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Sunday, March 13, 2011

南武線快速を幻にした3.11震災

冒頭は私自身の震災体験を語ります。

3月11日午後2時46分、所用で車で出かけていた東松山で地震に遭いました。運転中に異常振動を感じ、車の不具合かもしれないので、最寄のコンビに車を停め、エンジン停止しても振動は止まらず、「えい、ぼろ車!」と内心叫びつつ車を降りたら、地面が波打って揺れていて、初めて地震と気がつきました^_^;。

かなり大きな揺れでしたが、とりあえず用件を済ませつつ自宅を目指して走り始めました。余震もあり、高速道路の通行止めもあって、普段より通行料の多い道路を進み、午後6時過ぎには都内で用件を終えて帰宅の途につきましたが、大渋滞で進みません。電車が止まっていたこともあり、徒歩で帰宅を目指す人が歩道を溢れかえっていて、交差点毎に横断歩行者に遮られる右左折車の車列が直進車の進路を塞ぎ、立体交差でも側道から溢れる右左折車が本線車道を支障し、場所によっては2時間で200mしか進まず、区間平均時速100m(笑)。

それでも流れているところもあり、第三京浜では久々に快走も、保土ヶ谷料金所の3km程度手前から渋滞で動かず、見るとETCレーン、有人レーン問わず動いていないので、ゲートの先が詰まっている状況では致し方ありません。当時首都高が通行止めでしたから、保土ヶ谷の先のルートは、横浜新道方面、岡沢町ランプ、三ツ沢ランプの3方向ですが、それがいずれも詰まっていて、それでも比較的流れていた岡沢町ランプからR1下り線へ合流、その先の横浜新道は混雑が予告されていたので、和田町の分岐から16号へ、上星川ランプから環状2号で平戸を目指します。

とまぁ苦労を重ねて帰宅は12日午前3時ごろ。移動距離100マイル程度ですから、所要時間12時間、表定速度13km/hですから、歩くよりは速かったというところです。とはいえ深夜でも徒歩帰宅の群れは続き、車道にはみ出す場面も間々ある中で、スローダウンを余儀なくされました。

そんな中で後方から車間を積めて煽ってくるアホがいたのには参りました。こんな時に身勝手な振る舞いはどれだけ迷惑か、自覚して欲しいですね。渋滞で苛立っていたのはわかりますが、それはあんただけじゃない。自己管理ができないなら車を捨てろと言いたいところです。実際この手の車が原因と思われる事故現場に幾つか遭遇しましたし、いずれも普段なら事故が起きるような場所ではなく、先を急いだ結果と見られます。

というわけで、長時間運転を余儀なくされたものの、個人的には大きな被害を受けることもなかった地震ですが、報道に接して、その被害の大きさに絶句しました。特に津波9の被害がひどいですね。おそらく逃げる間もなく被災した人が多かったのでしょう。プレート型地震ですから、日本列島東部の日本海溝の深海部が震源で、その場合は大きな津波が発生する可能性が高いと言われますが、今回はやや不意打ちの感はあったのでしょう。特に仙台市若林区荒浜のように、従来リアス式海岸のV字湾で水位が上がる現象は知られておりましたが、平地で高い建物もなく、非難する場所もない中で津波に広範囲に洗われてしまったのは想定外だったようです。

そして想定外を連発するのは、福島第一原発で起きた事故を巡る専門家たちですが、怒りを禁じ得ません。元々原発は危険なもの。安全に稼動させるためのさまざまな防災措置は講じられていて、今回も地震を感知して制御棒が作動して炉を停止させたまでは良かったのですが、炉心の冷却システム用に用意されていた非常用ディーゼル発電機の燃料タンクが津波で流されて作動せず、炉内温度が上昇し、今回の事故となりました。

政府は一応迅速な対応を取ったようですが、とにかく当事者である東京電力からの情報が小出しで遅く、実際に何が起き、どうすべきかについて後手に回ったのは否めません。そのために住民の避難が遅れ、一般住民に被爆者を出したことの責めはあります。

JCO臨界事故やもんじゅ事故など過去の原子力事故と同様、情報が小出しにされて、現場で何が起きているかの把握が遅れた結果、どんどん事態が悪化するという流れは同じです。この国の原子力関係者の学習能力を疑います。

断っておきますが、私自身は反原発派でも何でもありませんが、原発利権に巣食う連中を信じておりませんので、以前から日本の原子力政策の危うさを危惧しておりましたが、今回残念ながらそれが明らかになってしまったと思っております。関係者は起きている事態をより小さく見せようと腐心しているから、情報は小出しで、その間に事態は悪化するという過去の原子力事故と同じ轍を踏んでおります。

