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October 2010

Sunday, October 31, 2010

国産子弾頭で和諧へGo!

このご時勢に中国ネタは勇気が要りますが^_^;、基本敢えて空気読まない主義なんで悪しからず(笑)。

報道ではベトナムのハノイで開催された東アジアサミットで日中首脳会談が中国側からドタキャンされたということで騒いでますが、中国政府は天安門事件のトラウマでナーバスになっているだけです。鄧小平の改革開放路線で豊かさが展望できると希望に燃えた若者がちょっと羽目を外したとはいえ、当時既にインフレが深刻化していて国内が不安定だっただけに、政府が過剰反応したわけです。その中で若者に理解を示し民主化已む無しとした胡耀邦総書記が北朝鮮訪問中に更迭されたように、外交日程中の政変は中国指導層にリスク認識があるわけで、ナーバスになるのも無理からぬところです。

中国の国内が騒がしくなるときは、常に国内経済がインフレ状況にあり、例えば2005年の上海などでの大規模反日デモのときも3%超のインフレで格差拡大で不満がたまっていたものが爆発したものですし、2008年ごろもインフレ状況にありましたが、このときは北京オリンピックでガス抜きされてセーフ。人民銀行の利上げや政府の銀行規制で経済を冷ましたので、薄型TVで五輪特需を狙っていた日本の電機メーカーはその後在庫処分でデフレのわなに陥りました(苦笑)。そして今回、武漢や成都など主に内陸部でデモが頻発しているのがミソです。

胡錦濤主席が掲げた「和諧社会」で内陸部開発は大きなテーマでした。また上海や広州など沿海部は既にバブルの様相もあり、リーマンショック後の国際社会に協調したグローバルインバランスの解消の目的もあり、公共事業で内需拡大を目指すということで内陸部で経済成長が始まった結果として、デモが内陸部で起きたのです。経済成長の副作用としての環境破壊やインフレによる所得配分の不均衡で不満がたまっていたわけです。言ってみれば成長の副作用であって、天安門事件と全く同じ構図が繰り返されているのです。歴史は何度でも繰り返ながらその都度新しいのです。

という中でこんなニュースに注目しました。

「世界最速の高速鉄道」中国・上海~杭州路線が開通  :日本経済新聞
上海―杭州間には在来線改良でCRH2aが最高速250km/hで営業運転していた区間ですが、高速新線の開業で最高速350km/hの「国産」高速車両を投入したものです。

CRH2aはJR東日本のE2系1000番台を中国向けに移植したもので、本家の6M4Tの10連を4M4Tの8連として中国仕様としたわけで、以前にも取り上げましたが、当時から中国政府は「国産」を謳っておりました。そして広州―武漢間の高速新線向けにCRH2bを「開発」し350km/h運転を始めてJR東日本が「安全を保障できない」とクレームをつけたのですが、種明かしすればCRH2bでは6M2T編成として動力性能を高めて対応したもので、現時点では問題を起こしておりません。逆に言えば日本では新幹線の厳しすぎる騒音基準をクリアできないだけで、E2系の潜在能力は意外に高かったということもいえます。

上海―杭州間に登場したCRH380は写真で見る限りCRH3がベースのようです。ドイツはシーメンスのICE3の同型車で北京―天津間の高速新線などで走っておりますが、CRH380のノーズの形状はE2系にも似ていて、実際中国当局は「250km/hまでは日独仏の技術を学んだが、350km/hを実現した技術は自主開発」と胸を張ります。もちろん日独仏の技術のいいとこ取りをしていることは明らかなんですが、「だから中国は(怒)」というのは早計です。日欧の技術をブレンドして大混乱した台湾高鉄の例を引くまでもなく、この技術のいいとこ取りがいかに難しいかは指摘しておきます。

