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Saturday, April 02, 2011

自動車が足りない

震災で壊滅的打撃を受けた東北の鉄道ですが、復旧のスケジュールが明らかになってきました。4月中にはかなり復旧できそうですが、完全復旧はまだ先です。詳しくは東北地方の運転再開状況(4月1日現在)(PDF)をご参照ください。特に貨物幹線の東北本線の復旧は、物資輸送の面で東北の復興を後押しすることになりそうです。

一方、見通しが立たないのが常磐線のいわき以北です。理由は言うまでもありませんが、福島第一原発の事故(ここでは敢えて"事故"と表現します)です。状況は日々悪化しており、既に放射性物質の放出量で米スリーマイル島を越え、未だ収束のメドが立たない中、流石にチェルノブイリの背中は遠いとはいえ、長期化は避けられず、既に石棺による放射線遮断まで視野に入ります。この期に及んで「チェルノブイリよりはマシ」という専門家の言い分は五十歩百歩とか目くそ鼻くそを嗤うの類いです。

核燃料冷却のために注水が続きますが、燃料が熱くなって炉や圧力隔壁の損傷や再臨界などのより困難な状況を避けなければならず、汚染水ダダ漏れで水芸よろしく高濃度の汚染水があちこちから噴出しており、収束は遠い状況です。漏出箇所は地震でできたひび割れのようですから「震災で停止できたのに津波被害が想定外だった」という言い訳はむなしいです。

ま、今回原子力発電の停止に電力が必要ということが知れ渡ったのはせめてもです。しかも止めるための電力消費ですから、計画停電で不便を強いられる電力ユーザーにはたまらない話です。こういった原発の非効率は以前から指摘されてきたところですし、原発は(火力の燃料になる)化石燃料がないと動かせないわけで、CO2削減効果は元々怪しかったので、代替エネルギーとして自然エネルギーへの転換が進む契機とすべきでしょう。

で、本題ですが、一つは今回の震災で露呈した物資不足問題です。ガソリン不足は首都圏では解消に向かい、被災地でも緩和されつつあるようですが、ガソリンスタンドの被災で供給体制が整わないということで、まだ暫くは不便を強いられそうです。

JR貨物の燃料列車の取り組みが始まる前は、日本海側からタンクローリーを走らせていたのですが、人口減少で元々縮小傾向にあった石油精製業界の意向でタンクローリー自体の台数が減っていたところで、震災で東北地方のタンクローリーも被災して可動車が減ったことが、供給のボトルネックとなってしまい、被災しなかった首都圏のタンクローリーも東北へ投入された結果、首都圏まで供給不足が波及したということのようです。元々備蓄もあったので、石油精製施設の被災の影響自体はボトルネックとはならなかったようです。

で、不足しているのはタンクローリーに限らず、自動車全般が足りない状況です。実際津波で流された車が多数あるわけですから無理もないのですが、元々公共交通が脆弱で車がなければ生活できない地域だったところですから、自動車不足は深刻です。というわけで中古車、特に車検つきの軽自動車は価格が倍増するほどタイトな状況になっております。実はこれにはさまざまな事情が絡んでおります。

何よりも昨年9月に終了したエコカー補助金の終了に伴う新車販売の落ち込みが影響しております。つまり新車販売があって初めて下取り中古車が市場へ流れる市場構造から、中古車の供給そのものが細っていたわけです。加えて補助金自体も乗り換えで手放す車を廃車することが支給要件でしたので、元々中古市場の供給は長期に亘って減少していたこともあり、中古車不足は深刻です。

更に震災で自動車メーカーの部品調達が支障していることと、首都圏の計画停電の影響もあり、メーカーの生産体制も整わず、新車も供給面でタイトな状況ですから、新車販売も低迷し、それが更に下取り中古車の供給を低迷させる流れとなり、簡単には解消しない問題です。だからエコカー補助金なんかさっさと止めときゃ良かったんです。

一方で震災を与野党談合のネタにしようとする動きが活発ですが、要注意です。子ども手当は延長法案を社民、共産が賛成に回って成立したものの、増額は見送られる方向で、高速道路無料化など09年マニフェストの目玉政策を軒並み棚上げして震災復興財源を生み出そうとしておりますが、そもそも無駄な補正予算の5兆円を温存していれば、当面の復興財源は問題なかったことも忘れてはなりません。

