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Sunday, October 31, 2010

国産子弾頭で和諧へGo!

このご時勢に中国ネタは勇気が要りますが^_^;、基本敢えて空気読まない主義なんで悪しからず(笑)。

報道ではベトナムのハノイで開催された東アジアサミットで日中首脳会談が中国側からドタキャンされたということで騒いでますが、中国政府は天安門事件のトラウマでナーバスになっているだけです。鄧小平の改革開放路線で豊かさが展望できると希望に燃えた若者がちょっと羽目を外したとはいえ、当時既にインフレが深刻化していて国内が不安定だっただけに、政府が過剰反応したわけです。その中で若者に理解を示し民主化已む無しとした胡耀邦総書記が北朝鮮訪問中に更迭されたように、外交日程中の政変は中国指導層にリスク認識があるわけで、ナーバスになるのも無理からぬところです。

中国の国内が騒がしくなるときは、常に国内経済がインフレ状況にあり、例えば2005年の上海などでの大規模反日デモのときも3%超のインフレで格差拡大で不満がたまっていたものが爆発したものですし、2008年ごろもインフレ状況にありましたが、このときは北京オリンピックでガス抜きされてセーフ。人民銀行の利上げや政府の銀行規制で経済を冷ましたので、薄型TVで五輪特需を狙っていた日本の電機メーカーはその後在庫処分でデフレのわなに陥りました(苦笑)。そして今回、武漢や成都など主に内陸部でデモが頻発しているのがミソです。

胡錦濤主席が掲げた「和諧社会」で内陸部開発は大きなテーマでした。また上海や広州など沿海部は既にバブルの様相もあり、リーマンショック後の国際社会に協調したグローバルインバランスの解消の目的もあり、公共事業で内需拡大を目指すということで内陸部で経済成長が始まった結果として、デモが内陸部で起きたのです。経済成長の副作用としての環境破壊やインフレによる所得配分の不均衡で不満がたまっていたわけです。言ってみれば成長の副作用であって、天安門事件と全く同じ構図が繰り返されているのです。歴史は何度でも繰り返ながらその都度新しいのです。

という中でこんなニュースに注目しました。

「世界最速の高速鉄道」中国・上海~杭州路線が開通  :日本経済新聞
上海―杭州間には在来線改良でCRH2aが最高速250km/hで営業運転していた区間ですが、高速新線の開業で最高速350km/hの「国産」高速車両を投入したものです。

CRH2aはJR東日本のE2系1000番台を中国向けに移植したもので、本家の6M4Tの10連を4M4Tの8連として中国仕様としたわけで、以前にも取り上げましたが、当時から中国政府は「国産」を謳っておりました。そして広州―武漢間の高速新線向けにCRH2bを「開発」し350km/h運転を始めてJR東日本が「安全を保障できない」とクレームをつけたのですが、種明かしすればCRH2bでは6M2T編成として動力性能を高めて対応したもので、現時点では問題を起こしておりません。逆に言えば日本では新幹線の厳しすぎる騒音基準をクリアできないだけで、E2系の潜在能力は意外に高かったということもいえます。

上海―杭州間に登場したCRH380は写真で見る限りCRH3がベースのようです。ドイツはシーメンスのICE3の同型車で北京―天津間の高速新線などで走っておりますが、CRH380のノーズの形状はE2系にも似ていて、実際中国当局は「250km/hまでは日独仏の技術を学んだが、350km/hを実現した技術は自主開発」と胸を張ります。もちろん日独仏の技術のいいとこ取りをしていることは明らかなんですが、「だから中国は(怒)」というのは早計です。日欧の技術をブレンドして大混乱した台湾高鉄の例を引くまでもなく、この技術のいいとこ取りがいかに難しいかは指摘しておきます。

そもそも中国の高速鉄道計画は日本では中国新幹線と紹介されることが多いのですが、中国では新幹線は日本の高速鉄道の呼称として、中国の高速鉄道は別物としているのですが、そこには戦略的な総合交通体系構築の意思があることを指摘できます。基本的に高速鉄道の守備範囲は1,000km以内でしかも全てを新線で対応するのではなく、在来線の改良と組み合わせて時間をかけてグレードアップしていくものということで、考え方は欧州の高速鉄道に近いものです。

新線は輸送力が必要な区間で重点整備し、在来線は主に貨物輸送インフラとするなど、この辺の考え方は日本の新幹線のコンセプトも混じっており、とにかく人口の多い中国ですから、輸送力は重要ということで、車体幅2.9mの欧州規格よりも3.4mの日本規格を採用したいのが本音だったんですが、小泉政権時代の日中冷え込みで日本が冷たい態度を取ったことは結構根に持たれているようです。ちなみに新線開業後の並行在来線は基本的に旅客列車が走らなくなるわけですが、新線建設の投資回収もあって高速新線の列車は運賃が高く設定されていることもあり、旅客からは不評ですが、新幹線の開業で在来線の特急急行が次々と廃止されたかつての国鉄も同じように批判されておりました。やっぱり歴史は繰り返すか(笑)。

江沢民時代の所謂中南海上海閥人脈は欧州シンパが多く、その流れでドイツでさえ営業に供されていないリニアのトランスラピートを強引に上海に建設したりしましたが、朱溶基首相がリニアより鉄レールの高速鉄道が現実的で且つ地震に強い日本の鉄道技術に期待して現実的な対応を取ったわけです。にも拘らず日本は中国の高速鉄道計画であまり存在感を示せなかったのは惜しいところです。

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