« November 2009 | Main | January 2010 »

December 2009

Wednesday, December 16, 2009

成田スカイアクセスの強気

本日、成田空港新アクセス(北総ルート)の運賃が京成電鉄から発表されました。開業は10年7月の予定で、新ルートの愛称を「成田スカイアクセス」とすることも併せて発表されました。

成田新高速、愛称「スカイアクセス」 京成電鉄、運賃も発表
運賃は上野―成田空港間1,200円で、在来線の1,000円より200円高く、スカイライナー料金も、現行920円から1,200円とし、合計2,400円とすることが発表されました。現行スカイライナーの合計1,920円からは480円アップという微妙な価格設定は、何を意味するのでしょうか。

新型スカイライナーの記事では、現行レベルと同等の運賃料金を予想しておりましたが、とりあえずハズレとなりました^_^;。それでもライバルのN'EXやリムジンバスよりは安い水準ですが、ターミナル立地を考えると、結構強気の値付けではないかと思います。

少し言い訳しますと、高砂以東と成田空港の間は、同一改札間となるので、改札分離しなければ異なった運賃設定は難しいと考えました。ですから料金を高めに設定することは予想してしたものの、運賃でも差をつけるとは考えませんでした。

元々成田空港アクセスは、計画倒れとなった成田新幹線計画を踏襲し、先行整備された新幹線駅を活用したものですから、ホーム中央に柵を設けて停止位置をずらすことで改札分離することは、物理的には可能ですが、そのための追加コストを考えると微妙かなと思っていたのですが、別運賃とするということは、追加コストを払っても影響なしと考えたのでしょう。また、競合するJR普通運賃と比べても安い水準ですから、妥当といえば妥当です。

改札分離はコスト上昇要因でもあるわけで、とはいえ新ルートができたから在来線運賃を値上げしますというのも通らない話ですから、苦肉の策とも見ることができます。現状の硬直的な運賃制度の下では、この手の不合理は仕方ないのでしょう。加えて今年10月22日に暫定供用されていたB滑走路の2,500m延伸が実現し、供用時間の拡大などで発着枠拡大が予定される成田空港のアクセス輸送に対する成長性を加味して、多少のコストアップは吸収できると考えたのでしょう。

あとJRのN'EX後継車E259系の登場で、とりあえずJRの手の内が明らかになりました。両数は増えたものの、増発など供給力増加は限定的ですから、成田スカイアクセスで劇的に輸送力を増やす京成にとっては、シェア拡大が見込めるわけですから、強気の値付けには意味があるということでしょう。

とはいえ羽田空港の国際化や日米オープンスカイ協定締結で、とりあえず日米4往復ずつとはいえ日米定期便の就航も決まっており、成田空港の空洞化も心配されます。そんなこともあって羽田―成田直通1時間の高速鉄道整備を神奈川県の松沢知事が言及しました。

成田-羽田間の高速鉄道を 神奈川県知事、国交省・成長戦略会議
同じ会議に出席していた別の委員から「羽田の第5滑走路整備の方が早いのでは?」と突っ込まれました。羽田の国際化は将来に亘って進むと考えた方が良いでしょう。

となると羽田と成田の棲み分けは、例えば着陸料で差をつけるなどの方法で、LCC(格安航空会社)の拠点とする方向性も考えられます。となると料金列車のスカイライナーは思ったより利用されない可能性もあり、将来は結構微妙です。

あとおまけの話題ですが、新型スカイライナーをはじめ、車両のリースバックでオフバランス化を進めている京成電鉄にとっては、IFRS(新国際会計基準)の適用で、リースのオンバランス化が義務化されて重荷になる可能性があります。同様にリースで車両調達を加速する相鉄や阪急も同様ですが、リセールバリューが低下したジャンボ機をリース調達しているJALと同じ悩みです。定員の多い機体の空席を埋めるために格安航空券として出回るために、JALは「世界最大の格安航空会社」との陰口も叩かれてます。成田スカイアクセスがそうならないように祈りましょう。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

Tuesday, December 08, 2009

踏切番、高架不幸か立体化

踏切番は俗称で、踏切警手が正しい呼び方なんでしょうけど、高密度運転を強いられる首都圏の通勤鉄道では重要な役割を担っております。2005年に東武伊勢崎線竹ノ塚の踏切で、警手の判断ミスで横断中に4人が死傷した事故がありましたが、それを機にいわゆる"開かずの踏切"問題が注目され、都内で遮断時間が長く、街を分断している踏切の解消の機運が生まれました。そんな中で先月、京王線代田橋―仙川間の立体化線増事業の都市計画変更素案が住民説明会で明らかにされました。中身に入る前に思い出を語ります。

以前通勤で下高井戸で京王線から世田谷線に乗り継ぐルートを利用していたことがありますが、当時まだ橋上駅舎化されておらず、上り下りの各ホームに独立に改札があったのですが、京王線の上り各停で最後尾車が定位置でした。下高井戸に着くと目の前が改札口で、ダッシュで抜けて直ぐ踏切を渡るんですが、その時点ではまだ各停が客扱い中で後方に急行/通快が信号で抑止されているのが見えます。そして下り列車がないことを警手が確認して遮断機を上げて通行人を通すのですが、その手際よさに感心するとともに、こうでもしないと捌けないラッシュ輸送の現実を目の当たりにしたものでした。

現在は橋上駅舎が完成し、踏切は自動化されて遮断竿が下りる形態になっておりますが、おそらく遮断時間は増えたものと思われます。橋上駅舎が出来たために目の前の世田谷線に乗り換えるのに階段の上り下りを強いられ、以前よりも時間をロスします。加えて大改良で車両が新しくなり、ホーム嵩上げで段差も解消され、保安装置も装備されながら、車両の収容力を減らしスピードダウン、三軒茶屋も乗換動線が延びたというよくわからない"改良"がされた世田谷線では、当時の勤務先に遅刻しそうです^_^;。