元々原子力発電は制御が難しいのですが、今回のような地震などによる運転の強制停止のときはそれが顕在化します。制御用電力は運転中ならば問題なく供給されますが、一たび停止となれば、特に炉心の溶融を回避するために冷却水を送り込むポンプのための別電源が必要になるのですが、そのためのバックアップ用のディーゼル発電機が津波被害というのは「想定外」だったのかもしれませんが、机上で「大丈夫」とされた安全対策がこんなにも脆いものだったということです。

実はこの手の議論は専門家の間では以前から行われていたんですが、あらゆる天然災害に備えて多重系の対策が講じられ手いるのは確かですが、実際の事故はそのハードルを越えて出現するもので、万が一を常に意識しておく必要があります。

ところが日本では、79年のスリーマイル島事故のときも、86年のチェルノブイリ事故のときも、必ず「日本の原発は安全です」と付け加えて誤魔化してきたんですが、その一方で情報開示は進まず、「とにかく安全」という「安全神話」を流布するばかりでした。その結果、今回のように一般人の被爆という事態をもたらしたのですから、許しがたいですね。

今回と推移が似ているスリーマイル島事故の場合ですが、米政府は直ちに炉心溶融(メルトダウン)の可能性を紺慮して迅速に周辺住民を避難させました。それに比べると今回の福島第一原発の事故の対応は明らかに後手に回っております。それどころかスリーマイル島がIAEAの原子力災害区分のレベル5だったのに対し、そこまではひどくないとレベル4を宣言しておりますが、実際に1号機の建屋内で水素爆発を起こすなど、内部の高温を証明するような事態が起きている状況で、それでも事態を小さく見せたい専門家たちの不実さに腹が立ちます。一言で言えばリスク管理の不在ということで、こんなことでは今後の原子力政策の見直しは避けられないでしょう。

元々原発は特有のリスクがあるもので、それに備えてさまざまな対策を講じる必要があります。確かに日本の安全基準は世界的に見ても厳しいもので、厳しくぎる安全基準ゆえに稼働率が6割程度で、しかも炉の老朽化で稼働率も低下傾向にある中で、「規制を世界標準にすれば稼働率が8割を超え、CO2削減に寄与する」という「識者の意見」がメディアにも度々登場しますが、将に絵空事です。

結局これだけ厳しい日本の規制の下でも、原子力事故は後を絶たず、その度にお詫び会見をして規制を強化することの繰り返しで、結果的に世界に例を見ないがんじがらめの規制となって経済性をスポイルしているわけです。当然関係者の関心はこれ以上の規制の強化は望ましくないと、安全対策に消極的な判断が強まるわけですね。

むしろ元々心許ない「安全神話」なんか掲げるよりも、危険を承知で、それでも必要ならばこうやって使いこなすという議論をきちんと行うべきです。でなければ「想定外」の震災被害だから「仕方がない」という議論で流されるのが目に見えております。

結局今回、福島第一原発の1号機と3号機の冷却に海水を入れたことで、事実上復旧を断念したわけですが、厄介なのはこれからで、東電では2年半前の中越沖地震で柏崎刈羽原発が全面停止して、復旧は進んだものの、未だ半分の段階で、今後も全面復旧までは時間がかかります。加えて東北電力女川原発も地震で緊急停止しており、同じ50Hzエリアで電力を融通することもままなりません。

中部、北陸電力以西の60Hzエリアからの給電には、電力変換が必要になりますが、現行の電力変換変電所を総動員しても不足分には全く足りない状況です。また北海道電力はそもそも電力に余裕がなく、電力需要の旺盛な東北、東電エリアを助ける力はありません。そして当然、これから原子力発電所を新設しようとしても、最短でも10年以上かかるわけで、福島第一原発1,3号機の事実上の廃炉による電力不足の影響はかなり長期化することになりそうです。

そういうわけで、東電では計画停電を実施することになり、政府のそれを了承したわけです。大規模需要者であるメーカーの工場も停止している状況ですから、今後それが復旧してくれば、ますます電力不足に拍車がかかる状況です。そういえば東北新幹線も構造物の破損が見られ、復旧には時間がかかりそうですが、仮に復旧しても、電力不足から減速運転や間引き運転を強いられる可能性があります。そしてそれを先取りするような南武線の現状を指摘しておきます。

