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July 2009

Saturday, July 18, 2009

高速千円で貨物繁盛ありがとう嗚呼夏休み

気がつけば夏休みシーズン突入ということで、早速1,000円乗り放題の高速道路は大渋滞です。

3連休の高速道路、初日は57キロ渋滞も 行楽地・ふるさとへ車の列
選挙目当ての票欲しさの人気取りがこの事態を招いているのですが、そこまでして必勝を期した総選挙は投票日8/30で今月21日に解散されるということですが、有権者は盆休みで選挙区を離れますから、人のいない選挙区での議員センセイ方の選挙運動は大変です。加えて渋滞でくたくたで帰ってきたらいきなり投票を迫るとなれば、怒りが与党に向くというもの、夏休みで浮動票が選挙区を離れるところで投票の方が、組織票頼みの与党に有利だったろうに。ま、ここまで事態が悪化すれば関係ないか(苦笑)。

忘れられているかもしれませんが、去年の7月は原油価格が1バレル140ドル台のピークをつけたあと下落、ガソリンの店頭価格はほぼ1月遅れでリッター185円をつけて需要が急減速し、夏の行楽シーズンを直撃しました。その反動もあり石油業界や地方の一部の行楽地はウハウハですが、当然CO2排出は拡大、コペンハーゲンのCOP15が思いやられます。

そして1,000円乗り放題は軽、小型、普通自動車限定で、物流を担う大型トラックは対象外な上に渋滞の影響を受けるということで、トラック業界から悲鳴が上がっておりますが、同時に物流を直撃するわけですから、影響は家計にも企業にも及びます。

というわけでJR貨物では、8月の旧盆期間中の平日4日もETC割引が実施されることを受け、この夏は貨物列車を大増発、荷主企業に営業攻勢をかけております。

JR貨物、お盆期間の貨物列車増発 高速道の渋滞予想踏まえ
記事中にもあるように、天候で出荷量が変動するビールや清涼飲料水も、企業に営業社員を貼り付けて大量出荷にも対応するなど、本気モードバリバリです。ある意味トラック業界の窮地を利用する形ですが、従来取り込めていなかった企業を顧客として取り込むチャンスです。

元々貨物列車はアボイダブルコスト(機会費用)方式で列車の実運行に応じた線路使用料を清算する方式ですから、ダイヤ上は不定期列車として設定し、需要に応じて運行することでコストを抑えているわけですから、新たに列車設定するわけではありません。あくまでも余力を利用する形ですから、JR貨物としてはお盆の増発分はそのまま増収となる構図です。

加えて従来取り込めなかった企業へのお試し期間という意味もあります。従来は輸送の弾力性や運賃面で折り合わなかった企業を定常利用に取り込むことができれば、千円高速様々ということになります。アホな思いつきでも役に立つことはありますね(笑)。

逆にGWの実績では惨敗だったJR旅客各社ですから、臨時列車設定を理由に増発を断る理由もなしで、人口減少で需要低下が予想される近未来の鉄道シーンを先取りするような動きです。今は儲かっていなくても、貨物がレゾンデートルとなった東北新幹線の並行在来線のIGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道が結局補助金で下駄を履かせた形ながら、貨物の線路使用料収入で辛うじて収支均衡させているように、温暖化防止を睨めば旅客会社にとっての将来の保険となるわけです。貨物イジメに励む某社も括目すべし。

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Wednesday, July 08, 2009

JR福知山線事故で山崎社長を起訴したものの

問題山積の起訴と申し上げておきます。まずは報道チェック。

JR西の山崎社長を在宅起訴 福知山線脱線事故
現職社長の起訴は異例ですが、当の山崎社長は辞任を表明、事故の予見可能性を否定して争う姿勢です。
JR西日本の山崎社長、辞任を表明
検察の起訴事由がATS未設置ということで、事故の予見可能性とそれを踏まえた不作為となるわけですが、事故を矮小化していると言わざるを得ません。より重要なのは、企業の過失責任をどう問うかという視点です。

