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Wednesday, September 01, 2010

さらばアキカン

今日から9月ですが、暑さは相変わらずで早く終わってほしいところです。以前9月に終わると予言した菅政権がまだ続いております。結局参院選敗戦のけじめを付けないまま、政権延命に汲々とするありさまで、見苦しくも暑苦しい残暑のようです。

となれば小沢前幹事長の待望論が出るのは当然、なにしろ菅首相の無能ぶりは3ヶ月でバレてしまいました。政治リーダーとして無能は罪悪なんです。少なくとも安部政権以来の短命政権の連続で国民も身に染みております。正直なところ小沢氏の強引な政治手法は好きになれませんが、リーダーとしては無能な善玉より覚悟の悪玉の方がふさわしいのも確かです。

最近の官僚の隠語に「空きカン」というのがありまして、蹴れば大音響で世間を騒がすという意味なんですが、菅首相のことを言っているんですね。財務相時代に財務官僚のレクチャーが効いて財政再建派に宗旨替えし、参院選前に消費税増税を独断でぶち上げてしまうなど、完全に官僚のマリオネットと化しております。

その効果は当の財務官僚自身も驚き、「選挙前に言うとは思わなかった」と仕掛けた側が焦る状況になってしまいました。本当は選挙後にシレッと方向転換して欲しかったのに、官僚の頭を悩ます衆参ねじれをもたらしてしまいました。結果的に菅首相始め閣僚も含めて官僚に頼らざるを得なくなったのですから、空きカン効果が効き過ぎたわけです。

とはいえ去年政権交代を望んで民主党に投票した国民にとってはとんでもない話です。あくまでも衆院選マニフェストで約束したことを実現するために十分汗をかいたとは言えません。それどころか参院選で「消費税10%」を打ち出した自民党に擦り寄ろうとして逆に「マニフェストを見直せば協議に応じる」として足許見られている状況では、政権維持に汲々とする菅首相は必ず安易な妥協に走ります。そうなれば次の総選挙で政権の座を失うことになりますが、それこそ自民党の思う壺でしょう。

野党である自民党側から見れば、菅氏と小沢氏のどちらが厭かといえば、小沢氏でしょう。陸山会事件も東京地検の2度にわたる不起訴処分が出ており、仮に検察審査会の起訴相当の評決が出れば強制起訴となり、指定された弁護士が検察に代わって起訴するのですが、弁護士は検察と違って捜査権がありませんから、結局新事実は出てこないまま、無罪となるでしょう。法的には決着が付いているといえます。

そもそも陸山会事件ですが、当初西松建設の社員などからの3,400万円の献金が事実上の企業団体献金に相当する迂回献金だという指摘だったのですが、地検特捜部が動く事件としては額も小さく、収支報告書にも記載されていて形式上違法とは言えないためアンバランスでした。

さすがに立件は見送られましたが、次に水谷建設元会長の収監中の証言により5,000万円の裏金疑惑が報じられ、岩手県の胆沢ダムの工事受注を巡る談合が疑われましたが、発注元の国交省が談合なしを証言、また公取委も動来ませんでした。加えて水落建設元会長の公判で自白調書が信用できないとして裁判官に否定されてしまい、これも立件には結びついておりません。

現在地検特捜部が捜査しているのは世田谷区の土地購入費の4億円の出所が不明として政治資金規正法の収支報告書虚偽記載が疑われているのですが、実は2004年の収支報告書で「小澤一郎より4億円借入」の記載があり、2005年に土地購入費として4億円が支払われているので、表面上辻褄は合っております。これは地検の強制捜査で小沢氏自身も証言し、記者会見でも明らかにしておりますので、そうなると何が疑惑なのかよくわかりません。

報道によれば2004年の借入の記載は「小沢氏名義の定期預金担保の銀行借入であって、土地購入費とは別」ということらしいんですが、それを示す証拠は示されておりません。総選挙での敗北濃厚だった麻生政権時代に法相の陰の指揮権による強制捜査が疑われます。