12日のダイヤ改正で登場予定だった南武線快速は、南武線の運転がx再開された13日時点でも運休とされており、明日以降どうなるかわかりませんが、元々昼間帯のサービス列車という性格の列車でもあり、電力事情が逼迫する中、当面運休の可能性が高いと言えます。震災の影響は計り知れません。

南武線には69年12月に登場し、当時はオレンジ色の101系6連で川崎―登戸間に登場しましたが、途中武蔵小杉と武蔵溝ノ口の2駅に絞り込んだ結果、利用は伸びず、一方踏切遮断時間が延びて周辺道路の渋滞が深刻化し、快速登場を喜んだ地元川崎市の要請で78年10月に打ち切られました。というわけで32年半ぶりの快速復活のはずが、幻の快速となりそうです。

こうなるとむしろ原発に代表される大規模発電そのものを見直した方が良いのかなと思います。原発は機材や資材や燃料の搬入にしろ、放射性廃棄物の搬出にしろ、海路搬送が必須ですから、どのみち海沿いに立地せざるを得ず、新設炉も含め、津波被害を想定せざるを得ないわけで、備えを高めればコストに跳ね返る状況です。

そうなると割高と言われる風力、地熱、太陽光などの自然エネルギー利用とのコスト差が縮まりますし、もう一歩踏み込んで直流送電と組み合わせれば、高圧交流送電では避けられない送電ロスを劇的に下げられます。つまりいい機会ですから発電送電システムの見直しにまで踏み込んで、自然エネルギー利用の小規模発電と直流送電で電力の地産地消体制に移行するぐらいの大きな画を描くチャンスです。

当面被災地の復旧に合わせて地域スマートグリッドを形成する形を採って、電気事業法の例外として参入規制を解除するなどして、当面の大規模電力網の負荷を下げていくというのが、現実的な対策です。当然JRのような鉄道事業者も、自前の発電施設を保有して且つ地域へ売電できれば有力な関連事業になりえますし、メーカーの工場に付帯する発電施設を有効活用する途も拓け、被災工場の閉鎖とセットで電力需給が調整可能です。とはいえ今の国のリーダーの力量を超えそうですね-_-;。

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Comments

いつも興味深く拝見しております。

首都が50Hz送電網の一番端にあるっていうのがそもそも大問題で、東北がダメになれば自前で何とかしないといけなくなるなんて普通に考えれば解りそうなものなんですが、東電はリスクヘッジとか一切考えてこなかったんでしょうね。
規制云々はあるにせよ、今まで発生した問題に対して情報収集・公開能力の不足は火を見るより明らかで、今のままでは首都を担う電気事業者としては不適格という烙印を押さざるをえないと思います。
まぁ、国家に至っては元来から不適格の烙印を押されてますが・・・。
これを機に発電だけではなく電力網の再構築にも本気で取り組んでほしいものです。

Posted by: shimono | Monday, March 14, 2011 at 09:08 AM

コメントありがとうございます。

元々同じ国の中に2つの電力網が存在するというのは、あまり例がないのですが、東電の前身の東京電灯と関電の前身の宇治川電気のシステムに近隣の事業者が合わせた結果です。

当時の日本はアメリカも真っ青な自由競争、弱肉強食の時代だったのですが、戦時体制の電力国家管理で当時の勢力図が物理的に固定された上に、戦後の9分割で現在の体制が出来上がりました。

以来半世紀以上、電力会社は地域独占企業としてぬるま湯にあり、国の原子力政策で補助金漬けとなり、リスクテイクの能力を失ったんですね。

計画停電の影響で結局鉄道各社も計画運休して、運休は南武線快速に留まりませんでした。今後メーカーの工場復旧にもネックになるわけですから、この際電気事業法を見直して新規参入を促した方が復興も早いとリアルに思いますね。

Posted by: 走ルンです | Monday, March 14, 2011 at 08:06 PM

スマートグリッドによる自然エネルギーの活用が理想ですが、現実的にはまだある程度原子力発電に頼らざるを得ないと思います。また、電力は鉄道以上に規模の経済が働くと思うので完全な自由競争は難しいと思います。とくに原電は事故のリスクが伴うので参入したがらないでしょう。

私案ですが、東電などの既存電力会社は鉄道会社などへの卸売に徹し、鉄道会社が一般家庭向けに電力の小売をやれば良いと思います。
鉄道会社は徐々に自前の発電設備(自然エネルギー含む)によって既存の電力会社からの供給のウエイトを減らせますし、今回のような場合は鉄道と一般家庭への電力供給のバランスを自由にコントロールできます。
また、例えば小田急なら昼間のロマンスカーを10回利用するとその月の電気代を5%引きにするなど、新たなサービスが生まれる可能性もあります。

