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April 2011

Friday, April 29, 2011

ムーンライトセレナーデ

計画停電で久々の暗闇を経験し、同時に月夜の明るさも再認識できました。ありがとう東電、ありがとう政府----なんちゃって<^o^;>。

電力削減目標、一律15%に緩和を正式表明 経産相  :日本経済新聞
夏の節電という課題を抱える東日本地域ですが、東電エリアに関しては、かなり状況が改善されそうです。しかし問題山積の節電要請です。

条件が緩和された理由は、被災した火力発電所の復旧などとしておりますが、実は嘘テンコ盛りです。電力の調達面でいえば、最大1,050万kw/hある揚水発電をカウントしていなかったんですが、指摘を受けて渋々400万kw/hだけ盛り込み、それでも最大需要と見込まれる5,500万kw/hには足りないとして、節電要請を正当化する数字を出してきたというのが実際のところです。

ま、東電にも言い分はあります。元々揚水発電は、原発が出力調整ができないために夜間の低需要時間帯に余剰電力が発生することを防ぐための施設であって、現状のように原発がほとんど動いていない状況で使う想定はしていなかったのです。とにかく投入電力の30%のロスが出るわけですから、1,050万kw/hを発電するのに1,500万kw/hの火力発電を稼動させなければならないわけですから。通常3,000万kw/h程度の深夜帯の電力需要から考えれば、大いなる無駄となるわけで、それだけ東電の利益を圧迫します。それでも余剰の夜間電力でピークカットが可能なため、重用されてきた経緯があります。

加えて廃止火力発電の復活運転などで、古い設備を稼動させるわけですから、メンテナンスも大変ですし、燃費も悪く、実際夜間も含めた長時間稼動は、機器の故障などによる停止が大停電のトリガーになる可能性もあり、東電としてはやりたくないでしょう。また揚水発電所自体も自治体保有だったりしますから、稼動させれば支払いが発生します。

とはいえ原発事故の一義的責任が東電にあるんですから、東電の都合を需要家に押し付けるのは筋が違います。そもそも計画停電する前に、電気事業法27条による総量規制を発動すべきでした。そもそも鉄道会社などへの供給電力は総需要の数%程度で、止めてもあまり意味がないですし、同様に病院や交通信号を止めて節電できる量はしれてます。

また大口需要家向け電力メーターでは30分単位で電力消費量を把握できる仕組みですから、ピーク電力を節約できるように操業時間をずらしたり、西日本の代替工場に仕事を振ったりして凌ぐことが可能ですが、病院や信号は即座に人命に係わる問題を生じます。

元々大口需要家に対しては電力料金の大幅な値引きが行われているわけで、これは元々電力不足の際には送電をカットすることを前提とした割引なんですが、実際は大口需要家の求めるままに発電出力を増強してきたわけです。そのため大口需要家だけに高機能な電力メーターが設置され、小口需要家や一般住宅向けには安上がりな積算計の設置に留まり、今回のような需要調整が必要な局面で打つ手なしの状況になるわけです。

見方を変えれば、自家発電設備を保有する大手製造業に割安な電力を供給することは、自家発電のコストを下回る料金で繋ぎ止める意味がありますから、そのために1基で100万kw/h以上を出力し、手厚い国の補助金もあり、核廃棄物の処分費用も算入されていない原子力発電所は、電力会社にとっては頼みの綱だったわけです。その一方で夜間電力の余剰問題を引き起こし、揚水発電のような非効率な仕組みを生み出すことになったわけです。つまり原発中心のビジネスモデルが破綻の局面にあり、火力依存によるコストアップを回避しようと悪足掻きしているということです。国が国民に負担を押し付けてまで救済しようとしている東電は、実はゾンビ化の瀬戸際にあります。

こういう状況でしたから、社会的に混乱を招く計画停電に躊躇はなかったのでしょう。むしろ総量規制で大口需要家に省電力の割り当てを行えば、自家発電にシフトされる可能性もあり、東電はそれを恐れたのでしょう。その9結果国民に多大な迷惑をかけたのですが、許し難いのは、東電の言い分を鵜呑みにして計画停電を許可した政府です。どっち向いてるんだか。

さすがに政権の内外から批判され、需給の見直しで計画停電を封印したものの、揚水発電への依存はできるだけ避けたいため、需要予測の5,500万kw/hに少し足りない5,200万kw/hという数字を提示して、省電力への協力を呼びかけているわけですね。

とはいえ大口需要家以外は需要調整の手段がないのが現状で、努力目標を掲げたところで、実効性には疑問があります。さりとて大口需要家が自家発電に走るのも困るというわけで、小口需要家と一般住宅の協力を取り付けるポーズは必要になります。

というわけで、おそらく原油価格上昇を受けて電気料金は値上げされると予想されますので、結局それが一番の省電力効果をもたらすことになると考えられます。つまり省エネのための電力節約ではなく、電力料金の価格弾力性が増して、値上げ即需要減というデフレ状況が出現する結果、夏の大停電は起こらないという予想が立ちます。かくして地域独占に胡坐をかいてきた電力各社は、需要減で業績を低下させることになり、東日本エリアへの卸電力供給を模索し、結果的にデフレ状況になることが予想されます。そうなると東電をゾンビ化して温存することは、政府の意図に反してデフレを助長することになりそうです。