そもそも中国の高速鉄道計画は日本では中国新幹線と紹介されることが多いのですが、中国では新幹線は日本の高速鉄道の呼称として、中国の高速鉄道は別物としているのですが、そこには戦略的な総合交通体系構築の意思があることを指摘できます。基本的に高速鉄道の守備範囲は1,000km以内でしかも全てを新線で対応するのではなく、在来線の改良と組み合わせて時間をかけてグレードアップしていくものということで、考え方は欧州の高速鉄道に近いものです。

新線は輸送力が必要な区間で重点整備し、在来線は主に貨物輸送インフラとするなど、この辺の考え方は日本の新幹線のコンセプトも混じっており、とにかく人口の多い中国ですから、輸送力は重要ということで、車体幅2.9mの欧州規格よりも3.4mの日本規格を採用したいのが本音だったんですが、小泉政権時代の日中冷え込みで日本が冷たい態度を取ったことは結構根に持たれているようです。ちなみに新線開業後の並行在来線は基本的に旅客列車が走らなくなるわけですが、新線建設の投資回収もあって高速新線の列車は運賃が高く設定されていることもあり、旅客からは不評ですが、新幹線の開業で在来線の特急急行が次々と廃止されたかつての国鉄も同じように批判されておりました。やっぱり歴史は繰り返すか(笑)。

江沢民時代の所謂中南海上海閥人脈は欧州シンパが多く、その流れでドイツでさえ営業に供されていないリニアのトランスラピートを強引に上海に建設したりしましたが、朱溶基首相がリニアより鉄レールの高速鉄道が現実的で且つ地震に強い日本の鉄道技術に期待して現実的な対応を取ったわけです。にも拘らず日本は中国の高速鉄道計画であまり存在感を示せなかったのは惜しいところです。

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Saturday, October 16, 2010

リニアのルートは決まっても

リニアネタです^_^;。最初に誤解がないように申し上げておきますが、私はリニア反対派と認識されているようですが、違います。「リニアは作るな」ではなく「できない」と申し上げているんです。理由はビジネス利用が今後数十年、減少するからです。

サイドバーのデフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) [新書] をお読みいただければわかりますが、日本が2千年に1度の人口変動で高齢化が進み、現役世代である生産年齢人口の減少により内需が縮小した結果の長期停滞局面にあることは、当ブログでも取り上げましたが、国勢調査や消費税課税関連で税務署が把握する小売り売上高などの公開された実数データで説明されていて説得力があります。ぜひご一読を。

国交相の諮問機関の交通政策審議会中央新幹線小委は13日、リニア中央新幹線のルートを20日に公表することを決め、経済効果が高い直線ルートを事実上の結論とするものと見られます。

時事ドットコム:リニア新幹線、「直線」で決着へ=近く3ルートの調査結果公表-国交省審議会
ルート選定に関しては長野県が諏訪地区を経由する伊那谷ルートを推奨しJR東海と対立しておりましたが、民間単独事業でJR東海が進める事業だけに、国としては妥当な判断ではあります。

少し整理しておきますが、JR東海の単独事業であるリニア中央新幹線に国が関与する理由ですが、全国新幹線網整備法という法律で、時速200km以上の高速度で運行する鉄道として国が整備して運行するものとして新幹線が定義されており、国鉄時代ならば国イコール国鉄で良かったものが、分割民営化で国鉄が解体されたことにより、事業主体はJR旅客会社が継承したものの、整備は国が関与することになり、一連の行政手続きが定められていることによります。ネット上ではこのことを理解していない意見が散見されますが、JR東海の純民間事業であっても、ルート選定や技術評価、環境アセスメント、採算性評価などは国の行政手続きとして行うと規定されたもので、別に国がJR東海の邪魔をしているわけではありません。

ルート選定は基本計画線である中央新幹線を整備計画線に昇格させるための行政手続きの一部であり、この段階の事業費は概算で技術評価の性格が強いものと押さえておきましょう。環境アセスや採算性など他の項目がクリアされて整備計画線になったところで、工事実施計画の策定がJR東海に命令されます。「命令」はあくまでも法律用語ですので念のため。そして今度は用地の特定や工事期間や工法などの詳細な計画が策定され、基準をクリアしたと国が認定してやっと着工となるわけで、今回ルートが決まったからといっても、まだまだ先は長いわけです。

