« 郵政見直しに見る与党民主党の心変わり | Main | 長崎は狭軌だけだった »

Saturday, April 03, 2010

中心を弾かれて大誤算のチーム青森

タイトルは季節はずれのカーリングネタっぽいけど鉄ネタです^_^;。今年12月に開業予定の東北新幹線八戸―新青森間が、地元でまるで盛り上がっていないというお話です。

青森といえばコンパクトシティの取り組みが有名ですが、以前にも指摘したように2006年の改正中心市街地活性化法による再開発認定第1号に名乗りをあげてます。加えてかつての朝市市場跡地を再開発し2001年に開館した青森アウガは、中心市街地のシャッター通り化に悩む全国の自治体のお手本として見学者が絶えない存在でした。それが実は赤字だったことが発覚します。

青森市が「アウガ」3セクの債務23億3千万円の債権譲渡申し入れ
第三セクターですから出資自治体である青森市が増資を引き受ける手もあるのですが、行政による三セク追加出資には、元々の事業計画の甘さなどへの市民の厳しい目が注がれますし、実際訴訟で敗訴するケースも出ており、どこの自治体も苦労しているようですが、青森市もアウガの売り上げ目標未達成で銀行に泣きを入れるしか手立てがなかったようです。

加えて(仮)地域力再生機構の三セク支援除外という間の悪い政治決着もあり、青森市の苦悩は続きます。実はこの手のシャッター通り対策で建てられた再開発ビルが、郊外型SCに客を奪われてシャッタービルと化している状況はそこら中に見られる現象で、青森に限りません。そういったこともあり、昨年の事業仕分けでも国交省の補助事業としての中心市街地活性化事業は廃止が勧告されました。

青森市にとっては、待ちに待ったはずの新幹線開業ですが、青森駅周辺に都市機能を集中させようとするコンパクトシティ構想からは外れます。さらに用途地域が低層住居地域で商業施設の床面積が規制されますから、現状ではコンビニ1軒作れない場所に新幹線のターミナル駅ができるというのは悪夢でしょう。その結果駅前にレンタカー事業者のベース基地を設けるという戦略が練られております。雪道に不慣れな都会のドライバーの怖さを甘く見ているかもしれませんが^_^;。

元々新青森に新幹線駅を設置するのは、国鉄時代の1973年に明らかになったもので、青函トンネル経由で北海道へ延伸するためには、この位置しかないという国鉄に対して、当時の青森市は反発したものの、新幹線誘致の思惑から8年後に受け容れ派市長が誕生して一応の決着を見ます。その後見直されることはなかったものの、コンパクトシティに舵を切る中、新青森からU字型に回りこんで津軽線に並行して青森駅に至る青森駅アクセス構想なども浮上したものの、事業主体も財源もはっきりしない話ですから進むはずもなく、市街地から離れたターミナル駅を持て余し、中心市街地の空洞化を推し進めることになりそうです。

東北新幹線に関しては、青森の視点から幾つかの計算違いがありました。特にフル規格化に関しては、結果的に良かったのか悪かったのかはっきりしません。当初計画のミニ新幹線ならば青森駅に乗り入れて都市計画との不整合は防げたのですが、青森県が六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場を誘致してまで拘ったフル規格化を青森市が反対して潰すわけにはいかなかったようです。

ちなみに再処理工場が試験稼動で17回に亘ってトラブルを起こし、本稼動の目途が立っていないのですが、メディアではほとんど報道されません。しかも再処理して取り出したプルトニウムは、当面燃料ウランと混ぜた混合燃料(MOX燃料)を軽水炉で燃やすプルサーマル計画が進行中ですが、ご存じの通り度重なるMOX燃料のデータ改ざんで地元自治体の受け容れ拒否拒否が相次ぎ、10年以上遅れております。

プルサーマルはウラン燃料の節約になるという触れ込みで「環境にやさしい」と訴求されておりますが、節約効果は10%程度ですし、再処理で危険なプルトニウムを取り出すことと、それをMOX燃料に加工することで「国産燃料」としたいところですが、MOX燃料工場は別途作る必要があり、放射性廃棄物の最終処分場と共に全く手付かずで、相変わらずフランスに再処理と加工を外注、結果危険な放射性物質を航路で運搬するという安全保障上も問題のある対応を余儀なくされております。とはいえそうしないと原子力発電所の貯蔵プールに使用済み核燃料が貯まる一方で、各原発でプールを増強しているものの、そんな場当たりの対応は10年と保たないと言われており、当然2020年までの温暖化ガス25%削減に貢献できる見通しもない状況です。

併せてプルトニウムを燃やして燃えない天然ウランをプルトニウムに変えながら燃やすという夢のような高速増殖炉も、原型炉となるもんじゅの事故で視界不良であり、仮に六ヶ所村の再処理工場が本格稼動しても状況はあまり変わらないのですが、この辺は国の大誤算でもあります。とはいえ青森県はトバッチリを受けますね。

そして北海道新幹線の着工で、トンネル区間の新幹線用レール設置工事に伴い、作業間合い確保のために寝台特急北斗星1往復が運休し、東北新幹線八戸開業に伴って切り離された三セク鉄道のIGRいわて銀河鉄道と共に青い森鉄道の運賃収入が減少しました。旅客会社運行の寝台特急は第一種事業者としての運行である点が貨物と異なり、元々旅客営業収入の乏しい両社の収支を悪化させてます。北海道延伸を前提とした新青森駅の立地がここでも災いしているわけです。