中越地震のときもそうだったんですが、結局復興に名を借りた土建屋の狂宴になりそうな悪い予感がします。それを裏付けるようなニュースもあります。

新規直轄道、2年ぶり復活 11年度予算配分  :日本経済新聞
特に新直轄方式による高速道建設で、三陸道の本吉―気仙沼間まで含むのですから信じられません。津波被害で復興の青写真も明らかでない現状で、高速道整備は順序が違うだろって話です。

まして高速道路無料化の後退振りは留まるところを知らず、1,200億年しか計上されていない無料化実験も中止を打ち出しておりますが、民主党内からも反論が出されており、当面東北地方の道路は続けるべきとか、むしろ復興支援として東北地方全域の高速道路を無料化すべきなどの声がありますが当然です。むしろ週末1,000円を含むETC割引を温存する方がおかしいのですが、こちらは手付かずです。

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Comments

たとえ同じ体験をしても、それに対して思うことは人によって違うのでしょう。
迂回路の確保のためにも道路の建設が大事という主張は、高速道路は津波の被害を受けにくい山の中を走ることが多いこともあり、受け入れられやすいと思います。 
余計な公共事業は建設資材等の不足・高騰を招いて必要な復興の妨げにさえなると思うのですが…。

政治の話は考え方それぞれなのであまり書きたくはないのですが、またまたたいして金額の抑制にならない子ども手当の所得制限を求める主張が、強まっていることが気になります。

Posted by: takehope2 | Sunday, April 03, 2011 at 07:38 AM

未だ生活再建の段階にある被災地で、高速道路整備が必要というのはおかしな話です。

復興財源も巨額に上ると予想される中で、政権内からは、これまで進まなかった漁港の近代化と集落の高台への移転で漁民に通勤してもらうとか、電力負荷を和らげるバイオマス地域暖房などの大胆なアイデアが出されていて、今後国会論戦や地元の同意などで時間がかかる中、道路整備も再定義は必至ですから、復興補正予算で箇所付けすれば良いところを今の時期に行うのは、火事場泥棒に等しい悪事と断じることができます。

一方で危機を口実に与野党談合が進むならば、許しがたいところです。メディアが当てにならない中で、私たち有権者の監視が重要です。

Posted by: 走ルンです | Sunday, April 03, 2011 at 10:51 AM

>またまたたいして金額の抑制にならない子ども手当の所得制限を求める主張が、強まっていることが気になります。

そもそも子ども手当て自体をやめるべきなんですよね。
よその子の養育費のために働いて税金納めているわけではないわけで、ふざけるな、と思います。

以前の児童手当(公明の主張でばらまきが酷くなる前の)に戻せば、年に2兆円浮くわけで、基本的に子ども手当ては廃止、児童手当も縮小すべきです。

Posted by: yuu | Sunday, April 03, 2011 at 11:30 AM

youさんに厳重注意です。

takehope2さんのコメントに対する意見表明はブログの作法としてマナー違反です。自らの主張を披瀝したければ、自らブログを立ち上げて、トラックバックをかけるならばともかく、管理者である私ではなく、第三者であるコメントを寄せた読者への攻撃、反論は、場を荒らす意図ありと見なせます。

ゆえに次回以降は速攻削除といたします。

Posted by: 走ルンです | Sunday, April 03, 2011 at 04:20 PM

なるほど、議論もないまま決めてしまうのが一番の問題なのですね。
ただ、議論がおこなわれても災害対策のためにも道路建設が必要と誘導されていく気もしますが…。

Posted by: takehope2 | Sunday, April 03, 2011 at 06:58 PM

これだけ大きな犠牲を払った大災害ですから、いい加減な復興は許すべきではありませんし、後々不満が出ることが一番の問題です。

その意味で地元が道路整備を優先するならば、それは1つの選択です。要は腹落ちのする出口に辿り付けるかどうかが問題なのです。

Posted by: 走ルンです | Sunday, April 03, 2011 at 08:42 PM

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