気になるのは概算の事業費が5.43兆円としてますが、中央リニア5.1兆円の記事の段階よりも微増となっており、具体化するごとに事業費が膨らんでいくのは仕方ないところではあります。実際東海道新幹線も当初より事業費が1,300億円も超過し、生みの親である十河信二総裁更迭の口実にされました。とはいえ東海道新幹線は計画段階で仮に事業費が2倍に膨らみ収益が半分でも採算性に問題なしとして着手されたわけで、この辺の事情がリニアとは大違いなんです。

前出記事で指摘したように、1992年10月にJRがリースしていた新幹線資産を国から買い取った代金のJR東海分が5.1兆円で、内4.5兆円が2017年度で償還終了となり、返済金分のキャッシュフローが浮くわけで、そのタイミングで事業着手して2027年開業というのが、JR東海の胸算用なんですが、これはあくまでも現状の収益を維持する前提での話ですから、前掲書で指摘する就業者人口の減少は、とりもなおさず東海道新幹線のビジネス客も減少することを意味します。2017年までに利用客の前年割れが連続する事態が生じれば、資金計画に狂いが生じるわけです。

また全日空が格安航空会社(LCC)参入を表明し、国内線にも就航する計画ですから、例えば成田―関空間で5,000円のフライトであれば、アクセスにN'EXとはるかを奢っても、のぞみより安く大阪へ行けるわけですから、成田の発着枠増加と相まって、リニアの事業着手を待たずに新幹線もディスカウントで対抗せざるを得なくなり、リニア建設資金を減らすことになります。つまり事業着手できないか、できたとしても死ぬほど後悔することになるわけです。だからリニアは「できない」んです。

そもそも民間航空は時間を買う必要性の強いビジネス利用に支えられてきましたし、新幹線も事情は同じです。だから鉄道の場合所要3時間で航空と対等という法則が日本のみならず高速化が進む欧州でも当てはまります。

しかしLCCの出現は従来航空を利用しなかった非ビジネス客を掘り起こし、航空需要を底上げしました。利用客には時間を買う感覚はなく、遠くて不便な空港でも安ければ都合をつけて利用するわけです。その結果民間航空は大競争時代に突入し、既存キャリアもマイレージや早割や特割など空席を埋めるためのディスカウントが日常化して経営悪化が止まらない状況になりました。再建中のJALはかくして追い込まれたわけです。

ということは、JR各社の中で収益性断トツのJR東海がJALのようになるということを意味します。ビジネス利用が減っても運行本数を削減するなどサービス低下を伴う対策はとれませんから、結局ディスカウントチケットで空席を埋めるしかありません。鉄道資産の固定費負担の高さが仇となるわけです。この状況で設備増強は結局「デフレのわな」に陥るしかないことになります。

というわけで、リニアは山梨実験線を有効利用して橋本―新甲府間で日銭を稼いで当面を凌ぐ方が良いでしょう。そうすれば100km程度の中距離超高速ピープルムーバーとして海外から引き合いが来るでしょうから、それで実績を積み量産効果でコストダウンしてから、半世紀後か1世紀後かわかりませんが、機が熟してから再度着手しても遅くはないのではないでしょうか。

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Saturday, October 09, 2010

世界同時笑劇場、またの名を歴史のフラクタル

ポストモダンまっしぐらの21世紀の世界ですが、いよいよ多極化、流動化が止まりません。ヘーゲルとマルクスが語り継いだ(笑)「歴史は2度繰り返す」という命題ですが、21世紀の現実は「歴史は限りなく相似象を繰り返す」と言い換えた方が良いような、そんな感じです。

ヘーゲルもマルクスも、民主政治と共産制と到達点の違いはあるものの、歴史の終焉を予言しているわけですが、どうも現実は似たり寄ったりの笑劇として繰り返される無限連鎖なのかもしれません。丁度物理学や生物学でいう動的平衡としてのフラクタル現象として考えた方が良いのでしょうか。笑いすぎて夜も練られません^_^;。