とはいえ沖縄を除く他の電力会社も、原発依存は変わらないわけで、早速中部電力浜岡原発の3号機運転再開問題で川勝静岡県知事が釘を刺しました。もちろん休止中の既存の原発の運転再開に自治体の同意は法的には不要ですが、福島第一原発事故で安全基準の見直し必至なだけに、すんなりとは進みそうにありません。また現在運転中の原発も、年に1度の法定点検で1年以内に停止しますから、やはり運転再開にひと悶着は避けられないでしょう。となると、来年以降は東電以外の電力会社も原発運転の停止を余儀なくされ、需給逼迫となる可能性が高いわけです。余談ですが浜岡原発は既に1,2号機が廃炉となり、同出力の6号機の新設も難しいということで、鉄軌道式新幹線の3倍と言われる電力食いの中央リニアの計画にも暗雲です。

東西間の電力融通に関しては、周波数の違いがネックと言われますが、実は同じ周波数のエリアでも、極性転換のタイミングの違い、いわゆる位相のズレが存在してまして、単純には繋げないのです。JRの交流電化区間にも交―交デッドセクションが一部に存在します。

というわけで、電力会社間の電力の融通には直流を介在させる手が現実的です。実際津軽海峡や紀淡海峡は直流海底ケーブルで結ばれております。現状は容量が少なくあまり役に立たないのですが、例えば日本沿岸に直流海底ケーブルを巡らせて九州から関東へ送電できるようにすることは可能です。もちろん費用の問題もありますが、原発の停止が続くことを考えると、電力各社が余剰電力を融通しあえるインフラには公共性があるということで、公的支援で実現すべき問題です。いわば電力スーパーハイウエイというわけです。

一般住宅向け電力の削減には手がないことはないです。ズバリ夏の高校野球選手権大会を夜行うことです。夏の需要逼迫は空調需要によるもので、特に気温の上がる13-16時の時間帯にピークを迎えるわけですが、夏休みで各世帯で部屋を閉め切って冷房し、甲子園のTV中継観戦で需要が跳ね上がるわけですから、試合時間をピークから外すのが一番です。具体的には21時から翌7時までで試合を行い、電力ピークを外すわけです。球児たちには過酷かもしれませんが、海外遠征だと思ってもらいましょう(笑)。

そうでなければせめてTVによる実況中継を中止し、劇場配信による有料観戦とすることも考えられます。要はピークタイムに出かけるように仕向けることがミソです。

というわけでJRも夏の臨時列車の設定がやりにくいでしょうけど、夜行中心に設定することで、需要の分散を図る手があります。この夏は東京から各地へ臨時快速ムーンライト××を走らせて、圧倒的な輸送力でツアーバスを返り討ちするという手が考えられます。貧乏旅行で構わないから過度な自粛は控え、身の丈に合った消費を行うことは重要です。今年は久々に青春18鉄するかな。

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Saturday, April 23, 2011

しっかりしんしゃい九州

本題に入る前に、東電の原発事故補償で新機構を作って原発保有電力会社に負担させる案が固まっているようですが、きちんと反対しておきます。

仕組みとしては銀行の預金を保障する預金保険機構のようなものと説明されてますが、保険料を電気料金に上乗せさせることで、結果的に国民負担となります。ついでにいえば新機構が新たな天下り先となるオマケつきです。

電力の安定供給のためと言われますが、それならば一時国有化して事業としては継続させることで足りるはずです。本当に責任を負うべきは株主であり社債を買った投資家であり、事業資金を貸し付けた銀行などの債権者であるはずです。これまで東電の事業で利益を得ていたんですから。

つまり株式時価総額3兆円、社債発行残高5兆円、債権総額もおそらく兆円単位で、ザックリ10兆円程度の損切りを株主と投資家と債権者に求めるのが筋です。東電の事業で利益を得ていたんですから。株主については個人保有が多いから問題ということですが、大量保有しているのは株式一部上場の大手企業ですから、個人株主保護を隠れ蓑に大手企業の責任を不問にしたいということですし、社債市場で東電の残高が突出しているから他社の社債による資金調達に影響するというのも大うそ、あくまでも発行企業の信用力の問題です。また銀行の貸し手責任を不問とする理由がないことは言うまでもないことです。加えて天下り官僚も名を連ねる経営陣も刷新し、経営責任も明確にすることは言うまでもありません。

というわけで本題は震災に隠れて冴えない九州新幹線の話題です。まずはこんなニュースです。

効果さっぱり九州新幹線…特急減り不便な筑後 : 鉄道 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
既に当ブログでは取り上げておりますが、無意味に駅を増やして、しかも利便性のかけらもない駅立地のために、むしろ不便になったという声が地元から出ているのです。ま、当然の結果ですが。

鉄道ジャーナルの記事で開業当日の様子が書かれておりますが、前日の震災の影響で、九州地区でも津波警報で太平洋沿岸の在来線は運休を余儀なくされていた中で、各駅で予定されていた開業記念式典は中止され、震災のニュースでメディアが塗り潰されたために、全国では注目もされずにスタートしました。一番列車の指定券が売り出し即完売だったはずが当日ドタキャンもあったようで、乗車率も高くない上、特にJR九州が当て込んでいた外国人観光客の大量キャンセルもあり、原発事故で訪日自粛が長引くなど、しっかり震災^_^;の影響を受けてしまいました。その点敢えて1週間前にデビューさせた東北新幹線はやぶさは、震災で運休を余儀なくされたものの、減速されるも復興のシンボルとして29日に運転再開されます。はやぶさ奇跡の帰還は故山之内元会長が総裁を勤めたJAXAに続きます^_^;。これぞアニマルスピリット(笑)。

