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Wednesday, December 16, 2009

成田スカイアクセスの強気

本日、成田空港新アクセス(北総ルート)の運賃が京成電鉄から発表されました。開業は10年7月の予定で、新ルートの愛称を「成田スカイアクセス」とすることも併せて発表されました。

成田新高速、愛称「スカイアクセス」 京成電鉄、運賃も発表
運賃は上野―成田空港間1,200円で、在来線の1,000円より200円高く、スカイライナー料金も、現行920円から1,200円とし、合計2,400円とすることが発表されました。現行スカイライナーの合計1,920円からは480円アップという微妙な価格設定は、何を意味するのでしょうか。

新型スカイライナーの記事では、現行レベルと同等の運賃料金を予想しておりましたが、とりあえずハズレとなりました^_^;。それでもライバルのN'EXやリムジンバスよりは安い水準ですが、ターミナル立地を考えると、結構強気の値付けではないかと思います。

少し言い訳しますと、高砂以東と成田空港の間は、同一改札間となるので、改札分離しなければ異なった運賃設定は難しいと考えました。ですから料金を高めに設定することは予想してしたものの、運賃でも差をつけるとは考えませんでした。

元々成田空港アクセスは、計画倒れとなった成田新幹線計画を踏襲し、先行整備された新幹線駅を活用したものですから、ホーム中央に柵を設けて停止位置をずらすことで改札分離することは、物理的には可能ですが、そのための追加コストを考えると微妙かなと思っていたのですが、別運賃とするということは、追加コストを払っても影響なしと考えたのでしょう。また、競合するJR普通運賃と比べても安い水準ですから、妥当といえば妥当です。

改札分離はコスト上昇要因でもあるわけで、とはいえ新ルートができたから在来線運賃を値上げしますというのも通らない話ですから、苦肉の策とも見ることができます。現状の硬直的な運賃制度の下では、この手の不合理は仕方ないのでしょう。加えて今年10月22日に暫定供用されていたB滑走路の2,500m延伸が実現し、供用時間の拡大などで発着枠拡大が予定される成田空港のアクセス輸送に対する成長性を加味して、多少のコストアップは吸収できると考えたのでしょう。

あとJRのN'EX後継車E259系の登場で、とりあえずJRの手の内が明らかになりました。両数は増えたものの、増発など供給力増加は限定的ですから、成田スカイアクセスで劇的に輸送力を増やす京成にとっては、シェア拡大が見込めるわけですから、強気の値付けには意味があるということでしょう。

とはいえ羽田空港の国際化や日米オープンスカイ協定締結で、とりあえず日米4往復ずつとはいえ日米定期便の就航も決まっており、成田空港の空洞化も心配されます。そんなこともあって羽田―成田直通1時間の高速鉄道整備を神奈川県の松沢知事が言及しました。

成田-羽田間の高速鉄道を 神奈川県知事、国交省・成長戦略会議
同じ会議に出席していた別の委員から「羽田の第5滑走路整備の方が早いのでは?」と突っ込まれました。羽田の国際化は将来に亘って進むと考えた方が良いでしょう。

となると羽田と成田の棲み分けは、例えば着陸料で差をつけるなどの方法で、LCC(格安航空会社)の拠点とする方向性も考えられます。となると料金列車のスカイライナーは思ったより利用されない可能性もあり、将来は結構微妙です。

あとおまけの話題ですが、新型スカイライナーをはじめ、車両のリースバックでオフバランス化を進めている京成電鉄にとっては、IFRS(新国際会計基準)の適用で、リースのオンバランス化が義務化されて重荷になる可能性があります。同様にリースで車両調達を加速する相鉄や阪急も同様ですが、リセールバリューが低下したジャンボ機をリース調達しているJALと同じ悩みです。定員の多い機体の空席を埋めるために格安航空券として出回るために、JALは「世界最大の格安航空会社」との陰口も叩かれてます。成田スカイアクセスがそうならないように祈りましょう。