フラクタルというのは自然界には多く見られる現象で、例えば雲は大きさも形もさまざまですが、一見してそれとわかる外見上の特徴を持っております。また地上から上空を見ても遠景の雲を見ても、航空機から見下ろす雲海も宇宙空間から見る地球の映像でも同様に雲とわかる外見上の相似象があります。歴史も同様かというのが今回のテーマというわけです。

尖閣問題で国会論戦がありましたが、結局野党は攻め切れませんでした。東シナ海に領土問題は存在しないという基本姿勢からブレなかった政府の姿勢は、まともな主権国家の対応として歴代政権と一線を画します。那覇地検が政治的外交的配慮で処分保留のまま釈放したことで弱腰外交と言われますが、そもそも外交問題ではないんですから、批判は当たりません。

刑事訴訟手続きを司る検察にそもそも判断できる問題かという論点はありますが、それゆえ政権が検察に政治介入したのではないかといわれたのですが、これに関しては仙谷官房長官が30日の衆院予算委で「この事案が指揮権発動に該当するか明確でない。議論が足りない」と答弁しております。

少し解説が必要ですが、刑事訴訟手続き上、政権が検察に合法的に政治関与できる手続きとして法相の指揮権発動がありますが、1954年に造船疑獄事件で佐藤栄作幹事長の逮捕状請求に対して当時の犬飼法相が逮捕を見送るよう指揮権発動したのが唯一の例です。このときは疑惑隠しとしてメディアが一斉攻撃したために、以来伝家の宝刀、抜くに抜けない制度となりました。本来は強大な検察権力の暴走を阻止する制度ながら、メディアにはその認識がなく、事実上メディアの無知が制度の機能を奪ったわけで、弁護士の仙谷長官らしい皮肉といえます。

つまり政治介入の合法的手段たる指揮権発動をしていないのだから、政治介入はないというロジックです。同時に公式には造船疑獄以来指揮権発動はされていないことになっておりますが、例えば日歯連不正献金事件で1億円授受に立ち会った橋本龍太郎氏や野中広務氏が訴追されず、現場にいなかった村岡兼三氏が逮捕起訴されるというような、あるいは郵便不正事件も民主党の石井一議員がターゲットだったようですし、陸山会の政治資金規正法違反事件の扱いも含め、政権の意向に配慮したような判断が度々繰り返されたことへの皮肉でもありましょう。自民党の追及はヤブヘビになりかねません。

そもそも那覇地検は船長を略式起訴で処分決定後速やかに本国送還するつもりだったところ、本人が犯行を認めないために略式起訴手続きに入れず、また任意取調べしかできない船員を帰したために、船長の拘留延長をしたものの、公判を維持できるだけの追加の証拠は集められず、起訴を断念せざるを得なかったというのが実際です。ゆえに検察は刑事訴訟手続き上の裁量の範囲内で判断したことになります。

ついでに言えば「中国と揉めるな」というアメリカの意外な反応でえすが、よく考えれば中国との軍事的対峙は核戦争の可能性も秘めるわけで、尖閣問題で核戦争はあまりにもバランスを欠く話ですし、平和国家の看板が泣きます。二国間の問題は対米追随一辺倒だった冷戦時代の枠組みでは解決不能であり、日本の外交姿勢が問われるところです。同時に普天間問題でポイントとなった米軍の抑止力の実態が明らかになったことは収穫です。

この問題だけを見れば、昨年の政権交代が実感されますが、その同じ民主党政権でまさかの為替介入を実施して小泉政権と同じことをしていることを指摘いたしました。野田財務相は「長期間、大量の介入ではなく、通貨安競争ではない」と強調し、小泉政権時代との違いを強調しましたが、欧米諸国の反応は冷ややか。表立った非難こそなかったものの、中国を意識した新興国の為替政策見直し要求に水を差したと内心不満は間違いありません。また違いを強調するあまり、今後の介入はやりにくくなるわけで、どこまでも自縄自縛の日本です。

