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Wednesday, November 25, 2009

京急油壺延長は波高し

京急久里浜線の油壺延長が、2005年に事業廃止届提出で免許返上となり、見直しされることになったことは以前の記事で取り上げましたが、地元の方からコメントをいただき、動きがあるようなので、現地を見てきました。前回記事時点では、何か驚くべき新しい開発計画を打ち出すのではないかと期待をこめておりましたが、どうも逆の意味で驚くべき計画になりそうです。というのは、かなり陳腐な宅地開発計画になりそうなのです。しかも無理スジです。波静かな油壺とは真逆のようです。

現地の状況は
航空写真"でご覧ください。場所的には三崎口駅から1km程度の距離で、深い谷戸の地形で、底は湿地になっているようです(既に囲いがあって中には入れません)。計画ではここを発生土処分場として湿地を埋め立て、7年半後に土地区画整理事業を行うという計画になっているそうです。以下寄せられたコメントから明らかなことをまとめますと、

1.39年前の計画時点より地価は半減し三浦市の人口も減少が予想される中新駅設置で商業地への指定がえで付加価値をつける必要がある。
2.そもそもこの地域は第一種低層住宅専用地域であり、本来は発生土処理施設など作れる場所ではない。
3.元々1995年に県と市と京急で1駅延進して駅周辺を商業地域に指定換えすることが合意されていた。
4.しかし2005年に京急が事業免許を返上してしまった。
5.ゆえに商業地域にすることはできず宅地開発の前提となる発生土処分場はできない。
6.そうすると宅地開発と一体の鉄道延伸のための事業認可再申請はできない。
とまぁ堂々巡りになってしまうわけです。とはいえ発生土処理は始まっており、鉄道延伸への道すじがついているのかどうか、現時点では不明ですが、単なる既成事実の積み上げであるならば、あまりにも馬鹿馬鹿しい話です。つまり宅地開発も鉄道延伸も実現せず、環境破壊だけが行われるという愚かな可能性があるわけですね。

航空地図のスケールで確認していただければ明らかですが、場所は三崎口駅から1km程度で、徒歩でも10-20分程度の距離です。おそらく戸建て住宅中心でしょうから、完売されたとしても1,000戸程度、人口4,000人規模といったところでしょうか。都心からの距離を考えるとこれでもかなり高いハードルだと思いますが。常識的にはバスで十分、そこへ鉄道を通して駅を作るというんですから、まともに考えたら事業認可の可能性は限りなくゼロに近いと思うのですが、京急のこの行動は謎です。

2005年の免許返上も、国の強力な指導によるらしいのですが、詳細は不明です。既に工事実施計画まで認可され、着工されていた事業ですが、用地買収難と環境保護を求める反対運動で工事が進まず、三崎口から先は着手されておりませんでした。

その間に1999年の鉄道事業法改正があり、需給調整規制が撤廃され、従来の免許制度が認可制度に緩和されたのですが、旧制度で未着手のまま期間延長を続けていた油壺延長線を国が整理しようとしたのだと思います。というのは、そもそも免許制度は鉄道事業の国家独占を根拠とし、民間や自治体など国以外の主体が事業に参入するのに、国による当面の整備計画がない路線、区間で、国が求めたときには買収に応じるなどの条件を基に、事業の独占権を与える性格のものですから、権利性、財産性があると見られるわけです。ですから実現しなくても延長手続きを繰り返す限りは、免許路線、区間への他社の参入はないわけです。いわゆる免許維持というやつですが、おそらく国としては旧法による免許で未実現のものがある限り、事務手続きの窓口は残さなければならないわけですから、京急1社のためにそんなことはできないという判断があったのかもしれません。

とはいえ免許廃止を願い出た事業で再度認可を得るハードルは高いと思うのですが、京急はそうは考えず、規制緩和で事業の採算性だけで判断されるならば、一旦取り下げて再申請した方が手っ取り早いと考えたのだと思います。とはいえ開発規模からいえば採算性にも疑問符がつきます。鉄道事業全体で採算が合えばよいのかもしれませんが、その辺の国の判断基準は必ずしも明確ではありません。

