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March 2011

Friday, March 25, 2011

被害は西へ、波及する3,11症候群

こんなニュースがあります。

JR西が運転本数減 モーター部品調達困難、JR東にも懸念  :日本経済新聞
鉄道用直流モーターのブラシが足りないということで、何とJR西日本が減便という驚くべき事態です。影響は私鉄にも波及する可能性があります。

今や鉄道車両用モーターといえば交流モーター全盛で、特に三相かご型誘導電動機は、構造が単純でしかもパワー半導体の技術革新で制御が容易になったこともあり、大手私鉄でも京王電鉄のように全所属車両を誘導モーター搭載のVVVF制御車で統一するところさえ出てきてますが、元々制御が容易で安価な直流モーターは長く鉄道車両用として主流でしたし、また鉄道車両の使用期間が長期間となることもあり、数の上では直流モーター駆動の鉄道車両は相当数が現役です。

特にJRは旧国鉄時代には常磐緩行線用の207系900番台10連1本を例外として、電気車は全て直流モーターとなっております。つまりJR西日本はそれだけ旧国鉄時代の旧型車が多数在籍していることの反映でもあります。とはいえ民営化後も暫くはJR各社は直流モーター駆動車を投入しており、民営化前後で分かれるわけではありません。

とはいえJR西日本のいわゆるN40工事と称する車体更新は、延命で40年使用を前提とするもので、かなり極端です。こうしなければならない理由は、簡単に言えば221系以来のオリジナル車がスペック重視で量産に向かず、価格面で老朽車の全交換が難しいことの反映で、走ルンですで気前良く旧型車を置き換えるJR東日本とは対照的です。

直流モーターに使われるブラシは、メンテナンス上は弱点でして、電気子軸の回転に合わせて電極の+-を変換し電機子の磁極を反転させて回転運動を生む重要部品ですが、摺動による磨耗と電気接点の断続によるアーク発生で劣化しますから、頻繁に交換しなければなりませんし、電機子の整流子にバネで圧着させるわけですから、調整も難しい部分です。

また大電流を遮断するため十分な絶縁空間を取る必要もあり、それだけモーターのサイズの制約要因にもなり大出力化が難しいということで、小型高出力でメンテナンスフリーの三相誘導モーターで、自由度の高い制御が可能となったVVVFインバータの技術開発と共に主流の座を明け渡したわけです。

しかし気になるのが日立市の原料工場の被災のみならず、最終加工工場が福島第一原発の事故で避難区域に指定された福島県浪江町にあり、操業再開のメドは立っておりません。3号機のタービン建屋内で作業員が大量被曝する事故が起きましたが、燃料の露出が疑われております。本当にチェルノブイリに近づいております。しかし危険な原発内の作業で原子力の専門家が現場を監督せずに下請けに丸投げというのは、不真面目ですね。

悩ましいのがブラシは上記のように枯れた旧式の技術であり、メーカーはおそらく減価償却済みの生産設備を延命させて対応しているものと思われます。つまり代替生産設備の投資はまずあり得ないわけで、供給不足が長期化すれば、JR西日本に留まらず多くの鉄道会社が影響を受ける可能性があります。こうなると京王電鉄のように改造も含め全在籍車両をVVVF化する選択も考えなければならないわけで、鉄道会社にとっては頭の痛い問題です。

逆に電機メーカーにとっては電装品換装を売り込むチャンスでもあります。東京メトロや大阪市交通局のようにメーカー提案をホイホイ採り入れる事業者もありますし、地下鉄事業者で採用が多い電気子チョッパ制御は素子の経年劣化もありますし、VVVF化して直流モーター関連の部品を下取りして他の事業者向けに回すなどの裏技も使えるかもしれません。

メトロの新しもん好きぶりは、例えば直流分巻モーターを用いた4象限チョッパ制御とか、千代田線16000系に採用されたマグネット同期モーターなどにも現れております。分巻モーターは電気子と界磁が別回路で個別にチョッパ制御されるので、4象限となり自由度の高い制御となるのですが、フォロワーが現れず量産効果は出ませんでした。

同期モーターはJR東日本のE331系で試験採用されておりますが、あくまでも歯車装置を省略した直接駆動(DDM)のためであり、誘導モーターよりも太いトルクを出せるから可能なんですが、メトロ16000系は通常のカルダンドライブですから、意味不明です。新しもん好きでも例えば小田急は4000系で密閉型誘導モーターを採用しております。密閉型とすることで騒音を低減し埃の侵入を防げるので絶縁劣化を起こさず安定した性能となるなど「使える」新技術です。

国交省は影響を調査して対応を検討するということですが、省エネにもなりますし、電装品換装を後押しするような方向で考えて欲しいところです。こういったことが、いわゆる産業の復興になるということで、単純に失われたものを復旧してはならないでしょう。

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Monday, March 21, 2011

震災でわかったJR貨物の実力

モノ不足と計画停電で首都圏も大きな影響を受けておりますが、いろいろ考えさせられるところもあります。燃料不足で物流が滞っていることが根本にあるんですが、震災以来休止していたJX根岸製油所が、点検整備を終えて稼動開始したというニュースが流れました。国内最大の製油所の復旧で、おそらく連休明けには事態は改善に向かうと考えられます。

とはいえ首都圏の道路の状況は、燃料不足が幸いして不要不急のマイカーなどの利用が減った結果、渋滞がなくなってなかなか快適な状況でした。私自身も仕事で車を使うために、ガソリンスタンドで並んで給油を受けましたが、大事なガソリンを節約するために、普段以上に省エネ運転を心がけましたが、皆さん同様だったようで、普段ならばやんちゃ走りで遅い車を煽りまくるアホも居ず、ストレスフリーで快適な運転環境でした。それでいて交通量が減って渋滞がないので、目的地には早く着くのですから、これが日常化してくれる方がありがたいぐらいです。

とはいえ物流が滞るのは、日常生活に影響が大きいですし、まして被災地の支援物資の不足は早く解消されるべきですから、このままで良いと言うつもりはありません。また影響は思わぬところに出ていて、例えば牛乳が手に入らないのは困りました。昨日近所のスーパーでやっと低脂肪乳をゲットできましたが、元々乳脂肪のまったり感が好きで濃ゆいのが好みなんで、飲んでみて粉っぽさに閉口しております。これしか手に入らない以上仕方ないんですが、二度と買うかい!

