成田スカイアクセスの強気
本日、成田空港新アクセス(北総ルート)の運賃が京成電鉄から発表されました。開業は10年7月の予定で、新ルートの愛称を「成田スカイアクセス」とすることも併せて発表されました。
成田新高速、愛称「スカイアクセス」 京成電鉄、運賃も発表運賃は上野―成田空港間1,200円で、在来線の1,000円より200円高く、スカイライナー料金も、現行920円から1,200円とし、合計2,400円とすることが発表されました。現行スカイライナーの合計1,920円からは480円アップという微妙な価格設定は、何を意味するのでしょうか。
新型スカイライナーの記事では、現行レベルと同等の運賃料金を予想しておりましたが、とりあえずハズレとなりました^_^;。それでもライバルのN'EXやリムジンバスよりは安い水準ですが、ターミナル立地を考えると、結構強気の値付けではないかと思います。
少し言い訳しますと、高砂以東と成田空港の間は、同一改札間となるので、改札分離しなければ異なった運賃設定は難しいと考えました。ですから料金を高めに設定することは予想してしたものの、運賃でも差をつけるとは考えませんでした。
元々成田空港アクセスは、計画倒れとなった成田新幹線計画を踏襲し、先行整備された新幹線駅を活用したものですから、ホーム中央に柵を設けて停止位置をずらすことで改札分離することは、物理的には可能ですが、そのための追加コストを考えると微妙かなと思っていたのですが、別運賃とするということは、追加コストを払っても影響なしと考えたのでしょう。また、競合するJR普通運賃と比べても安い水準ですから、妥当といえば妥当です。
改札分離はコスト上昇要因でもあるわけで、とはいえ新ルートができたから在来線運賃を値上げしますというのも通らない話ですから、苦肉の策とも見ることができます。現状の硬直的な運賃制度の下では、この手の不合理は仕方ないのでしょう。加えて今年10月22日に暫定供用されていたB滑走路の2,500m延伸が実現し、供用時間の拡大などで発着枠拡大が予定される成田空港のアクセス輸送に対する成長性を加味して、多少のコストアップは吸収できると考えたのでしょう。
あとJRのN'EX後継車E259系の登場で、とりあえずJRの手の内が明らかになりました。両数は増えたものの、増発など供給力増加は限定的ですから、成田スカイアクセスで劇的に輸送力を増やす京成にとっては、シェア拡大が見込めるわけですから、強気の値付けには意味があるということでしょう。
とはいえ羽田空港の国際化や日米オープンスカイ協定締結で、とりあえず日米4往復ずつとはいえ日米定期便の就航も決まっており、成田空港の空洞化も心配されます。そんなこともあって羽田―成田直通1時間の高速鉄道整備を神奈川県の松沢知事が言及しました。
成田-羽田間の高速鉄道を 神奈川県知事、国交省・成長戦略会議同じ会議に出席していた別の委員から「羽田の第5滑走路整備の方が早いのでは?」と突っ込まれました。羽田の国際化は将来に亘って進むと考えた方が良いでしょう。
となると羽田と成田の棲み分けは、例えば着陸料で差をつけるなどの方法で、LCC(格安航空会社)の拠点とする方向性も考えられます。となると料金列車のスカイライナーは思ったより利用されない可能性もあり、将来は結構微妙です。
あとおまけの話題ですが、新型スカイライナーをはじめ、車両のリースバックでオフバランス化を進めている京成電鉄にとっては、IFRS(新国際会計基準)の適用で、リースのオンバランス化が義務化されて重荷になる可能性があります。同様にリースで車両調達を加速する相鉄や阪急も同様ですが、リセールバリューが低下したジャンボ機をリース調達しているJALと同じ悩みです。定員の多い機体の空席を埋めるために格安航空券として出回るために、JALは「世界最大の格安航空会社」との陰口も叩かれてます。成田スカイアクセスがそうならないように祈りましょう。
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