と思えば緊急経済対策として5兆円規模の補正予算を閣議決定しましたが、中身は麻生政権時代のバラマキが復活したような違和感があります。5兆円の根拠は予備費2兆円、税収増2兆円、低金利による国債利払い費の圧縮分1兆円その他といったところです。

口蹄疫問題などがあった中で2兆円の予備費が温存されたのは、おそらく政務三役が予算執行に目を光らせたから手を付けずに済んだと見られますし、税収増はエコカー補助金などの寄与はあるものの、主に中国などアジア向け輸出の好調に支えられたもので、それなりに企業の構造改革が進んだ結果ではありますし、国債利払い費の圧縮も、事業仕分けなどで行政改革の姿勢を鮮明にした結果の信認と捉えることが可能ですから、政権交代が寄与した部分も少なからずあります。

にも拘らず官僚の作文に大盤振る舞いするのは信じられません。財政再建のために11年度償還予定の国債の繰り上げ償還に例えば4兆円充てることで、11年度予算の国債費を10年度並みの20兆円程度に抑えるという知恵が働かないのでしょうか。それこそ政治主導ってもんです。経済の下支えには11年度予算の公共事業の前倒し執行で建設国債発行で対応すればよいわけで、来年度予算編成がしっかり行われていれば、与野党事前協議のような談合まがいのことは必要ありません。それこそ攻守ところを変えた55年体制になりかねません。

加えて日銀政策決定会合でまさかのゼロ金利復活ですから、もう笑うしかありません。ゼロ金利自体は3度目ですが、1度目は緩和に慎重で金融タカ派と目された速水総裁時代に「日銀は何をしている」という与党と世論のバッシングに押されてのものでしたが、今回も同じく緩和慎重派と目される白川総裁に対する与党と世論の圧力が目立ちました。ただし与党は野党時代に「預金者の金利収入を奪った」とゼロ金利批判をしていた民主党というのが違いでして、立場が変わればこんなもんかい(怒)。

しかも為替問題では新興国も日本の為替介入に反応してまして、尖閣問題で中国国内では「日本を困らせるなら日本国債を買えば良い」との声まで出る始末です。もちろん中国の人民元改革が遅々として進まず、為替レートの調整が進まないのは確かですし、人民元が米ドルとの連動性が高いがゆえに、韓国、インド、マレーシアなどが直接市場で買えない人民元の代わりに米ドル買い介入して日本円に片寄せされたという要素はあるものの、日本の介入で新興国に「遠慮は要らない」と口実を与えたことは否めません。

加えてレアアースも日本が墓穴を掘ったといえます。元々希土類と言われる17種類の元素は、高機能合金に微量添加したり、ガラス面の研磨剤あるいは化学反応の触媒など用途も様々で使用量も多くないため、元々単独では鉱山開発が採算に合わず、他の鉱物資源採取時に副産物として抽出される形で供給されていたのが、中国が人民元安と人件費安で参入し、日本企業がそれに依存した供給体制を採ったために、他国の供給が採算割れとなった結果の中国依存度97%で、しかも中国国内では無秩序な鉱山開発で鉱毒事件が多発し、当局が規制せざるを得なくなった結果の輸出制限であり、全てではありませんが、代替品があったりリサイクルが可能だったりするものもあり、メディアは無知ゆえに過剰反応しておりますが、早い話が日本が安すぎる人民元の受益者だったというオチです。まるで70年代のオイルショックで安すぎる中東原油依存でもろに波をかぶったのと同じ構図です。

新興国の言い分としては、先進国が揃って超緩和的な金融政策を採る中で、余剰資金が成長著しい新興国投資に向かうために通貨高になっているから為替介入は正当と主張しており、元を質せば日本の長すぎる金融の長緩和政策をリーマンショック後の欧米が追随した結果とするならば、起点は日本ということになるわけで、この面でも日本への不信感は強いと見るべきです。またこれはコペンハーゲンのCOP13で合意が得られなかった温暖化問題と同じ構図であることも指摘しておきます。名古屋のCOP10生物多様性締約国会議でも生物資源の分配問題で対立は必至です。