あと紙不足で一部雑誌の発売日延期などが出ております。印刷用紙を運ぶトラックの燃料不足が原因です。大田区の印刷会社に4t車で乗り付けたドライバーさんが、車が大きくて印刷所前に付けられず嘆いておりました。何でも富士宮から来たそうで、15日の地震の震源地だったところで、あちらも混乱していて臨時に大田区に紙の配送に来たそうですが、路地の多い道路事情を知る由もなく、近くのやや広めの道路に停めてフォークリフトで往復して荷おろしするなど苦労しておりました。それでも「会社が休業せず仕事があるだけまし」ということで、15日の地震でも被災して休業している会社もあるようです。

そういえばこんなニュースも。

東海道新幹線、旅客27%減 11~17日  :日本経済新聞
考えてみれば当たり前ですが、首都圏の機能低下は東海道新幹線も影響を受けるわけで、震災の影響が如何に広範囲に波及しているかを思い知らされます。また東海道新幹線に電力を供給している中部電力は、浜岡原発1,2号機の代替炉として計画中の6号機の新設を見直し、また津波対策として防潮堤の強化を打ち出しております。福島の教訓が共有された結果ですね。

燃料に関しては、被災地への鉄道輸送が開始されたというのが明るいニュースです。ルートは上越線から日本海縦貫線で青森へ、更に青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、JR東北本線を経て盛岡までのルートが確保されたことで、1日1本の貨物列車で燃料輸送が始まりました。1,000t列車1本でも大型タンクローリー40台分ですからかなりの威力です。浮いたタンクローリーは被災地配送用に回せますから、こちらも事態の改善には効果的でしょう。鉄道貨物の実力は絶大です。

ならば他の物資も同ルートで運べば良いと考えられますが、ここに問題があります。単線区間が多い日本海縦貫線の線路容量がネックとなります。全線複線で新幹線並行区間なので旅客列車の支障も少ない東北本線ルートでは、20本以上の貨物列車が設定されております。燃料輸送は緊急性からどうにか1本設定できたものの、食糧、日用品、医薬品類などまではカバーし切れないのです。

やはり東北本線の復旧が急がれるのですが、厄介なことに、震災で女川原発が停止した東北電力の電力事情の悪化が立ちはだかります。しかも電力問題は、東北新幹線の復旧とも競合する問題でして、優先順位をつけるのが難しい問題です。

ということで、鉄ちゃん的には人気イマイチの鉄道貨物の復興が課題となるわけですが、難しい問題が山盛りです。そもそもJR貨物は地域分割された鉄道会社6社の線路容量の余力の範囲内での存続という前提で、旅客会社に線路使用量を支払って列車を運行するという形で存続したために、自社の都合での輸送力増強ができない仕組みです。

その結果国鉄時代から旅客と貨物のダイヤの競合が激しかった名古屋都市圏の輸送改善が進まず、またEF200による1,600t牽引実現を目論んでJR東海から変電所容量不足を理由に拒否されたりする事態をもたらしたわけですが、JR東日本はJR東海よりは貨物との関係は良好なものの、自らも地震で被災している現状で貨物のために設備増強を行う環境にはないわけですから、国が何とかする必要があります。

というわけでこれを期にJR貨物の再国有化を検討すべきではないかと思います。震災復興で大義名分はありますし、今後例えば日本海縦貫線の完全複線化で代替ルートを強化する場合などに財政支援や政策金融の動員などで機能強化がやりやすくなります。

もちろん野放図な運用は新たなバラマキの温床ともなりかねませんので、注意が必要ですが、旧国鉄の継承資産をだましだまし利用している旅客会社にとっては、貨物輸送への協力の見返りとして老朽施設の近代化で合理化を進められるインセンティブもあります。JR東海が名古屋南方貨物線の完成した路盤の一部を振り替えてちゃっかり利用しているようなことを貨物輸送インフラ整備のために公正にルール化するわけです。

理想を言えば、この際線路国有化して完全公設民営タイプの上下分離を行い、併せてオープンアクセスを導入するという過激な案もありますが、それだと例えば首都圏輸送など確実に収益が見込める分野に参入希望が集中する一方、地方のローカル輸送は見向きもされないなどの弊害も考えられ、日本で直ちに導入することは難しいでしょう。

それと整備新幹線の問題も見直す必要があります。今回のように震災で電力不足となったときに新幹線と在来線のどちらを優先するかというような問題が発生することを考えると、やはり新幹線と在来線の二重投資問題というのは、合理的な出口を考えておく必要があります。

貨物の問題がなければ答えはシンプルなんですが、現在のように新幹線の整備と引き換えに並行在来線のJRからの分離という考え方の延長線上で、並行在来線は廃止し、地域交通は道路交通に依存するとすればシンプルですが、鉄道貨物を温存しようとすれば、この手は使えません。

貨物との共存を前提とするならば、新幹線ではなく在来線の強化で対応するほかないということになると思います。とはいえほくほく線や成田スカイアクセスで実現しているように、在来線とはいえ条件さえ整えば最高速160km/h程度の営業運転は問題なく可能ですから、旅客列車の高速化と貨物列車の本数確保の投資が同時に実現する支援の枠組みを工夫することで可能性は開けます。例えばフル規格ならば論外な北海道新幹線の長万部―札幌間の先行着手ですが、スーパー特急方式で貨物と共存し、ローカル輸送からは撤退とすることならば検討の余地ありということになります。その場合当然ながら東京までのフル規格一気通貫は諦めることになりますが。

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Saturday, March 19, 2011

震災の向こうで戦争が始まる

かなり不謹慎な内容を含みますが、気分を害されても読者の自己責任に帰す問題であることをお断り申し上げておきます。既存メディアのお追従報道とは異なるネットメディア、パーソナルメディアとしての存在価値を問いたいところです。

まずは注目すべきニュースから。

G7が10年半ぶり協調介入 日銀、即座に円売り実施  :日本経済新聞
協調介入の直接の原因は、震災を受けて17日のシドニー市場で一時1ドル76円台の円高をつけ、一気に4円以上の円高が進んだことに対する危機感がG7で共有された形です。