Posted by: yamanotesen | Thursday, March 17, 2011 at 08:30 PM

「電力は規模の経済が働く」ということで、大規模発電と遠距離送電の組み合わせを前提に日本の電力網は形成されてきましたが、それでいて周波数の統一ができていないのですから間抜けです。

発電所を需要地から離れた場所に置くために高圧送電が求められ、電圧変換が容易な交流送電が主流ですが、交流送電は送電抵抗によるロスが大きく、無駄が多いのもまた事実です。

加えて昨今のNAS電池やキャパシターなどの蓄電技術の進化もあり、ある程度需給の変動を均す技術的可能性も見えてきたのですが、蓄電のためには交直変換が必要で、ここでもロスが生じます。加えてIT機器なAV機器など直流電源であればACアダプターが不要になり、その分価格を下げられるというメリットもあります。

一方でDC-DCコンバータが実用レベルに達したこともあり、ある程度の規模の直流送電網の構築は可能になってきております。

これらの技術的トレンドを鑑みれば、地域単位のスマートグリッドは、地方においてはかなり現実的になってきております。復興時に切り替えることの実現可能性はそれなりにあると見ます。

あと電力自由化の議論ですが、将にyamanotesenさんのご指摘のように、発送電分離こそが急所です。日本の電力会社の発送電一体の業態は世界的には少数派で、欧米共に発送電分離環境の中で、送電会社が発電会社の接続を断れないルールで運用されていて、その意味では完全自由競争ではありません。その結果風力などの自然エネルギー発電の新規参入が相次ぎ、大きな流れとなっております。

「原子力が必要」というのは、発送電一体の独占企業の言い分でしかないということは押さえておきたいところです。

Posted by: 走ルンです | Thursday, March 17, 2011 at 11:27 PM

不謹慎な言い方になってしますかも知れませんが、これでJR東日本も東北地区の赤字ローカル線を一気に廃止できて良かったという面もあるのではないでしょうか。
これからは、水力や地熱利用の発電事業に本腰を入れればよいと思います。
神戸でも言われていましたが、「復旧」ではなく「復興」が大事だと思います

Posted by: Hybrid | Friday, March 18, 2011 at 11:30 PM

いやー、実はエントリーのネタにしようと目論んでいたんです^_^;。

ローカル線問題というよりも、地域の交通インフラを見直すチャンスとして捉えるべきでしょう。

確か岩泉線も運休状態のままですし、例えば仙石線も、仙台近郊区間とローカル区間を分離して、前者はATACS導入前倒しとか、できることはいろいろありそうです。

あるいは東北本線が貨物列車の集中ルートとなっていて、東北唯一の重要港湾の仙台港も津波で被災して、輸送力の絶対量が不足して被災で物流に支障が出ているわけで、日本海縦貫ルートの増強や日本海側の港湾整備などで地震に強い物流網の再構築も課題ですね。

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 19, 2011 at 10:43 AM

おっしゃるとおりですね。

常磐線もいわき~亘理間もどうするか悩むところ。

「復旧」するにしても、明治の規格をグレードアップする必要があるのでは、と思います。

Posted by: Hybrid | Saturday, March 19, 2011 at 11:27 AM

いや常磐線に関しては私はもっと悲観的です。詳しくは新エントリーにて。

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 19, 2011 at 10:20 PM

日頃から楽しく拝見させていただいております。
ご指摘事項は妥当なお話かと思います。
翻って今回、仙台にて被災しましたが若年層として車をもてない身としては鉄路の復活が放棄されてしまうとなると、居住放棄せざるをえなくなってしまいますね。
どこまで復元するのか、日々関心を寄せております。

Posted by: 幻月 | Monday, March 21, 2011 at 02:22 PM

幻月さん、コメントありがとうございます。ご無事で何よりです。大変な思いもされているでしょうけど、生存者の責務を過剰に意識せず、冷静にサバイバルに励んでください。

福島では日産自動車が被災地の足としてEVのリーフを県に無償提供したというニュースがあります。ガソリン不足に悩む現地への支援と共に、復興への希望を感じさせてくれます。

鉄道の復興は時間がかかりそうですが、東北新幹線の盛岡―新青森間の23日復旧がアナウンスされてますし、復興の過程に希望を託しましょう。

Posted by: 走ルンです | Monday, March 21, 2011 at 06:37 PM

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