震災では鉄道以外にも自動車や電機などで、被災地に部品メーカーが多く、サプライチェーンの寸断が問題視されました。そのためにトヨタや日産やダイハツなど九州に工場を構える自動車メーカーの工場も休業を余儀なくされてますが、逆に言えば折角組立企業を誘致できたのに、地場の部品メーカーが育っていない現実がさらけ出されたわけで、企業誘致で地域振興というシナリオの有効性にも疑問符がつきます。

元々日本はデフレ状況にあったわけで、人口減少と供給過剰の社会だったわけです。その中で製造業に関しては、正直なところ東日本に比べて西日本地区の工場の稼働率は概して低く、過剰設備を持て余していたはずです。西日本の復興に時間がかかる状況が明らかになる中、西日本の地場企業の奮起に期待したいところです。

また冒頭の原発事故補償のための負担を、九州電力に限らず西日本地域の電力各社が黙って引き受けるつもりならば、いつまで経っても東日本に対して従属的な状況に安住することになります。東電の破綻をチャンスと捉えて東電エリアへの電力供給に踏み出すぐらいの気概を持ってほしいところです。

いつまでも(古賀)マコト駅=筑後船小屋みたいなもので満足せずに、真の意味での地域の自立を目指して欲しいところです。

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Saturday, April 16, 2011

財源の議論に隠れた復興バブル

震災復興会議なるものが発足したそうですが、何だか会議ばっかりやってる今の政府の迷走ぶりはひどいもんです。会議ばっかりやって、しかも事務局に官僚を配置すれば、ろくでもない結果しか出てこないってもんですが、早速復興債の発行と、その償還を復興税で行う構想が取り上げられそうです。

復興増税否定せず 首相「東電は民間でがんばれ」 :日本経済新聞
早い話が「復興のため」という錦の御旗で国債増発や増税を免罪しようということですが、いかにもな役人発想です。予算が足りないならば、公務員給与の一律カットで財源を出せば良いです。民主党も公務員給与2割カットをマニフェストで約束してるんですから、マニフェストに沿って、かつ財源捻出の要請にも応えられる妙案です。ざっくり2兆円以上の財源が出ます。我慢すべきは公僕からです。

まだあります、既に火事場泥棒的に箇所付けされた公共事業費の執行停止で5.7兆円が捻出できます。しかも機材や資材や人員などの建設リソースが開放されますから、被災地の瓦礫の撤去や交通インフラの復旧に回せますし、資材費の高騰も防げます。

加えて高速道路のETC割引財源とされる1.4兆円を加えれば、合計9兆円を超えますから、予備費を足せば10兆円規模の復興財源はひねり出せます。公的年金の国庫負担を減らして年金積立金を取り崩す必要はありません。

東電の原発事故補償問題でも、東電の民間企業としての事業継続を前提とするということは、ザックリ言えば補償費用を電気料金に上乗せして国民に負担を転嫁するということに外なりません。そのために国庫金に加え原発保有の電力会社の出資で預金保険機構のような新機構を設立し、東電の優先株購入による資本注入をしようという構想です。資本注入でガバナンスに介入し、補償の実施を監視するということですが、それなら東電を国有化する方が早いんじゃない?という疑問が出ます。丁度民主党が野党時代に与党に丸呑みさせた金融再生法のような形で、国有化して東電のガバナンスを直接改善し、事後的に株式再上場することで、結果的に国民負担を回避するというスキームで、この方がむしろ民主党らしいのでは?

新機構への出資分は電力会社が利益剰余金の一部を拠出する形となり、超長期割賦払いで対応しようということですが、総括原価積算による現行の電気料金を前提とする限り、電気料金の値上げで対応することに外なりません。それならば最初から国庫による補償を考える方が誠実です。

不思議なのがなぜ電力オークションを実施しないかです。30分単位で電力使用量を把握できる工場などの大口契約者は、割当電力を明示すれば、それを前提とした生産計画を組むことは可能ですし、実際電気事業法27条の総量規制に従う義務があります。ならば大口契約者毎に電力削減量の割当を行い、毎日翌日分の電力使用計画を提出させた上で、余剰分の売却と不足分の購買を取引市場でマッチングさせれば、結果的に調整コストをかけずに省電力が可能です。

加えて特定規模電気事業者(PPS)や他地域の一般電気事業者の応札を認めれば、劇的に状況は改善すると考えられます。よく言われる東日本の50Hzエリアと西日本の60Hzエリアの問題も、実は技術的問題というよりは制度的問題なんです。現状電力変換変電所は3ヶ所で100万kwと言われますが、現行施設の設備増強で500万kw程度にすることはさほど難しい話ではありません。むしろ電力不足確実な東日本エリアで確実に電力を売れるならば、更にこの手の投資を後押しすることになります。