円高阻止を使命と勘違いしているフシのある野田財務相にしても、元々議題に入っていなかった為替の協調介入がこんなにスンナリ決まるとは思わなかったでしょう。とにかく9月の単独介入のときは、表立って反対こそしなかったものの、不快感を顕わにした欧米がむしろ積極的に為替の安定を望んだんですから、よくわからない状況でしょう。

種明かしは簡単で、世界は今、日本の震災と共に、リビアの政変に関心を寄せ、共に世界経済のリスク要因と見ている結果、1日で4円も相場が動いた為替市場に当局が反応したわけです。けっして円売り協調介入が震災復興に役に立つと考えているわけではありません。あえて言えば3月は日本の主要企業の決算集中月であり、円高で決算数字を悪化させれば、税収減で日本政府の復興資金拠出が困難になるということはありますが、まさか世界が日本企業の粉飾決算に手を貸すわけがありませんね(笑)。むしろこちらと併せて見るべきです。

リビア上空の飛行禁止決議を採択 安保理  :日本経済新聞
軍事行動の中心は英仏で、元々リビア産原油はロンドンの北海ブレンド市場を経て欧州各国へ供給されてきたこともあり、現状のように政府と反政府勢力との間で油田の取り合いになっている状況は、原油価格の上昇を通じて経済を直撃する恐れがあるわけです。それ故に軍事行動は英仏中心で行われ、アメリカは賛成票を投じながら日本の震災復興へのコミットを優先するため軍事行動では前面に出ない形です。

カダフィー政権と親密な中国とロシアは議決では棄権したものの反対はせず、拒否権を発動しない形で消極的に軍事行動を認めた形ですが、日本の震災で国境を越えたサプライチェーンが機能しなくなって経済に影響する中国は、リビア利権に未練も日本の震災復興支援にやや軸足。自ら産油国でもあるロシアもリビアより日本の復興により強い関心があるということが読み取れます。

つまりは、これから軍事行動を起こそうとする英仏両国にとって、為替の安定は不可欠ということで、予期せぬ為替協調介入が実現したというからくりです。というか、日本のメディアは震災報道一色で、世界で起きていることを報じない相変わらずの横並び姿勢で、為替介入を嫌ってきた国際社会の変化を好意的に見るなど、ひどいミスリードです。これから戦争が始まるんです。

翻って日本の長期停滞ですが、既にバブル崩壊から30年、リーマンショックで世界が追いついてきて、ジャパナイゼーション(日本化)という言葉まで言われながら、停滞を脱することができませんでした。この長期停滞はつまるところ資本ストックの過剰が原因です。

日本のストック過剰は主に2つの流れで形成されたもので、1つはバブル期と史上最長景気と言われたゼロ年代の民間の過剰投資による部分と、85年のプラザ合意以来の国際社会からの内需拡大要求に基づく公共事業の積み増し、特にバブル崩壊以降の景気刺激策として大盤振る舞いされた結果の過剰な公共投資に原因を求められます。

民間投資は国内需要どころか、商品によっては世界中の需要を日本企業だけで賄える水準まで積み増され、当然供給能力が需要をオーバーするわけですから、需給ギャップで価格低下に悩まされるわけです。世上デフレと言われる現象です。加えて新興国の台頭と国内の人口減少がそれに追い討ちをかけるわけですから、価格低下は止まらなくなります。こういった構造変化を見逃してライバルとして成長してきた中国などを間の敵にしても意味がないので、損切りして過剰ストックを整理する必要があります。金融機関の不良債権処理はそれが顕在化したものですが、問題は輸出企業でして、特にゼロ年代の円安に助けられて、過剰ストックの調整は進まず、むしろ生産の国内回帰などのキャッチフレーズで投資を積み増してしまった結果、世界同時不況の波をもろに被る結果となったわけです。

一方の公共投資ですが、公共事業の大盤振る舞いで、社会資本ストックの経済貢献度は低下します。いわゆる収益逓減の法則で後から作られた社会資本ストックほど経済貢献度が下がるわけです。にも拘らず大盤振る舞いは止まらず、国全体で見たときの生産性が低下することになります。

かくして官民共犯関係の中で過剰な資本ストックが積み増された一方、収益力は低下しますから、国全体の生産性は下がるわけで、賃金の相対的な低下を通じて個人消費が萎縮し、また特に民間部門では過剰ストックで生産性を高めるためには雇用を削るしか途はなく、雇用不安はますます個人消費を冷やすわけです。かくして人口減少下の雇用不安というけったいな状況となり、結局国全体がメタボ体質の生活習慣病状態にあるわけで、この袋小路を抜け出すには内臓脂肪に当たる過剰ストックを整理するしか途はないのです。

そして大変荒っぽい議論で恐縮ですが、資本ストック調整というのは、つまるところ損切りですから、誰かが損を被る必要があるわけですが、実は戦争と災害は共にストック調整の意味があるのです。1930年代の大恐慌も、結局は世界大戦でリセットされたのが、悲しいかな現実です。

その意味で戦前の日本が戦争へ突き進んだのは偶然でも何でもなく、第一次大戦特需で工業国としての地位を確立した日本が、やはり当時のレベルで過剰ストックを抱えて出口を模索した結果なんです。その意味で長期停滞が続きながら戦争という手段を選ばなかった日本は、幾らかは進歩したのかもしれません。しかし過剰ストックを抱えてメタボ体質に回帰する自堕落さは直らないようです。

あとリビアといえば核開発疑惑問題もありましたが、核拡散防止条約(NPT)の定めに従いIAEAの査察を受け入れて核開発を放棄するなど、かつての孤立主義を修正して国際協調に舵を切ったと見なされていただけに、今回の民主化ドミノは、リビアのカダフィー政権にとってのみならず、先進国にとっても予想外の出来事だったわけですが、エネルギーの安定供給の観点からも、政権の安定は不可欠となり、内戦状態にあるリビアで民主化勢力にコミットする選択を欧米はしたということです。これも欧州と中東北アフリカ地域の関係を再構築するという意味でのストック調整となるわけです。

結局世界はまだ戦争や災害などの荒っぽいストック調整を卒業できていないという悲しい現実があるわけですね。逆に戦争も災害も特需を生んでGDPを押し上げる効果はあるわけで、起きてしまったことを嘆き悲観ばかりせずに復興に思いを託すことに希望を見出すこともまた必要です。