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Comments

思ってたより高めの料金設定で意外です。
私も京成本線と運賃を共通化するものと予想していました。

ルートによって料金が異なるというのは、非常にわかりにくいと思います。
第2種鉄道事業者がどうとか言っても一般人には通じませんし、ましてや日本に初めて来る外国人にはなおさらです。
まあ、いろいろ案内を工夫するんでしょうけどね。

ところで、こういう鉄道のメニューコストって高いんでしょうか?
携帯の料金プランのように需要に応じて柔軟に調整できれば、もっと料金設定を工夫できるような気がします。

Posted by: yamanotesen | Thursday, December 17, 2009 at 01:25 AM

結局、北総線の高い運賃がネックだったようですね。千葉県の負担で北総線の運賃も下げられるとはいえ、相応の線路使用料を支払う必要があったということのようです。

高砂で打ち切り合算というのは、別稿で指摘したように問題ありですが、京成はちはら線でも実績がありますが、運賃プールを分けることで収入を確保したいということなんでしょう。

とはいえ成田空港側での改札分離はコスト上昇要因ですから、この辺は謎ですね。また新ルートの利用促進の意味でも、差をつけない方が良いと思うのですが、とはいえ既存ルートの値上げが簡単にできない以上、こうなるのでしょう。

鉄道運賃は総括原価に基づく上限運賃の事前届出制で、形式上一応以前よりは自由度のある制度なんですが、ヤードスティックと言って、地域や業態の類似する同業他社中最も低い水準の原価を基にコスト上昇率をレートベースで示して改訂の根拠とするということになっております。とはいえ鉄道事業者は各社それぞれ事情が違いますから、他社のデータは基本的に使えず、インフレでもなければ値上げは認められにくいので、結果的に硬直的な制度になってしまうようです。

Posted by: 走ルンです | Thursday, December 17, 2009 at 09:54 PM

なるほど。
ということは、最初決められた範囲内でできるだけ高めの運賃を設定し
その後、自由に値下げすることは可能なんですね。

まあ、値上げしにくいとなると自然と運賃が下方硬直的にならざるを得ないのかもしれませんが。

これは、特急料金も同じですか?
運賃は安くして、その分を高めの特急料金(京成の場合はライナー料金)で回収することは
できないのでしょうか?

Posted by: yamanotesen | Friday, December 18, 2009 at 01:32 AM

値下げが完全に自由ってわけではないんですが、上限運賃の範囲内であれば、ある程度裁量的な値引きが可能で、例えば山陽電気鉄道では、全区間で割安な割引運賃を適用してますし、JRや私鉄でも、競合対策などで特定駅間で割安な運賃を適用したり、昼間回数券のような割引率の高い割引乗車券を発売したりする形で自由度があるということです。

特急料金などは、いわゆる付加料金として割りあい自由に設定できるんですが、付加サービスの対価ですから、常識的な納得感があるかどうかで国の指導を受けることはあるようです。

とはいえ特急料金のような速度料金は、経済合理性で説明しづらいところがあります。速く走れば単位時間あたりの走行距離が伸びて、生産性はむしろ上がるわけですから、それだけ儲かるわけです。高速バスが一般路線バスよりも低い運賃水準で成り立つのはそのためです。

しかし日本の鉄道では、混雑の問題があるので、利用が集中しやすい速達列車を料金制にして利用に制限をかけるやり方が旧国鉄時代に定着してしまいましたので、私たちのこの辺の感覚が世界標準からずれてしまっているかもしれません。逆に鉄道事業者にとっては増収策となるわけで、普通運賃で十分な利益が見込めない場合に利用価値があります。思えば整備新幹線も、在来線特急料金より割高な料金設定ができるので、JRにとってはおいしい話かもしれません。新政権で見直されるようですが。

新線建設などで割増運賃を適用する流れもありますが、新線建設や線増やスピードアップなど、大規模投資を伴う事業の費用を運賃に反映できるような自由度は乏しいために、料金で対応するというのは、やはり問題を含みます。

Posted by: 走ルンです | Saturday, December 19, 2009 at 12:26 AM

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