郵政見直しに見る与党民主党の心変わり
ちとひどいですね。郵政見直しで郵貯・簡保の限度額アップを含む見直し案で揺れる鳩山政権ですが、5年前の郵政選挙で独自に郵政民営化案を盛り込んだマニフェストを掲げていたことをよもやお忘れではないでしょうね。過去記事は今読み直しても、当時のアホらしさが伝わってきますが、当時から民主党は小泉竹中路線の4分社化による民営化案を批判し、特に郵貯・簡保の縮小をはっきりと謳っていたのですから、今回の亀井郵政金融担当相と原口総務相が取り纏めた見直し案は論外と言える代物です。
良い機会ですので、郵政関連のリンク集として、過去記事から拾ってみます。
郵政と年金の陰で霞む地方分権
郵政台風去って「こんなはずでは」
ヒルズ、郵政、TBS
郵政公社と全日空提携でインテグレーターの夢成るか
宿敵、銀行マン起用の日本郵政トップ人事
数合わせ?の政府系金融機関改革
高くつく内部補助、公共性と独占の関係
英、郵便市場開放で見えた日本の周回遅れ改革
郵政眠永化?
一貫して小泉郵政改革には疑問を呈してきましたが、今回の見直し案の最大の問題は、形式上民営化され非公務員となった特定郵便局長や郵政関連労組など郵政ファミリーは、公務員の政治活動の禁止に抵触することなく政治活動ができる存在であるということです。つまり政治に圧力をかけて利権を得る存在ということです。中途半端な小泉改革が問題を複雑にすると共に、それに便乗して権益拡大とったわけです。そもそも本業の郵便事業の赤字体質は民営化しても直らず、確実に利益が見込める金融部門で内部補助という安直な方法では効率化につながりません。
となると民主党の心変わりも、夏の参院選対策の本音が透けて見えます。結果的に声を上げた千谷戦略担当相への風当たりの方が強い党内情勢となっているようです。2005年の郵政選挙当時との心変わりをどう説明するつもりでしょうか。新年度予算の公共事業費の箇所付け情報が民主党幹事長室から地方へ漏洩した問題や、凍結されたはずの道路建設を復活した問題と共に、選挙目当てミエミエの対応として更に支持率を下げること間違いなしですね。
なお、イギリスの郵政民営化ではロイヤルメール社が自由競争に敗れ青息吐息で、梃入れ策として政府による経営安定基金の供与や郵貯預け入れ限度額引き上げが議論されてます。また民営化の成功例といわれるドイツでは、ドイツポスト社によるメガインテグレーター戦略が成功したかに見えたものの、傘下に収めたベルギー宅配大手のDHLを手放しましたし、元社長はリヒテンシュタインのプライベートバンクを利用した巨額脱税容疑で2008年に逮捕されるなど、結局民営化の結果は各国共に惨憺たるものとなりました。
あと「民業圧迫」とする議論についても一言。報道によれば金融庁は信金・信組のペイオフ限度額引き上げを打診したものの、亀井大臣の郵貯限度額引き上げとセットの話と見て断っておりますが、そのことを以て「言質を取った」と言わんばかりの亀井大臣の対応は、議論の進め方としても問題ありですね。
ただし現実にメガバンクから信金・信組まで、銀行の貸出残高が減少の一途を辿っていることもまた事実で、果たして銀行は金融仲介機能を十分果たしているのかという点には疑問があります。郵貯限度額引き上げ問題にしても、民業圧迫を主張するだけでなく、郵政との提携によるより高度な金融サービスの提供などの前向きな提案も欲しいところです。
| Permalink | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- 韓流ふてほど(2024.12.08)
- オールドメディアの不作為(2024.11.23)
- 高圧経済のワナ(2024.11.16)
- 年収の壁のウソ(2024.11.02)
- もう一つの高齢化問題(2024.10.27)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 韓流ふてほど(2024.12.08)
- さては民民たま浮かれ(2024.11.30)
- オールドメディアの不作為(2024.11.23)
- 高圧経済のワナ(2024.11.16)
- インフレ下の政治混乱(2024.11.09)
Comments
鳩山由紀夫がいかにごまかしの言い訳をしても、郵政社長・斎藤次郎(今さら次郎)は明らかに天下り・渡りである。
天下り・渡りを問題にしてきた民主党が自ら天下り・渡りをさせたわけであるから、鳩山由紀夫は責任を取るべきである。
民主党政権は異様な特異体質であり、亀井静香や左翼悪人・千葉景子などの炎症を起こしたアキレス腱が多い。
鳩山・亀井・斉藤の社会主義国営の郵便局は決して使わず、
その代わりにコンビニ、ヤマト運輸等、銀行、信託銀行、保険会社及び証券会社等を利用しよう。
そして、官営郵政を完全に衰退させて、預金等が国債の購入に使われないようにしたい。
国債の利払いは約10兆円になっており、税収の2割を超えている。
ただし、亀井静香が外国人参政権に反対している点に関しては、大いに評価したい。
Posted by: 小沢総書記 | Tuesday, March 30, 2010 08:01 PM
郵貯限度額の2000万円への引き上げは、鳩山由紀夫が貰っている1500万円の子ども手当てを郵貯に預けるための優遇策。
Posted by: 小沢総書記 | Wednesday, March 31, 2010 06:20 AM
テレビや新聞の報道が変だと思ったことはありませんか?