加えて東日本企業のPPSへの参入を後押しすることにもなります。例えば六本木ヒルズでは、地下に6基のガスタービン発電機を備え、通常所要電力は自家発電で賄っております。東電とも契約はしてますが、あくまでも発電機のメンテナンスに備えたバックアップが目的で、加えて非常用ディーゼル発電機も備えてメンテと停電が重複しても最低限の電力確保ができる仕組みですが、それを逆手にとって一部設備の休止で生み出した余剰電力を東電に供給してPPSに名乗りを上げました。これは例えば被災した工場で本業の復旧が難しい場合の代替事業にもなり、結果的に被災企業を救うことにもなります。こうして投資が誘発され、結果的に供給のボトルネック解消にもつながるので、財政に頼らない有効需要創出策でもあります。

あと意外に難しいのが鉄道の完全復旧です。東北本線や東北新幹線は、余震の影響による一進一退はあるものの、比較的順調に復旧が進んでますが、問題は常磐線北部や仙石線、石巻線、大船渡線、山田線、八戸線と三陸鉄道北リアス線、南リアス線など津波被害を受けた海岸沿いの路線です。空港と共に津波被害を受けた仙台空港鉄道と共に、被害の甚大さによる費用負担の問題と共に、地域の復興計画との整合性に問題を残します。

鉄道の災害復旧は、国と自治体が1/4ずつを負担する仕組みで、総額の半分を事業者が負担すればよいのですが、特に第三セクターの三陸鉄道と仙台空港鉄道では、公的支援があるとはいえ負担力が乏しく、また第三セクターゆえに出資自治体の足並みが揃わないと増資も難しいというガバナンスの弱点もあります。

加えて三陸鉄道では高架橋やトンネルなどのインフラ部分を自治体保有とする公設民営形の上下分離が行われており、特に高架橋の破損部分の復旧工事については、事業者保有ではないために、復旧費用の拠出をどうするという問題が横たわります。つまり保有する自治体を事業者と見なすと、実質国庫負担1/4自治体負担3/4となり、ただでさえ被災して財政余力のない自治体の負担が過大となります。

鉄道復旧でもう一つ頭の痛い問題は、復興計画との整合性です。津波対策として防潮堤や防潮林などが役に立たず、居住地の高所移転がほぼ唯一の防災復興法であることは間違いないですが、そうすると既存集落を縫うように建設された元々の鉄道ルートが無人地帯になることを意味します。逆に鉄道を単純に復旧すれば、利便性から低地への人の居住を止められずに防災復興の阻害要因になるわけです。こうなると徒に復旧を急ぐのが正しいかどうかも微妙になります。

とはいえ鉄道事業の災害復旧補助はあくまでも原状回復が基本ですから、逆に集落移転を伴う復興計画が具体化すれば、鉄道の復旧は絶望的ということにもなります。集落を結ぶという鉄道本来の機能を維持しようとすれば、それは復旧ではなく限りなく新線建設に近づくことになりますが、元々過疎地のローカル線だった路線を新線として引き直すというのは現実的に無理な相談です。

これ何かに構図が似てます。水害で橋梁や路盤の流出被害がひどく、再建を断念した高千穂鉄道を思い起こさせます。高千穂鉄道の場合は、五ヶ瀬川に寄り添う旧国鉄日之影線由来の区間で被害がひどく、単純な原状回復で27億円と見積もられたのですが、仮に復旧しても、同様の水害に遭う確率も高いわけで、併せて安全な位置への路盤移転を前提とする復興計画案も提案され、約40億円と見積もられましたが、当然原状回復ではないので、全額事業者負担となり、より困難な話となるわけです。

災害復旧という観点で、ユニークなのはJR西日本の越美北線の事例です。やはり台風被害で運休したものの、大野市など地元自治体の定期券購入補助が行われていたこともあり、傘下の西日本JRバスが専用営業所を開設して鉄道代行輸送でつなぎながら、最終的には福井県の資金拠出により3年かけて復旧を実現しました。

同様に水害で運休中のJR東海名松線ですが、こちらは自治体の動きは鈍かったのですが、昨年11月24日のJR東海山田社長の定例会見で自治体の支援如何では復旧工事を行う旨の発言があり、それを受けて県と津市が取り組みを表明しました。

asahi.com(朝日新聞社):台風で不通の名松線、復旧目標は16年度 津市事業計画 - 鉄道 - トラベル
注目されるのが、災害を繰り返さない観点から県の治山事業と津市の水路事業の取り組みを条件とした復旧工事であるということで、単純な原状回復とは一線を画しております。

三陸鉄道などが加盟する東北鉄道協会は、国交省に国の支援拡充を求めました。

東北のローカル線、復旧は時間との闘い  :日本経済新聞
国交省側も理解を示したようですが、非常事態を口実とした超法規的解釈による国庫金注入ならば問題があります。京阪中之島線や阪神なんば線で用いられた都市鉄道における償還型上下分離などと整合性のある制度として法改正をすべきですし、政府はそのためにこそ動くべきです。実効性に疑問符がつく多数の会議体で時間を浪費することをやめて国会論戦をこそ真面目にやってほしいです。

