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Saturday, March 05, 2011

新幹線でも常磐線でもない新型HITACHI

サイドバーでご紹介した週刊東洋経済の鉄道特集号と同じ日に、週刊エコノミストでも鉄道特集の特大号を発行しています。2つ並べたかったんですが、エコノミストはAmazonで扱いがありません。特に海外へのインフラ輸出で現地在住のライターに書かせていて、独自の視点を見せておりますが、それだけ外部ライターに依存しているということでもあり、専門誌としての調査報道の質は東洋経済に軍配を上げたいと思います。100円高いけど^_^;。

今週発表された鉱工業生産指数は2.4%増の97.1となり、3ヶ月連続の上昇となりました。マクロ経済指標には確実に景気回復傾向が見えますが、体感的にそう感じないのが不思議です。鉱工業生産指数の現在の基準年は2005年ですから、やっと2007年までの戦後最長景気時代の水準に戻ったと見ることは可能ですが、問題は100を超えないことなんです。

一応ひと頃の設備過剰感からは抜け出せたのですが、鉱工業生産指数が一定期間100を超える水準で推移して設備不足感が出てこない限り、企業の設備投資には結びつきませんから、現状でもまだ不十分なんです。そして今回100を超えることはなさそうです。

理由ですが、現在遊休化している生産設備は、主に老朽化した旧式設備が中心で、本来除却して新規設備の更新投資に向かうべき設備なんですが、逆に減価償却が終わっていて、稼働率が下がっても経営を圧迫しない一方、消費市場の先行き不透明感から、設備更新よりも増産余地を残す方を優先した結果で、それだけ企業は先行きの見通しに慎重ということです。その結果設備投資も雇用も増えず、内需は冷えたままですので、結局100を超えるには至らないわけです。

加えて中東の民主化ドミノが産油国のリビアに波及し、原油価格を押し上げているのが気になります。2003-2007年の景気回復も、原油価格上昇で腰折れした要素が強いことが指摘されております。ただし当時とはかなり状況が違います。

当時ブッシュ政権下で泥沼化しつつあったイラクの戦況と、サブプライムショックで傷ついたファンドの資金逃避先としてWTI市場へマネーが流入したものですが、同時に米政府自身も石油備蓄を進めていたために、一本調子で値上がりし、1バレル147ドルの最高値をつけたのですが、今回はロンドンの北海ブレンド市場の値上がりがドバイ原油(日本の輸入参考価格)からWTIへという波及の仕方で、波及経路が逆転しております。日本の報道ではWTIばかり取り上げられ、「100ドル超えた、えらいこっちゃ」な報道となりますが、北海ブレンドが既に120ドルを度々超えているわけで、明らかに前回とは異なる局面です。

WTIが遅れて反応している理由は、米市場の中東依存度の低さとブッシュ時代の政府備蓄が効いていると見られます。逆に欧州は通貨安と原油高の二重苦となり、金融問題も片付かず、アイルランドやポルトガルなどの財政問題も抱えており、苦戦必至です。

一方日本は円が3割ほど増価しており、前回同様に景気の腰折れとなるには、1バレル200ドル近い水準ということで、原油高が直接景気の腰を折る可能性は低いでしょう。というか、円高に助けられているわけで、為替介入で\資金を米財務省債でブタ積みするぐらいなら、石油備蓄しといた方が良かったよねって話です。むしろ政治の空転の影響が心配ですが、むしろその結果長期金利が上昇して冷え込むシナリオが現実的です。

結果的に政権が目玉政策とした法人税減税も流れる可能性がありますが、むしろ減税財源の課税ベース拡大が先送りされるので、財界はウエルカムかも。特に税効果資産を積み上げた地方銀行の一部では、税率が下がって税効果資産を再計算した結果、年間業務純益を上回る減額となって赤字転落となるケースもあるようです。更に自己資本規制の国内行基準である4%を割り込む可能性もありますが、今に至るも実態の弱い税効果資産に頼るような銀行はペイオフで整理すべきでしょう。

またどうせ上記のように企業が設備投資に向かわない理由は別にあるわけですし、だから法人減税なんか止せばよかったのにぃー-_-;。

欧米ではリビア政府関連の資産凍結の動きがあります。早い話がSWFですが、個人資産ならイザ知らず、政府金融資産の凍結は前代未聞です。反米国リビアだからということならば、違和感を禁じえない措置ですが、政権移行後の新政権による貧困層救済策の財源にもなり得ます。そのためのオーナーチェンジならば中東の民主化勢力の助けとなります。

ただし企業のオーナーチェンジと言えるM&Aのようにルール化されているわけではありませんし、企業のM&Aでも資産売却を伴うわけで、従来安定長期投資家として振舞ってきた産油国のSWFが動くことで、世界の金融市場に大きな地殻変動が生じる可能性があります。原油高ばかりを心配するメディア報道は本質を見ておりません。原油高よりも産油国の民主化は経済成長の産物でもあり、石油輸出による富が国民の福利厚生に回れば、輸出余力は減少するわけで、原油価格の高止まりは長期的には避けようがない問題です。

加えて従来先進国の経済を支えてきたオイルマネーの還流も減るわけですから、世界の資本市場に本質的な変化が起きるわけです。WTI原油の値動きだけ見て一喜一憂するさまはバカ丸出しです。

そういう意味では、石油依存を減らすことは、先進国共通のテーマと考えてよいわけで、温暖化ガス削減も、その文脈から先進国で支持を得ていると考えるべきでしょう。だからクライメートゲート事件のようなスキャンダルが発覚しても、取り組みは続くわけです。

というわけで、世界規模で見れば鉄道が見直され、新規投資案件目白押しですが、鉄道大国を自任する日本がそこにうまく加われないという状況が起きていることは、以前にも指摘いたしました。長年国鉄の下請けに甘んじてきた日本の車両メーカーや信号メーカーなどの鉄道関連企業は、基本的に製品の単品売りに終始しますが、鉄道が自律採算が難しいのは世界共通で、インフラ投資は回収期間が長期に亘るため、事業を軌道に乗せるためには政府など公共部門の適切な関与が必要になりますし、企業が保守や運営にまで関与して政府との適切な役割分担を求められることにもなります。日本の整備新幹線のような政治的バラマキは、世界で見れば異常です。

その意味で注目したニュースはこちらです。

日立:海外事業拡大に弾み 英高速鉄道受注へ - 毎日jp(毎日新聞
厳密には受注が決まったわけではなく、元々日立が得ていた優先交渉権に基づく事業化を前提とした最終交渉が始まった段階ですが、ロンドン南方路線で一部ユーロスター用の高速新線(CTRL)を経由するClass395を174両納入し、保守契約も請け負った実績もあり、実質受注と考えてよいでしょう。Class395は近郊列車扱いですが、今回は本格的な都市間列車への参入ということで、一部に英国新幹線という表現が見られますが、あくまでも老朽化したIC125やIC225の代替で、基本は在来線を走ります。

とはいえ事業規模は4割減で、厳しい財政事情を反映したものとなりました。ブラウン前政権時代に計画され、総選挙で政権交代を果たしたキャメロン政権により凍結され、規模縮小となりました。主要幹線でも非電化区間があるイギリス向けに、ハイブリッドシステムを提案したことが評価されたという見方もあります。そういえば八ッ場ダムはどーなったんだか。政権交代しても見直しが進まない現状は問題ですね。

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Comments

タイトルがH TACHIになってますよー

Posted by: TX-2000 | Sunday, March 06, 2011 at 11:23 PM

ご指摘感謝いたします m(_ _)m。

Posted by: 走ルンです | Monday, March 07, 2011 at 10:32 AM

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