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Saturday, June 05, 2010

メディアが踊ったパンデミックな1週間の豚沈菅

怒涛のような1週間でしたが、政局報道でメディアの狂宴が続く日本を尻目に、世界は動いております。

ガザ支援船、10人が死亡、イスラエル軍急襲(5/31)
核なき世界へ道険しく、NPT会議、難題は先送り(6/1)
英BP株、一時16%下落、原油流出阻止失敗を嫌気(6/2)
韓国統一地方選、与党が大敗、対北朝鮮に影響も(6/3)
G20、財務相欠席で日本影薄く、韓国で開幕
個人的には以下のニュースも興味をそそりました。
米キャタピラー、機関車メーカーを750億円で買収
英の高速鉄道、日立への1兆円発注取りやめも
世界的な鉄道見直しの機運は、意外な買収劇をもたらします。また日立の英高速鉄道受注に暗雲ですが、先日の総選挙で財政再建を掲げた保守党と自民党の連立政権による方針転換の影響が早速現れたわけです。国民の選択がストレートに反映されるスマートさはさすがです。

特にこの1週間、イスラエルのガザ支援船襲撃が世界を震撼させました。支援船にはトルコ人を中心に世界各国からスタッフが集まり、食糧や医療品などの支援品を運んでいたため、元々良好だったイスラエルとトルコの外交関係にヒビが入りました。その影響は、イランの核開発問題で低濃縮ウランの国外処理にトルコが名乗りを上げたことにも波及、ただでさえ妥協の産物であるNPT合意の実行にも影響します。そのためここへ来て中東がキナ臭くなります。またNPTの議論でアメリカが核軍縮に具体的に踏み込んだのは評価できますが、日本や韓国などアメリカの核抑止力に依存する同盟国の存在が、より踏み込んだ立場を打ち出せない理由でもあります。日本が理想主義を掲げても、なかなか話を聞いてもらえないのはこのためでもあります。

となれば原油価格にも影響が心配されますが、むしろメキシコ湾油田の原油流出事故の深刻さの方が重大です。BPは当初僅かな油漏れの映像を公開し、事故を軽微に見せていたのですが、実際は水深1,000mを超える深海海底油田のメインパイプが外れて原油が噴出している状況で、過去のタンカーの座礁事故の比ではない大量の原油流出で、環境汚染、漁業被害も深刻、そればかりか、この事故で既に深海部しか残っていないと言われるアメリカの油田開発が滞ることは確実と見られ、同様にブラジルやロシアの深海海底油田開発も影響を受ければ、原油価格を押し上げると言われ、オバマ大統領も3度に亘って現地入り、アジア歴訪などの外交日程もキャンセルされました。

韓国哨戒艇沈没事件で強硬姿勢の与党ハンナラ党がまさかの大敗北となった韓国統一地方選では、戦争回避の心理が働いたようで、ここへ来て韓国の対応がトーンダウン、対話と圧力の両睨みにシフトしてきてます。元々実効性のある制裁が難しい中、国連安保理への提訴方針は変わらず、日米が全面支持を打ち出しておりますが、挑発をエスカレートしかねかい有事対応までは踏み込めず、普天間問題で話題となった沖縄米軍の抑止力も機能しているのかどうか微妙です。

となると沖縄県民は何のために基地を抱えて苦しんでいるのか、再度説明を求められるわけです。既にグアム移転が決まっている米海兵隊で、普天間に代わる代替基地が必要な理由は必ずしも明確ではなく、アメリカは2006年の日米合意を理由に辺野古移転の現行案を前提にしようとしておりますが、その合意内容はあまり明らかにされておらず、いわば密約のようなものですが、明らかに前政権から鳩山政権への引継ぎも行われていない中での辺野古移転を明記した日米共同声明の発表は、実は鳩山政権が官僚に取り込まれたことを示します。「腹案」も存在していたと思いますが、何らかの理由で封印され日の目を見なかったのでしょう。

その辺を考えると、今回の政局を反小沢、親小沢の構図で解説されていることに違和感を覚えます。以前から憂慮しておりましたが、官僚に取り込まれた鳩山政権の獅子身中の虫は政権内の閣僚や政務三役に居たはずで、与党幹事長だった小沢氏は無関係なはずです。それを反小沢、親小沢の構図で語ることは、むしろ権力闘争の実態を隠すことになります。

小沢氏は確かに金権的で数の論理を振りかざし、豪腕と言われる力づくの政治手法が目立ちますし、わかりやすい悪党面で多くを語らず、本人もメディア嫌いということもあり、ストーリーを作りやすくイジりやすいということなんでしょう。でもそんな報道姿勢はゴシップ追っかけのパパラッチと変わりません。報道で明らかにすべきは公権力が公正に行使されているかどうかです。ま、小沢氏の政治資金規正法違反疑惑の報道を見る限り、検察の権限行使を追認するだけの姿勢しか見られません。

そういえば4/19のTBS報道番組で野中元官房長官が官房機密費をメディア対策に配っていたことを暴露、有名政治評論家や大手メディア政治部デスクなどに配られて世論操作をしていたと報じられましたが、この件ではTBSも含め既存メディアの追跡取材はなく、5月に入ってジャーナリストの上杉隆氏が週刊ポスト誌上で取り上げ、東京新聞の若手記者が自社の政治部デスクを取材して「受け取っていない」旨の発言を得て紙上に掲載しましたが、他のメディアは全く無視してます。

鳩山政権の火だるまぶりを見れば、官房機密費によるメディア対策は行われていないのは明らかですが、同時に官房機密費自体は支出されているという妙なことが起きてます。一体何に使われていたのでしょうか。政権のメディア対策が行われない中、明らかに宮崎県の初動ミスで被害を拡大した口蹄疫問題でも、専ら赤松農水相に矛先を向けます。確かに農水関係の専門ではないことが弱点となってはおりますが、叩かれることは不本意なはず。そんな折、車や靴を消毒もせずに被災地域をうろついたTVクルーが居たそうで、とんでもない話です。新型インフルエンザなど、人間が感染する病気なら、取材する方も慎重にするでしょうけど、人間には感染しないということで、無防備な取材陣がうろつき回ったわけですが、悪いのは政府になってしまうんですね。

んで、韓国で行われているG20財務相中央銀行総裁会議に菅財務相は欠席。そこでギリシャ危機を受けた財政再建の議論がされ、また欧米それぞれが独自に検討している金融規制のすり合わせも行われますが、日本不在は痛いところ。とはいえ主張の乖離は激しく、どうせまとまらないから結果オーライかも。とはいえ郵貯・簡保の限度額アップをWTOへ提訴も検討される中、議論にすら加われない日本の立ち位置は、結局実務者が国際会議の決め事として錦の御旗を振るわけで、菅政権の先行きを暗くします。

結局政局とはメディアが捏造するものか。

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