最後になりますが、増税で喜ぶのは復興予算を食い物にと狙う土建屋共であり、それはバブルの再来の呼び込みになるだけです。

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Sunday, April 10, 2011

象牙ハンターの化石脳

震災から1ヶ月経ち、電力事情が緩和したこともあり、運休が続いていた湘南新宿ラインも復活し、震災で幻となっていた南武線快速も9日から走り始めるなど、首都圏の鉄道に関しては、平常ベースに戻りつつある今日この頃ですが、復旧が進んでいた東北新幹線は7日深夜の余震で再びストップし、一進一退が続きます。

また福島第一原発の危機的状況は未だ出口が見えず、むしろ過去に例のない海洋汚染で、世界からは「海のチェルノブイリ」という有難くない言われ方までしております。そのため当初は同情的だった世界の見方は、加害者に対する非難だったり、言われなき風評だったりして地に落ちております。

原発事故と無関係の観光地で観光客が激減し、9割減などという状況で、特に外国人が激減しております。外国人に関しては観光客に留まらず、数多くの労働者が仕事を辞めて帰国するなどの異変も起きており、外国人労働者に依存していた業界では一転求人難という状況で、この問題は今後尾を引きそうです。加えて過剰な自粛ムードも手伝って、例年ならばGW臨時列車が発表されている時期に動きなしです。こうなると経済の先行きが心配です。

マクロ経済指標で見て、デフレギャップが約20兆円と言われ、今回の震災の被害額が概算16兆円―25兆円ですから、ごく荒っぽい議論としては、これから出てくる復興需要でデフレが解消される形になり、リフレ論者の待ちに待った局面のはずですが、不思議なことに復興財源問題で、復興債の日銀直接引き受けを迫るあたり、結局連中は金融緩和至上主義でしかないことを露呈しております。

復興財源を国債に求めるのは、復興需要でGDPが押し上がり、税収につながりますから、謂わばその前借りですから問題は少ないのですが、早速財務省主導で増税の議論が始まっているのは許せません。特に公的年金の国庫負担増の財源2.5兆円を復興財源に充てる案ですが、実質的に給付の不足分を年金積立金の取り崩しで賄うということになります。財務省の説明では、将来の増税で今回の取り崩し分を埋める予定としておりますが、つまるところ増税の言質を取りたいだけです。

実際に実施すれば、年金が保有する国債を売却することになりますので、市場的には新発国債を発行したのと同じ需給関係となり無意味です。年金積立金を活用するなら、むしろ外債や株式などのリスク資産と交換に復興国債の引き受けに使う方が理に適います。日銀引き受けと違って通貨の信認を揺るがすことはないですし、復興に伴う税収増で担保される復興国債は、安全資産として年金積立金の運用先としても適しています。あまり報道されませんが、こういったことで火事場泥棒を許さないようにしなきゃいけません。

とはいえ原発事故に伴う電力事情の悪化は復興の足を引っ張る問題です。直近の2月の鉱工業生産指数の速報値が96.1と回復してきましたが、震災による生産の縮小分は11ポイントほどと見積もられ、リーマン後の09年度の86.0を下回ります。リーマンショックがバブル崩壊による需要の縮小だったためにデフレギャップが拡大した一方、今回は工場や物流網の被災で供給側にボトルネックが生じた形ですから、いわゆる財政出動による需要創造はできないわけです。

企業の生産設備に関しては、震災前に復旧することがゴールではなく、むしろ統廃合による生産効率の見直しが必須となります。例えば震災前に経営統合を発表した新日本製鉄と住友金属ですが、それぞれ釜石と鹿島の事業所が被災しております。それぞれを復旧するのではなく、統合を進めながら事業所の再配置を行うことが求められるわけです。既にライバルのJFEは事業所統合を発表しております。おそらく他業種でも同様の動きが出てくるでしょう。

電力不足は長期化が予想され、仮に60Hzの西日本エリアへ移転したとしても、原発の見直し次第で需給がタイトになる可能性があり、今後数年に亘って企業を悩ませることになります。震災だけなら、あるいは津波被害を含めても、復興に伴うGDPの押し上げ効果は一定に期待できますが、電力のボトルネックは企業活動を萎縮させる可能性があります。

この問題は考えようによっては、企業にとって所要電力も数ある調達の一環という風に考えられます。大口電力割引で外部電力に依存してきたことを見直す機運が生じるでしょう。加えて電力自由化で余剰電力を売却できるようになれば、企業自ら発電事業に乗り出すことを促しますから、結果的にボトルネック解消が早まります。政治の仕事はこういったことに道筋を付けることです。

その結果CO2排出量が増えることを懸念する人がいますが、原発推進派のマインドコントロールが抜けてないと指摘しておきます。良く考えていただきたいんですが、東電福島第一、第二、東北電力女川、東通の各原発は全て停止しておりますが、原子炉内と貯蔵プールの燃料棒の冷却のために多数のポンプを作動させ電力を消費しております。つまりCO2を排出しているわけです。

7日深夜の余震で外部電力を失った女川、東通原発と日本原燃六ヶ所村再処理工場で冷却系が一時停止する事態となり、関係者が肝を冷やしましたが、裏を返せば運転していない原発は電力を消費する存在なんですね。しかも使用済み核燃料棒の崩壊熱の発生は長期間に亘り、ポンプで水を循環させ続けなければならないわけですから、トータルで見ればCO2削減効果は僅かしかないことになります。

