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Saturday, October 09, 2010

世界同時笑劇場、またの名を歴史のフラクタル

ポストモダンまっしぐらの21世紀の世界ですが、いよいよ多極化、流動化が止まりません。ヘーゲルとマルクスが語り継いだ(笑)「歴史は2度繰り返す」という命題ですが、21世紀の現実は「歴史は限りなく相似象を繰り返す」と言い換えた方が良いような、そんな感じです。

ヘーゲルもマルクスも、民主政治と共産制と到達点の違いはあるものの、歴史の終焉を予言しているわけですが、どうも現実は似たり寄ったりの笑劇として繰り返される無限連鎖なのかもしれません。丁度物理学や生物学でいう動的平衡としてのフラクタル現象として考えた方が良いのでしょうか。笑いすぎて夜も練られません^_^;。

フラクタルというのは自然界には多く見られる現象で、例えば雲は大きさも形もさまざまですが、一見してそれとわかる外見上の特徴を持っております。また地上から上空を見ても遠景の雲を見ても、航空機から見下ろす雲海も宇宙空間から見る地球の映像でも同様に雲とわかる外見上の相似象があります。歴史も同様かというのが今回のテーマというわけです。

尖閣問題で国会論戦がありましたが、結局野党は攻め切れませんでした。東シナ海に領土問題は存在しないという基本姿勢からブレなかった政府の姿勢は、まともな主権国家の対応として歴代政権と一線を画します。那覇地検が政治的外交的配慮で処分保留のまま釈放したことで弱腰外交と言われますが、そもそも外交問題ではないんですから、批判は当たりません。

刑事訴訟手続きを司る検察にそもそも判断できる問題かという論点はありますが、それゆえ政権が検察に政治介入したのではないかといわれたのですが、これに関しては仙谷官房長官が30日の衆院予算委で「この事案が指揮権発動に該当するか明確でない。議論が足りない」と答弁しております。

少し解説が必要ですが、刑事訴訟手続き上、政権が検察に合法的に政治関与できる手続きとして法相の指揮権発動がありますが、1954年に造船疑獄事件で佐藤栄作幹事長の逮捕状請求に対して当時の犬飼法相が逮捕を見送るよう指揮権発動したのが唯一の例です。このときは疑惑隠しとしてメディアが一斉攻撃したために、以来伝家の宝刀、抜くに抜けない制度となりました。本来は強大な検察権力の暴走を阻止する制度ながら、メディアにはその認識がなく、事実上メディアの無知が制度の機能を奪ったわけで、弁護士の仙谷長官らしい皮肉といえます。

つまり政治介入の合法的手段たる指揮権発動をしていないのだから、政治介入はないというロジックです。同時に公式には造船疑獄以来指揮権発動はされていないことになっておりますが、例えば日歯連不正献金事件で1億円授受に立ち会った橋本龍太郎氏や野中広務氏が訴追されず、現場にいなかった村岡兼三氏が逮捕起訴されるというような、あるいは郵便不正事件も民主党の石井一議員がターゲットだったようですし、陸山会の政治資金規正法違反事件の扱いも含め、政権の意向に配慮したような判断が度々繰り返されたことへの皮肉でもありましょう。自民党の追及はヤブヘビになりかねません。

そもそも那覇地検は船長を略式起訴で処分決定後速やかに本国送還するつもりだったところ、本人が犯行を認めないために略式起訴手続きに入れず、また任意取調べしかできない船員を帰したために、船長の拘留延長をしたものの、公判を維持できるだけの追加の証拠は集められず、起訴を断念せざるを得なかったというのが実際です。ゆえに検察は刑事訴訟手続き上の裁量の範囲内で判断したことになります。

ついでに言えば「中国と揉めるな」というアメリカの意外な反応でえすが、よく考えれば中国との軍事的対峙は核戦争の可能性も秘めるわけで、尖閣問題で核戦争はあまりにもバランスを欠く話ですし、平和国家の看板が泣きます。二国間の問題は対米追随一辺倒だった冷戦時代の枠組みでは解決不能であり、日本の外交姿勢が問われるところです。同時に普天間問題でポイントとなった米軍の抑止力の実態が明らかになったことは収穫です。

この問題だけを見れば、昨年の政権交代が実感されますが、その同じ民主党政権でまさかの為替介入を実施して小泉政権と同じことをしていることを指摘いたしました。野田財務相は「長期間、大量の介入ではなく、通貨安競争ではない」と強調し、小泉政権時代との違いを強調しましたが、欧米諸国の反応は冷ややか。表立った非難こそなかったものの、中国を意識した新興国の為替政策見直し要求に水を差したと内心不満は間違いありません。また違いを強調するあまり、今後の介入はやりにくくなるわけで、どこまでも自縄自縛の日本です。

と思えば緊急経済対策として5兆円規模の補正予算を閣議決定しましたが、中身は麻生政権時代のバラマキが復活したような違和感があります。5兆円の根拠は予備費2兆円、税収増2兆円、低金利による国債利払い費の圧縮分1兆円その他といったところです。