マスコミが危険な団体の支配下にあるとしたら?
民主党が危険な政党だと知っていますか?
今、日本は危機的な状況にあります。
以下に参考になるサイトや書籍を紹介します。
たくさんの人が、ブログやYou Tube、ニコニコ動画等で呼びかけています。
国民が知らない反日の実態 (←初めて読む方向け)
http://www35.atwiki.jp/kolia/
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/159.html(民主党の正体)
選挙前.COM
http://senkyomae.com/
博士の独り言
http://specialnotes.blog77.fc2.com/
本「民主党の正体」オークラ出版
本「民主党解剖」産経新聞出版社
私は上記サイト等とは何の関係も無くどこにも属さない個人です。
書き込み失礼いたしました。
Posted by: toorigakari | Wednesday, March 31, 2010 07:37 PM
( ̄ー ̄)ニヤリついつい買ってしまいました・・・
「週刊間東洋経済」高いのに・・・・
また解説してください。
やはり300兆円(?)の使い道は利権かな。
大きな政府に転換のアメリカを真似て
日本も大きな政府まっしぐら。
でも新郵政は親方日の丸ではなく自主性をもち
高齢化社会においてサービスを提供してもらいたいです。
、
Posted by: カズ | Wednesday, March 31, 2010 09:13 PM
やー、1日で凄いことに^_^;。
>小沢総書記さん
申し訳ないですが、クオリティ低すぎです。郵政問題は小泉流の民営化で解決できず、見直しは仕方ないところですが、特定郵便局長などの制度を潰せなかったから、こんな揺り戻しが起きるんで、元々改革になっていなかったんです。とはいえ見直し案のスジの悪さも相当です。
あと1つ。ヨタも嫌いじゃないですがね、こっちもクオリティ低すぎ。鳩山家の「子ども手当」は月1,500万円だから、2ヶ月目に限度額オーバーですね。ま、郵貯は本人確認甘いから、故人口座作れば済みますが^_^;。せめてこのレベルでなければ2ちゃんねる未満ですわ。修行して出直すべし。
>toorigakariさん
くだらないノイズ振りまいて楽しいですか? リンクしまくってますが、貴方の見解がどこにもありません。人の言葉でしか語れないのならば、発言は全てノイズと同じです。
>カズさん
私の近所の書店でも山のような平積みでした。鉄ちゃん狙いありありですね(笑)。
郵貯マネーですが、単純に郵便事業の赤字穴埋めが狙いだと思いますよ。ま、それじゃ郵便事業の赤字体質を追認することになるので、改革に逆行すると断言できるんですね。本業の郵便事業の効率化を本気で考えるべきですね。
例えば切手にICタグを埋め込むとかバーコードで個別制御するとかして仕訳やピッキングを自動化するとか、民間の宅配事業者が当たり前にやっているようなことができないのならば、淘汰されても止む無しです。新体制でどこまで企業努力ができるのか、監視しましょう。
Posted by: 走ルンです | Wednesday, March 31, 2010 10:30 PM
小泉改革には賛否両論あろうかと思いますが、今回の亀井案は誰がどう見てもおかしいですよね。国民をナメてる気がするのですが、郵便局長とかそういう関連団体を取り込む方が参院選には有利と考えたんでしょうかね?
無党派層の中には政策云々に関係なく候補者のルックスや、なんとなく雰囲気で投票するバカな有権者も相当数いるみたいなので、口で上手いこと言えば誤魔化せると考えているのでしょうか?
なんか、古代ギリシアやローマの衆愚政治を見てるみたいで悲しくなります。世界史の流れとしては衆愚政治の後は独裁政治ですが、果たして日本は・・・?
Posted by: yamanotesen | Thursday, April 01, 2010 01:38 AM
歴史的評価は後年に譲るとして、19世紀末からの社会主義、戦後のケインズ主義やリベラリズム、80年代英米から始まった新自由主義、リバタリアン(放任主義者)、小さな政府などの大きなストーリーが消滅したポストモダンの渦中にありますから、独裁へ進むことはないでしょう。
仮に夏の参院選で民主党が過半数を取れなくても、自民党が過半数を押さえるのも無理です。なぜならば新自由主義的改革を標榜した小泉改革の総括ができていないからです。麻生政権当時明らかに小泉改革の揺り戻しが起きてましたから、小泉改革を否定する民主党政権への追及も中途半端にならざるを得ないのです。郵政問題など典型ですね。
というわけで、与党への対向軸を打ち出せない野党は、与党の補完勢力にしかならないです。ということは、民主党長期政権に我慢して付き合うしか現実的な解がないということですね(涙)。こういうときメディアの役割が重要なんですが、日本のメディアはぬるいもんなぁ。
Posted by: 走ルンです | Thursday, April 01, 2010 09:56 PM