福島第一原発の事故で3号機のプルサーマルが世界的には注目されてましたが、結局日本のメディアはまともに取り上げませんでした。一部でプルサーマルの安全性を問う声はあったものの、論点はそこにはありません。本当の論点は国策とされた核燃料サイクルが破綻したということで、以前のエントリーで簡単に触れましたが、本命は高速増殖炉で、プルサーマルはセカンドベストでしかありません。安全性に関しては、理論上ウラン燃料を使用するのと変わらないと言われておりますが、実績を示すデータはまだ蓄積されておりませんので、安全性の観点からは議論のしようがないんです。むしろ問題は泥縄でプルサーマルを始めたことにあるんです。

六ヶ所村の再処理施設は昨年10月に竣工予定だったものの、トラブル続きで竣工を2年延期しました。工場内の使用済み核燃料保管プールは既に満杯で、新たな受け入れの余地はないので、結果的に全国の使用済み核燃料保管プールから六ヶ所村へ送ることができず、各原発で保管プールの増設で凌いでいる現状があります。結果的に堅牢な格納容器などで保護されていない保管プールの冷却系ダウンが福島第一原発事故で顕在化したわけで、このまま原発の稼動を続ければ、数年で全国の原発は運転できなくなると言われていて、核燃料の再処理とMOX燃料やガラス固化体への加工を欧州企業に外注し、テロの標的になり得る危険極まりない核燃料の洋上輸送までしてとりあえず始めたのが今回のプルサーマルというわけで、泥縄を重ねて未来を捏造してきたわけです。その果てに今回の福島第一原発の事故があるわけです。

現実的には火力依存が強まりますが、天然ガスの活用で埋蔵量はほぼ無尽蔵ですし、燃焼効率が高くCO2排出量も減らせますから、脱原発の現実的な選択肢です。このあたりの議論はいわゆる「専門家」を名乗る人たちの苦手な議論なんですね。

というわけで、メディアは自らの不勉強の結果、彼ら「専門家」にコメントを求める形で報じてきたために、根拠のない楽観シナリオに乗っかって事態の悪化に右往左往してきたわけです。特に人体への影響に関しては、やはり重要な論点が抜けております。

放射性物質に限らず、毒性の評価は疫学データであるという点が全く触れられていないんですが、重要な論点です。疫学データというのは、簡単に言えば科学的に厳密な因果関係は立証できなくても、事実関係として相関が認められれば危険と評価しようということです。つまり疫学データとして示される安全基準は厳格な科学的閾値ではなく、目安に過ぎないんです。ですから予防原則から安全側に大目ののりしろを取るのは当然ですが、それを逆転させて「多少超えても安心」というのはおかしいんです。

厳密に言えば基準以下ならばリスクは誤差範囲だけど、イコール安全という意味ではありませんし、超えても大丈夫とは科学者ならば言っちゃいけないフレーズです。あとおかしいのが「タバコの害より軽い」というのがありますが、タバコの危険性も疫学データで必ずしも科学的に厳密に因果関係が確認されているわけではないんで、こういった目安に過ぎない数値同士を比べるというのはナンセンスですし、意図的に言っているなら「嘘つき」といえます。

そういう意味で微妙なニュースが福島県の葉タバコ生産農家が、土壌汚染に伴う作付け見送りというものです。食用に供されないタバコが放射能汚染されたらどうなるかといえば、ほとんど影響はありませんが安全性の評価は難しいですね。これをネタに禁煙しようとする向きにはグッドニュースかも(笑)。

あと高濃度汚染水の海洋流出で「直ちに拡散されるから大丈夫」と即答した「専門家」も居ましたが、汚染水が炉内から漏れ出たものであれば、水温は高いはずです。湯船に水を張って上からお湯を注いでも容易に混ざり合わないのは小学校の理科レベルの知識です。象牙の塔の中では優秀と言われても、一般常識はかくもお寒いということですね。

実際は海の表層を汚染水が水塊となって漂流すると考えられますが、早速5日に北茨城沖で採取されたコウナゴから基準値を超える570ベクレルの汚染が見つかりました。表層を回遊する小魚の汚染の一方、現時点では新刊魚のアンコウやヒラメ、マコガレイなどは影響なしと見てよいでしょうけど、生態系移転、濃縮を経て忘れた頃の2年後ぐらいに汚染魚が市場へ出る可能性があり、現状ではそれを阻止する仕組みがないのです。そもそも海洋生態系は人類にとって未知の領域で、「海のチェルノブイリ」の影響は予想できないというのが正しいところです。

結局原発事故の後始末で米軍と仏アレバ社の助けを借りることになりましたが、原発推進を国是とする米仏両国の思惑は言わずもがな。内心煮えくり返っていても、今は事態を収束させることが必要という打算の結果です。そういえば内戦状態のコートジボアールで日本大使館が襲撃され、仏軍に大使とスタッフが救出されたというニュースもありました。妙にフランスと縁があります。

コートジボアールは以前日本では象牙海岸という翻訳国名で称されていましたが、コートジボアール政府の要請でフランス語国名の採用を要請されたものですが、象牙は印鑑の材料として日本はヘビーユーザーだったのですが、ワシントン条約で貿易が制限されているのは周知の通りです。時代は変遷します。原子力の平和利用で突出した存在だった日本の原子力政策も、化石頭でない限り見直し必至の局面です。