あとNPTといえば元々日本やドイツなど旧枢軸国の核武装を阻止する目的で発足したもので、日本が核の平和利用を主張して、IAEAの査察受け入れを条件に原子力発電を始めたのですが、スリーマイル島事故でアメリカの原発新設が止まり技術の空白が生じた一方で、日本は原発に入れ込んできたのですが、今回の福島の事故で原子力政策の見直しは必至でしょう。

一つ気になるのが、今回の福島第一原発の事故で、特に3号機の損傷が激しく、また3号機建屋の残骸周辺で際立って高い放射線量を観測していることなんですが、私も把握しておりませんでしたが、3号機はプルサーマル発電で運転中だったということです。私は日経の記事で知りましたが扱いは小さく、電波メディアではほぼ完全に無視されてますが、事故に関わる重要事項だと思うのですが、東電や政府が秘密にしているのか、メディアが無知なのかはわかりませんが、国民の知る権利を満たさないのは相変わらずです。

もちろんプルサーマルだから事故が起きたと言うつもりは毛頭ありませんが、プルサーマルというのが、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランの混合燃料であるMOX燃料を通常の軽水炉で燃焼させる技術で、ウラン燃料を輸入に頼る日本にとっては燃料の節約になるという触れ込みで推奨されたのですが、多くの問題をはらみます。

プルトニウムといえば毒性の強い核物質で、ウランの燃焼によって生成されるのですが、原爆の原料となることから、NPT体制下厳格な処理を求められます。つまりNPT体制に準拠し核武装をしない確約をしている日本にとっては厄介な代物で、それゆえにプルトニウムは発電での再利用をするか固化して最終処理して封印するかしかないのですが、どちらも実現していないのです。

発電での再利用は高速増殖炉が本命で、プルトニウムを燃えないウラン238に作用させることで燃えるウラン235に変えて文字通り燃料を増殖させるという夢のような技術ですが、開発競争していたフランスが開発を断念するほど難しいもので、日本でも原型炉「もんじゅ」で91年に試験を始めたものの、95年にナトリウム洩れ火災事故を起こして頓挫したのでした。そのときにも情報開示を渋って世論に叩かれたのですが、夢の国産エネルギーの掛け声の下改修が2007年に終了し、政権交代後の2010年に運転再開となり、2012年に本格稼動し、2050年の商業炉運転開始を目指すことになりましたが、これもほとんどメディアは伝えませんが、トラブル続きでまともに動いておりません。ま、どのみち2050年の商業炉スタートでは、温暖化防止目標に貢献することはできないのですが。

高速増殖炉開発が滞る中、各地の原子炉の使用済み核燃料貯蔵プールの燃料棒は貯まる一方で、再処理待ったなしということで青森県六ヶ所村の再処理工場が建設され、現在試運転中ですが、これも失敗続きで2010年10月の竣工予定は最大2年延期されております。国産MOX燃料工場は未だ構想段階です。これも予定ではもっと早く竣工し、再処理を始めると共に高速増殖炉の開発が遅れたことを受けてプルサーマルが計画され、英BNFL社や仏コジュマ社などの欧州企業へ処理を外注する形でMOX燃料に加工してプルサーマルを始めようとしたところ、MOX燃料棒のデータ改ざんが発覚し手送れるなど失敗続きの末、九州電力玄海原発からスタートしたものですが、福島第一原発でも始まっていたんですね。

このことは原発推進派の知り合いも知らなかったのですが、どういうわけか今回の事故報道でも無視されております。仮にMOX燃料が露出している状況であれば、放射線量は増えると考えられますから、3号機の建屋の破片から異常に高い放射線量が観測されている事情と関連があるのではないかという疑念が拭えません。ひょっとするとこの期に及んで東電や政府は国民に隠し事をしている?

もちろん重元素であるプルトニウムが飛散することはあり得ませんが、仮にプルトニウムの露出が現実であれば、下手するとチェルノブイリ級の大事故となる可能性もあるということは指摘しておきます。断定は避けておきますが。

とすれば居住者の移住も現実問題となり、近くの福島第二原発も運転再開を諦めざるを得ないという最悪の結末も覚悟する必要があります。となれば常磐線北部も運命を共にすることになることは言うまでもありません。杞憂であってくれれば良いですが。

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Sunday, March 13, 2011

南武線快速を幻にした3.11震災

冒頭は私自身の震災体験を語ります。

3月11日午後2時46分、所用で車で出かけていた東松山で地震に遭いました。運転中に異常振動を感じ、車の不具合かもしれないので、最寄のコンビに車を停め、エンジン停止しても振動は止まらず、「えい、ぼろ車!」と内心叫びつつ車を降りたら、地面が波打って揺れていて、初めて地震と気がつきました^_^;。

かなり大きな揺れでしたが、とりあえず用件を済ませつつ自宅を目指して走り始めました。余震もあり、高速道路の通行止めもあって、普段より通行料の多い道路を進み、午後6時過ぎには都内で用件を終えて帰宅の途につきましたが、大渋滞で進みません。電車が止まっていたこともあり、徒歩で帰宅を目指す人が歩道を溢れかえっていて、交差点毎に横断歩行者に遮られる右左折車の車列が直進車の進路を塞ぎ、立体交差でも側道から溢れる右左折車が本線車道を支障し、場所によっては2時間で200mしか進まず、区間平均時速100m(笑)。

それでも流れているところもあり、第三京浜では久々に快走も、保土ヶ谷料金所の3km程度手前から渋滞で動かず、見るとETCレーン、有人レーン問わず動いていないので、ゲートの先が詰まっている状況では致し方ありません。当時首都高が通行止めでしたから、保土ヶ谷の先のルートは、横浜新道方面、岡沢町ランプ、三ツ沢ランプの3方向ですが、それがいずれも詰まっていて、それでも比較的流れていた岡沢町ランプからR1下り線へ合流、その先の横浜新道は混雑が予告されていたので、和田町の分岐から16号へ、上星川ランプから環状2号で平戸を目指します。

とまぁ苦労を重ねて帰宅は12日午前3時ごろ。移動距離100マイル程度ですから、所要時間12時間、表定速度13km/hですから、歩くよりは速かったというところです。とはいえ深夜でも徒歩帰宅の群れは続き、車道にはみ出す場面も間々ある中で、スローダウンを余儀なくされました。

