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Tuesday, June 16, 2009

郵政眠永化?

郵政会社が揺れています。かんぽの宿問題、東京中央郵便局舎建替え問題、社長人事問題などなど、いろいろありますが、郵便料金不正割引事件で、厚労省の現役局長が逮捕されるという異例の展開になっております。

厚労省局長を逮捕 郵便不正で証明書偽造の疑い、関与を否認
既に政治家の名前が取り沙汰されている一方、当時の厚労省が障害者自立支援法という重要法案を抱えて野党政治家に貸しを作りたかった背景もあるようですが、今後の捜査の進展を待ちましょう。

それより不可思議なのは、民営化されたはずの郵政会社が、障害者福祉目的で郵便料金の大幅値引きを行っていることへの違和感です。ま、JRや私鉄の通学定期券、特にJRは国鉄時代から私鉄より高い割引率を適用し、民営化後も維持しているわけですが、90年代の旧国鉄年金債務の追加負担問題などで割引率の見直しに言及し抵抗の意を示すなど駆け引きに使われます。

一方の郵便の障害者団体割引制度ですが、実態として企業のDMに利用されていたわけですが、一方で赤字体質の郵便事業の中では、DMは珍しい収益部門でもあります。一般の郵便物が多数のポストを設置し、毎日定時に集荷し局で仕分けするなど。コストのかかる部分を、送り主の持ち込みで一括で受け付けるのでコスト負担が軽いわけですね。しかも一般郵便物は、人口減少と電子メールの利用拡大で構造的に縮小が見込まれる中、B2Cなどのダイレクトマーケティングでむしろ扱い量の増加が見込まれる分野でもあります。だからこそ逆に身障者団体向けに大幅値引きが可能ではあるんですが、民営化で収益力強化が問われるがゆえに、今回の不正が発覚したわけでもありますから、その意味で数少ない民営化の功の部分かもしれません。

元々官業の郵便事業では、コンプライアンス精神は希薄で、DM発送企業のコスト削減要求に対して、代理店があの手この手の裏技を駆使して郵便料金を安くすることは、かなり普通に行われておりました。元々内容物が第三種郵便物の認可条件を満たしているか随時確認できるように開封が条件付けられていたのですが、一旦認可されてしまえば、まず中身の抜き打ち検査のようなことは行われず、制度が形骸化していたことは否めません。ゆえに認可の通りやすい局への持ち込みが行われる傾向があり、今回の事件でも、複数の局へ持ち込んで断られ、注意喚起の回状まで回されたのに、現場レベルの意識にズレがあったことが露呈しました。民営化による意識改革は不十分ですね。

このDMというのが、いわゆる信書便の国家独占を前提とする郵便事業にとっては難物で、内容物によって変わってくるのですが、封書では中身の確認ができないので、ヤマトなどの民間事業者は、郵便では定形外となるカタログなどの発送を定形郵便並みの料金で引き受けるビジネスモデルで攻め込んでおります。結果的に身障者団体向け値引きをする余地が狭まったと言えるわけです。競争市場が問題の発覚を助けたわけです。

ただ同時に民営化された郵政会社の先行きも不透明にしているとも言えるわけです。ゆうパックによる宅配便事業の拡大では郵政が攻める側でヤマトが受けて立つ立場ですが、現状を見ると心許ない限りです。

同様にメガインテグレーターとして国際物流分野への進出を画策しながら頓挫しております。これも競合他社が眠ってくれてでもいない限り、追いつくのは無理ですから、こうして見ると民営化郵政会社のビジネスモデルはことごとく破綻の危機に瀕しているわけです。この辺のことは2005年段階から指摘してまいりましたが、見直しは必至です。

加えてかんぽの宿問題ですが、これはいちゃもんつけた鳩山前総務相の方が無理スジだったのです。確かに不透明な入札が行われた印象はありますが、取得価格が2千億円以上かかったとはいえ、毎年50億円もの赤字を出す資産を100億円以上で買い手が現れたことの方が驚きです。当然買い手はリストラ費用を負担して黒字事業にしなければならないわけですが、この騒動で民間の買い手が現れる可能性は潰れたといえます。

国有財産の民間売却で安値売却は明治時代から繰り返されたことで、その中には信濃川河川敷の国有地払い下げに端を発する田中金脈問題のようなものも含まれますが、多くは官業の失敗に由来します。例えば官営釜石製鉄所のように、ドイツ直輸入の大型高炉3基に原料搬入製品搬出用の専用鉄道まで準備して操業開始したものの、技術の未熟で事故を繰り返し、結局3年で廃業し民間に払い下げられたような事例まであります。ちなみに専用鉄道向けの資材、車両は2ft9in(838mm)ゲージの特殊規格ながら、重量物輸送を前提とした本格的なもので、いわゆる軽便規格ではありませんでした。そこに目をつけて格安で払い下げを受けて営業用鉄道に転用したのが阪堺鉄道、後の南海鉄道です。当時高価だった輸入鉄道資材を格安で譲り受けたわけで、まさに歴史は繰り返します。

というわけで、かんぽの宿問題も鳩山総務相の辞任で幕引きとなりましたが、鳩山氏は最後まで世論は自分の味方と勘違いしていたようですね。起死回生で議員会館近くの清水谷公園辺りで飲んで脱いで騒いで「裸で悪いか」とでもやれば大うけかも^_^;。

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