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Tuesday, April 05, 2011

液状化で思案きわまる都知事選

3月17日付の東京新聞朝刊でこんな記事があります。

東京新聞:築地移転先、地震で弱点露呈 豊洲が液状化:特報(TOKYO
3.11震災で千葉県浦安市など臨海部の液状化現象が報告されてますが、実は豊洲もということですが、それが今、築地市場の豊洲移転問題を不透明にしております。

新交通ゆりかもめの市場前駅周辺が築地市場の移転先ですが、元々は東京ガスが保有する石炭埠頭で、石炭ガスプラントがあったため、土壌に触媒の砒素に由来するベンゼンが環境基準の1,600倍、シアンが33倍と、食品市場の移転先として問題を指摘されておりました。都は、表土2mを入れ替え、アスファルトで被覆するから安全として移転を進めてきました。

しかし2009年7月の都議選で、移転反対を掲げた民主党が議席を伸ばし最大会派となった結果、移転に暗雲漂う結果となりました。そのため市場移転費用を織り込んだ予算案が都議会の承認を得られずに足踏みしていたのですが、3月議会で花輪ともふみ議員の突然の会派離脱と特別委欠席で形勢逆転となり、予算案が可決成立しました。

とはいえ市場関係者の反対や中央区の要望提出など、問題を抱えたままの上、今回の震災で液状化現象と見られる泥の噴出しが見られ、当然汚染物質を含んでいると考えられることから、土壌調査や汚染対策工事自体を最初から見直す必要があります。

一方で都議会民主党に離反者が出たことで、市場移転が可能になったと見たのか、4選出馬を明言していなかった石原知事が一転出馬表明し、石原氏の後継狙いで鞍替え出馬を表明していた松沢成文神奈川県知事が出馬撤回するなど混乱しました。一説によれば副知事ポストの密約があるとかないとか。

で、出馬表明した石原氏は築地市場の豊洲移転を明言しており、再選されれば強引に進められる可能性があります。というわけで、都民でもない私が要らぬお節介をしたい気分となったわけです。都の発表では液状化対策も発表されてますが、専門家に言わせれば不十分なもので、実際現地で墳泥や地割れが見られる以上、再調査は避けられないところです。

一方の築地ですが、地盤が強固で震災の影響は全く見られなかったということで、市場関係者の移転反対の意思を強める結果となっております。といったところが概略ですが、不思議なことに、東京新聞以外のメディアでは扱いが小さく、あるいは全く取り上げられていないのですが、震災や福島第一原発事故報道の裏で、このような事態が進行していることは、もっと知られて良いと思います。

この問題は石原知事にとっては逆風となるでしょう。はっきり言って対立候補が小粒で、石原氏の再選の可能性が高いと思いますが、この問題が認識されれば、話が変わってくる可能性があります。あるいはそのためにメディアが自主規制しているというわけではないと思いますが、ますます変な日本のメディアです。

石原都政ですが、銀行税は訴訟の結果敗色濃厚で撤退、千万単位の還付を利付きで行う羽目となりましたし、新銀行東京は杜撰な経営で行き詰り、400億円の追加出資をしながら、未だ立て直しのメドが立たない状況です。必然性に乏しいオリンピック招致にも失敗しましたし、3期12年の成果は驚くほど乏しいのです。

加えて今回の震災の「天罰」発言など、メディアを賑わす不適切発言の多さも突出しております。折角のさくらの季節に「花見自粛」もトンチンカンです。被災地のためにも経済を浮揚させなければならないときに、消費を萎縮させるのは問題です。都民の良識に期待したいところです。

そういえば一時猪瀬副知事の後継出馬が噂された時期もありますが、流石にリスクを取って選挙に出る度量はなかったようです。地下鉄一元化も結局時期尚早として門前払いされました。著書で展開した地下鉄一元化論は穴だらけでお話になりません。簡単に言えば東京メトロと都営地下鉄の建設時期の違いが債務残高に反映されただけで、2007年に単年度黒字を達成した都営地下鉄は、今後債務償還が進んで優良企業になるというのですが、逆に言えばそれまで待ってから一元化ということで、決して直ぐに実現する話ではないんです。

にも拘らず「メトロを上場すれば一元化の可能性がなくなる」という理屈で保有株式の売却を渋っているんですが、そもそも株式上場の意義を理解していないのですから頭痛いところです。メトロ株の売却益で都営地下鉄の債務償還をすれば、一元化の時期を早められるとは考えず、むしろメトロの支配権を手放したくないという意図まる見えで見てるこっちが恥ずかしいです。地下鉄は誰のものか、少なくとも猪瀬某のものじゃない。

今回の震災、液状化、計画停電で、臨海部の高層マンションの人気に翳りが見えてきました。逆に地盤の安定した築地市場跡地は再開発適地としてゼネコンやデベロッパーの注目を集めたと見るべきでしょう。とすれば石原知事再選で市場移転は強引に進められる可能性が出てきました。そして待ち受けるのは、ミニ地下鉄としたためにキャパシティを超えた開発に苦しむ大江戸線勝どき駅の悲劇の再現でしょうか。東京都は大江戸線で田園都市線を再現しようというわけで、なるほど地下鉄利権を手放したくないわけです。