そんな中で後方から車間を積めて煽ってくるアホがいたのには参りました。こんな時に身勝手な振る舞いはどれだけ迷惑か、自覚して欲しいですね。渋滞で苛立っていたのはわかりますが、それはあんただけじゃない。自己管理ができないなら車を捨てろと言いたいところです。実際この手の車が原因と思われる事故現場に幾つか遭遇しましたし、いずれも普段なら事故が起きるような場所ではなく、先を急いだ結果と見られます。

というわけで、長時間運転を余儀なくされたものの、個人的には大きな被害を受けることもなかった地震ですが、報道に接して、その被害の大きさに絶句しました。特に津波9の被害がひどいですね。おそらく逃げる間もなく被災した人が多かったのでしょう。プレート型地震ですから、日本列島東部の日本海溝の深海部が震源で、その場合は大きな津波が発生する可能性が高いと言われますが、今回はやや不意打ちの感はあったのでしょう。特に仙台市若林区荒浜のように、従来リアス式海岸のV字湾で水位が上がる現象は知られておりましたが、平地で高い建物もなく、非難する場所もない中で津波に広範囲に洗われてしまったのは想定外だったようです。

そして想定外を連発するのは、福島第一原発で起きた事故を巡る専門家たちですが、怒りを禁じ得ません。元々原発は危険なもの。安全に稼動させるためのさまざまな防災措置は講じられていて、今回も地震を感知して制御棒が作動して炉を停止させたまでは良かったのですが、炉心の冷却システム用に用意されていた非常用ディーゼル発電機の燃料タンクが津波で流されて作動せず、炉内温度が上昇し、今回の事故となりました。

政府は一応迅速な対応を取ったようですが、とにかく当事者である東京電力からの情報が小出しで遅く、実際に何が起き、どうすべきかについて後手に回ったのは否めません。そのために住民の避難が遅れ、一般住民に被爆者を出したことの責めはあります。

JCO臨界事故やもんじゅ事故など過去の原子力事故と同様、情報が小出しにされて、現場で何が起きているかの把握が遅れた結果、どんどん事態が悪化するという流れは同じです。この国の原子力関係者の学習能力を疑います。

断っておきますが、私自身は反原発派でも何でもありませんが、原発利権に巣食う連中を信じておりませんので、以前から日本の原子力政策の危うさを危惧しておりましたが、今回残念ながらそれが明らかになってしまったと思っております。関係者は起きている事態をより小さく見せようと腐心しているから、情報は小出しで、その間に事態は悪化するという過去の原子力事故と同じ轍を踏んでおります。

元々原子力発電は制御が難しいのですが、今回のような地震などによる運転の強制停止のときはそれが顕在化します。制御用電力は運転中ならば問題なく供給されますが、一たび停止となれば、特に炉心の溶融を回避するために冷却水を送り込むポンプのための別電源が必要になるのですが、そのためのバックアップ用のディーゼル発電機が津波被害というのは「想定外」だったのかもしれませんが、机上で「大丈夫」とされた安全対策がこんなにも脆いものだったということです。

実はこの手の議論は専門家の間では以前から行われていたんですが、あらゆる天然災害に備えて多重系の対策が講じられ手いるのは確かですが、実際の事故はそのハードルを越えて出現するもので、万が一を常に意識しておく必要があります。

ところが日本では、79年のスリーマイル島事故のときも、86年のチェルノブイリ事故のときも、必ず「日本の原発は安全です」と付け加えて誤魔化してきたんですが、その一方で情報開示は進まず、「とにかく安全」という「安全神話」を流布するばかりでした。その結果、今回のように一般人の被爆という事態をもたらしたのですから、許しがたいですね。

今回と推移が似ているスリーマイル島事故の場合ですが、米政府は直ちに炉心溶融(メルトダウン)の可能性を紺慮して迅速に周辺住民を避難させました。それに比べると今回の福島第一原発の事故の対応は明らかに後手に回っております。それどころかスリーマイル島がIAEAの原子力災害区分のレベル5だったのに対し、そこまではひどくないとレベル4を宣言しておりますが、実際に1号機の建屋内で水素爆発を起こすなど、内部の高温を証明するような事態が起きている状況で、それでも事態を小さく見せたい専門家たちの不実さに腹が立ちます。一言で言えばリスク管理の不在ということで、こんなことでは今後の原子力政策の見直しは避けられないでしょう。

元々原発は特有のリスクがあるもので、それに備えてさまざまな対策を講じる必要があります。確かに日本の安全基準は世界的に見ても厳しいもので、厳しくぎる安全基準ゆえに稼働率が6割程度で、しかも炉の老朽化で稼働率も低下傾向にある中で、「規制を世界標準にすれば稼働率が8割を超え、CO2削減に寄与する」という「識者の意見」がメディアにも度々登場しますが、将に絵空事です。

結局これだけ厳しい日本の規制の下でも、原子力事故は後を絶たず、その度にお詫び会見をして規制を強化することの繰り返しで、結果的に世界に例を見ないがんじがらめの規制となって経済性をスポイルしているわけです。当然関係者の関心はこれ以上の規制の強化は望ましくないと、安全対策に消極的な判断が強まるわけですね。

むしろ元々心許ない「安全神話」なんか掲げるよりも、危険を承知で、それでも必要ならばこうやって使いこなすという議論をきちんと行うべきです。でなければ「想定外」の震災被害だから「仕方がない」という議論で流されるのが目に見えております。

結局今回、福島第一原発の1号機と3号機の冷却に海水を入れたことで、事実上復旧を断念したわけですが、厄介なのはこれからで、東電では2年半前の中越沖地震で柏崎刈羽原発が全面停止して、復旧は進んだものの、未だ半分の段階で、今後も全面復旧までは時間がかかります。加えて東北電力女川原発も地震で緊急停止しており、同じ50Hzエリアで電力を融通することもままなりません。

中部、北陸電力以西の60Hzエリアからの給電には、電力変換が必要になりますが、現行の電力変換変電所を総動員しても不足分には全く足りない状況です。また北海道電力はそもそも電力に余裕がなく、電力需要の旺盛な東北、東電エリアを助ける力はありません。そして当然、これから原子力発電所を新設しようとしても、最短でも10年以上かかるわけで、福島第一原発1,3号機の事実上の廃炉による電力不足の影響はかなり長期化することになりそうです。

