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Sunday, April 25, 2010

JR西日本尼崎事故、5年目の強制起訴

JR西日本福知山線尼崎脱線転覆事故から5年、業務上過失致死傷の時効成立寸前の出来事です。

JR西の歴代3社長、強制起訴、尼崎脱線、業過致死傷で
昨年5月施行の改正検察審査会法により、検察審査会が起訴相当と議決し、地検が再捜査して不起訴という過程を2度経過した後、裁判所指定の弁護士が検事役となって起訴するという手順ですが、今年3月に起訴相当とする2度目の審査会議決があり神戸地検が再度不起訴としたことにより、強制起訴となったもので、明石市の歩道橋事故に次ぐ2度目で、同じ神戸地検管内は偶然でしょうか。

ややこしい過程ですが、刑事裁判での裁判員精度と同様、市民の司法参加を旨とする一連の司法改革で導入された制度により、尼崎事故が裁かれるのは意義深いことです。起訴状は明快で、事故現場の危険性を認識しながら、新型ATS(ATS-P)の設置などの安全対策を怠ったことが事故の原因であり、意思決定当時の鉄道事業本部長だった山崎前社長のみならず歴代3社長の責任を問うことは、不起訴処分とした地検の検事たちも意義を認めていたことですが、現行の法体系では罪に問うのが難しく、有罪判決獲得が勤務評定に響く検事の事なかれ主義の壁があったわけです。

しかし重大事故の原因究明や司法の限界を確認し適切な立法への橋渡しをするなど、三権分立下での司法の役割が機能しないとすれば、結局事故防止につながる適切な対策がとられないなど主権者である国民が不利益を蒙るわけですから、たとえ勝ち目がなくても社会的に重要な問題に対する司法の役割として、裁判を考える必要があります。

ましてこの事故に関しては国交省の事故調査委員会の情報漏えい事件もあり、旧国鉄時代の内輪意識の強い鉄道業界の体質改善に寄与するものと期待されます。

実際尼崎事故を受けてこれまであまり省みられなかった鉄道車両の衝突安全対策が、例えばJR東日本のE233系で乗務員室の運転台コンソール後方にクラッシャブルゾーンを設ける構造を標準としたりした動きに反映されております。このことは日本の鉄道にとって、結構大きな意識転換でもあります。

というのは、温暖化ガス削減で鉄道が世界的に見直され、高速鉄道や貨物鉄道の整備などのインフラ投資で国際競争が激化する中、鉄道王国を誇る日本が劣勢に立たされているのが、RAMS規格として欧州基準が事実上の世界標準となっている現実があるからです。例えば新幹線車両は海外ではpaper trainと揶揄されており、衝突安全に問題ありとの評価なのです。

もちろん日本の新幹線は安全運行のための予防安全の仕組みを備え、そもそも衝突事故が起きないようにしているのであって、それゆえに極限的な軽量化が可能で省エネルギーなのだという反論は可能なのですが、そのために専用の走行路を整備し、地上側からの運行監視など高コストであることも否定できないわけです。今後世界へ日本の鉄道技術を売り込むのであれば、世界標準を無視することはできないわけですが、悲しいかな事故を契機としないとそこへ踏み込めないほど日本の鉄道は孤立しているのです。

逆にだからこそ、世界へ羽ばたくためには、この事故を風化させず、教訓を得ることが重要です。

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