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Saturday, April 02, 2011

自動車が足りない

震災で壊滅的打撃を受けた東北の鉄道ですが、復旧のスケジュールが明らかになってきました。4月中にはかなり復旧できそうですが、完全復旧はまだ先です。詳しくは東北地方の運転再開状況(4月1日現在)(PDF)をご参照ください。特に貨物幹線の東北本線の復旧は、物資輸送の面で東北の復興を後押しすることになりそうです。

一方、見通しが立たないのが常磐線のいわき以北です。理由は言うまでもありませんが、福島第一原発の事故(ここでは敢えて"事故"と表現します)です。状況は日々悪化しており、既に放射性物質の放出量で米スリーマイル島を越え、未だ収束のメドが立たない中、流石にチェルノブイリの背中は遠いとはいえ、長期化は避けられず、既に石棺による放射線遮断まで視野に入ります。この期に及んで「チェルノブイリよりはマシ」という専門家の言い分は五十歩百歩とか目くそ鼻くそを嗤うの類いです。

核燃料冷却のために注水が続きますが、燃料が熱くなって炉や圧力隔壁の損傷や再臨界などのより困難な状況を避けなければならず、汚染水ダダ漏れで水芸よろしく高濃度の汚染水があちこちから噴出しており、収束は遠い状況です。漏出箇所は地震でできたひび割れのようですから「震災で停止できたのに津波被害が想定外だった」という言い訳はむなしいです。

ま、今回原子力発電の停止に電力が必要ということが知れ渡ったのはせめてもです。しかも止めるための電力消費ですから、計画停電で不便を強いられる電力ユーザーにはたまらない話です。こういった原発の非効率は以前から指摘されてきたところですし、原発は(火力の燃料になる)化石燃料がないと動かせないわけで、CO2削減効果は元々怪しかったので、代替エネルギーとして自然エネルギーへの転換が進む契機とすべきでしょう。

で、本題ですが、一つは今回の震災で露呈した物資不足問題です。ガソリン不足は首都圏では解消に向かい、被災地でも緩和されつつあるようですが、ガソリンスタンドの被災で供給体制が整わないということで、まだ暫くは不便を強いられそうです。

JR貨物の燃料列車の取り組みが始まる前は、日本海側からタンクローリーを走らせていたのですが、人口減少で元々縮小傾向にあった石油精製業界の意向でタンクローリー自体の台数が減っていたところで、震災で東北地方のタンクローリーも被災して可動車が減ったことが、供給のボトルネックとなってしまい、被災しなかった首都圏のタンクローリーも東北へ投入された結果、首都圏まで供給不足が波及したということのようです。元々備蓄もあったので、石油精製施設の被災の影響自体はボトルネックとはならなかったようです。

で、不足しているのはタンクローリーに限らず、自動車全般が足りない状況です。実際津波で流された車が多数あるわけですから無理もないのですが、元々公共交通が脆弱で車がなければ生活できない地域だったところですから、自動車不足は深刻です。というわけで中古車、特に車検つきの軽自動車は価格が倍増するほどタイトな状況になっております。実はこれにはさまざまな事情が絡んでおります。

何よりも昨年9月に終了したエコカー補助金の終了に伴う新車販売の落ち込みが影響しております。つまり新車販売があって初めて下取り中古車が市場へ流れる市場構造から、中古車の供給そのものが細っていたわけです。加えて補助金自体も乗り換えで手放す車を廃車することが支給要件でしたので、元々中古市場の供給は長期に亘って減少していたこともあり、中古車不足は深刻です。

更に震災で自動車メーカーの部品調達が支障していることと、首都圏の計画停電の影響もあり、メーカーの生産体制も整わず、新車も供給面でタイトな状況ですから、新車販売も低迷し、それが更に下取り中古車の供給を低迷させる流れとなり、簡単には解消しない問題です。だからエコカー補助金なんかさっさと止めときゃ良かったんです。

一方で震災を与野党談合のネタにしようとする動きが活発ですが、要注意です。子ども手当は延長法案を社民、共産が賛成に回って成立したものの、増額は見送られる方向で、高速道路無料化など09年マニフェストの目玉政策を軒並み棚上げして震災復興財源を生み出そうとしておりますが、そもそも無駄な補正予算の5兆円を温存していれば、当面の復興財源は問題なかったことも忘れてはなりません。

中越地震のときもそうだったんですが、結局復興に名を借りた土建屋の狂宴になりそうな悪い予感がします。それを裏付けるようなニュースもあります。

新規直轄道、2年ぶり復活 11年度予算配分  :日本経済新聞
特に新直轄方式による高速道建設で、三陸道の本吉―気仙沼間まで含むのですから信じられません。津波被害で復興の青写真も明らかでない現状で、高速道整備は順序が違うだろって話です。

まして高速道路無料化の後退振りは留まるところを知らず、1,200億年しか計上されていない無料化実験も中止を打ち出しておりますが、民主党内からも反論が出されており、当面東北地方の道路は続けるべきとか、むしろ復興支援として東北地方全域の高速道路を無料化すべきなどの声がありますが当然です。むしろ週末1,000円を含むETC割引を温存する方がおかしいのですが、こちらは手付かずです。

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