口蹄疫問題などがあった中で2兆円の予備費が温存されたのは、おそらく政務三役が予算執行に目を光らせたから手を付けずに済んだと見られますし、税収増はエコカー補助金などの寄与はあるものの、主に中国などアジア向け輸出の好調に支えられたもので、それなりに企業の構造改革が進んだ結果ではありますし、国債利払い費の圧縮も、事業仕分けなどで行政改革の姿勢を鮮明にした結果の信認と捉えることが可能ですから、政権交代が寄与した部分も少なからずあります。

にも拘らず官僚の作文に大盤振る舞いするのは信じられません。財政再建のために11年度償還予定の国債の繰り上げ償還に例えば4兆円充てることで、11年度予算の国債費を10年度並みの20兆円程度に抑えるという知恵が働かないのでしょうか。それこそ政治主導ってもんです。経済の下支えには11年度予算の公共事業の前倒し執行で建設国債発行で対応すればよいわけで、来年度予算編成がしっかり行われていれば、与野党事前協議のような談合まがいのことは必要ありません。それこそ攻守ところを変えた55年体制になりかねません。

加えて日銀政策決定会合でまさかのゼロ金利復活ですから、もう笑うしかありません。ゼロ金利自体は3度目ですが、1度目は緩和に慎重で金融タカ派と目された速水総裁時代に「日銀は何をしている」という与党と世論のバッシングに押されてのものでしたが、今回も同じく緩和慎重派と目される白川総裁に対する与党と世論の圧力が目立ちました。ただし与党は野党時代に「預金者の金利収入を奪った」とゼロ金利批判をしていた民主党というのが違いでして、立場が変わればこんなもんかい(怒)。

しかも為替問題では新興国も日本の為替介入に反応してまして、尖閣問題で中国国内では「日本を困らせるなら日本国債を買えば良い」との声まで出る始末です。もちろん中国の人民元改革が遅々として進まず、為替レートの調整が進まないのは確かですし、人民元が米ドルとの連動性が高いがゆえに、韓国、インド、マレーシアなどが直接市場で買えない人民元の代わりに米ドル買い介入して日本円に片寄せされたという要素はあるものの、日本の介入で新興国に「遠慮は要らない」と口実を与えたことは否めません。

加えてレアアースも日本が墓穴を掘ったといえます。元々希土類と言われる17種類の元素は、高機能合金に微量添加したり、ガラス面の研磨剤あるいは化学反応の触媒など用途も様々で使用量も多くないため、元々単独では鉱山開発が採算に合わず、他の鉱物資源採取時に副産物として抽出される形で供給されていたのが、中国が人民元安と人件費安で参入し、日本企業がそれに依存した供給体制を採ったために、他国の供給が採算割れとなった結果の中国依存度97%で、しかも中国国内では無秩序な鉱山開発で鉱毒事件が多発し、当局が規制せざるを得なくなった結果の輸出制限であり、全てではありませんが、代替品があったりリサイクルが可能だったりするものもあり、メディアは無知ゆえに過剰反応しておりますが、早い話が日本が安すぎる人民元の受益者だったというオチです。まるで70年代のオイルショックで安すぎる中東原油依存でもろに波をかぶったのと同じ構図です。

新興国の言い分としては、先進国が揃って超緩和的な金融政策を採る中で、余剰資金が成長著しい新興国投資に向かうために通貨高になっているから為替介入は正当と主張しており、元を質せば日本の長すぎる金融の長緩和政策をリーマンショック後の欧米が追随した結果とするならば、起点は日本ということになるわけで、この面でも日本への不信感は強いと見るべきです。またこれはコペンハーゲンのCOP13で合意が得られなかった温暖化問題と同じ構図であることも指摘しておきます。名古屋のCOP10生物多様性締約国会議でも生物資源の分配問題で対立は必至です。

中国がらみでは反体制派の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞が話題となり、中国に言論の自由がないと盛んにメディアは連呼しますが、これもソ連の反体制派のサハロフ博士やミャンマーのアウン・サウン・スー・チー女史など内政干渉を疑わせるきわどい対応も問題なしとはいえません。そもそも天安門事件のときに欧米が人権問題で中国に厳しく接したときに、日本の保守派の論客は「せっかく鄧小平が国民を豊かにしようと改革開放を進めたのに、増徴した若者が台無しにしてしまう」と言い放ったのを忘れません。またそもそも以前から劉氏は平和賞候補と見られていたのに、無知で国民の知る権利に応えられない日本のメディアに言う資格はあるのかと言いたいところです。

というわけで、多極化、流動化でわけがわからなくなりつつある世界ですが、最後にこんなニュースに注目しました。

仏英間鉄道、独製車両購入へ 仏政府激怒、選定に横やり  :日本経済新聞
TGVをベースとしたアルストム製の初代ユーロスターの代替車を独シーメンスが落札したというのですが、自由な市場を標榜するEUで、まさかの敗戦を喫したフランスがユーロトンネルの安全基準見直しまでして入札のやり直しを主張するというのがシュールです。ポストモダンの先進地の欧州でもこんなもんです。主権国家のアイデンティティとはかくも理不尽で身勝手なものなんですね。せめて既視感を楽しみましょう^_^;。

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