そういうわけで、東電では計画停電を実施することになり、政府のそれを了承したわけです。大規模需要者であるメーカーの工場も停止している状況ですから、今後それが復旧してくれば、ますます電力不足に拍車がかかる状況です。そういえば東北新幹線も構造物の破損が見られ、復旧には時間がかかりそうですが、仮に復旧しても、電力不足から減速運転や間引き運転を強いられる可能性があります。そしてそれを先取りするような南武線の現状を指摘しておきます。

12日のダイヤ改正で登場予定だった南武線快速は、南武線の運転がx再開された13日時点でも運休とされており、明日以降どうなるかわかりませんが、元々昼間帯のサービス列車という性格の列車でもあり、電力事情が逼迫する中、当面運休の可能性が高いと言えます。震災の影響は計り知れません。

南武線には69年12月に登場し、当時はオレンジ色の101系6連で川崎―登戸間に登場しましたが、途中武蔵小杉と武蔵溝ノ口の2駅に絞り込んだ結果、利用は伸びず、一方踏切遮断時間が延びて周辺道路の渋滞が深刻化し、快速登場を喜んだ地元川崎市の要請で78年10月に打ち切られました。というわけで32年半ぶりの快速復活のはずが、幻の快速となりそうです。

こうなるとむしろ原発に代表される大規模発電そのものを見直した方が良いのかなと思います。原発は機材や資材や燃料の搬入にしろ、放射性廃棄物の搬出にしろ、海路搬送が必須ですから、どのみち海沿いに立地せざるを得ず、新設炉も含め、津波被害を想定せざるを得ないわけで、備えを高めればコストに跳ね返る状況です。

そうなると割高と言われる風力、地熱、太陽光などの自然エネルギー利用とのコスト差が縮まりますし、もう一歩踏み込んで直流送電と組み合わせれば、高圧交流送電では避けられない送電ロスを劇的に下げられます。つまりいい機会ですから発電送電システムの見直しにまで踏み込んで、自然エネルギー利用の小規模発電と直流送電で電力の地産地消体制に移行するぐらいの大きな画を描くチャンスです。

当面被災地の復旧に合わせて地域スマートグリッドを形成する形を採って、電気事業法の例外として参入規制を解除するなどして、当面の大規模電力網の負荷を下げていくというのが、現実的な対策です。当然JRのような鉄道事業者も、自前の発電施設を保有して且つ地域へ売電できれば有力な関連事業になりえますし、メーカーの工場に付帯する発電施設を有効活用する途も拓け、被災工場の閉鎖とセットで電力需給が調整可能です。とはいえ今の国のリーダーの力量を超えそうですね-_-;。

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Wednesday, March 09, 2011

Yahoo知恵袋で菅忍愚ゥ

京大の携帯カンニング事件は仙台在住の予備校生の単独犯ということで決着しましたが、いろいろな意味で考えさせられます。

まずカンニングそのものを取り締まる法律がないことですが、よく考えてみれば、実社会では他人の知恵を借りる場面は多数あるわけで、それを取り締まることはできないのも道理です。むしろ問題を1人で抱えて破局したり精神を病んだりする方が、よほど問題ですね。問題は大学入試の筆記試験という特殊なゲームのルールによるものと言えます。

大学が優秀な学生を選別するために、筆記試験を行うわけですが、筆記試験は出題者が意図する模範答案にどれだけ近い答案を試験時間内に作成できるかという、かなり特殊な能力を問うものであり、当てずっぽうで答えても、結果的に模範答案に近ければ採点されるわけです。出題を工夫して受験者の理解度を炙り出すことは、ある程度は可能ですが、受験者が多いと採点者の負担が大きくなるので、現実的にはそこまで問うことは難しいことになります。

一方で一部のブランド大学の人気集中という事情もあります。所謂就活で実績を上げているのは、必ずしも有名大学とは限らないんですが、公務員の選考は相変わらず筆記試験中心で、結局高偏差値の有名大学の学生が有利ということもあり、受験生サイドから見れば、ブランド大学へ入学できるかどうかが人生をすら左右すると考えられている結果、目を盗んでカンニングしようとする動機付けが存在します。丁度大相撲の十両と幕下の待遇差から、星の貸し借りが行われるような構造が存在するわけです。

ゆえに大学は入試で不正行為を見逃さないように試験官を置いて監視するわけですが、そのようなアナログな筆記試験でも、昨今のデジタル革命で環境が激変します。携帯電話、電子辞書、デジタルカメラ、小型スキャナーなど、小型化が進むデジタル機器の扱いに慣れた若い受験生をアナログ世代のおっさんが監視するんですから、死角が生じる可能性は元々あります。その意味で筆記試験という特殊なルールで選考する以上、大学側に注意義務が生じると考えることができます。つまり大学にも重大な落ち度があったと見るべきでしょう。

その意味で警察に捜査を依頼した今回の京大の対応に、教育機関としていかがなものかと当然ながら批判が出てきました。カンニングそのものでは処罰できませんが、放置すれば入試試験の正当性に瑕がつくわけですから、何らかの決着を求めたわけですね。それで警察は偽計業務妨害という罪状で捜査し、件の予備校生に辿りついたわけです。

とはいえ偽計業務妨害というのは、例えば嫌がらせで飲食店に嘘の出前注文をするなどの場合に適用されるものですが、今回はカンニングの発覚によって、大学側が答案を精査したり合否の判断をやり直したりと、カンニング行為がなければ不必要な余分な業務を強いられたという論理構成ですが、かなり無理があります。上にも書いたように、筆記試験による選考というルールを採る以上、注意義務は大学側にあると考えられますし、件の予備校生も大学への嫌がらせを意図したものではないわけですから、犯罪の構成要件としては弱いと思うんですが。大相撲でも、賭博行為など別の罪状が絡まない限り、八百長単独では立件できないとされたのです。

むしろ今回はYahoo知恵袋という公開の質問サイトへの書き込みという、ある意味バレバレな方法が採られたことが、このような取り扱いを招いたのでしょう。ネットの通信記録は通信の秘密保持原則があり通常は公開されませんが、犯罪捜査など正当な公権力の行使によって可能になります。つまり今回のカンニング事件は、犯罪捜査の体裁を採らなければ通信ログを調べられないわけで、とってつけたような偽計業務妨害という罪状を用いなければ解明できなかったということです。しかしこれはある意味公権力の恣意的な行使の既成事実化という厄介な問題を想起させます。

