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Saturday, April 23, 2011

しっかりしんしゃい九州

本題に入る前に、東電の原発事故補償で新機構を作って原発保有電力会社に負担させる案が固まっているようですが、きちんと反対しておきます。

仕組みとしては銀行の預金を保障する預金保険機構のようなものと説明されてますが、保険料を電気料金に上乗せさせることで、結果的に国民負担となります。ついでにいえば新機構が新たな天下り先となるオマケつきです。

電力の安定供給のためと言われますが、それならば一時国有化して事業としては継続させることで足りるはずです。本当に責任を負うべきは株主であり社債を買った投資家であり、事業資金を貸し付けた銀行などの債権者であるはずです。これまで東電の事業で利益を得ていたんですから。

つまり株式時価総額3兆円、社債発行残高5兆円、債権総額もおそらく兆円単位で、ザックリ10兆円程度の損切りを株主と投資家と債権者に求めるのが筋です。東電の事業で利益を得ていたんですから。株主については個人保有が多いから問題ということですが、大量保有しているのは株式一部上場の大手企業ですから、個人株主保護を隠れ蓑に大手企業の責任を不問にしたいということですし、社債市場で東電の残高が突出しているから他社の社債による資金調達に影響するというのも大うそ、あくまでも発行企業の信用力の問題です。また銀行の貸し手責任を不問とする理由がないことは言うまでもないことです。加えて天下り官僚も名を連ねる経営陣も刷新し、経営責任も明確にすることは言うまでもありません。

というわけで本題は震災に隠れて冴えない九州新幹線の話題です。まずはこんなニュースです。

効果さっぱり九州新幹線…特急減り不便な筑後 : 鉄道 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
既に当ブログでは取り上げておりますが、無意味に駅を増やして、しかも利便性のかけらもない駅立地のために、むしろ不便になったという声が地元から出ているのです。ま、当然の結果ですが。

鉄道ジャーナルの記事で開業当日の様子が書かれておりますが、前日の震災の影響で、九州地区でも津波警報で太平洋沿岸の在来線は運休を余儀なくされていた中で、各駅で予定されていた開業記念式典は中止され、震災のニュースでメディアが塗り潰されたために、全国では注目もされずにスタートしました。一番列車の指定券が売り出し即完売だったはずが当日ドタキャンもあったようで、乗車率も高くない上、特にJR九州が当て込んでいた外国人観光客の大量キャンセルもあり、原発事故で訪日自粛が長引くなど、しっかり震災^_^;の影響を受けてしまいました。その点敢えて1週間前にデビューさせた東北新幹線はやぶさは、震災で運休を余儀なくされたものの、減速されるも復興のシンボルとして29日に運転再開されます。はやぶさ奇跡の帰還は故山之内元会長が総裁を勤めたJAXAに続きます^_^;。これぞアニマルスピリット(笑)。

震災では鉄道以外にも自動車や電機などで、被災地に部品メーカーが多く、サプライチェーンの寸断が問題視されました。そのためにトヨタや日産やダイハツなど九州に工場を構える自動車メーカーの工場も休業を余儀なくされてますが、逆に言えば折角組立企業を誘致できたのに、地場の部品メーカーが育っていない現実がさらけ出されたわけで、企業誘致で地域振興というシナリオの有効性にも疑問符がつきます。

元々日本はデフレ状況にあったわけで、人口減少と供給過剰の社会だったわけです。その中で製造業に関しては、正直なところ東日本に比べて西日本地区の工場の稼働率は概して低く、過剰設備を持て余していたはずです。西日本の復興に時間がかかる状況が明らかになる中、西日本の地場企業の奮起に期待したいところです。

また冒頭の原発事故補償のための負担を、九州電力に限らず西日本地域の電力各社が黙って引き受けるつもりならば、いつまで経っても東日本に対して従属的な状況に安住することになります。東電の破綻をチャンスと捉えて東電エリアへの電力供給に踏み出すぐらいの気概を持ってほしいところです。

いつまでも(古賀)マコト駅=筑後船小屋みたいなもので満足せずに、真の意味での地域の自立を目指して欲しいところです。

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Comments

山之内さん、天国で見ててくれてますかね。
書かれている新機構の話、私もちょっとまずいんじゃないかと考え込んでしまいました。
原子力関係はただでさえ利権が入り組んでいて、その上さらに実質の利用者への料金上乗せでの税構造の作成と利益配分システムの構築は、きちんと話し合いで改善していかねばならない問題群を全て先送り、むしろ固着させてしまうのではないかと危惧しています。

Posted by: 幻月 | Sunday, April 24, 2011 at 11:59 PM

毀誉褒貶ありますが、JR東日本が民間企業らしいアニマルスピリットを発揮できるのは、故山之内会長の貢献が大きいと思います。

金融危機時の銀行の不良債権が総額100兆円とも200兆円とも言われましたが、10兆円程度の損切りは、株式会社の有限責任原則に従って処理すべきです。

それができないならば、あからさまな国営企業優遇を行う中国政府を批判できないですよね。

Posted by: 走ルンです | Monday, April 25, 2011 at 08:38 PM

九州方面の地理は全然詳しくないんですが、新幹線のルートが不便なんですね。今回は震災の影響もありましたし、鉄道経営は長い目で見る必要があると思います。
新幹線に限らず新線の開業は利用客の第一印象が肝心なので、最初の3年くらいは在来線を含めて供給過剰なくらいに利便性を良くしておいて、実際の需要を見極めた上で徐々に供給量を適正化していく方が良いと思います。

Posted by: yamanotesen | Wednesday, April 27, 2011 at 12:10 AM

いえ、九州新幹線の誤算は震災のせいにできないんです。

実際、対熊本、対鹿児島の広域輸送は好調のようですが、福岡県内の各駅の利用状況が芳しくないんです。結果的に目標を下回る状況となっております。

新幹線開業前にはつばめリレーと有明の特急毎時2本体制だったものが、有明下り4本上り3本の実質ライナー列車化で、利便性は著しく低下しました。

特に筑後船小屋駅の立地の悪さは際立っており、公園の中で、周辺に店舗はおろか民家すらないというひどさです。地元にとっては、使いたくても使えない駅なんです。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, April 27, 2011 at 08:05 PM

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