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Sunday, June 21, 2009

東へ向かうおけいはんの心変わり

皇女和宮といえば孝明天皇の異母妹で、公武合体派の策略で有栖川宮との婚約を破棄されて14代将軍家茂に嫁がされた政略結婚の悲劇のヒロインとして語り継がれておりますが、それゆえ江戸へ向かうお輿入れの旅では反対派の奪還を恐れて中山道を辿りました。そして山道を辿り夕暮れにある宿場へ到着し、投宿しようとして宿場の名を尋ねれば「沓掛」ということで「畏れ多くも宮様を足蹴になさるか」と言ったかどうかはわかりませんが、急遽1つ先の宿場を目指したそうです。その1つ先の宿場とは、後に高級リゾート地となる軽井沢です。このエピソードがどれぐらい軽井沢ブランドの成立に寄与したかは定かではありませんが、おそらく意識的にあるいは無意識に利用されたことは間違いないでしょう。

一方で「宮様を足蹴になさった」沓掛に注目し、汚名を濯いだのが後に西武王国を築く堤康次郎です。山林を造成し「中軽井沢」の名を与えて売り出し、ただ同然の土地を金のなる木に変えたわけです。言ってみれば隣接地ブランドのパクリですが^_^;、軽井沢にとってもブランド力の強化となり共に栄えたのですから、土地ブランドとは不可思議です。

戸越銀座を皮切りに、全国の「銀座商店街」が増殖した結果、商業地の中の商業地の地位を得た銀座と似ています。尤も銀座の場合、戦後占領下に日比谷のGHQ本部から夜な夜な繰り出す米軍の将兵に命懸けで堂々と銀座価格の請求をしたことが、「世界のGINZA」というステータスを与えたものでしょうから、パクリだけで成り立つほどブランドはやわではないということでしょう。美術品は贋作が出て真作の評価が上がるにしても、真作に相応のクオリティがなければ話にならないわけです。

枕はこの辺にして本題に入ります。まずはこの報道からです。

京阪電鉄、首都圏で賃貸ビル取得 最大1000億円投資
記事中にもあるとおり、既に大手町のオフィスビル1棟を取得していて、今後3年間で最大1,000億円規模の投資を行う予定です。不動産不況で空室率が上昇傾向にあるオフィスビルを安値で買えるチャンスとみているようです。しかも投資対象は千代田、中央、港の中央3区に限定するということで、相対的な空室率低下=賃料下落が少ないことに注目したものです。

加えて都内でビジネスホテルの開業も予定するなど、従来首都圏での事業展開のなかった京阪電気鉄道にとっては、大きな決断といえます。なぜかといえば、理由は至ってシンプル、既に人口減少が始まり、鉄道事業に行き詰まり感がある中で、中核事業の鉄道事業以外の収益事業を見つけなければならない中で、不動産事業はやはり柱となります。特にオフィスビルを中心とした賃貸事業は、収益の安定性という観点から、鉄道事業との親和性も高いのですが、地元の近畿圏では有力なオフィス立地は限られ、売り物も少ないのが現状ですから、オフィス需要の底堅い首都圏の中央3区への進出となったわけです。

というわけで関西私鉄にとってはなかなか悩ましい決断だったと思われます。ゆえにこんな解説記事もあります。

ほろ苦い関西企業の首都圏買い
言ってみれば自社のフランチャイズエリアの空洞化を半ば受け入れたということでもあります。とはいえ営業エリアを選択できない鉄道会社にとっては、それだけ生き残り条件がシビアであるということです。京阪にとっては沿線有力企業2社(パナソニックとサンヨー)の経営統合でリストラ必至ですから、将来的に輸送需要が下降線を辿ることは避けられないでしょう。産業構造の変革が待ったなしの現状で、かつて炭鉱地帯に多数あった運炭鉄道がことごとく廃止されたような逆風が、私鉄王国の関西にも吹き荒れる可能性があるわけですね。

また京阪単独の事情としては、中之島線の苦戦も影響しているものと思われます。ただし中之島地区の再開発は着手されたばかりで、成果が現れるのは暫く先になりそうです。更に現在の不動産不況は逆に神風になる可能性もあります。

というのは、近接して梅田北ヤード跡地という超大型再開発案件が控えているものの、バブル崩壊で先行き不透明になっている点を指摘しておきます。丁度バブル崩壊で開発が10年凍結された東京汐留の再開発とあまりにもタイミングが似ています。それでも人口増基調の首都圏だから、10年寝かせて何とか形になりましたが、空洞化、人口減少が現実化している関西では、100年ぐらい寝かせないと厳しいかもしれません。加えて再開発の目玉とも言うべき三越伊勢丹の進出は、当の三越伊勢丹の業績悪化もありますし、あべの近鉄や梅田阪急の改装などで大阪地区の百貨店は明らかなオーバーストア状態で、実際心斎橋そごうは撤退を決めておりますが、大丸が店舗買取りを決めており、床面積ベースでは縮小されるわけではないことから、三越伊勢丹の大阪進出は厳しい状況が続きます。

となると相対的に再開発規模の小さい中之島には有利に働く可能性があるわけです。梅田北ヤード地区は順調にいっても5年10年の開発期間がかかりますが、その前に中之島地区の再開発が実現することで、逆に梅田北ヤード地区の再開発にはブレーキがかかる可能性があるわけです。また枕話の地域ブランドという観点からも、大阪のまちづくりの基点となった中之島地区のブランド力は相対的に高いと考えてよいでしょう。日銀大阪支店や大阪市役所を始め、移転の可能性はほぼ皆無で、空洞化を心配する必要はないので、再開発による上乗せ分は純増となるわけですね。というわけで、京阪の執念は実るのでしょうか。

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