また大相撲の八百長疑惑でも、たまたま野球賭博事件という別件で押収された携帯電話の通信記録から、八百長を示唆する内容が明らかになったもので、同様に携帯メールのやり取りで、試験時間中に外部者に問題文をメールして回答を得るというやり方は考えられます。その場合、関係者が別件で逮捕され携帯が押収されるような事態にでもならない限り、発覚することはあり得ないわけですから、実は隠れた成功者がキャンパスを闊歩している可能性は否定できません。筆記試験でやる限り、入試試験時の携帯電話等の扱いは厳格化せざるを得ないでしょう。本質的にはこういった実社会で役に立たない技能を問う選考方法を改めるべきなんですけどね。

最近この手の公権力の恣意的な運用は目に付きます。最たるものは郵便不正事件での大阪地検特捜部のFD改ざん事件に尽きますが、同じ前田検事が自白を強要したとして、陸山会事件の大久保被告の調書は公判で証拠採用が見送られてますし、石川議員も「検察に騙された」と公判で供述しております。冤罪の可能性は日々高まっている印象です。

この問題は同時に民主党の内部抗争の様相も呈しておりますが、反小沢の急先鋒で鳴らした前原外相にまさかの政治とカネ問題が浮上しました。知人の飲食店経営者から5万円を4回、計20万円の献金を受け取っていて、その知人に日本国籍がなかったということで、政治資金規正法違反ということなんですが、金額も少なく、どう見ても悪質性はありません。とはいえ小沢元代表の政治とカネ問題を追求してきた前原氏としては、けじめをつけざるを得ないわけで、自縄自縛となったわけです。

しかし冷静に考えれば、このまま泥舟状態の菅政権の閣僚として留まって、運命を共にするよりも、閣外に出た方が安全とも言えるわけで、ある意味絶好の口実ができたとも言えます。いよいよ政権の中から見限られ始めたのかもしれません。その意味で前原氏はクレバーです。余談ですが、この問題、在日外国人が国籍を詐称して政治家に献金し、情報をメディアにリークすればその政治家の政治生命を絶つツールにもなり得ますので、野党が騒いで知恵をつければ、某国工作員を喜ばせますね。

あとは主婦の年金救済問題で集中砲火を浴びる細川厚労相ですが、そもそもこの問題、前任の長妻厚労相時代の省内改革の一環として行われた職員アンケートで多数指摘され、1年前には把握されていた問題です。原因は旧社会保険庁の周知徹底不足と、窓口対応の杜撰さに起因するということで、長妻厚労相の指示で法改正せず通達による柔軟対応の方針が出されたのですが、9月の内閣改造で後任の細川厚労相に引き継がれず、年末に課長通達で1月から実行され、総務省の年金改革会議から公平性の問題を指摘されて慌てて凍結されたとい紆余曲折があります。

民主党の政権運営の稚拙さが出た形です。同様に高速道路の料金割引問題でも、高速道路債務の一部を国庫金に振り替えて財源を捻出したものを、埋蔵金と勘違いして高速道路整備や恒久割引の財源として使いきろうとして迷走して、結果問題だらけの土休日ETC1,000円割引が継続し、混乱を長引かせるばかりか、本来の無料化からは遠ざかってしまいました。このETC割引の財源ですが、一部ORSEの資金拠出はあるようですが、あくまでも単純な債務の国庫への付け替えに過ぎず、お金が積んであるわけではありません。割引を継続すれば毎年度の予算編成を縛るものとなり、ますますマニフェスト実現のための財源を減らすことになります。いい加減目を覚ませ(怒)。

そんな中で注目したニュースはこれです。

鉄道や水道、民間が経営 PFI改革案  :日本経済新聞
Private Finance Initiative(民間資金を活用した社会資本整備、以下PFIと略す)ですが、本来は公共サービスの民間調達を指す用語なんですが、日本のPFI法ではハコモノ整備に限定されており、中部国際空港などで使われましたが、むしろ新規の社会資本整備よりも、既存の社会資本ストックの運営のローコスト化や老朽設備更新などの方がニーズがあるわけです。

特に赤字の公営地下鉄やバスの効率運営や、老朽化が言われる公営水道事業などは、自治体の体力では支えきれなくなりつつあります。水道事業に関しては、水道事業を民営化して複数の自治体の事業を引き受ければ、効率化の余地が生まれますし、自治体直営では難しい海外インフラ輸出への進出などにも途が拓けます。そういう意味で望ましい改革ですが、土建政治が幅を利かせる中、見直しは進みません。そういう意味ではぜひ実現させて欲しいところです。

鉄道分野で言えば、例えば東京都営地下鉄の運営を民間に委託するなどですが、仮にメトロが受託すれば事実上の地下鉄一元化が可能ですから、サイドバーで酷評した猪瀬某の「メトロを上場したら東京の地下鉄一元化は永久に不可能」の論は否定されます。また中央区が構想する銀座LRT構想で利用が想定されている模様です。

とはいえ政局は流動化する一方で、法案成立のメドは立っておりません。政権構想も明らかにせず解散を迫る野党も問題ですが、国会運営にノープランの政権側には呆れます。いっそYahoo知恵袋で相談してみる?>菅さん(爆笑)。

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Saturday, March 05, 2011

新幹線でも常磐線でもない新型HITACHI

サイドバーでご紹介した週刊東洋経済の鉄道特集号と同じ日に、週刊エコノミストでも鉄道特集の特大号を発行しています。2つ並べたかったんですが、エコノミストはAmazonで扱いがありません。特に海外へのインフラ輸出で現地在住のライターに書かせていて、独自の視点を見せておりますが、それだけ外部ライターに依存しているということでもあり、専門誌としての調査報道の質は東洋経済に軍配を上げたいと思います。100円高いけど^_^;。

今週発表された鉱工業生産指数は2.4%増の97.1となり、3ヶ月連続の上昇となりました。マクロ経済指標には確実に景気回復傾向が見えますが、体感的にそう感じないのが不思議です。鉱工業生産指数の現在の基準年は2005年ですから、やっと2007年までの戦後最長景気時代の水準に戻ったと見ることは可能ですが、問題は100を超えないことなんです。