中国がらみでは反体制派の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞が話題となり、中国に言論の自由がないと盛んにメディアは連呼しますが、これもソ連の反体制派のサハロフ博士やミャンマーのアウン・サウン・スー・チー女史など内政干渉を疑わせるきわどい対応も問題なしとはいえません。そもそも天安門事件のときに欧米が人権問題で中国に厳しく接したときに、日本の保守派の論客は「せっかく鄧小平が国民を豊かにしようと改革開放を進めたのに、増徴した若者が台無しにしてしまう」と言い放ったのを忘れません。またそもそも以前から劉氏は平和賞候補と見られていたのに、無知で国民の知る権利に応えられない日本のメディアに言う資格はあるのかと言いたいところです。

というわけで、多極化、流動化でわけがわからなくなりつつある世界ですが、最後にこんなニュースに注目しました。

仏英間鉄道、独製車両購入へ 仏政府激怒、選定に横やり  :日本経済新聞
TGVをベースとしたアルストム製の初代ユーロスターの代替車を独シーメンスが落札したというのですが、自由な市場を標榜するEUで、まさかの敗戦を喫したフランスがユーロトンネルの安全基準見直しまでして入札のやり直しを主張するというのがシュールです。ポストモダンの先進地の欧州でもこんなもんです。主権国家のアイデンティティとはかくも理不尽で身勝手なものなんですね。せめて既視感を楽しみましょう^_^;。

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Sunday, October 03, 2010

ハイブリッドの柳の下

車輪の下の後は柳の下ですが、偶然です^_^;。先日上野駅で展示されたリゾートトレイン「リゾートビューふるさと」の出発式が行われました。

ハイブリッド車両の出発式 長野、全国初の観光用  :日本経済新聞
運行は長野―松本―南小谷間で全線電化区間なんですが、そこへキハE200で実現したディーゼルハイブリッドシステムを与えたことは不思議ですが、実は信濃川不正取水事件と関連があります。有体にいえば、宮中ダムの不正取水事件で取り消されたJR東日本の水利権を復活させる見返りとしての飯山線活性化策の相乗りです。

出発式は信州ディスティネーションキャンペーンのオープニングに合わせて行われたのですが、キャンペーンに飯山線を絡ませるのに、非電化区間用のHBDCを投入したわけで、水利権獲得に同意が必要な新潟県の自治体や漁協などへの約束をこういう形で実現したわけです。元々はJR東日本自身の不正が原因で失った水利権を取り戻すのに、何とも手の込んだ仕掛けです。

とはいえエコの象徴のハイブリッドトレインですから、人気にあやかろうという新潟県側を納得させる効果はあるわけで、人寄せパンダとしてリゾートトレインのハイブリッド化はクレバーな手です。しかも非電化区間へ直通できるからこそ、こういった変幻自在な使い方が可能であり、自重があり燃費の悪い国鉄型気動車の改造で対応してきたリゾートトレインのリニューアルと考えれば、種車が枯渇してきたタイミングでもあり、同型車を五能線など他線区にも投入するわけで、走り装置は走ルンです互換ですから、案外安上がりでメンテナンス性も高いといえます。

またリゾートトレインとしたのは、逆にキハE200でおそらく構想されたであろう非電化線区標準車へのハイブリッドシステム投入は流動的になったと考えられます。むしろNEトレイン再改造のクモヤE995形を登場させたように、バッテリー性能の飛躍的な向上を睨んで、特に直流電化区間近接の非電化区間はバッテリートレインを標準とすることが考えられます。その場合房総地区へ転用された209系のように、首都圏で用途廃止となった大量の「走ルンです」にバッテリーを搭載するといった簡便な方法が採られるのではないかと思われます。JR東日本は結構本気でディーゼル動車を淘汰しようとしているかも。