尚、北海道新幹線開業で青函トンネル区間の約80kmは初の新幹線と在来線貨物の共用区間となりますが、国鉄時代の構想では新幹線は最高速160km/h、貨物列車は最高速100km/hで計画されておりました。北海道新幹線が整備新幹線として着工が決まったものの、運転形態などの詳細は明らかではありませんでしたが、2/9の整備新幹線問題調整会議では、新幹線列車と貨物列車のすれ違い時の危険性の観点から、共用区間の最高速は在来線並みに押さえるという案が出されたということで、整備新幹線標準の260km/hは程遠く、将来の最高速360km/h化で札幌まで4時間以内とする推進派の論が成り立たなくなります。それ以前に就航エアラインが増えて競争激化した東京―札幌線は現状でもJRの半値です。このまま競争環境を維持した方が北海道にはメリットがあります。

というわけでJR北海道では、コンテナ貨車を載せて200km/hで走るトレイン・オン・トレイン(TOT)計画を発表し、将来のスピードアップとトンネル区間の線路容量確保を目指しますが、開発に着手したばかりで、実現には曲折が予想されます。ただし実現すればユーロトンネルで好調なカートレインへの応用も期待できますから、青函トンネルの保守費負担を迫られるJR北海道にとっては夢のような話となります。ただしそうなると北斗星やカシオペアなどの寝台特急が走れなくなりますので、またもや本州側の並行在来線三セクが割りを食います。フル規格化を要求した時には「北海道延伸のために」と言っていただけに恨めしいですね。ヨタですがTOTの真ん中を小文字にすると(ToT)涙のフェイスマークだったりして(苦笑)。

とにもかくにも今年の暮れには新幹線が新青森に達してしまいます。チーム青森の醒めた現状は涙なくして騙れません。あれ、カーリングの話題じゃなかったよな(笑)。

|

« 郵政見直しに見る与党民主党の心変わり | Main | 長崎は狭軌だけだった »

JR」カテゴリの記事

第三セクター鉄道」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

都市間高速鉄道」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

鉄道貨物」カテゴリの記事

Comments

w(ToT)w
でもいつか必ず青森ブームは
起きると・・・・・

団塊の世代、行ってみったかった
北海道一周の前に、青森へ・・・

でも東北に哀愁を感じてる日本人は
結構多いと思います。

走ルンですさん、歌謡曲には「北」(日本です!)を
歌ってるのg多いんですよ!!・・・

Posted by: カズ | Saturday, April 03, 2010 at 10:50 PM

涙腺スイッチ入っちゃいましたか。東北は良いですよね。十和田湖、酸ヶ湯温泉、竜飛の階段国道etc.etc....

カーリングの方のチーム青森は感動をくれました。元々まちおこしでカーリングをサポートという独自の発想がありますし、いずれねぶたと並び称される青森名物に、って、何故に必死でフォローする>ぢぶん^_^;。

Posted by: 走ルンです | Sunday, April 04, 2010 at 11:10 PM

地方の苦しみということでしょうか。

新幹線の駅位置は路線その他技術的理由も
ありそうでやむを得ずでしょうか。

ただ市街地を通すとなると騒音が気になるところです。

私のこのコメントは後講釈なので心痛みます。
しかし、この事例を後世に生かすために、努めてまいります。

地方自治ということで2つ。

ご高承のことと存じますが

(1)岐阜県岐阜市で連節バス導入を検討中。

(2)アメリカ合衆国のニューヨーク市で地下鉄2路線廃止を検討。

という報道を感知しましたので念のためお知らせいたします。

Posted by: とまと | Monday, April 05, 2010 at 12:30 AM

地方の苦しみですが、国のアメとムチによるコントロールの結果、市民が置き去りというところが問題ですよね。新幹線ができても、市民レベルの満足度が低い結果、盛り上がらない地元(除く鉄ちゃん^_^;)ということになります。

岐阜市の事例もホントにアホらしいです。「地方博の観客輸送の邪魔になる」という理屈で市内本線を廃止させ、市バスでピストン輸送したのですが、その市バスも名鉄と同時に過去帳入り、そして連接バスですか。とはいえ県警などへの根回しはできておらず、市の作文と言われているようですね。

鹿島鉄道が廃止されて線路跡をバス専用道に整備してあの茨城空港へ向かうバスを走らせようという話もありますが、鹿島鉄道残すことは考えなかったんですね。この辺も似てます。

Posted by: 走ルンです | Monday, April 05, 2010 at 08:36 PM

http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/video/?c=special&v=75929401001
トレイン・オン・トレインの動画(北海道新聞)
CGでかなりリアル

Posted by: kame | Tuesday, April 06, 2010 at 12:50 AM

***たいへんよくできました***
ってCGの出来が良くてもリアルに実現するかどうかはこれからの話ですね。貨物とのコスト分担など大人の話^_^;もどうなるか。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, April 06, 2010 at 10:46 PM

いつもありがとうございます。
m(__)m

貨物会社と防衛省は自衛隊の重量貨物はどうするつもりでしょうか?

ご参考まで。

http://portable.blog.ocn.ne.jp/t/typecast/58303/64067/35134129

Posted by: とまと | Wednesday, August 18, 2010 at 03:37 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50724/47984705

Listed below are links to weblogs that reference 中心を弾かれて大誤算のチーム青森:

« 郵政見直しに見る与党民主党の心変わり | Main | 長崎は狭軌だけだった »