一応ひと頃の設備過剰感からは抜け出せたのですが、鉱工業生産指数が一定期間100を超える水準で推移して設備不足感が出てこない限り、企業の設備投資には結びつきませんから、現状でもまだ不十分なんです。そして今回100を超えることはなさそうです。

理由ですが、現在遊休化している生産設備は、主に老朽化した旧式設備が中心で、本来除却して新規設備の更新投資に向かうべき設備なんですが、逆に減価償却が終わっていて、稼働率が下がっても経営を圧迫しない一方、消費市場の先行き不透明感から、設備更新よりも増産余地を残す方を優先した結果で、それだけ企業は先行きの見通しに慎重ということです。その結果設備投資も雇用も増えず、内需は冷えたままですので、結局100を超えるには至らないわけです。

加えて中東の民主化ドミノが産油国のリビアに波及し、原油価格を押し上げているのが気になります。2003-2007年の景気回復も、原油価格上昇で腰折れした要素が強いことが指摘されております。ただし当時とはかなり状況が違います。

当時ブッシュ政権下で泥沼化しつつあったイラクの戦況と、サブプライムショックで傷ついたファンドの資金逃避先としてWTI市場へマネーが流入したものですが、同時に米政府自身も石油備蓄を進めていたために、一本調子で値上がりし、1バレル147ドルの最高値をつけたのですが、今回はロンドンの北海ブレンド市場の値上がりがドバイ原油(日本の輸入参考価格)からWTIへという波及の仕方で、波及経路が逆転しております。日本の報道ではWTIばかり取り上げられ、「100ドル超えた、えらいこっちゃ」な報道となりますが、北海ブレンドが既に120ドルを度々超えているわけで、明らかに前回とは異なる局面です。

WTIが遅れて反応している理由は、米市場の中東依存度の低さとブッシュ時代の政府備蓄が効いていると見られます。逆に欧州は通貨安と原油高の二重苦となり、金融問題も片付かず、アイルランドやポルトガルなどの財政問題も抱えており、苦戦必至です。

一方日本は円が3割ほど増価しており、前回同様に景気の腰折れとなるには、1バレル200ドル近い水準ということで、原油高が直接景気の腰を折る可能性は低いでしょう。というか、円高に助けられているわけで、為替介入で\資金を米財務省債でブタ積みするぐらいなら、石油備蓄しといた方が良かったよねって話です。むしろ政治の空転の影響が心配ですが、むしろその結果長期金利が上昇して冷え込むシナリオが現実的です。

結果的に政権が目玉政策とした法人税減税も流れる可能性がありますが、むしろ減税財源の課税ベース拡大が先送りされるので、財界はウエルカムかも。特に税効果資産を積み上げた地方銀行の一部では、税率が下がって税効果資産を再計算した結果、年間業務純益を上回る減額となって赤字転落となるケースもあるようです。更に自己資本規制の国内行基準である4%を割り込む可能性もありますが、今に至るも実態の弱い税効果資産に頼るような銀行はペイオフで整理すべきでしょう。

またどうせ上記のように企業が設備投資に向かわない理由は別にあるわけですし、だから法人減税なんか止せばよかったのにぃー-_-;。

欧米ではリビア政府関連の資産凍結の動きがあります。早い話がSWFですが、個人資産ならイザ知らず、政府金融資産の凍結は前代未聞です。反米国リビアだからということならば、違和感を禁じえない措置ですが、政権移行後の新政権による貧困層救済策の財源にもなり得ます。そのためのオーナーチェンジならば中東の民主化勢力の助けとなります。

ただし企業のオーナーチェンジと言えるM&Aのようにルール化されているわけではありませんし、企業のM&Aでも資産売却を伴うわけで、従来安定長期投資家として振舞ってきた産油国のSWFが動くことで、世界の金融市場に大きな地殻変動が生じる可能性があります。原油高ばかりを心配するメディア報道は本質を見ておりません。原油高よりも産油国の民主化は経済成長の産物でもあり、石油輸出による富が国民の福利厚生に回れば、輸出余力は減少するわけで、原油価格の高止まりは長期的には避けようがない問題です。

加えて従来先進国の経済を支えてきたオイルマネーの還流も減るわけですから、世界の資本市場に本質的な変化が起きるわけです。WTI原油の値動きだけ見て一喜一憂するさまはバカ丸出しです。

そういう意味では、石油依存を減らすことは、先進国共通のテーマと考えてよいわけで、温暖化ガス削減も、その文脈から先進国で支持を得ていると考えるべきでしょう。だからクライメートゲート事件のようなスキャンダルが発覚しても、取り組みは続くわけです。

というわけで、世界規模で見れば鉄道が見直され、新規投資案件目白押しですが、鉄道大国を自任する日本がそこにうまく加われないという状況が起きていることは、以前にも指摘いたしました。長年国鉄の下請けに甘んじてきた日本の車両メーカーや信号メーカーなどの鉄道関連企業は、基本的に製品の単品売りに終始しますが、鉄道が自律採算が難しいのは世界共通で、インフラ投資は回収期間が長期に亘るため、事業を軌道に乗せるためには政府など公共部門の適切な関与が必要になりますし、企業が保守や運営にまで関与して政府との適切な役割分担を求められることにもなります。日本の整備新幹線のような政治的バラマキは、世界で見れば異常です。

その意味で注目したニュースはこちらです。

日立:海外事業拡大に弾み 英高速鉄道受注へ - 毎日jp(毎日新聞
厳密には受注が決まったわけではなく、元々日立が得ていた優先交渉権に基づく事業化を前提とした最終交渉が始まった段階ですが、ロンドン南方路線で一部ユーロスター用の高速新線(CTRL)を経由するClass395を174両納入し、保守契約も請け負った実績もあり、実質受注と考えてよいでしょう。Class395は近郊列車扱いですが、今回は本格的な都市間列車への参入ということで、一部に英国新幹線という表現が見られますが、あくまでも老朽化したIC125やIC225の代替で、基本は在来線を走ります。

とはいえ事業規模は4割減で、厳しい財政事情を反映したものとなりました。ブラウン前政権時代に計画され、総選挙で政権交代を果たしたキャメロン政権により凍結され、規模縮小となりました。主要幹線でも非電化区間があるイギリス向けに、ハイブリッドシステムを提案したことが評価されたという見方もあります。そういえば八ッ場ダムはどーなったんだか。政権交代しても見直しが進まない現状は問題ですね。

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