そうなると首都圏地区の100系列キハが押し出されて地方線区へ転用されれば、当面ディーゼル動車の新製は控えられることになり、リゾートトレインの種車は捻出できないわけですから、リゾートトレインをハイブリッド人気にあやかって新製するのが合理的な選択となるというわけです。将に「柳の下のドジョウ」を狙ったわけです^_^;。

自動車の方はエコカー補助金の終了で販売の落ち込みがみられます。

新車販売に急ブレーキ 補助終了、9月登録車14カ月ぶり減  :日本経済新聞
記事中にもあるように、特にトヨタとホンダの落ち込みが4割と大きく、ハイブリッド車に支えられていたことが裏目です。自動車の世界ではハイブリッドに早くも秋風です。

バッテリートレインに関しては、久留里線、烏山線、八高北線などが投入線区となるでしょうけど、そこでの使用実績如何では、その次の展開が楽しみです。というのは直流電車の回生失効にバッテリー搭載で対応することが有効と認められれば、次世代走ルンです^_^;への応用が考えられるからです。

架線電圧に規定される直流電車の回生ブレーキでは、特に高速域からのブレーキ時に発電電流が高圧となってパワー半導体などの主回路機器を損傷するため、保護リレーが働いて主回路を遮断します。そのときに空気制動へ切り替えるわけですが、わずかながらタイムラグがあり、乗り心地の悪化要因となる上、ブレーキパッドの磨耗などメンテナンス上の弱点にもなります。また何よりも省エネ性能がそれだけ削がれることになるわけですから、大都市近郊輸送を担う高速電車では致命的な問題です。

その解決策として、抵抗器を搭載して高速回生ブレーキ時に主回路に直列に挿入する手はありますが、せっかくの回生電流を熱で捨てるわけですから、省エネ性能の改善効果は少ないわけです。あとはDC-DCコンバータで回生電流の電圧を制御する手はありますが主回路構成は複雑になります。あとはモーター出力を大きく設定して余力を持たせるという方法で、JR西日本の225系で270kw/hという新幹線並みの大出力モーターを用いたのはこのためと考えられます。加えて2M方式と称する2モーター/両で全電動車方式とするなど高速で安定した回生ブレーキ力を得る狙いがあると見られます。とはいえ大出力モーターは新製費を圧迫しますし、機器の分散はメンテナンス性の面で疑問があり、今のところ他社へ波及する気配はありませんが。

その意味でバッテリー搭載でこの問題が解決できるならば、さまざまな応用も考えられます。例えばあずさ/かいじの付属編成を小海線の清里や野辺山まで走らせるとか、電力設備の弱い地方私鉄への直通とか、いろいろなことが考えられます。

またクモヤE995形では停車時の大容量集電を考慮した新型パンタも試験されており、所定の性能が確認できれば、非電化路線の拠点駅の構内のみ電化して車両へ給電するという形で、非電化路線の半電化といったことも可能なわけですが、その場合、あまり知られておりませんが民主党政権下で、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)のバッテリーに蓄えられた電力の売電が認められるようになり、今後スマートグリッド化で家庭でバッテリーに蓄えた太陽光や家庭用燃料電池などの自然エネルギー由来の電力の買い取りもできるようになれば、電力会社からの買電に頼らない電化が可能になり、またその場合駅を中心に直流送電網を整備すれば、非効率な交流変換なしに自然エネルギーを活用できる枠組みができます。そうなれば駅周辺に住めば電気代が安くなるということで、ローカル線の活性化にもつながる一石二鳥です。

基本的に鉄道用電力は重電部門に属しますから、現在の制度で即実行可能ではありませんが、チリも積もれば山、自然エネルギー由来の家庭用電灯電力の余剰を集めてローカル線の運行に必要な電力を集めるというのは夢のある話です。JR東日本にはぜひそこまで頑張っていただきたいと思います。またこういったことの積み重ねが内需拡大となり、輸出に頼らない雇用創出策ともなるわけで、こういったローカル線を核とした地域スマートグリッドを国としても支援して欲しいところです。

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