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Sunday, October 03, 2010

ハイブリッドの柳の下

車輪の下の後は柳の下ですが、偶然です^_^;。先日上野駅で展示されたリゾートトレイン「リゾートビューふるさと」の出発式が行われました。

ハイブリッド車両の出発式 長野、全国初の観光用  :日本経済新聞
運行は長野―松本―南小谷間で全線電化区間なんですが、そこへキハE200で実現したディーゼルハイブリッドシステムを与えたことは不思議ですが、実は信濃川不正取水事件と関連があります。有体にいえば、宮中ダムの不正取水事件で取り消されたJR東日本の水利権を復活させる見返りとしての飯山線活性化策の相乗りです。

出発式は信州ディスティネーションキャンペーンのオープニングに合わせて行われたのですが、キャンペーンに飯山線を絡ませるのに、非電化区間用のHBDCを投入したわけで、水利権獲得に同意が必要な新潟県の自治体や漁協などへの約束をこういう形で実現したわけです。元々はJR東日本自身の不正が原因で失った水利権を取り戻すのに、何とも手の込んだ仕掛けです。

とはいえエコの象徴のハイブリッドトレインですから、人気にあやかろうという新潟県側を納得させる効果はあるわけで、人寄せパンダとしてリゾートトレインのハイブリッド化はクレバーな手です。しかも非電化区間へ直通できるからこそ、こういった変幻自在な使い方が可能であり、自重があり燃費の悪い国鉄型気動車の改造で対応してきたリゾートトレインのリニューアルと考えれば、種車が枯渇してきたタイミングでもあり、同型車を五能線など他線区にも投入するわけで、走り装置は走ルンです互換ですから、案外安上がりでメンテナンス性も高いといえます。

またリゾートトレインとしたのは、逆にキハE200でおそらく構想されたであろう非電化線区標準車へのハイブリッドシステム投入は流動的になったと考えられます。むしろNEトレイン再改造のクモヤE995形を登場させたように、バッテリー性能の飛躍的な向上を睨んで、特に直流電化区間近接の非電化区間はバッテリートレインを標準とすることが考えられます。その場合房総地区へ転用された209系のように、首都圏で用途廃止となった大量の「走ルンです」にバッテリーを搭載するといった簡便な方法が採られるのではないかと思われます。JR東日本は結構本気でディーゼル動車を淘汰しようとしているかも。

そうなると首都圏地区の100系列キハが押し出されて地方線区へ転用されれば、当面ディーゼル動車の新製は控えられることになり、リゾートトレインの種車は捻出できないわけですから、リゾートトレインをハイブリッド人気にあやかって新製するのが合理的な選択となるというわけです。将に「柳の下のドジョウ」を狙ったわけです^_^;。

自動車の方はエコカー補助金の終了で販売の落ち込みがみられます。

新車販売に急ブレーキ 補助終了、9月登録車14カ月ぶり減  :日本経済新聞
記事中にもあるように、特にトヨタとホンダの落ち込みが4割と大きく、ハイブリッド車に支えられていたことが裏目です。自動車の世界ではハイブリッドに早くも秋風です。

バッテリートレインに関しては、久留里線、烏山線、八高北線などが投入線区となるでしょうけど、そこでの使用実績如何では、その次の展開が楽しみです。というのは直流電車の回生失効にバッテリー搭載で対応することが有効と認められれば、次世代走ルンです^_^;への応用が考えられるからです。

架線電圧に規定される直流電車の回生ブレーキでは、特に高速域からのブレーキ時に発電電流が高圧となってパワー半導体などの主回路機器を損傷するため、保護リレーが働いて主回路を遮断します。そのときに空気制動へ切り替えるわけですが、わずかながらタイムラグがあり、乗り心地の悪化要因となる上、ブレーキパッドの磨耗などメンテナンス上の弱点にもなります。また何よりも省エネ性能がそれだけ削がれることになるわけですから、大都市近郊輸送を担う高速電車では致命的な問題です。

その解決策として、抵抗器を搭載して高速回生ブレーキ時に主回路に直列に挿入する手はありますが、せっかくの回生電流を熱で捨てるわけですから、省エネ性能の改善効果は少ないわけです。あとはDC-DCコンバータで回生電流の電圧を制御する手はありますが主回路構成は複雑になります。あとはモーター出力を大きく設定して余力を持たせるという方法で、JR西日本の225系で270kw/hという新幹線並みの大出力モーターを用いたのはこのためと考えられます。加えて2M方式と称する2モーター/両で全電動車方式とするなど高速で安定した回生ブレーキ力を得る狙いがあると見られます。とはいえ大出力モーターは新製費を圧迫しますし、機器の分散はメンテナンス性の面で疑問があり、今のところ他社へ波及する気配はありませんが。

その意味でバッテリー搭載でこの問題が解決できるならば、さまざまな応用も考えられます。例えばあずさ/かいじの付属編成を小海線の清里や野辺山まで走らせるとか、電力設備の弱い地方私鉄への直通とか、いろいろなことが考えられます。