この辺はあれから2年の福知山線事故で明らかにしたことですが、その視点からすると、事故後に社長に就任し、安全対策に走り回っていた山崎社長だけの訴追はバランスを欠くものと言わざるを得ません。問われているのは法人格を持つ企業の不法行為に対する経営トップの代理処罰ができるかどうかです。この辺は経済活性化のための規制緩和を行う上で、セットで考えるべき部分ですが、事前規制で企業活動を萎縮させるよりも、事後的に強固な処罰をするいわゆる法化社会の議論として考えるべき事がらです。日本の司法は世界標準からは程遠いですね。

あとATS設置は、事故時点では設置義務は法定されていたものの、設置基準は定めがなく、あくまでも事業者の自主的判断によっていたわけで、事故の予見可能性を争うという検察の姿勢ゆえに、山崎氏も争う余地があるんです。皮肉な話ですが、現場のヒヤリハット、事故に至らないインシデントの現場報告が十分に行われていなかったJR西日本においては、経営幹部が危険性の認識を持たないのはある意味当然なんで、組織が機能していなかった場合の経営責任の判断をこそ司法には求めたいところです。

というわけで、参考記事として事故調最終報告書を巡る記事2件を挙げておきます。

速報! JR福知山線事故調最終報告
JR福知山線事故最終報告書続報

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Wednesday, July 01, 2009

となりのメトロ

メトロと都営地下鉄の一元化というニュースがTBSで流れましたが、他メディアは追随せず、ガセ確定のようですね。そもそも東京都の言い分を裏も取らずに流すとは、報道のTBSも地に落ちました。

当ブログの読者の皆様は、既にメトロ上場の最大の障害が東京都だということも、大人の事情で遅れていることもお分かりでしょう。実はTBS自身が続報しているように、上場後も国・都が出資維持と報じておりますが、この報道に今回のTBSの迷走の鍵があります。

元々東京メトロの上場を巡っては、丁度英ファンドTCIによるJパワー株買い増し問題があり、公益企業の株式大量保有が問題視されておりました。ですから大量保有規制は外資対策とも見えますが、WTOメンバーで資本移動の自由化を受け入れている日本としては、公式に外資規制はできないんで、政府サイドが外資規制と取られかねない発言をするはずありませんから、都からのヒアリングで記事を起こしていることは明らかです。

で、20%という保有比率は、大量保有規制の上限値として考えられている値で、外資に限らず東京都やJRその他内外ファンドも含めての規制であって、少なくとも公式には外資をターゲットにはできません。いわゆる公平性原則というやつでして、政府のしかるべき立場の人がうっかり喋っちゃえば、海外から叩かれます。

で、都がそんな風だから、今は国が少し保有株が多いから、都の頭を抑えて勝手なことさせないようにしているわけで、その国が株式放出するためには、同程度の都の株式放出を同時にやらなければならないわけですから、その形で株式を放出して都が20%保有となった段階で、国が23%程度の保有となるわけで、都としては20%でも保有を続けてメトロへの影響力を保持したいとすれば、国もそれ以上株式放出できなくなる水準です。当然国の着地点は完全民営化で、保有株式完全放出ですから、この段階で都が足踏みすれば、それ以上は株式を放出できなくなるわけです。おそらく国と都の協議の過程でこういった話は出ているはずですから、それを都の希望を下敷きに解釈すれば報道のようになるという話に過ぎないわけですね。

一方、隠れ鉄雑誌(笑)の週刊東洋経済2009年7月4日号で、東京メトロ上場の想定株価の記事が出ております。

東京メトロ―最強”私鉄”が上場したら、株価はいくら?《鉄道進化論》
というわけで、株価資産倍率(PBR)2倍として1,050円、株式数を掛けて時価総額6,112億円、株価収益率(PER)15.0倍といったところになります。ただし都営地下鉄との統合は考慮せず、都営地下鉄の4,500億円の有利子負債を引き受けない前提での数値です。ということは、都が取るべき態度は明確です。全株売却で都も3,000億円程度の株式売却益が得られますから、これで都営地下鉄の累積債務の繰上げ返済をして、高いと言われる運賃水準をメトロ並みに下げることだろうということです。そこまでやってやっと統合の交渉の余地ができるというものです。

追記ですが、都が議決権を握った状態のメトロとは、新銀行東京になるリスクと背中合わせでもあります。そんな株を買おうという奇特な投資家は少ないでしょう。

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