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Saturday, February 05, 2011

北近畿改めこうのとりはラテンダンスを踊らない

先にネタバラししておいきます。タイトルのラテンダンスはタンゴのことです。となれば京都府北部のあの鉄道のことかと察していただけるかと思いますが^_^;。

まずはこのニュースからです。

北近畿タンゴ鉄道を一部廃線 京都府、兵庫県に打診  :日本経済新聞
近畿の地域経済版ニュースで私も知りませんでしたが、北近畿タンゴ鉄道(KTR)が今、重大な岐路にあるようです。高速道ETC割引や舞鶴若狭自動車道の高速道路無料化社会実験の影響で、観光客がマイカーへ流れたことで、自治体出資三セクとして沿線自治体の負担増が懸念されることから、京都府が兵庫県へ異例の申し入れをしたということです。

具体的には、宮津線末端の久美浜―豊岡間(営業キロ11.6km)が兵庫県域にあり、宮福線を含む全線の営業キロが114.0kmですから1割程度です。宮津線の中でもとりわけ利用が少ない区間でもあり、相対的に兵庫県サイドの資金負担が軽いとして、経営が苦しいKTRに兵庫県の関与を強める狙いがあると見られます。

と思いきやこんな続報です。

北近畿タンゴ鉄道、一部廃線や上下分離を検討 京都知事  :日本経済
より踏み込んだ発言ですが、兵庫県や豊岡市からの資金拠出を求める条件闘争ではなく、存廃を含む抜本的見直しを示唆しております。記事中にあるように、2009年度、ローカル私鉄中最大の赤字を計上し、支えきれないというのが本音のようで、本気度が窺えます。

北近畿タンゴ鉄道はローカル三セク鉄道でありながら、路線規模が大きい野が特徴で、100km超の営業キロは新幹線の並行在来線切り離し三セクを除けば断トツの規模といえます。それでいて現役車両は全て自社発注の新製車ですから、そもそもローカル鉄道としては資産規模が大き過ぎるということは言えます。それゆえ京都府知事が言及した公設民営形上下分離には一定の合理性はありますが、そもそも過疎地であり、且つ昨今人口減少が進んでいるエリアであることもあり、より厳しい条件にあると言えます。

京阪神から見た丹後半島は、首都圏でいえば伊豆半島と同等の距離感ですが、母都市の規模から見ても、半島外周(宮津線)プラス大都市からのショートカット線(宮福線)を擁するのは設備過剰と見ることもでき、維持が容易でないことは窺えます。加えて在籍車両が全て自社発注の新製車ですから、開業当初の減価償却費負担が大きかったことも経営の足を引っ張りました。

加えてJR線直通特急用車両まで自前で用意したわけで、当然車両価格も高く減価償却費負担が重く、それでいて自社線内よりも乗り入れ先のJR線内を走る機会が多く、直接運賃収入につながらないわけです。更に宮福線と宮津線宮津―天橋立間の電化、高速化で鉄道整備基金活用など、過大投資が重なりました。地域の足の確保に重点を置くならば、別の道もあったでしょう。

その意味で舞鶴若狭道の無料化実験がKTRを追い込んだというのは当たらず、むしろ身の丈に合わない過大投資に苦しめられ、結果高速道路無料化に最後の一押しをされたという方が正しい見方です。また会社も沿線自治体も可能な限りの観光客誘致策、沿線活性化策に取り組んでおり、これ以上を望むのは無理といえます。高速道路無料化に関係なく、早晩行き詰ることは確実でした。

そういった中で、JR西日本が福知山支社管内の特急列車に新車を導入し行うこの3月改正で、KTRを含む列車体系が大きく見直されます。

春のダイヤ改正について(福知山支社)-PDF
現在はまかぜを含む9種類の列車を5種類に集約し、KTR車両で運行していたタンゴエクスプローラー、タンゴディスカバリーは線内特急となるというものです。はまかぜにはキハ189系が導入された他、3月12日改正では北近畿改めこうのとり、きのさき、はしだてなどに287系電車が登場する一方でKTR車両のJR線乗り入れ打ち止めは、経年劣化が進む虎の子の特急車の温存が狙いです。

というわけで、タンゴを踊らないこうのとりは、丹後半島に福を運ぶことができるのでしょうか。

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Comments

この改正,意図がよく分からないですよね.特急の存在意義は,京都・大阪方面からの観光客呼び込みであって,路線内流動には特急は不要のはず.なので,わざわざ車両を温存してもしょうがない.

部分廃止するにしても,生き残り戦略を欠いたままでは,のと鉄道と同じようにひたすら短くなるだけのような気がします.

Posted by: anonymous coward | Monday, February 07, 2011 11:03 AM

タンゴエクスプローラーが1990年、タンゴディスカバリーが1996年ですから、既に減価償却を終えており、残存簿価(帳簿上の資産価格)は1/10になっておりますので、保有コストは小さくなっております。

一方、経年劣化で部品等の交換が増えて保守修繕費は確実に増えているわけですから、JR直通をやめて走行距離を減らすのは、それ自体は合理的な判断です。

また1点物の希少性もありますから「乗りたければいらっしゃい」でもまぁある程度は集客できる可能性はあります。伊豆急のリゾート21が良い例です。

問題はここまでしなければならないほど追い詰められていたということです。過去の過剰な投資のツケが回ってきたわけで、将に「覆水盆に還らず」です。補助金をアテにした結果、むしろ重荷を背負ってしまったわけです。

Posted by: 走ルンです | Monday, February 07, 2011 07:58 PM

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 福知山と宮津を直結する宮福線と、国鉄路線だった宮津線の2線からなる北近畿タンゴ [Read More]

Tracked on Sunday, February 06, 2011 11:30 AM

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