またクモヤE995形では停車時の大容量集電を考慮した新型パンタも試験されており、所定の性能が確認できれば、非電化路線の拠点駅の構内のみ電化して車両へ給電するという形で、非電化路線の半電化といったことも可能なわけですが、その場合、あまり知られておりませんが民主党政権下で、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)のバッテリーに蓄えられた電力の売電が認められるようになり、今後スマートグリッド化で家庭でバッテリーに蓄えた太陽光や家庭用燃料電池などの自然エネルギー由来の電力の買い取りもできるようになれば、電力会社からの買電に頼らない電化が可能になり、またその場合駅を中心に直流送電網を整備すれば、非効率な交流変換なしに自然エネルギーを活用できる枠組みができます。そうなれば駅周辺に住めば電気代が安くなるということで、ローカル線の活性化にもつながる一石二鳥です。

基本的に鉄道用電力は重電部門に属しますから、現在の制度で即実行可能ではありませんが、チリも積もれば山、自然エネルギー由来の家庭用電灯電力の余剰を集めてローカル線の運行に必要な電力を集めるというのは夢のある話です。JR東日本にはぜひそこまで頑張っていただきたいと思います。またこういったことの積み重ねが内需拡大となり、輸出に頼らない雇用創出策ともなるわけで、こういったローカル線を核とした地域スマートグリッドを国としても支援して欲しいところです。

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Comments

こんにちは。
JR東日本は、次世代の鉄道のエネルギーはハイブ
リッドこそが本命と考えているフシがあります。
ただし、ディーゼルではなくて燃料電池ハイブ
リッドですが。

現在の電池のエネルギー密度はあまりにも低く、また
充電時間もかかりすぎるので、あと二桁位重量あたり
の容量が増えるブレイクスルーがない限り、バッテ
リー動車は本命にはなりえません。

確かに、電気は政治的にエネルギー単価が非常に安く
設定されていて、またCO2削減ブームの後押しもあっ
て、世の中はオール電化、電気自動車へと動いている
わけですが、電気という代物は、地球全体で考えた
トータルのサイクルでのエネルギー効率は最悪に
属するものです。
現在実用化されている動力源で、エネルギー効率だけ
を考えれば、ディーゼルハイブリッドが最も優れてい
ますが、車両の価格が高く重量も重いこと、排気ガス
や騒音を出すので現在の「電車」を置き換えることは
できません。

燃料電池が実用化されれば、車両価格や重量、ディー
ゼルエンジンの排気ガス、メンテナンスの問題が全て
解決します。電池も大きなものを積む必要がないので、
バッテリー動車のように、「自分が走るための電池を
輸送する」ような馬鹿げたこともなくなります。
基本「電車」ですから、走りの性能も問題ありません。
多少エネルギー単価が現在より高額になったとしても、
発電、変電、送電、架線、パンタグラフ、それに伴う
メンテナンスコストを全て取っ払えるメリットは
計り知れないのです。極論を言えば、首都圏の架線を
全て取っ払って電車を全て置き換えることも可能です。

まあ、燃料電池の開発があまり捗っていない今、最近
あまり大きな声では言っていないようですが。
燃料電池の実用化があと何十年かかるかは知りません
が、JR東日本はそのための準備を、ディーゼルハイ
ブリッドでしているのではないでしょうか。

Posted by: mighkie | Sunday, October 31, 2010 at 06:36 PM

燃料電池は確かにエネルギー効率だけ見れば本命視したいところなんですが、難点も多く技術開発も半ばです。

問題は水素の扱いです。水素を得るには電気分解や炭化水素の改質などの方法がありますが、いずれもその過程でエネルギーを消費しCO2を排出します。もちろんそれを加味しても7割を熱として捨てている内燃機関よりも高効率ではあります。

また気体で比重の軽い水素をどのように貯蔵し運搬するかも課題です。燃料電池自動車では高耐圧タンクに圧縮貯蔵するわけですが、圧縮過程でもエネルギーが消費され、熱が発生してロスが生じます。それらを加味しても高効率ではありますが、普及して量産効果が出てこなければコスト面をクリアできないわけで、実用化の道のりは遠いといえます。

結局コスト面を考慮すると既存ストックで有効活用できるものを使っていくことを考える方が現実的となり、元々直流送電網を保有する鉄道事業者の場合、直流電気車の高効率化に特化すれば性能向上著しいバッテリーの活用は魅力的な選択肢になり得ます。

コスト問題は結局政治問題であるのはご指摘の通りで、鉄道車両向けのディーゼル軽油では道路財源とされてきた軽油引取税が免除されてますが、炭素税が制度として導入されればコスト面で動力源としてディーゼルの活用は難しくなってきます。

このあたりはどう転ぶかわかりませんが、JR東日本のシリーズハイブリッドシステムの場合、柔軟な対応が可能という意味で、とりあえずの選択肢としては悪くないですね。このあたりもご指摘の通りです。

同時に自動車の世界でEVが実用化される状況の中で、バッテリー技術の開発速度も加速され、ブレークスルーは意外に早く訪れると見ることもできます。

ディーゼルエンジンが直接の動力源となっておりませんから、エンジントルクに由来するねじれ剛性対策も不要で軽量化の面での有利となります。

JR北海道のMAHVが振り子システム活用のためもあって2エンジンを点対称で配置してエンジントルクを打ち消しあう必要があるのと対照的です。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 31, 2010 at 10:05 PM

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