それだけに立体化が具体化することは喜ばしいことですが、その一方で一体に進める計画だった線増は、代田橋付近から地下へ潜り、つつじヶ丘で現在線に合流する形となり、その間明大前も含めて駅が配置されない計画素案となっておりますので、当面着手予定のない線増計画を切り離したというのが正しい見方です。その一方で明大前と千歳烏山では副本線を設置して構内4線の待避駅とする計画が素案に盛り込まれております。立体化事業自体は道路の事業で、鉄道事業者の負担は14%となりますが、あくまでも現在線の立体化に係わる部分だけで、副本線設置やホーム延伸・拡幅など鉄道側の設備改善分は全て事業者の負担となります。

この辺は運賃問題も含めて2006年時点で展望した中で最も保守的な想定に沿った内容といえます。その意味では明大前と千歳烏山の改良は踏み込んだものと評価してよいでしょう。具体的な運転計画は不明ながら、両駅ではラッシュ時の2線交互発着で客扱いで生じる遅延を吸収できるようになるので、「よく遅れる」といわれる京王線の朝ラッシュ輸送もいくらか改善されます。ま、これもかつての殺人的ラッシュの時代よりも混雑率が低下し(169%)、駅の改良も進んで駆け込み乗車の余地が生まれたことで却って客扱い時間が延びるという皮肉な事態ですから、やはり抜本的な解決には程遠いものではあります。

今後のスケジュールとしては、都市計画素案を詳細に詰めて行き、環境アセスメント評価などを経て数年かけて都市計画決定し、工事実施計画を策定の後に着工、用地買収などがスムーズに進んだとしてもそれから更に10年程度かかるわけですから、気の長い話ですし、その間は当然線増計画は凍結されるわけです。このあたりの評価は難しいところです。

前の記事でも指摘したように、2050年までは高齢化の進捗による人口減が続くわけですから、線増のような大規模投資に慎重になるのは私企業として当然のことで、仮に実施する場合、相応の公的支援が得られるということでもない限り、難しいところです。ただ京王に関しては運賃水準の低さが、追加投資の余地を生む原資になりうるし、また私鉄随一の自己資本の厚み(30%超)もあり、投資余力は京王自身も自覚しているようです。とはいえ日常的に利用する沿線住民の理解を得るのは容易ではないところです。ましてラッシュの輸送改善ですから、朝のピークタイム以外の時間帯には過剰設備となって生産性を下げるものでもありますから、高齢化でラッシュ利用の機会が減る沿線住民の理解を得るのはますます困難になります。

方法があるとすれば、クレジット機能付PASMOでポイント還元を前提に、普通運賃を値上げした上で、カード所持者にピーク外の時間帯と土休日に追加ポイントを付与するなどで事実上のピークロード運賃を制度化することでしょうか。ラッシュ時間帯は定期券利用者が多いですから、被用者の場合定期代は雇用主負担となるケースが多いですから、ラッシュの解消に企業の支援を得る形にもなります。そろそろそういったことを検討しても良いのではないでしょうか。

元々大都市部のインフラ整備は地価の上昇が阻害要因となって進まないものです。それを踏まえた都市計画がされなかったのが残念です。例えば首都高のような都市高速道路は日本では普通ですが、都市景観にうるさい欧州では見られません。その分環状道路が充実していて、通過車両を減らすことで渋滞対策としております。仮に東京でも首都高の整備に先立って外環道や圏央道整備に着手していれば、当時の土地利用状況からとっくに完成していて機能していたでしょう。それを首都高整備を先行させてそれが渋滞するから今から環状道路をというのは、順序が逆です。インフラ整備は時間がかかるだけに将来を見据えて実行しなければならないものです。

鉄道に話題を戻しますと、12/6に中央線三鷹―国分寺間が高架化され、13ヶ所の踏切が除去されました。こちらも難産でしたし、線増線を地下とする計画も京王線とそっくりです。中央線の場合混雑率は京王よりも高く、改善の要請は強いわけですが、JR東日本は踏み込みませんでした。やはり現状では輸送力増強のインセンティブは働かないのです。それどころか高架化工事で上り線が仮線移設されたために、踏切を渡りきれずに列車にはねられるという痛ましい事故まで起こるという皮肉な出来事まで起こります。

この地下急行線というアイデアは、西武新宿線の新宿―上石神井間の輸送力増強策として出されたもので、上乗せ運賃積立ての特特法事業として認定されながら、実現しませんでした。公式には人口の都心回帰で混雑が緩和したため、事業の必要性を見直した結果とされてますが、素直に飲み込めない話です。

西武鉄道は踏切立体化は道路の事業として冷淡な態度を取り続けてきたため、環八井荻踏切のような重要踏切放置されていた一方で、地下急行線で線増を計画するというある意味身勝手な対応に、行政側が快く思わなかったふしがあります。具体的には1列車1,000~3,000人乗車の複数列車がトンネル内を走行するのに、計画では避難路や通風孔となる竪坑が少ないという指摘を受け、計画を断念したようです。竪坑を設けるには地上に用地を確保しなければなりませんので、経済的とは言えなくなってしまいます。ちなみに地下鉄では平均1km~1.5km毎に駅があり、駅間に列車風対策の排気ダクトがありますので、0.5km~0.75km毎に竪坑がある形になり、問題なしとなるわけです。この観点からすると大深度地下利用を想定する中央リニアも実現は難しいことになります。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

« November 2009 | Main | January 2010 »