘下に収めれば、首都圏でJR東日本に頼らない集客体制を組める可能性が出てきます。逆に言えばJR東日本はそれを阻止したいでしょうから、株式上場のあかつきには、M&A合戦に発展する可能性もあります。

というわけで、政府方針でもあり、東京メトロ自身も中期経営計画(eBook)で明らかにしているように2009年度中の株式上場を明言しているだけに、予断を許さない状況といえます。おそらく会社法で認められた黄金株のような仕組みを導入すると思われますが、問題は黄金株を誰が保有するかでしょう。常識的には国か東京都となりますが、それだと完全民営化の趣旨に反することになりますし、制度設計如何では、証券市場の上場基準に抵触する可能性もあります。加えて一般投資家にとって保有のメリットを感じられないものになれば意味がないわけですから、慎重な制度設計が必要でしょう。それに70%のインフラ補助も受けているわけですから、事業用資産とはいえ公共の用に供する前提が企業間の抗争で歪められてはならないでしょう。

私案ですが、株主を個人に限定し、法人の保有を制限するなどの形が望ましいところです。JR2社と東京都の主導権争いで、多数の小口株主が振り回されるとすれば、株式保有の魅力も薄れますし。ま、それ以前に現状の株式市場の状況では、新規上場は難しいところですが。年度末にかけて一段安間違いなしですからね。

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Comments

メトロをJRが支配する?考えただけでも将来は危ういのではないでしょうか。
むしろ、現実的には東京メトロが周辺の民鉄を傘下に治めることもあるのではないでしょうか。
相互直通とIC乗車券で、経営環境としては、M&Aが激化しうる。
それで、これ以上のサービスや利便性が向上するのならよろしいのですが、駅の通路がコンビニに独占されるだけなら勘弁してほしいものです。

Posted by: Hybrid | Sunday, February 15, 2009 at 01:35 PM

仰るとおり、メトロをJRが支配する構図は、公益の観点から問題があります。今のままではメトロの株式上場で問題を引き起こす恐れがあります。

加えて地下鉄一元化を画策する東京都も問題を複雑にしています。公営交通を抱える事業者の意識が強いようですが、欧州で普及する都市交通の運輸連合の旗振りをするなどで、事実上乗客のシームレスな利用環境を作るなどの役割を果たすよう意識改革してほしいところです。

Posted by: 走ルンです | Sunday, February 15, 2009 at 07:21 PM

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