となればターゲットにされた小沢氏が首相となることで、自民党大物議員に同じことを仕掛ける可能性も皆無ではないでしょう。実際に手を下さなくても、自民党側が勝手に恐怖を感じてくれれば、結局国会運営は与党主導で進められることになります。謂わば水鳥の羽音に怯えて敗走した平家状態です(笑)。

本日の共同記者会見でも応酬がありましたが、2011年度予算の概算要求でも各省庁一律1割減というのは政治主導でも何でもありません。達成した省庁には特別枠で追加を認めるというのもバカバカしいのですが、出てきた結果は本来請求すべき項目を特別枠に移し変えて見かけを整えただけで、96兆円もの規模に達しております。こんな子供だましで済まそうとする菅政権には呆れます。

結局予算の無駄への切り込みが甘いために、官僚になめられているのです。例えば八ッ場ダムですが、本体工事は凍結されたものの、付帯工事はどんどん進んでいて既成事実が積み上がっております。どういうことかといえば、本体工事は国交省発注なので止められますが、付帯工事は県発注で政府に止める権限がないのですが、それを逆手に取られているのです。しかも国交省は公共事業の縮小を補填する一括交付金を地方に渡しており、八ッ場ダムの付帯工事に流用されているのです。加えて県発注工事の受注率は軒並み9割超と談合が疑われる水準ですが、受注企業が保守系の地元選出国会議員と県議に献金しており、謂わば公金横領で小沢氏の迂回献金疑惑などより悪質ですが、それを見過ごす政務三役も脇が甘いです。

元々前原国交相にはシンパシーを抱いておりましたが、こういった脇の甘さは若さゆえの経験値不足なのかもしれません。高速道路無料化についても、JRからクレームをもらうと鉄ちゃん大臣の性か熱意が萎んだように見えます。2010年度の無料化社会実験予算の減額を幹事長室の横槍と批判しましたが、その一方で凍結したはずの高速道路4車線化着工を復活させるなど不可解な決定をしており、担当大臣として優先順位を間違えていないかと疑われます。

マニフェストを実行したくても財源がないとよく言われますが、財源を見つけるkとができないだけです。日本の財政赤字は確かに巨大ですが、単年度でGDP比8-9%程度というのは、有効需要創出のための財政出動としては突出したものではありません。ちなみに赤字国であるアメリカやイギリスの方がGDP比が上です。

いや問題は累積赤字なんだ、その場合GDP比200%に近づいていると言われますが、これも要注意、諸外国政府の累積債務は通常政府の負債から政府保有の金融資産額を控除したネットの金額で見られます。日本の累積900兆円の赤字というのはグロスの数字で、政府保有のが金融資産500兆円ほどありますので、累積でもGDP比80%程度で特段突出した数字ではありません。もちろんそもそも政府がそんなに巨大な金融資産を保有する国はアラブの産油国など例外的で、実はこの政府保有金融資産こそが諸悪の根源なんです。

例えば外国為替特別会計ですが、本来は貿易決済が滞らないように政府が外貨を保有して備えとするのが本来の趣旨ですが、6ヶ月決済の多い貿易取引では、輸入代金の決済が滞らないための備えとして輸入額の半年分あれば万全ということになります。純輸出で07年度74兆円が直近のピークですから、その半分として37兆円にやや色を付けても40兆円あれば万全なわけですが、実際は100兆円を超えております。そのほとんどが米ドル建てで米国債で保有されております。

ここまで膨らんだ理由は過去の円売りドル買い介入の結果ですが、特に2003-2004年の大介入で35兆円ものドル資産を購入した結果です。それで円安となり外需主導で景気回復したわけですが、リーマンショックでもとの木阿弥となりました。

この外為特会は元々政府短期債券という短期国債を発行して円資金を調達して実施されますが、当然長期債である米国債の償還前に償還しなければならず、借り換えが日常的に行われます。その結果長短金利差による剰余金が発生するわけです。しかも日米で元々金利差があるので、剰余金の額はかなり大きいのです。財源問題で所謂埋蔵金といえば必ず外為特会が取り上げられますが、このように日常的に税外収入が得られるわけですね。