そもそも鉄道の独占性は道路整備その他、交通機関の多様な発展によって事実上失われております。だから資本費負担が大きくリスクの高い鉄道事業への新規参入は難しいわけで、それを補うために整備新幹線や京阪中之島線、阪神なんば線などで採用された償還型上下分離方式などで、公的な支援が制度化されたわけですが、この場合は国交大臣の事業認定が必要です。ただし実績として大都市中心部の鉄道整備など、公共性が明らかで整備費用が民間の負担に耐えられない水準にある事業でしか認められる可能性はないでしょうから、油壺延長線への適用は考えにくいところです。

日本の人口は2005年にピークアウトしたことは知られておりますが、その先の人口が底を打って増加に転じるのが何時になるかはあまり意識されていないように思います。結論から言えば、現在の人口減少は高齢化によって死亡年齢に達する人が増えたことによりますから、今後も高齢化の進捗と共に人口減少は続くわけです。

しかも出産年齢の女性人口も年々減少してますから、多少出生率が上向いても誤差範囲でしかなく、人口減少は相当長期間続くことになります。ザックリ言って人口の多い団塊ジュニア世代が死亡年齢に達する2050年ごろまではこの傾向は続きます。当面の出生率はその後の回復スピードに多少影響する程度ということで、実は少子化対策はほとんど無意味なんです。

加えて人口減少で労働力不足を心配し、移民を受け入れるべきという議論もありますが、人口統計に影響するレベルということで、仮に20代若者に限り1,000万人単位で移民を受け入れたとして、40年後には高齢者にプラスされるので、高齢化のピークアウトを遅らせ、人口減の底打ちを遅らせるだけです。一方その1,000万人に日本語、文化、法制度など社会生活に必要な最低限の教育が必要ですが、そのコストを誰が負担するのでしょうか。所詮安い労働力を欲しがる企業の我が儘です。

というわけで、都心から離れた三浦市で鉄道と一体で整備されるような大規模ニュータウンを開発したところで、誰が住むのかというところです。金をドブに捨てるようなものですから、仮に事業認可の目途があるとしてもやるべきじゃないですね。無理をすればおJALへの道^_^;へ迷い込みます。

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Comments

いつもありがとうございます。

一つ気になったのでコメントします。

排出土処理施設の稼動開始時期が鉄道免許取り下げ後というのは
排出土処理施設自体が目的のように感じました。

管理人さんもくれぐれもご自愛ください。

では、失礼いたします。

とまと

Posted by: とまと | Friday, November 27, 2009 at 01:51 AM

コメントありがとうございます。

や、するどいですね。ご指摘のように現地の発生土処理事業は謎なんです。一応京浜急行電鉄が事業主ということで三浦市の認可は下りていて、現地に標識が設置されてます。事後的に区画整理をして宅地造成する予定になっているらしいのですが、そもそも周辺はいわゆる一種住専地域ですから、発生土処理事業ができるはずがなく、鉄道整備、駅設置を前提に商業地域に指定換えするよう県と市と京急で協定文書が交されているそうですから、免許返上で前提が変わってしまったのです。

とはいえその間にいわゆるまちづくり三法の1つとして都市計画法も改正されてますから、何か抜け穴ができたのかもしれません。その辺は私も把握しておりませんが^_^;。

Posted by: 走ルンです | Friday, November 27, 2009 at 10:14 PM

こんばんは。
m(__)m

返信ありがとうございます。

建設発生土と第一種低層住居専用地域についてWikipediaで調べました。

私の知るかぎりまた信ずるかぎり合法と理解しました。

建設発生土は他のものが混入しないときは、
産業廃棄物ではないため土地に盛り土をすることと同等の行為と
理解しました。
あるいは、特定行政庁の許可が発出されている可能性が考えらます。

今夜もよい夜になりますように。

では、失礼いたします。

とまと

Posted by: とまと | Sunday, November 29, 2009 at 11:49 PM

補足ありがとうございます。

とするとますます売れない宅地造成のための無意味な湿地埋立になりそうですね。曲がりなりにも造成すれば固定資産税評価額がアップしますから、売れなければ大損です。

Posted by: 走ルンです | Monday, November 30, 2009 at 09:32 PM

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