一方円高で含み損が出ているはずという指摘もありますが、通常米国債が償還期限を迎えても再度ドル建て債に投資されるので、日本政府がドルを売らない限り、言い換えれば円高誘導の介入をしない限り実現しない損失です。というかそもそも米国債のクーポン(金利)もドルで支払われますが、円に換えれば政府当局がドルを売ることになり、表面上ドル売り円買い介入となって相場を動かしてしまうので、ドル建ての金利分はドル資産へ再投資されるため、剰余金を税外収入とするためには、追加で政府短期債券を発行して相当額の円資金を調達することになり、ある意味国債発行と同じですが、特例国債(赤字国債)と違って予算関連法を成立させる必要はなく、より自由度が高いわけです。

逆に言えば常に短期債の借り換えで維持されている特会ですから、景気が良くなって調達金利が高くなれば剰余金自体が減ることになりますが、そのときには税収が増えるわけですから、相互補完性はあるわけですが、残高が巨額であるために、現在のような円高局面では逆に円売り介入が仕掛けられない理由にもなっていて、僅かな税外収入のために無駄にお金を積んでるとも言えます。

やや長くなりましたが、何が言いたいかといえば、巨大化した政府金融資産こそが貨幣の退蔵を助長し投資マインドを冷やす存在となっているということです。だから日銀が貨幣供給を増やしてもマネーサプライが増えず、流動性のわなが生じて経済を冷やしているのです。とはいえ一朝一夕には見直せませんから、ある程度時間をかけて無駄な政府金融資産の縮小を図る必要があります。その過程で相当額の財政資金が捻出できるのはいうまでもありません。そのためには官僚に牛耳られた国家統治を国民の手に取り戻す必要があり、そのためには突破力のある政治リーダーでなければ勤まらないのです。

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Comments

私は今の政治家はどの人も期待できないですね。

小沢さんが首相になったところで一体何ができるのかと思ってしまいます。剛腕で人を動かすことには長けているかもしれませんが、政策面の話を聞いたことがありません。マニュフェストの実現を主張していますが、暫定税率廃止を断念したのは誰なのかと言いたくなります。

菅さんは乗数効果がわからない程の経済音痴ですし、総務相の原口さんは国外で購入したiPadを日本で使っていると自らTwitterで暴露してしまいました。これは一歩間違えば(iPadの使い方によっては)違法です。そんな人たちに政治主導云々と言われても説得力がありませんが、良くも悪くも素直に周りの意見に耳を傾け、取り入れる力があると感じます。

日本は債務は多いものの、資産も多く債権も世界トップクラスという話はよく聞きます。でも、それは現在の話であって、今後少子高齢化で経済が縮小均衡に向かう中では緊縮財政路線もやむを得ない気がします。

長々と失礼しました。

Posted by: yamanotesen | Wednesday, September 01, 2010 at 11:14 PM

政策面の話は本日の共同記者会見でかなりはっきりしました。政策スタンスとして衆院マニフェストの実現に対する温度差は明確です。

はっきり申し上げまして、マニフェストの修正、骨抜きを認めれば、次の総選挙で民主党は勝てません。それがマニフェスト選挙の意味なんで、有権者に見放されれば政治的に死んだも同然なんです。それが理解できていない菅首相では先は長くないです。

原口総務相のiPadは初耳ですが、海外のsimフリー版を使う場合appstoreが使えないなどの制限があるはずで、承知の上で使う分には自己責任の問題です。

あと日本経済の縮小均衡は少子高齢化が原因ではありません。新興国の対等で様変わりしたグローバル経済に対応できずに収益逓減法則に従って経済がシュリンクしているのですから、従来の有効需要創出策に効果はないんです。

欧州が社会保障や環境問題に熱心なのは、新たな有効需要創出策の模索なんですが、そういったチャレンジができないことが日本の問題なんです。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, September 01, 2010 at 11:39 PM

仰せの説はもっともだと思います。
惜しむらくは誤字がなければ・・・。

・安部政権→安倍政権

人の名前ですからね。
好きか嫌いかに関わらず。


Posted by: blue sky | Tuesday, September 07, 2010 at 12:23 AM

ご指摘ありがとうございます。仰せの通り人名は慎重に扱うべきですね。失礼しました。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, September 07, 2010 at 09:50 PM

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